第73話
今回で第1部は完結になります。
明日はここまでのあらすじをまとめて、明後日から第2部が始まります。
ハリーがベッドで寝転がっている様子をしばらくの間見詰めてから顔だけじゃなくて体全体もドアの方へと向きを変えて、それから息を吸うと一緒に頭の周りが薄くなるのを感じてゆっくりとそっちに近づいていく。そうしようとしたけど、ゆっくりだったのは最初の一歩だけで、そのまま体を前のめりにするようにしているのに合わせるみたいに勢いが増して。気づけば扉に私の体が激突しそうな直前まで来てたし、それのせいで肘と前腕が激突したままに膝が曲がった状態で貼り付けてしまった。
その姿勢を1秒くらいで終わらせると、一瞬だけ腕をまっすぐに立てるようにしたままに手の平だけをドアに付けたまま頭を床と平行になるように。そのままのどを押し込めるような形で行くと、腕から足までで伸びているようにしている私の姿を現すみたいに影が出来上がっていた。その暗い場所にはずっと光が反射している白い場所はどこにもない。
そんな様子を私は瞼を少し落とすようにしたままにじっと見つめてると、一瞬だけ口の中を動かすようにしてから周囲の音に耳を傾けるけど、それに対して聞こえて来たのは外で鳥が羽ばたいている音や草が風に乗って揺れている音だけだった。
それから、顔を上に向けるのと同じ勢いでドアを開ける。横に引かれたその音を聞いた途端に、目を瞑ってたのに気付いた瞬間、片目だけを開けてたら、そこにある廊下のすぐの所で座ってた杏の、髪が完全に坊主になっている姿や病衣の袖から出た腕が見えている様子に数歩近づく。それに対して向こうは、何もせずにただただ下の方を見つめてたけど、私もそっちに視線を向けると、廊下の床に映っている私の姿を杏が見ている気がした。
「杏……」
僅かにこぼれるみたいに出た声に対して、杏は顔を動かしてこっちを見て来る。それが終わるのと一緒に向こうが動かなくなるのを感じるけれど、それに対して、私は視線を下に向けたまま、お腹の下あたりで両方の腕をそこと重ねるようにしたまま、へそと鼠径部の間くらいの辺りで両方の指を伸ばしたまま組み合わせる。
そっちには一切汚れがないわずかな水色を帯びている病衣があるだけで、それがについている大きく広がった袖が私の腕に垂れ下がっているくらい。その一方で、周囲からは誰かが遠くを歩いているのかシューズで床を叩く音だったり、カートが転がり続けている音だったりが聞こえて来る。でも、それに対して私はただただそこで視線を床の左右へと動かそうとしてるけど、そっちにあるのは茶色いソファーの姿と真っ白な床と壁の姿だけ。それと、私と杏の様子が映っているのがあった。
「その……」
渇いた喉を通して声が小さく出て来たけれど、それから、小さく指同士の関節が引っかかって動かしているつもりだったのにその先端が揺れるように動き続けているだけ。それに音も何もなくて、ただそこがわずかに痛くなるくらいで。でも、私の口からは無意味に言葉にならない声が出ているだけであった。
そして、それを中へと近づけると、ちくりとまだ残ってたのか東雲が私に作った傷が残ってるみたいで腕に力が籠ったタイミングでその中に痛みが入り込むようになったし、それだけじゃなくて、私の腕にも似たような痛みがほんの少しだけいくつかの場所で入り込んでくるような気がした。
その後、顎を自分の体へと向けるようにしていた一方で、すぐにその横へと向かうために両足でいつもよりもゆっくりと足を一歩ずつ動かしていくことで、座る。それと一緒に息を吐いて。椅子にかなり浅くお尻の頂点を縁に乗っけるくらいの感じでいたけれど、その尖りが刺さった直後にもう1回そこを動かして座り直す。
それから背もたれにお尻とその少し上の辺りをくっつけるようにしている物の、それから両方の膝に力を籠めずに、腕を曲げた状態で握りこぶしを乗っけてると、そこで病衣引っ張られることもなく、置いた力だけでそこの肉がへっこむのを見ているだけだった。
「あの時は、ごめんなさい……」
それから、膝の向きはそのままにそっちに腰を回して頭を下げて、それと一緒に髪の毛が私の頭の左右から落っこちて行くのに気付いて、それで私の体をくすぐったくする。でも、上瞼を震わせながら唇を閉じてその中で何度も噛むように口を動かすけど、杏はそれに対してわずかに体を動かしているのか、そっちから少しだけ機械が擦れる鉄の高い音がすると、頭の方に血が溜まっていくのを感じてそこが重くなっていたけれど、しばらくの間そのままでいた。
それに対して、その音はすぐに止まって。視線を自分の方へと向けてるけど、そっちにはいつものうさ耳パーカーやその中の制服、ましてやジャンヌオルタの衣装と同じ場所なんかどこにもない。でも、一回だけ息を吐いてから視線を元へと戻した。
そうすると、杏は首だけをこっちにむけて見ているのと目線がぶつかって私は口を緩めるようにして目を僅かに開く。それと一緒にまた明るい声がそこから一瞬だけ出てきた気がした。
流那が病室を離れた後、ハリーがベッドの上に一度体を立ち上がらせるためにいったんそこに両方の手を置いて、ゆっくりと起こしたその直後に上瞼を細めたままにあくびを1回してから体を伸ばす。その後、体を伸ばしながら左手の肘に右手の平を当てながら上の手を強く握りしめてた。それからわずかに喉から何も考えないで出て来てた声がしてたけど、そのほかに聞こえているのは外から鳥が飛んでいる音や風で木が揺れている音だけ。それを彼女も聞いた後、もう一度足を組みながら体をベッドへと戻し、両方の手を枕代わりにして頭の下で重ねる。そのまま両方の肘を左右へと広げるような形でいた。
それに対して目をすぐに閉じると、そのままその姿は外から入り込んできてる太陽の光に照らされているだけで、その体を動かすことはない。彼女自身もそう思った途端、息を吸いながら視線をそっちへと向けながらまた体を上半身だけ起こしつつ近くにあった棚の上に乗っかってたスマホの画面が明るく何度も光を見せていて、その白さの中の半分が紫色になっているのを見ることになっていた。
目を一度だけ開けながら声を一瞬だけ吐いてそっちを見ているも、すぐに眉を下へと下げながら鼻の下を平たくするように。しかし、それに対してスマホはただただ等間隔で同じ音をずっと立て続けているだけ。それを見ていたハリーは数秒間眺めた後、1秒も経てずに掴んでそのまま正面へと向けて投げつける。それに続くようにスマホが大きな音を立てると共に跳ね返り、彼女自身の寝ているベッドの上へと落っこちていた。しかし、それは未だにバイブレーターの音を立て続けているのに対して、彼女自身はそれがある方に背中を向けるような姿勢で、右腕を枕にする様に、膝を曲げたまま頭を乗っけていた。
それに対してスマホはただただずっと同じ様子。なのに、ハリーは何もないもう片方の手も肘に近づけるような体勢をしている。そして、眉毛の先端を目に近づけるようにして。そのまま体を強く持ち上げながら両方の手を強くベッドの上へと叩きつけた。
それから立ち上がり、ハリーは髪の毛に手を入れると、すぐに編み上げてある髪の毛とぶつかってて、そこに何度も押し付けた後に、片手だけで爪を立てて頭皮を掻き毟るようにしていた。
それから、もう一度ため息をついて立ち上がり下を向いて、目線だけをそっちを見てから中指を立ててその画面を横へと伸ばすように開く。でも、それからしばらくはまた外から聞こえて来る自然の音だけに周囲が支配されてて。数秒後に息を吸い込むようにしているのがスピーカーに設定されているスマホから漏れた後に、ちょっとだけ声を出してから、ちゃんと意味のある少し高めの男性の声がしてた。
「あの、心愛さん……?」
僅かに上ずっている声がした途端に、歯をすぐに強く締め付けるように噛むハリーは、口を僅かに開いているせいで見せている。そして、その言葉もそこからすぐに聞こえてなくなってしまったせいで、辺りはまた静寂に包まれたと思いきや、ハリーは立ち上がってスマホに背中を向けたままに。それから、息を吐いて足を押し付けるように叩きつけてた。
第1部読了ありがとうございました。
前書きにも書きましたが、次々回から第2部が始まります。




