第81話
膝の上に置いたままになってるうさ耳パーカーへとまっすぐに伸ばした腕も含めてそこを眺めてるけど、そこには少しだけしわができるようになっているだけで、それ以外には何も変化はない。それから、顔を下に向けたまま視線を左右に動かすと、花の絵がかいてある白い柵が一定の距離で縦の棒を並べてる状態で並んでて、そっちの先には鯉が泳いでる池があるだけ。
そして、その絵の周りには小さなピンク色のハートマークも書いてあった。通路の端においてあるベンチからそっちを見てるせいかその間に子供連れの親や私より10歳くらい年が離れてるカップルが恋人つなぎをしているのを見たら、そのしわや糸玉が全くついてない服にも視線が入って、それからもう一度うさ耳パーカーを握り締めながら足を小さくこすり合わせつつ口を強く結ぶ。
それから、今度は斜め上に顔を向けるようにしたまま少し視線を下に向けて、そっちにできてる芝生とそれの上に出来上がってる黄色と赤の塗装がされてる遊具のほうを見てると、そこも空から降りそいでる太陽の光を反射してるみたいでそれに気づいた瞬間に目元に平を当てるようにしてしまって。その次の瞬間には髪の毛に指をあてるみたいにしながら鼻から息を吐き、手の平をいったん頭の後ろのほうに持っていくけど、そっちには何もなくて結局髪の毛を頭にこすりつけさせるみたいにしかならない。
右手の肘を目の前に持ってくるみたいな体勢のままその裏側を見つめていると、近くで砂でできた道の上を歩く音が止まったのに気づいたら、目を開けながら顎を下へと持って行ってしまって、それから驚いて手を顔の横に持っていくみたいに円を描きながらベンチの上へと手の平が動くと、それと一緒にその靴がある方とは反対のほうへと肩を下げるみたいにする。
そっちに前を開けた水色のYシャツと中に白いのを着た志太さんがこっちに手のひらを胸元で出すみたいにしながら口を開けてきてて。それに対してこっちはずっと同じ姿勢のままいたのに気づいたタイミングで慌てながら元へと戻ろうとすると、それと一緒に学校の制服のソックスとスカートの間にある素肌の上にたたんであるうさ耳パーカーがこすったのに気づいて。
それからすぐにお尻をこすりながら血がついてる面を後ろにひっくり返してからもう1回志太産のほうへと上を向くように視線を戻したら、向こうは小さな声を出しながら私の横に座ってきてて。それに対してこっちは場所を開けるために淵を掴んでる手も一緒にお尻を滑らせて言った。
「心愛さんが帰ってきてから、ほかの女子と2人きりで会うなんて最初だから緊張するよ」
膝をこっち側に向けるようにしながら話し始めたそっちは、池が流れ続ける音を聞きながら文が終わるタイミング以外ずっと一定のペースで言葉を進める。その間は口以外の場所をほとんど動かしてなくて、私はそんな様子を脇を締めながら限界までそこの隙間をなくしたままに見つめる。志太さんは話し終えた後も少しだけ息と一緒に声を出すみたいにしてるけど、そっち側にはさっきと同じ薄い茶色をしてる道と水色の池、そして緑色の芝生の姿を眺めることになった。
そんな姿を少しの間見てたけど、でも向こうの方から視線をこっちに合わせてくるみたいにしてきて、その瞬間に息を吸い込むと一緒に私は脇を締めながら首を下に向ける。それから背筋を前へ曲げるみたいにしてベンチの淵を持つ手をもう一度握りなおす。さらに、息を吸い込みながら透明な砂が光を反射している姿を見つめるようにした。
「今日も一応心愛さんに聞いてきた」
そのゆっくりと出てくるその声とともに息を少し吐き出すみたいにしてる志太さんは、言い終わると一緒に口を閉じて言い終えたのを表現してるみたいで。それに対して私は、自分の胸元に手をもって来ながら爪を重ねるみたいにしているとそこに小さな力を入れたり抜いたりを繰り返していると、それと一緒に指が少しずつ動いているみたいだった。
それからまた向こうがいる方とは反対側のほうへと視線を向けると、芝生の上で子供たちが追いかけっこをしてる姿とか、太陽の光を反射している透明な水が地面から噴き出している仕掛け噴水の周りで子供たちが飛び跳ねながら遊んでいる姿が視界に入ってた。そして、そのどちらもが大きな高い声を上げ続けているのを気化されて、私は口に力を入れて顎を上へと少しだけ運ぶみたいにさせられて、それからまたその近くで母親親たちが談笑している様子を見ていると、私はすぐに顔を元の自分の足元へと戻すようにしたままに膝同士をこすり合わせるみたいに動かしながら視線をそのままにしていた。
「あの、今日は……」
それから、顔の角度はそのままにして目線だけをそっちへと向けるみたいにしたままにしていると、それに対して志太さんはずっとさっきと同じ姿勢のままでいて、肩で角度を変えたままにこっちを見てきてた。
それに対して私は、言葉を言い終えると一緒に目線を自分の側に戻そうとしたけど、その次の数秒後ぐらいにはまたそっちへと視線を向けるみたいにしてると、ずらしてたはずなのにあっちから目を合わせるみたいにしてきて。それに気づいた途端に私はすぐに顔をまっすぐ前に戻す。
でも、向こうから何かが動く音は何もしなくて。一方で私は自分の膝の上におきっぱにしているうさ耳パーカーをそこから手で胸元に移動するけど、それとともに隠してた面が見えそうになってすぐに自分の体でそれを隠すみたいにしてた。それと一緒に目をつぶるけど、一方で志太さんは引き続き話を進める。
「心愛さんが帰ってきたとき、すごく驚いたから」
息を少しだけ吐くのに合わせるみたいに出た声。それに対してこっちが顔を上げるみたいにしてると、それから唇同士を押し合うみたいにしながら瞼をゆっくりと下ろすみたいにする。
「ハリーは……」
口から洩れたいったん伸ばすみたいに出した声。だんだんと消えていくそれがなくなった時に、向こうの方から顔を曲げてこっちに向けてくる。それから学校の制服と二の腕でうさ耳パーカーを挟みながら太ももの付け根に肘をくっつけるみたいにしたまま両方の手を組ませてそこに強い力を籠める。それから両方の目に力を込めながらも、もう傷がなくなったお腹を制服とうさ耳パーカー越しに腕で触り、同じようになってるおでこにもしわを作る。
そのまま志太さんも口を強く結ぶみたいな形にしながら足を動かしてこっちに可能な限り体と顔を向けてくるみたいにしてきて、でも、私のお腹の横にできてたしわに腕が振れるとそれと一緒に少しだけ口を開けてそこから息を入れるとともにそれをそのまま吐き出して声を出した。
「ハリーには、もう大切な人がいるんです」
最初の一言を少し出しにくくて喉に力を込めた勢いのままにすぐに出すその声。それに対して、志太さんもすぐに何かの声を出してるのが聞こえてきて、それのせいか自然と私も視線をそっちに向けてしまいそうになって。
それに従わせてはいるけど、目線を合わせたままに言葉を話し続けた。でも、それで開いた隙間には息を吸って吐くのを1度ずつ行うだけにしておいて、その後すぐにまた志太さんがもう一度息を吐いたら言葉を発し始めた。
「ただ、それは、たぶん志太さんが考えてるのとは少し違う」
最初の一言だけ少し大きめに出したその声に対して、向こうは顔を上げるみたいにしながら反応してきて。さらに、私はだんだんと言葉を小さくしながらも少しだけ早口にするみたいに言っていった。そして、気づけばそれと一緒に声がちょっとずつ小さくなってたのに気づいて。でも、それでも話すのをやめない。
しばらくの間自分の素肌がさらされているものの、東雲の施設にあった砂のせいで出来上がった傷が全部もうきれいになってる足を見てたけど、音を立てながら口を何度か動かすみたいにしてる志太さんのほうを目線だけ動かしてみてみると、1回だけ瞬きしてから目を大きくするようにしてて、それからため息をついてから背もたれに体を預けて、両方の肘を掴むみたいに腕を組んでて、それから私と同じ方向を向いてた。
「じゃあ、僕にもまだチャンスがある?」
顔を同じ方向に向けながら視線を落としてその声を出すけれど、それはさっきまでとは違って周囲の喧騒へと消えていきそうなもので、いまだ私の背中側では子供が騒いでいる声やカップルが楽しそうにしているものが聞こえ続けていた。その一方で、私たちの周りからは近くの池が流れている音が聞こえてくるだけ。そっちに視線を向けようとするも、白い柵に描かれてるハートや花の姿は一切変わらない。
そんな光景を見ながら、目線を志太さんの方からそらして反対側の地面を見ながら目を閉じるけど、それに対して瞼が小刻みに震えているのを感じてた。
「ハリーは、たぶんそれを望んでない」
目に強く力を込めながらも、そこをできるだけ開けたままにするみたいにしている私に対して、すぐに志太さんは脇を強く締め付けるみたいにしたまま立ち上がると、数秒間そのままでいたと思ってこっちが少しだけ体を前のめりになってる状態で、それから首を上へと向ける。でも、向こうはそれに気づいたのかいなか、すぐに背中を向けながらお尻より少し上の辺りで両手を重ねたままに一歩ずつ歩き出してた。
「でも、僕には責任がある」
いつもよりも少し低めに出てきたその声。顔も目も志太さんの体から見てまっすぐ向いてるほうへと向けたままにまっすぐ歩き出すその姿に対して、私は脇を強く締め付けるみたいにしたままうさ耳パーカーを腕で抱えるみたいにしてると、そのまま顎を上へとつけるみたいにしてて、それに対して向こうは一切体の向きを変えないで歩いて行ってしまった。
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