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Lunatic  作者: コンテナ店子
第二部前編
78/216

第77話

 呼び込み君の高い音がスーパーの中に入る1個手前の自動ドアが開くタイミングから聞こえ始めてきて、それと共に2個目のドアの横に付けられてるカートをとってるおばさんが通路に対して垂直に体を向けて来ると、それと共に鼻から息を吸い込みながら目を僅かに開いてそっちを見るけど、それに対して向こうは一瞬だけこっちを見たと思ったらそのままカートを押して前の自動ドアを入る。


 それからサービスカウンターのさらに向こうになる野菜売り場へと進んで行って正面にあるバナナを手に取るようにしているのをしばらく眺めてから、勢いよく振り返って、数歩先にいる杏の方へと行ってその左腕を強く握りしめるけど、それに対してそっちはただ私の握った側の手を僅かに斜めに動かしてるだけで、それ以外はただただまっすぐに向いてるだけ。それから私はわずかに杏の体を重りに感じるようにそのまままっすぐに足を進めてハリーの少し後ろの所に戻った。


 それから、向こうが体を斜めにしてこっちを見て来てるの確認してからそっちを私もわずかに口を開けながら見るけど、でもハリーはすぐに元へと戻って。それを見ながら後ろの自動ドアが閉じて外から聞こえてた車が行きかう音が籠るようになるのを感じる。さらに、また目線を左右に向けながら喉を押し込むようにするけど、それで見えて来たのは横の方でただただ食パンを切ってるおじさんがいるだけ。それが刃を動かしているペースよりも何倍も早く心臓が胸を叩き続けているのを肌で実感しながら顎を引くようにしてた。


 それから、ハリーの方から進んで行くのを見てから私もその後を追う様に小刻みで足を動かし続けるも、それに対して私は息の吐く量よりも吸う量の方が多くなってしまっているのを感じていると、杏の手を引っ張っていたせいで体が一瞬止まってしまい、それからそっちに顔だけ振り返って「ついて来てくれ」と言って歩かせる。


 入ってから2個目の自動ドアが開いてくタイミングでハリーの唇を前に出しながら顎のあたりにしわを作っているのを見ているけど、それも数秒後には自動ドアが完全に閉じていくせいで見なくなって、杏の腕を掴んでない方の手を胸元に寄せるようにしていると、それが到着するよりも早く少し間をおいてたハリーが歩き出した。


「行くぞ」


 その言葉を吐き捨てるみたいに発した向こうは肩を前へと出すような姿勢のまま一歩ずつ前へと進みだしてて。私もそっちに向けて小走りで近づくけど向こうは一切気にせずにずんずん進んで行ってしまう。それから顔も少し下を向けている向こうから視線を逸らして、私はうさ耳パーカーのフードを掴んだまま数秒間足だけを動かしている物の、それから未だに薄くお腹の辺りで残ってる自分の血の染みと砂埃がまだ残ったままになっているそこを見つめる。それから、顎を自分の側に押し付けるような姿勢のそれでいたけれど、それに対してハリーはレジの横を通るように進んで行った。


 それから、向こうは両方の足を出来るだけまっすぐにしたまま小走りで進むようにしてるせいか、それについて行くだけで私は1度ため息をつくようにしてしまいそうで、それから足を動かしながらそ振り向くことでもう一度杏の方を見るけど、そっちは足を止めて垂直に体を立ててるだけだった。


 それから、顔と背中を元へ戻すとハリーの姿が棚の影になってしまいいなくなったのに気付いて一旦おでこを上へとあげるようにしてから杏の手を離して音を立てるような勢いで数歩小走りで行くも、そっちで籠を持ってたり弁当を持っている人たちが行き来している姿の中にハリーの様子はなくて。歯を外の空気と触れ合わせるような感覚にしたけど、その数秒後には口の中に丸い空間を小さく作るみたいな感じで開けてしまって。それから一歩足を近づけるようにするし、それからデザートのコーナーを見てた人がそこから視線を外すようにした途端に、体をまっすぐにしたまま顎を自分の体へと限界まで近づけて杏がたってる方へと戻った。


「杏、帰ろう」


 数回口を開けたり締めたりを繰り返してから、最初の言葉で音を上下に動かし続けた後に早口で続く言葉を発して。少し小走りで足を動かし続けてから体を前のめりにして進み続けるけど、それで縦長に並んでる棚たちの横を超えたあたりで振り返ったらそれでまだ惣菜売り場の方を見たままになってる杏の姿があって。一度喉を鳴らすようにしながら頭を下げて足の勢いを止めずに広い場所で体を旋回させながらそっちに戻って杏の手を握りしめてから進みだす。


 それからまた早歩きで進みながら開いている手を左右に振って進もうとするけど、杏の冷たい手の感覚は一切止まろうとしない。でもそっちに視線を向けた形から正面に戻そうとしたタイミングで、そっちに人影が見えたら慌てて杏の手を強く握ってない方の手を前へと出しながら足を動かす勢いを相当に細かくして動きを止める。それに対してそっちにいたのがハリーだって気づいたのは向こうもステップを踏むみたいに後ろに下がってたのを謝った瞬間に気づいた時だった。


「腰抜け、お前はこっち側、そいつに向こう側を見張らせろ、人が来ないタイミングで手でサインしろ」


 最初に勢いよく真下を指すように指を出してから次は腕を伸ばして奥側を指出すようにして、それから自分の手の付け根辺りでおでこを軽く拭くように動かしてから私たちの横を通り過ぎて行こうとした途端、私は一度だけ音を立てながら口を開けるようにしてて、それに対してハリーはすぐに髪の毛を揺らすこともなくこっちの後ろへと通り過ぎて行こうとしてたのをみて、それから歯を右翼噛み締めるようにしてながら首を左右に振る。


 しかし、その一方で、ハリーの足音は呼び込み君の高い音の中でも確かに聞こえて来てて、そっちへと振り返ったら杏の横も通り過ぎようとしているパーカーで包まれている姿は次から次へとスーツ姿の男の人や作業着姿の女性、まっすぐにしわも汚れも1つもない学生服のブレザーを外に出したままになっている女子たちの横も通り過ぎていくように。それから、腕をお腹の辺りで斜めに立てたままくっつけると、それから一線をそっちへと吸い込まれて。そこに出来上がった砂埃と血の跡が黒と混じり合ったままになってる様子を見ることになった。


「ハリー、あのさ……」


 視線をうさ耳パーカーへと向けたまま話していたつもりだったけど、それから横にあるキャベツの方へと向けているも、そっちではただただじっと冷蔵庫が動き続けている音を鳴らしているだけ。それに対して私は喉を押し込みながら真っ白い照明を見つめ続けてたのは数秒間だけ。すぐに濃い茶色の床、私の足もいるそこをじっと見つめ続けることになった。


「くそが!」


 その高い声が聞こえたと思った次の瞬間、低い音が聞こえたけどそれに続いてハリーの正面にあったせんべいのパックが並んでた棚が大きく振動した途端、私は強く息を吸い込むことになって、そっちに目と口を大きく開けながら視線を向ける。でも、それよりも先にすぐに私を見て来てる視線に気づいて。それは私たちの横で並んでる子連れの主婦だったり中学生女子だったり作業着姿の男の人だったりが一心に私とハリーの方を見て来てて、それに息を飲み込みそうになってたけど、それ以上にレジを打ってる店員さんやサービスカウンターで暇そうにしてた人まで私たちの方へとまっすぐに視線を向けようとしてて。それを見た途端に私はすぐに体を前のめりにしながら進み始めたけど、その途端に体のバランスが一気に崩れて尻餅をついたと思ったら、杏が私の手を握ったままになってた。ハリーが何度も息を繰り返しながら呼吸を繰り返している姿に気づいたのはそっちの方を見た後になってしまっていた。


「だからお前はいつまで経っても腰抜けなんだよ!」


 こっちに大股で肩を動かしながら来てるハリーがただただ感情に任せて言葉をぶつけて来るみたいな勢いで話してきてる一方で、それに対して私は横を見るように視線を逸らすことしか出来ない。それから、数秒間呼吸も出来ずにいるけれど、それで起きたのは胸が苦しくなるのだけだった。それから、一瞬だけ少し離れたところから自動ドアが開いたり締まったりするのが聞こえて来てた。


「ハリーまずいって……」


「あたしら一緒にあのクーデターも東雲も! 全部一緒に倒しただろ!」


 私が喉からなんとか出した声をかき消すくらいの勢いで腕を振るいながら出したハリーの声。それが消えた途端、周囲からは呼び込み君の等間隔で聞こえて来る音がしているの以外には何も聞こえて来ることはない。しかし、それに対して、私はもう一度歯を強く噛み締めてそのまま両方の手を右手も含めて強く握りしめる。


 それからもう一度ハリーの様子を見るけど、向こうは何度も肩で息を繰り返してるだけで、それから私は目を強く閉じて息を一度強く吸い込むのと一緒に、体を後ろに下げた。


「それ……それ言いたいのはこっちのセリフだ!」


 一旦抑えたまま出そうとしたけど、その次にはもう息と一緒に思い切り出て来た大きな声が店全体に響き渡るようになった途端に、また周囲からは音が高いBGMだけになる。それと一緒にまた上半身だけを前に大きく動かすようにしたせいで上半身と顔が床と平行になるけど、相変わらずそっちには少し濃い目の肌色にワックスが塗られたみたいな色をしているだけで、そこに青色が混じりそうなくらいに真っ白な私の膝があった。そして、そこに当ててた両手に力を込めて息を吸ったり吐いたりしてる顔をハリーの方に向けると、そっちが目を僅かに細くしてるのを見たと思ったら声をもう一度地面へと出した。


「私とお前が何なのかなんてもうとっくの昔にわかってることだろ!」


 そのまま体をまたさっきと同じように動かすことで、以前東雲が私の体に作った火傷と同じ場所に膝を思い切りあてる。しかし、それに対してハリーは顎を使って頭を大きく後ろに下げるみたいにしてて。そんな光景に気づいた途端、向こうは肩を大きく動かすようにしながらまっすぐこっちに向かって進んできてて。それに対して私も足を大きく横に広げるようにしてお腹と胸の間くらいの横で改めて握り直した両手で親指を潰すようにすることで目線をそっちに真っ直ぐ向けるようにした。


 それから、近くの冷蔵庫から溢れて来る冷たい空気を感じた途端にハリーが私の目の前にやって来てそのまままっすぐに立つ。それから私も歯を強く締めつめようとした。と思ったその矢先。私のお腹の辺りを太い弧みたいなのが入って来て、そっちに視線を向けて大きな声を出そうとしたら、それと一緒に口を開けたままに首だけをそっちに向けた状態で止まる。それから、気づけばだんだんとその場所の開いてる箇所は小さくなっていってた。

読了ありがとうございます。

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