第84話
何度もハリーと私が地面や川や空に向かって叫び声を上げ続けた後、周囲が夕暮れの赤い色に染まり始めたころ、私たちは高架下で川が流れている音と上を車が走っている音をずっと聞き続けていた。私が肘を曲げた状態で腕を枕代わりにしてる顔はもちろんのこと、体もハリーの方へと向けたまま、目線でそっちの顔を見るようにしているのに対して、胡坐をかいたままに体をわずかに前後へ動かしているハリーは、息を少しだけ吐くみたいにしながら笑みを作ってた。
その向こう側にある橋の影になっていない場所はもう暗くなり始めているのか、夜の青色と赤色の太陽の光が交じり合っているみたいな色をしたままになっている姿の中で、ずっといろんな形をしてる雑草たちが同じ方向へと向けて流れている。その向こう側ではサッカー場があって小学生男子が指示を出しながらプレイしているのが声で聞こえてくるし、小さい姿が行ったり来たりしている様子も目で確認できる。そして、そこの側面にあるベンチからは明るい色をしている服を着ている女子たちが黄色い声を出し続けていた。
その一方で、私たちの上を覆ってる橋から聞こえてた車の音は、ずっと聞こえてくるタイミングに統一感はないものの、それの形がほとんど一緒に、わずかに出っ張った場所の上にタイヤが乗り上げた次の瞬間にはそれがもう持ち上がるみたいにしているのだった。
「寝たけりゃ寝ていいぞ。あたしが見張ってる」
ハリーが顎をこっちに見せつけてくるみたいな表情のままに目線を落っことしてきてる姿に対して、私は視線をそっちから外してうさ耳パーカーに覆われてるそっちの様子をじっと見つめ続けた。その様子は、ただただ重力に従って上側は私の体に引っかかってる一方で下側は自分の体に引っかかってつぶれてるみたいでいる。それに対して私はわずかに息を吐きながら口を閉じてチャックのスライダーが少しだけ傾いている様子をじっと見つめてた。
「ありがと」
一瞬だけそうつぶやいたと思った次の瞬間にもう目を閉じようとしてる私に対して、ハリーは片方の膝を立ててその上に同じ側の腕を引っかけるみたいにしていると、口元を上へと持ち上げるみたいにしてるのに対して、手全体も下へと向かって下がっているうえに指も重力に従って下に向かってた。それから腰を曲げている様子をしばらくの間見つめてからわずかに息を吐いている、その姿を見たままに私はゆっくりと目を下ろす。
そのタイミングで、一気に体が重くなったのを感じたら、両方の瞼が重なり合おうとしたタイミングでもう一回ハリーの姿を見ようとしたタイミングで、そこがだんだんと霞んでいこうとしてるけど、でもそれに対して私は何もせずにそのまま寝ようとした。
「腰抜け、起きろ」
でも、その瞬間に体が左右にゆすられてそれのせいで軸になってる肩がコンクリートに乗っかっているのもあってそこが痛くなるのを感じ取る。でも、それに対して私は息を吐きながら目に強く両手をこすりつけると、ハリーの両膝を立てるみたいにしながらそこにそれぞれの両手を乗っけてしゃがんでいる姿と目線があったと思ったのと同じタイミングで視線を横へと向けながら立ち上がってて。私も両腕だけで体を起こしながら数回顔を叩いた後に同じ方向を見る。
でも、私は息をほんのわずかなに出そうとするけど、それは上を走ってる車の音に消えてなくなってた。それから、お尻を地面の上に乗っけたままになった姿勢でいるのに対して、私たちの前で広がっている川の中へと何本もの橋脚が並んでいるうえにそこに水が波を打つようにぶつかって濡らしている。しかし、それなのに、かなり岸に近い場所でいくつもの泡が一切隙間なく浮き出続けている姿を見ると、息を吸い込みながらそれが喉にぶつかってそこに響きそうになるのを感じ取る。
そのまま鼻の下を広げるみたいにしながら目を大きく開いてそっちを見つめてるけど、でも、その様子は一切変わろうとしない。次から次へと泡が出てきては割れてを繰り返している姿をこっちに見せているようだった。そのせいで一度片方の手を地面から離して後ろへと下げようとしたけど、もういっぱいまで増えているのに気づいてそっちを見た瞬間、水の中から大きな音がして。そっちに視線を戻す。
体中が水を落としている上に、それが次から次へとコンクリートや川の上に落っこち続けることで2種類の音を立て続けている一方で、私も息を吸い込みながらも口を開けたままにそっちを見ていると、そのままになっていて。向こうにいる人間も体を少しだけ前のめりにしながら両方の手を落っことしてて、私のうさ耳パーカー以上にぶかぶかだと思われる服が落っことした腕に張り付くみたいに何層も重なりを作っている上に、水面の上に余った部分が不規則な形で広がるみたいに浮かんでて、それが敵の上がってきたことで出来上がった波に揺れ続けている。
その顔を見ようにも顔の前に無数の髪の毛が張り付いたままになっているせいで目元までもが見えないままになっている上に、口元は見えているがその様子は黄ばんだ歯を見せながら唾液の音を立てて横に大きく広がっている。
そんな姿を見ながら私はハリーに言われたタイミングでようやく喉をもう一動かしながらお尻を滑らせてそこから距離を取ろうとする。それから正面の様子へと戻そうとするけど、そっちは相変わらずのまま。そのままいようとしたけれど、それから私が下を向いて腕を正面へと持って来ようとした瞬間、向こうから息が聞こえていた。
「いましたいました。どうですか、私の計算通りになっていましたね。これを果報は寝て待て。というわけですね、サナサナさん、見ててくださいよ。必ず私は悪行を繰り返す花笠心愛を成敗してあげますからね」
聞いたこともないくらい低い声を出しながら、話の抑揚が来るたびに首の角度を着けるみたいに上下へ動かしながらしたことで、そのおでこについてるスマホからまぶしいライトがついて、こっちは腕を前に出しながら視線をそらしてしまう。それから腕の間からそっちを見ようとすると、明るくなったことで髪の毛の間から真っ黒な目がこっちを見てきてるのに気づいて自然とわずかな声が出るとともに、体が静止してしまった。
「腰抜け、しっかりしろ」
私の後ろに回って両方の脇に手を入れられたタイミングで目を開けて一度おでこをぬぐってから両方の手で頬を叩く。それから、距離が離れたことでそこから私たちは数回足を動かしながら持ち上げられてる上半身へとそれを近づけるみたいにしていった。
しかし、それに対して視界の中でわずかに小さくなっていく向こう側は自分の体へと一枚につながったままになっている服を垂らしたままになっていて、そっちを見ているだけにもかかわらず、こっちは強く息を吸い込むみたいにいてしまう。
私の体が完全に立ち上がったタイミングでハリーも足を動かすのをやめてから私から手も離して。それから体を真横へと持ってくるみたいにしている。でも、そっちを私も見ようとするけど、ハリーは両方の手を胸の少し斜め前辺りで構えるようなポーズのままにいる姿を横目に見てると、それに対して私も体を少しだけ前のめりにしてから手を開いたままに指を空気に向けて立ててた。
「あの人は花笠心愛さんのお友達さんですかね、大丈夫です。こう見えても私は正義を執行しに来ただけですから、サナサナさんがね、平穏に暮らせるように、私がその平穏を作ろうとしています。あっちから何もしなければ、こっちも何もしなくて済む」
芝居ががったような声を出すその話し方をするたびに幾度も首を動かし続けていて、それとともにまぶしい光が上下左右へと一切規則なく動く。そして、それのせいでまた私は目の前に腕を持ってきてその間まぶしさに耐えようとするけれど、それで一瞬だけ視界から敵がいる方が見えなくなって。それから戻すと今度はまた人形の糸が切れたみたいに首や背筋は腕を落っことしたままそこにいた。
こっちも同じ姿勢で息を何度も肩で小さく繰り返すみたいにしていると、ハリーの方へと目だけを動かして視線を向けるけど、そっちもそっちでずっと同じようにしているだけで、こっちの目に気づいたのかわずかに首を一度動かすみたいにしているのに気づいたら、体の中の筋肉や血管がどんどん熱くなって、それからそこに小さな痛みが何度も起こり始めると、それのせいで目が大きく開いて、髪の毛もわずかに持ち上がるように私の体から先端を離れるようになっていくと、少し遠くまで視界が広がるような感覚になる。
それから、息をよりゆっくりにするみたいに1度1度の吸ったり吐いたりする量を増やすと、それとともに胸も動いていくみたいになっていく。
それからもう一度前をちゃんと見ると、敵は相変わらずの様子でいたけれど、それから体を動かさずにいたら、それに対して向こうは体からいきなり水滴を一気に吹き飛ばしながら体を大きく前に倒すみたいに動かしてきて、それかと思ったら足を大きく動かしながら周囲に水をばらまいて何度も足を大きく動かしながら走り出してきて、私は歯同士を間をわずかに開けながら腰が後ろに下がってしまった。
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