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Lunatic  作者: コンテナ店子
第一部後編
66/216

第66話

 私の少し前の辺りでタブレットを見ながら歩いている倉敷さんの部下の女性。その姿を首を使うことで見つめたのも数秒で終わらせて視線を次はその手に持っている画面へと移す。そこでは、地図の中で動かずにただ赤い輪っかをだんだんと薄くしていきながら繰り返し表示しているポイントがあるのみで、それ以外の所は薄い水色で線が描かれている様子が黒い背景に映っているだけであった。


 しかし、その直後には、もう視線を元に戻すことになる。私たちの前に、世古島たちがいた部屋と真っ黒な色以外ほとんど同じように見えるドアが目の前に現れた。それを前にして、わずかにおでこを前にしてその様子を見つめる。そして、そこが呼吸と一緒に上下にわずかに動いているのも感じ取った。しかし、それのせいか女性がこっちを見てきているようにしていた。


「準備は、いいですか」


 その手がドアノブに触れようとして、そこに力を入れればいつでもそこから音が鳴りそうな様子を私に見せて来る。その途端、心臓の音を自分の体でも感じ取ってそれと共に、女性が発した最初だけ持ち上げるようにしながらも、一旦止めてからはゆっくりと落としていく声を聞く。


 相手はドアに手を当てることでわずかに体を前のめりにしていて、その姿勢のまま顔だけを動かしてこっちを見ている。それに対して、そっちを、視線だけ向けて見ているも、それをまた元に戻そうとしたタイミングで目元が動いたせいか、一滴の汗が私のおでこから落っこちて来る。なのに、その滑っていくのを感じている一方で、背中はずっと寒気に包まれていた。


「緊張、しているのですね」


 さっきよりもゆっくりと喋るようにしている女性の声が私の耳に入り込んでくると、それと共に、息を押し込むように力を込めていた喉のそれが緩まって、その直後にそっちへと振り向く。そのサングラスに包まれている顔は近くでまじまじと見るとその奥にいる丸みを帯びている目の様子がしっかりと見えていた。


 それを見ている間、私も同じようにしてしまう。でも、その間も向こうはただただこっちを見ているだけで何もしてこない。それに対してこっちは、口を僅かに開けてから少しして声を出す。


「そう、です……」


 さっき倉敷さんに言った言葉を自分の中でも繰り返す。それから口に力を入れて強く紡ぎながら胸元に軽く握った手を当てる。そこには、原作のジャンヌオルタとは違ってまだ膨らみが全くないせいかすぐに中の骨とぶつかりあうのを感じて、目をほんの少しだけ細める。


「ここで諦めたら……でも、大切なことは、ずっと私を支えてくれた人たちが教えてくれた」


 僅かに息と合わせるようにしながら出したその声。最初だけは喉がわずかに痛くなるのを感じたけど、それ以降は思った以上にすらすら声が出て、気づけばもう全部言い終わってて、少しずつ息を吐いてた。


 それに対して、向こうは1回だけため息をつくもそれで顔の向きとかが変わることもなくて、その瞬間にこっちも強く息を吸い込んだら、そのドアノブが締め付けられる。それと共に出て来た音が廊下全体に響き渡るのを感じると、もうその直後には、暗くなった部屋の中にいる東雲の姿があった。


「私も暇ではないであります。とっとと治療室に帰れ」


 こっちがその部屋に入る前に、私の前をドアが完全に通過したその瞬間に東雲の声がする。そっちに、顎をまっすぐにするようにして視線を向ける私は、その最後を上げるようにしている以外ほとんど抑揚のない物の、付けたところだけは一度低くなってからまた上がるようにしていた。


 それを見た途端、こっちは息を強く吸い込んで肩を自分の側に寄せるようにしながら前へと進もうとするけど、その直後に後ろにいる女性に目を向けると、そっちもそれと共に首を一度だけ縦に振る。それを見た直後、私はもう一度東雲の方を向く。


「杏を……これ以上巻き込むわけにはいかないんだ……」


 声を出すたびに、私はお腹を抑えながら喉に力を込めてそこから息を出す。それによって止まり止まりになった声を出すも、闇が混じった培養ポッドの水色と緑色が混じり合うような光に照らされているそっちは髪の毛のわずかな隙間から、光を通すようにしている。


 それから、まっすぐに微動たりともしないそっちから目線を反らして、周囲の壁に沿うように並んで、私が入って来た側の面以外には全部それが並んでいることによって、こっちのすぐそばの左右にも、その光が入っていた一方で、うさ耳フードの方へと視線を向けると、そこは未だ開けっ放しになっていることで外から入り込んでいる光に包まれていた。


「杏……!」


 そっちから視線を戻した途端に、顔を正面へと向けると共に、首を動かすと、そっちで膝を抱えるような姿勢をしたまま体を斜めにして液体の中で上下に浮かんでいるその姿を見ることになった。お腹の所に出来ている大きな傷にももちろん目が向けられて、それを見ているだけで、喉が苦しくなりそうになる。


 でも、それと一緒に出たわずかに自分だけ聞こえるくらいの呟きと共に、周囲からは音がポッドの中から聞こえて来る数個の泡が通るのや機械が動き続けている低いのだけになる。部屋は天井に取り付けられている換気扇以外はコンクリートで出来上がっているせいか、ほぼほぼ密室になっているようで、私がそっちに近づくためにまた数歩足を動かすと、ハリーとの決闘の時に壊れてそのままになってる側も含めてシューズが地面を叩くその音が部屋中に響く。


「わがままなだけのガキに構っている暇はない、と言っているのがわからないんでありますか」


 その言葉、最初はいつもと一緒だったのに、途中でいったん止まった後は急に勢いが強くなったそれに対して、私は息を強く吸い込む。その次の瞬間に首だけを回転させて目をこっちに向けて来る東雲の鋭く影になっている視線に足が一歩動きそうになったけど、それで持ち上がった途端に強く自分からそこで床を強く踏みしめる。


 それと共に、そこを踏みしめるように何度も左右に傾かせて擦り続けている間に、真っ赤な光が闇の中に入り込んだがために、周囲から培養ポッドの光が見えなくなる。視線を前へと向けると、東雲の周囲にまた魔法陣が現れ、それから次から次へと地面と平行に現れるドローンがまっすぐにその先端をこっちへと見せつけていた。その直後に、私は右手の親指をお尻側に向けて伸ばすようにした後左方の手を握りしめて、その直後に高い音を聞いた途端、そこに電気を込めてそれが炸裂し続ける音をそこから発し始めた。


「お前とは背負っている物が違うんであります」


 その、全く抑揚をつけないようなそれを出し続けている東雲の、目の周囲が凹んでいるのか、より影を濃くしている様子が私の前にやって来て、それから私が両方の足を大きく広げるようにした途端、頭の中が覚めるような気がして、その次の瞬間に、一気に起こった周囲の揺れ。当然のように体のバランスを崩して、何度も何度も止まったと思った数秒後にまた続けて起こるそれで片方の足が持ち上がって体全体がもう片方に傾いて、それと一緒に歯を食いしばって正面を見る。


 杏のポッドの中の水を左右に何度も揺れるづける姿を見ながら、視線を横へと動かすと東雲も膝を曲げながら自分の手の平を床に付けるようにしている。しかし、それに対して周囲の魔法陣からゆっくりに出てきている東雲のドローンは、次々とその正体を現そうとしているも、そのペースはいつもよりも遅くなっていた。


 呼吸を強く吸い込みながら足に魔力を込めると共に視覚的にわかるくらいの光が揺れ続ける電撃の輪っかを作り出し、その力でそっちに今度は体重を乗っけそうな勢いで足を元に戻すと共に、両方の手をそっちに乗っける。


 でも、それに対して、向こうはドローンが次々と魔法陣から離れて空中へと浮かび始める姿へと視線が自然と吸い込まれた。


 そう思ったのもつかの間、またやってきた部屋全体の激しい振動に合わせて、両方の手を胸の前でクロスさせることで、その高い音で周囲の建物が揺れ続ける低い音を切り裂いたのを東雲にも聞こえるようにさせる。それと共にできた魔法陣が私の後ろ側を反射して映しているのを確認。そっちに誰もいない白い光がただただ私の所にまで届いているのを見てから両方の腕をゆっくりと1回回して、2つの物を大きい1つに変えた。


 でもその瞬間、未だ揺れが続ていたので、急に周囲の照明が大きな落っこちる音と共に消えてしまい、周囲を照らしているのが左手をそこにあてながら右手を回すことでそれと同じ回転をさせている魔法陣だけになる。


 それに対して、そのわずかな光をまっすぐに向けられているせいか、それを浴びることになっている東雲もわずかに上を数回見回すようにしてから、唇を上へと向けている。さらに、もう一度目線を低い所へと向けるようにしているで、私もそれを追う様にしてから、鼻を吸い込んでほんの少しだけ呼吸を吐き出しそうになって止める。しかし、それに対して東雲は、一度呼吸を音が大きく聞こえるくらいの勢いで出し、周囲の振動が消えたところで、顔を大きく震わせるようにしていたのを数秒間続けると共に。肩を自分の顔へと寄せてた


「ただ、何も考えなしに来たわけじゃないという訳でありますね」


 それから、こっちではない場所、自身の斜め横の辺りに視線を向けるようにしてから、その声を発している東雲は顔も含めてそっちを見ていたのに対して、顔だけは私の方へと少ししてから向けるようにしている。


 一方こっちは、喉を強く押し込むようにしてから、今度はゆっくりとその感覚を味わい続けながら呼吸をしていた。


「……倉敷さんがやってくれたんだ。ポッドの電源を再起動させたいのなら、私を倒さないとだぞ」


 顔が小刻みに震えるのを自分でも実感しながら口を小さくだけどしっかりと動かし続けてその言葉を言っている間、出だしの所でいったん止まりそうになってそれからそれで喉を向こうに見せるような感じになるけど、その次の瞬間、向こうのドローンから全機がハッチを開いてそこから銃が出てきた途端に、早口になりながら私は両方の腕を曲げた状態で魔法陣に手の平を強く押し付けた。

読了ありがとうございます。

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