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Lunatic  作者: コンテナ店子
第一部後編
54/216

第54話

 1秒の半分にも満たないタイミングで次から次へと発射され続ける弾が私の体を貫くためにどんどんと叩きつけられるづけ、その度に私が喉から呼吸を吐かされ続ける。かすんだ視界の中で、うっすらと見える黒色の機械からずっと黄金の塊が打ち出され続けている姿、それが真っ白な風景でただただ動いているのが見えた。でも、それよりも、目を細くして、銃が打ち出されるたびに体が上下に痙攣するように動き続けている杏の姿へと焦点を合わせた。それから、歯を噛み締めて、砂に強く力を籠めることで全身に思い切り力を込めて、それから全体を一気に解放するように。それで衝撃波を周囲に放つと、髪の毛とフードがまた一気に後ろへと吹き飛ばされて、それと共に片手だけを強く力込めて立ち上がり、その後に私の足元に一瞬だけ銃弾が転がる音を感じた後、それを覆いかぶすように金網が吹き飛ばされて地面へと転がる音が聞こえて。その音で一瞬だけ耳を塞ぎそうになる。しかし、それで持ち上がった両方の腕を一気に振り払うように腰元まで落とした。


「杏! 杏!」


 一連の動き中で、耐えきれなかった銃弾によってできた、四肢の傷から一気に血を吹きなしながら自分の体の辺りで視界でも見えるような勢いの突風と共に、空気を切り裂くような電気を放ち続ける。それの音が聞こえると共に、周囲ではハリーやマナたちの大きな声が聞こえて来るけど、それをかき消すかのように足を大きく動かして、大きな声で杏の事を呼び続けた。


 杏のことのわずかな隙間で、脳の片隅でジャンヌオルタの衣装の事を思い出して、一旦顔の元で両方の腕を重ねるようにしつつ電気を放つ色と同じ紫色の自分の体に纏わせることでそれに変身。それと共に両方の腕を下へと降ろしながら、顔から力を抜いて何度も呼吸を繰り返した。


 そのまま、汗が自分の顔の横辺りを滑り落ちようとしているのを感じ取りながら、喉を1回無理やり動かして呼吸する。それから下へと向けていた顔を上へと向けて。その後、髪の毛が目の前にやって来ていたから、少し顔を上へと持ち上げるようにすることでそれを視界から無くす。


 向こう側では、今度は杏がリングの外にある、以前酒を飲んでいた男たちがいた床から続いてる場所で両方の腕と足を延ばしたままに転がっている。そして、砂が巻かれてるリングの上では、いくつもの線で出来た跡が狭い感覚でまっすぐかつほぼ平行に並んでいるのがこっちからでも見えた。


 何度も肩での呼吸を繰り返しながら震えるような勢いでそっちへと2,3歩ほど近づこうとしたけど、その後すぐにだんだん足を動かしていくペースを早めるけど、それは普通に駆け足になるくらいのペースに落ち着けて。それでも、ある程度のペースを早めたタイミングで少しだけ肩が落っこちそうになってそのまま転びそうになる。


 なんとか持ちこたえた後、気持ち斜め前へと両手を振るように小走りで杏の方へと近づき、リングの縁にいったん肘まで置くようにしてから振り返って進行方向にお尻を見せながら降りる。そして、その数秒後ぐらいに杏のすぐ傍へとやって来ると、そのまま体をそっちへと寄せた。


「杏……」


 背骨をタンクトップの上からこっちへと見せてくるような形でうつ伏せになっている杏。そこへと自分の手を指から伸ばして近づけていくも、その間も向こうは一切動こうとしない。それから、服越しに中の筋肉が動くのを感じ取ることになって。その奥で心臓が等間隔で動き続けるのを感じ取る。わずかに開けた口で呼吸が行ったり来たり動き続けるのを自分でも再確認。それから杏の名前をこぼれるような形で言うと、腕から力を抜いて、もっと低い姿勢にして顔を杏とほぼほぼ同じ高さにしたと思いきや、その瞬間に顔の皮膚がえぐれてその中で人間の頭蓋骨に当たる部分が小さな光を点滅させている機械になってその灰色の姿を見せていると共に、肌の境目から血が溢れてしまっていた。その部分に杏の手を持って当てさせようとするも、私が手を離そうとすると、それで力を抜いただけでそれが落っこちてしまう。


 それを数回繰り返して、口を強く締めつめるように閉じてから、鼻から息を吸い、そっちへと肩を貸すようにして持ち上げるその体重を私に全て乗せるようになったせいか、一度片方の膝をついてしまう。しかし、それを持ち上げるよりも先に、わずかに出そうになったそれをかき消すように息を強く吸い込んでから首だけを上に向けて声を出した。


「倉敷さん! 終わりました!」


 胸の膨らみをゆっくりと押し込んで吐き出すようにした声。それを出している間に、見えた物のせいで、何とか言い終えた物のすぐに息を吸い込むようになってしまった。しかし、私もそのすぐに眉をひそめるようにしながら体に魔力を込めて跳躍し、リングの上へと戻ると、着した瞬間に私の肩の上で杏の腕が滑って落っこちそうになったせいで、もう片方の脇へと自分の腕を回して。それと共に膝が曲がって私たちの背中側へと足が運ばれて行くと、そっちから砂が擦れる音がする。


 しかし、それもすぐに布が揺れる音がして、杏の名前を呼ぼうとして開けていた口をゆっくりと元に戻し、それと一緒に顔のパーツをだんだんと下へと集めていくような表情になる。それに対して、向こうは変身をすでに終えて青いジャケットをマント代わりにしてずっとはためかせている上に、その体を建物の中でも天井に近い位置に取り付けられている光を背中から浴びていた。


 そのまま、魔力で空中にずっと浮かんだままいるその姿を見ている間、私は息を吸い込むようにすることしかできなくて。でも、向こうも向こうでその位置で、顔を僅かに上へと向けるようにしたまま目線だけをこっちへと向けるようにしていた。


「そいつは、返してもらうであります」


 東雲が言葉を発した途端に喉が一気に押し込まれるような感覚がして。それと共に息を一気に吸い込む。しかし、それと共に杏がまた滑って行きそうになってそっちへと体をまたこっちへと寄せるようにする。しかし、それで視界が向こうからそれた際にも、ずっとジャケットが鳴らしている音は消えることはない。


 もちろん、杏の体の位置を調整し終えたタイミングで、もう一度そっちを見る。目線だけをただただこっちへと落っことしたままになっているそっちは、水色の制服も、真っ白な肌も、銀色の髪の毛も、汚れが1つもないストッキングも、影と紫色の光が混じり合うような見た目をしていた。しかし、その向こうには、ハリーや世古島がいる場所があると思い来や、そのすぐそばに北川がいていて、2人のわずかな隙間から無理やり入り込んでる。その後に、世古島とハリーと順番に目を合わせて、一度互いにうなずくのを見る。


 それから、私も視線を元に戻してから、口を閉じてまっすぐに東雲を見つめた。


「それは……私にも、しちゃダメなことだ」


 僅かに持ち上げるようにしながら話していくけど、それもすぐに言葉が息と共に消えていく気がして。それに続くものは今度はしっかりと喉へと力を籠めるようにしてそこを使って声を出す。そして、その後東雲はほとんど間を開けないくらいの勢いで言葉を返してきた。


 それにこっちも心臓を僅かに締め付けられる感覚がするけど、でも、そっちをじっと見続ける姿も止めようとはしない。それと共に、杏の肩を支えている手に力を籠めるのはもちろんのこと、もう片方の手もそっちへと寄せるようにしていた。


「お前は1度そいつを捨てたであります」


 その声を聞いた時、私は杏の服を掴むようにしていたせいで視線はそっちへ向いていて。そのまましばらくただただそっち見ている。杏は首の中の力が全くないかのように下を向いたままになっている上に、瞼をぱっちりと開いてしまっていて、口も全部開いているせいで血と唾液がこぼれてしまい地面へと向かってしまっていた。


 そのまま、数回呼吸を繰り返している間私は膝を両方とも立てているために、それを元に戻しながら、一度杏の腕を外してそれをゆっくりと床へと持って行ってから、向こうの肩の後ろ側を両手で支えるようにすることで上半身を倒してから、一旦片手に戻して足の位置をまっすぐに寝れるように整えた。


 目を閉じて、横に垂れた顔に付いている口から少しずつ唾液を垂らすようにしている杏の様子を数秒間見ていてから、一度肩を大きく動かすようにため息をついて。その後に体を僅かに前のめりにするようにして、手を床についてから体を持ち上がらせた。


「……もう後戻りなんてしない」


 肩をそっち側に向けながら、体は杏の方へと向けたままに、首だけを傾けて東雲を見る。そして、それと共に敵は自分の手にトランシーバーを召喚して、それを指に力を込めて握りしめたことでそこの形が変化した途端、こっちも足を僅かに開いてそこで砂が擦れる音を立てる。それから、歯を食いしばって上の方を見つめるようにして、向こうの後ろ側に無数の魔法陣が出来上がったタイミングで、おでこの範囲が広がるのを感じるけど、その数が数えられなくなったタイミングで、両方の腕を交差させたまま指を立てるような形にして、そのわずかな掴みの中で魔力を強く籠める。それのおかげで私の両方の手の間紫色の魔法陣が鋭い音を立てて描かれて行く。


 それが出来上がったタイミングで、もう東雲の背中側では無数のドローンが次々と召喚されて魔法陣からまっすぐに抜き出て来るのを繰り返してて、それを眺めているだけで私は呼吸を吸い込んで喉にぶつけることしかできなくなる。


 それから、私は魔法陣事動かすかのように両方の手首をおでこの前辺りで重ねることで、敵が操る機械が激しく回転し続けている音を聞き続けていると、それに対して私は、自分の骨の形が見えているかのような姿を見ているだけで、すぐに指と両方の腕に込めてた力を解放して、そのまま両方の指と平をそっちへと向けて思い切り腕までも伸ばしていく。そして、それへと続くようにジグザグを描く雷が一瞬で無数に分裂し、その激しい音に負けないように私も喉を限界まで開けた状態で激しく震わせるような大きい声を出したら、それのせいで、周囲からそれとは別にまた真赤な火花が飛び散りだし、こっちへと向けて一切隙が無いほどの勢いで弾丸が飛び出してきた。

読了ありがとうございます。

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