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Lunatic  作者: コンテナ店子
第一部後編
72/216

第72話

 流那たちが研究所から脱出するのに成功した数日後、東雲アニタはただ1人で暗い部屋の中で下を向いた状態で立っていた。そして、それを数メートル離れた位置に並んでいるモニターに映っている男たちが見つめているも、それ以外の光はそこにはない。それのせいか、そこにただ1人いる歯が噛み締められている音も目立っているようであった。


 それに対して、鼻から息を出しながら深い1人用ソファへと座り込んで、腕を両側の肘置きの奥側へとおいていた。さらに、次から次へと彼女よりも大人なスーツを身にまとった人々がモニターに現れ始める。その度に、青白い光に照らされているがために、それよりも薄い色をしている髪の毛が照らされてその間にも入り込んでいるようであった。しかし、一度息を吸い込むように動かしているだけでそれで喉が動いているだけで他に何もない。


 次々とやって来る男たちはネクタイを整えるようにしていたり、一度コーヒーを飲んでいたりしている一方で頬をみな緩めるようにしながら呼吸の音と共に椅子へと座ることでクッションがつぶれるような音を鳴らしているようである。しかし、それに対して、それから、早速カンペを正面にあるテーブルに置いた中央の男がわずかに前のめりになっているままに、一度喉を鳴らしてから言葉を発し始めていた。


「東雲アニタ、どうやら、我々の思惑は見当違いだったようですな」


 その声を聞いた彼女は未だ潰れたままになっているおでこの辺りに巻かれている包帯をそのままに歯に強い力を籠めるようにしている。しかし、画面の向こうにいる老人たちの話がそれで遅くなることもない。ずっと彼女は、顔を下に向けながらも相変わらず目の辺りに黒い影を作りながらただただそっちの方を見つめ続けていた。その上、潰れた鼻の周辺には赤黒いやけどがあるせいか、それのせいで新しくビデオ通話に入って来た女性は顔を引っ込めながら小声を出すようにしていた。


 しかし、東雲自身はその反応に対して何も示していなかった。モニターの中の画面が分割されている中で、その中の1つに映っている男が話している方へとただただ視線を向けているのみ。しかし、それに対して見られている側は机の上に腕を乗っけているだけで、言葉を言った後は音も周囲からなくなっている。


「人道が、自分の命よりも重要だとでも言いたいのでありましょうか」


 一度止めた声をもう1度はっきりと出すようにしている東雲の声は、それと共に肩を上へと持ち上げて自分の側に寄せるようにしているけれど、それの後は体勢は同じままに声をいつも通りの抑揚のない物へと戻していた。


 それに対して、彼女が姿勢を戻すよりも先に正面にいた男からすぐに返答が来るために音がないタイミングはどこにもない。しかし、他に参加している数人の男はあくびをしている者や軽く腕を上へと伸ばしているようなだけである。そして、そっちに向けて視線を東雲が鋭い形で向けている物の、それに対して男たちはその動きを止めようとはしない。


「そうではない。実験体をすぐに全員殺しておけば誰も困ったりはしない」


 それから、東雲は鋭く息を吸い込むようにしているのに対して、そこを隠すように手をその前へと置くようにしていた。それから視線をそっちへと向けるようにしたままただただそっちを見続けている彼女はずっとわずかに口元を動かすようにしている一方で、上瞼も落っことすようにしていた。しかし、その一方で、話していた男は一度ため息をつくだけであった。


 その一方で彼女はその次の瞬間に、目線をもう一度男の方へと戻していた。ただ、そこに当てられている右手の小指側はモニターが照らしているわずかな光に照らされているも、顔の辺りにはそれが一切届いていない。


 周囲では、男も東雲も話さないせいで、モニターを動かしているパソコンのファンがただただ回り続けている音が聞こえているだけであった。それに対して、彼女は上唇で下唇を押し付けるようにしている上に眉をひそめるようにしている。その上に目との距離を限界にまで近づけるようにしていて、それを見ている男たちも足を組むようにしているまでいるようであった。


「すでに1人謹慎にしたというのに、さらに私まで首にして、薫子は明日にも迫って来るのでありますよ」


 僅かに呟くようにして出ていた声に対して、中央にいる男はため息をつきながら体を戻すようにしている。しかし、それに対して東雲は一度口を止める度にまたわずかに声を強めるようにして出し直すようにしている。それを言い終えると彼女は両方の手を強く握りしめるようにしながらそれを真下へと向けるように。しかし、そうしている間も、男は横を見ていてそれから指を僅かに人差し指で行ったり来たりを繰り返すようにしていた。


 それから、顔を僅かに下へと向けて眼鏡のアーチ部分に指を当てながらガラスの上下に人差し指と親指を乗っけている人が画面の外からゆっくりと歩いて来ておいも、それに対して、東雲は息を飲むようにしながら目を大きく開くようにしていた。しかし、その直後にはまた歯を噛み締めてそこで音を立てる。そして、その直後にスカートを僅かに揺らして翻し、そのまま体を前のめりにしながらそこから離れて進みだしていた。


 しかし、その様子を横目に見ている倉敷はただただ横目にほくそ笑んでいるだけ。


「私は必ず戻って来る。それが遅いか早いかの違いだけであります」


 一度だけ部屋の入り口になっていた自動ドアが左右へと離れていくことで、真っ白になっている明るい廊下の方へと見たまま、わずかに足を止めている東雲。首が前のめりになっているような姿勢でいるせいか、後ろから見ると首が座っているかのようにすらも見えていた。それに対して、次々に中央のを残して横側にいたモニターがどんどん電源を消している。しかし、真ん中の男が離れていくのに対して倉敷だけがその様子を横目で見つめ続けていた。




 一度だけ瞼から力が抜けた次の途端にまたそこに力を籠めるようにする。しかし、それから数回息をゆっくりと吸ったり吐いたりを繰り返して、自分の手を握りしめた時に目を開けてそっちの方へと目を向けると、私の右手が自分の思った通りに開いたり閉じたりを繰り返してて。それを見ていたらわずかに息を吐くようにしながら声が出て、体を起こして左手で右側の平を親指で押しながら口を開ける。


 でも、そうした瞬間、右側から眩しい光が入って来てるのに気付いて、そっちに手を出して肘で目元を隠す。そっちを見ると私はいつの間にか息を失ってた。雲がまだ残っている物の、そのほとんどを青色で染まり切っている青空、中庭に植わっている低木や街路所の緑色、そして道を作り出している赤色のレンガ。その色のいくつもを見ている間に、私はどんどん鼻と唇の両方を上へと持っていくようにすることで、一気に体を何度も上下に動かし続けるようにしてしまい。でも、それに対して目元にしわを作るようにして。でも、それでも、全然涙があふれて来るのを抑えられなくて、次から次へと頬の上を温かいそれが溢れていくのを感じたけど、袖が大きく広がっている病衣を動かしてそこを何度もぬぐうようにするけど、それでも消えなくて。そこだけ輝いてて眩しく感じてしまう。しかし、それでも、目をずっと私は開けっ放しに出来てた。


 ただただそのままでいて、呼吸を繰り返すようにしている私に対して、後ろから引き戸が低い音を立てながら動いているのに気付いたからそっちに振り返ると、カーテンで出来上がった仕切りがあって、その白い色の中に影が出来上がっているのが見える。それに私はすぐに足を床側に落としてからすぐに両方の手をベッドの上においてからお尻を持ち上げる、それと一緒に体をまっすぐに立たせたら、小走りでそっちに出ていくと、1秒も経たないうちにそこへと白一色のジャケットと硬い素材のジーパン姿のハリーがポケットに手を入れたままに前を開けるようなポーズを取って両手を広げていた。


 それに対して、私は口を開けるようにすることで一瞬だけ頬を持ち上げるように口から息を出す音を立てて、それと一緒に外の空気が歯と触れ合うのを感じ取る。それに対して、ハリーはステップを踏むようにしながら窓の縁に座り込むようにしてから足を組んで体をガラスに乗っけるようにしている。そうすると、その背中へと伸びている大きく後頭部で編みあがることで膨れ上がってる花みたいなのもジャケットの背中側に書いてある模様も映り込んでた。


「元気そうだな」


 それと一緒に私の方へと体を猫背にすることで目を細めるハリー。足を同じペースで動かしながらいるし、それに合わせてわずかに上半身も動いているけどそれに対して私は一度ベッドに座りながらお尻を滑らせるのと手の動きでそっちへと近づくと、体を縁へと預けるような体勢になった。


 そして、そこに頭と腕を乗っけるような姿勢のまま上を見ると、そっちで全体が同じ色になっている茶髪の隙間からわずかな光が入り込んでいるのも見て、瞼を下げるけど目はちゃんと向こうの姿をずっと見ているようにしていた。でも、ハリーは私から目を反らして正面へと戻すと、一度曲げてた背筋を元へと戻してた。それから頭を僅かに振るようにしているも、それと一緒に髪の毛が末端の所も含めてわずかに揺れるようになっているだけ。数回大きく伸びている眉毛と瞼と目の間を黒く化粧してるそれを見ていると、こっち側にピンク色になっている頬の様子もわかるし、それと共に何かの花みたいな香りがこっちにも漂ってきて、その瞬間に一瞬だけ体を持ち上げるようにしてる。


「ハリー」


 言葉を無意識の間に出しながら体を起こして、それから両方の膝の上にそれぞれの握りこぶしを当てる。それと共に、体をまっすぐに伸ばして下を見るようにするけど、その一方でハリーはわずかに声を笑いながら出しててそれから視線を弧を描くみたいに上へと持ち上げてた。


 さらには、鼻から息を僅かに出して、両方の手を横へと広げるようにしながら床へと降り立つと、その音がした次の瞬間には右手をそっちの方へと伸ばしながら私へと体を向けて来てる。その一方で、こっちは眉と一緒に瞼を持ち上げながらそっちを見ると、それに対してハリーはただただこっちを見て来たまま動こうとしなくて。私は立ち上がりながら数歩だけそっちに近づいていく。


「あたしはもういいだろ、な」


 私がそっちのすぐそばに来たタイミングで、口を横に伸ばしてからまた窓際の横へと戻ろうとしてて、それに合わせて体の向きを変えたから私に後姿をみせてた。それから、また元のこっちに向きを変えて来たタイミングで、私たちの視線同士が合うと、また向こうは顎で私の背中側を指すようにして来る。


 そっちに上半身だけ回すようにして振り向くと、銀色で周囲の様子を反射している縦に伸びたドアノブとそのドアも含めて壁も家具も真っ白で、どこも黒い模様も染みで汚れている所も砂でかすれていくところも何もない。そんな光景を見ていると、腰をひねった姿勢のままただただ私はそっちを見ている様になっていた。


「あの、さ……」


 僅かに顎を下に向けるようにしながら両方の腕を落っことしているポーズでいた私だけど、その後少しだけ音を持ち上げるようにし、一旦止めたタイミングでそれも落として小さくしていく言葉を出す。それから、下の歯で上のを押し込むようにするけどそこまで強い力は込めないようにしてた。


 床を見ると、天井に取り付けられている照明が私たちの方を照らしている一方で、それと同じように私の姿もそっちに映っている。その上に、その2つは全く重なる場所はなくて、ただただそこに映り続けていた。それに対して私は、少しだけ上瞼を動かして開けるけれど、そのままただただそこを見ているだけになってた。


 それから、もう一度ハリーの方を見るようにするのと一緒に、体はそっちに向けてるけど、両手を胸の前辺りでギリギリ重ねないくらいにしておく。そして、さらに視線もベッドがある場所の床辺りに向けていた。でも、その間、おでこの辺りの中身が張り詰めるみたいな感覚がして、舌の置き場が全然わからなくて何度もそこを動かす。一方でハリーの方からは音がしなくて、そっちを一瞬だけ見るようにしたら頭の後ろで両方の手を重ねていながら体の体重を後ろに預けている。でも、私は視線をすぐにそこから反らした。


 そのまま、1回息を吸いこむようにしていると、腕を自分の体と近づけるようにしている一方でハリーは数回瞬きしている目からこっちを見つめているようだった。


「いや、何でも、ない」


 語尾を少しだけ持ち上げるようにして発した言葉を聞いてすぐに、ハリーは半笑いのような返事をしてきたと思ったら、すぐにベッドの上へと体を投げ飛ばすようにしていて。そのまま一度膨らませた頬から細く上げた口から息を吐き出すようにしていた。


 そんな様子を見て瞼を数回動かすようにすると一緒に、口の右側を横に伸ばすようにしてから、鼻からゆっくりと息を吐く。それに対してハリーは足だけを使って靴を脱ごうとしてた。

読了ありがとうございます。

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