第85話
いきなり走り出した敵に対して私が逃げ腰になっていると、ハリーは逆にそっちに向かって走り出してそのまま自分の後ろに右手の肘を振りかぶらせながら強く拳を握り締めていて、そのまま高架下全体に響き渡るくらいの大きな声を上げる。
そのままそれを振り下ろそうとしたタイミングで大きな音が聞こえると、すぐにハリーの方から下へと体を落としながらさっきとは異なる鋭い声を上げてて、腕をそっちへと落っことしているのに気づいたら、すぐに少しだけ後ろに下げた足に力を入れて飛び出し、一旦外へと膨らむみたいに弧を描くような軌道で前へと進んでからターンしてハリーの真横へとまっすぐに進んで数人分くらい敵との距離を置いたところで止まる。
それからすぐにハリーの方へと視線を向けると目を閉じながらズボンの上から脛の一か所に両方の手を当てながら小刻みに震えるみたいで、そっちに向けて声を出すけど、その途端に敵へと向き直るように言われて、目をはっとさせながら正面へと向き直る。
エアガンを手にいしてるそいつがこっちに向けてもうbb弾を発射させてて。それを見た途端にこっちもいったん右手の親指の横辺りをもう片方の平に当てて音を立ててから、その両方の手を広げて自分の前に電気の糸を作り出したら、両方の手を上と下に伸ばした反対側の肩がある側にスライドさせることでそれを平面化させることで飛んでくる数本の弾がすべて高い音を立てながら地面へと落っこちていく。
それに対して、私は足をもう一度曲げて力を籠めようとするけど、その瞬間に後ろにいるハリーがいまだ体をしゃがませたままに舌打ちしてるのに気づいたら息を一回だけ吸い込んで元の姿勢に戻った。
「とりあえず落ち着けよ!」
頑張って全力の声を出した私に対して、向こうはまた一直線に走ってきたと思ったら鞭を振るうみたいにしならせて腕を頭の斜め後ろ辺りに持っていくと、そのまま背中も反るみたいに動かしてて。顔から腕に目線を動かすと向こうは指よりも少しくらいなサイズのサバイバルナイフを持ってて、それを私の障壁の前へと振り下ろしてきてた。
それに対して、わずかな圧力を感じた私は一瞬だけ膝を曲げそうになるけど、すぐに戻して何度も障壁が放ってくる光を見ながらナイフの刃がそれと同じタイミングで左右に振り回されている様子に目を張る。
「ですよね、皆さんもそう思いません? 自分は好きにやるくせに、自分がやられる番になったら、自分はなしなんて、自分にとって、都合がよすぎですよね? ごめんで済んだら警察は、いらないんだよ」
一度腕を振るって、次の攻撃のためにまた腕を後ろへと振りかぶっている間に言葉を進める向こうは、異常なほどに言葉を持ち上げるたびに高い音を立て続けていた。掛け声みたいな声を上げるたびに魔法陣へとぶつけられているナイフが音を立てるせいで私も少しだけ耳が痛くなりそうになって。そのたびに目をつぶった。
「死ね! ぶっ殺すぞ! この野郎! 死ね! 死ね! うんこ野郎! うんこ野郎!」
だんだんと声のテンポが速くなって、そのたびにそれの中に笑いが混じる声を聴きながら私は目をつぶり、一度障壁の前で広げていた両手を自分の胸へと近づけるみたいにしてから、曲がってた両方の腕を戻すみたいな勢いのままに障壁を前へと出してそのまま相手を吹き飛ばした。
それから地面を転がっている敵は水滴を周囲に飛ばすみたいな勢いで橋の外側まで吹き飛ばされると、それと一緒におでこの上あたりにくっついていたスマホも吹き飛ばされて。それはまた違う方へと何度も高い音を立てながら角をコンクリートに叩きつけながら飛んで行っていた。
それに対して私はすぐにハリーの方へと向き直ると、息が聞こえる音もだいぶ小さくなっているし、目をつぶってはいるもののそれは片目だけになっている状態で、数回片足だけかかとをけんけんさせるみたいにしている姿があった。
それから数回髪の毛を手櫛で整えるみたいにしてからこっちに少しだけ下から視線を向けるみたいにしているそっちは、わずかに鼻から息を吐き、それを見ていた私は1回そっちに向けて頷いてから視線を戻すと、そっちにいる敵が両方の腕を地面に立てたままにして体を起こそうとしているものの、またそこから一瞬だけ力が抜けたのか体を落っことすみたいにしている。
それからまた頭を下へと向ける敵は一度自分の顔を片手で数回触ってから息をこっちにも音が聞こえるくらいの勢いで吸い込んでいた。そっちへと私の視線も寄せられるけど、敵は地面に生えてる草の間をかき回すみたいにして手を動かし続けてて、そのために背中を曲げるみたいにしている様子を見ていると、私も息を吸い込むみたいに動かす羽目になって、のどを引っ込ませるみたいにしてた。
「あれ、スマホが、スマホ、どこいった……どこだ、スマホが、スマホがない!」
最初は地面を向けたままに視線を左右に動かしながらつぶやくような声を出していたその姿も、だんだんと大きくなったと思ったら最後のタイミングで急に裏声になるみたいな高い声を出して体を一気にそるみたいに空を見てて。それに私は両方の手を少しだけ持ち上げるみたいにしてそっちに向ける動きをさせられてしまうし、ハリーもそっちを見ながら変な声を上げて一歩後ろに足を下げてしまっていた。
それに対して一度視線を上にあげてた敵はそのまま何度もスマホを探すみたいにしていて、体を四つん這いの状態に戻してあっちやこっちに行ったり来たりを繰り返している。その一方で、こっちはその光景を見ながら少しだけ息を震わせるみたいにしたいけど、それから視線をそいつがいる方とは違う斜め横辺りに向くも、そっちには夕暮れに染まりきっている雑草の茶色い姿と赤い光の様子しかない。
「腰抜け!」
私の横からハリーの声が聞こえた途端、背中を少しだけ曲げるみたいにして肩を張るようなポーズをするけれど、それのすぐ後に目をぱっちりと開けながら横を見ると、小さくうなずくみたいにしてから指を平行にするみたいにしてる左手の平に自分のこぶしをぶつけて、それと一緒にこっちも軽くうなずくみたいにしてた。
それに対して私は体を向けたままに首だけを動かして敵の方へと視線を送る。でも、そっちはそっちでいまだ草を分けるみたいにしていて、それを肩と平行になるような顔の向きのままに下の歯を上に押し付けるみたいな動きをして見つめ続けた。でも、向こうは未だに同じ動きを違う場所でしていて、そんな光景を見ていたら、眉も少しずつ下がっていくのを感じていた。
「いや、あいつ、たぶん魔法使いじゃない」
小さく声を出した後にほんのわずかの時間の間をおいて、それから同じくらいの大きさで次の単語を発したけど、その後はまた敵に向けてた視線をハリーの方へと戻しながらいつもくらいの大きさで声を出す。
それから、そっちも私から目を敵の方へと向けなおしてて、その反応を見てから私ももう一度同じように。その一方でハリーも目を細くしながらまっすぐにそっちを見続けるみたいにしている一方で、口を閉じたまま左右に動かしてると思ったら、その数秒後には一度だけその位置を戻すみたいにまた口を開けてから元に戻すようにしている。
それから、もう一度お互いに視線を見合うように元へと首を動かす。それから、こっちも顎を自分へと近づけるような形でその姿を見るけれど、両手の親指を握り締めるみたいにしてた形から少しだけおっことして下へと向けると、それに対してハリーもう一度向こうを向いていた。
「……まじかよ」
一度口を開けるもそこから何も音がしないと思ったタイミングで、声をこぼすみたいなちっちゃい音で出してきているハリーは、まっすぐに腕を落っことしたままにいたと思った。でも、それに対して一度喉を飲み込むみたいに動かしてから私がしてる以上に親指に強く力を込めながら体を正面へと向けたままにしている状態でいたと思いきや、敵の方へと足を動かし始めた。
「いや、ならあたしの出番か」
最初は小さく出したと思ったその声も、その後はゆっくりとした息を吐く声と一緒に出ていくみたいになってて。さらに両方の握りこぶしを叩つけるみたいにしてから、髪の毛の後ろから相手をにらみつけるみたいにおでこを向けるような姿勢になっていた。それから、私たちがいた高架下の影になっている個所から歩くことでその赤くなっている夕暮れの世界の中にハリーも入っていくも、それに対してそっちは一切足のペースを変えようとしない。
一方で敵も敵でスマホが飛んで行った方向へと体が近づいている上にそっちへと体の向きも向いているのが気づかされて。そっちを見ていると、私ものどの中の空気を一度飲み込むみたいに喉を動かす。
しかし、当の本人は私たちに対して必要以上にだぶだぶになっている服が水を含んでいるせいで骨の形まで見えそうなほどになっている背中を曲げた状態で乗っけているだけだった。
「おーやっと見つかりました。すみませんみなさん。ちゃんと、約束は守ります」
その言葉とともに自分の力こぶを見せるみたいに湿ったままになっていた袖をまくって腕を出している。しかし、その私のよりも細い骨しかないくらいの様子を見たら、こっちは少しだけ目を開けながら息を吸い込む羽目に。それに、まったく腕の太さが戻していっている間も変わっているようには見えなくて、左手に持ったスマホの灯りを顔で一心に浴び続けているその姿を見つめているけれど、私は目線をいやでも逸らしたくなってしまっていた。
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