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Lunatic  作者: コンテナ店子
第一部後編
53/216

第53話

 私が自分の言葉を言い終えた後、ゆっくりと深呼吸をする様にして鼻から吸った息を口から外に出していく。その音を自分でももちろん感じ取るけど、その間、それ以外の音は他に何もしなくて。その上に、杏は相変わらず両方の手を重力に従わせるみたいに下へと向けたままでいた。それに、瞼すらも全く動いてなく、ずっと私を映している瞳孔が開かれたまま。血と砂の汚れが付いたままになっているタンクトップも、緑色のしわとなって足元でたるみが出来ているズボンも、全く一緒。


 そんな姿を私はほんの少しだけおでこを前に出したような形で見つめ続けて、それに合わせるように口元を締めることで、その横に靨を作っていた。それから数十秒間、ただただそのままでいようとしたけれど。


 それに対して、私の頭の上の方にいる東雲が、自分のトランシーバーを首元に動かしているのを空気が動いた音で気付いたら、そっちに一瞬だけ体ごと振り返りそうになるけど、それをすぐに辞めて正面へと戻ろうとしたら、そう考えた後に後ろから頭全体にその振動を響かせるほどの勢いで殴られたと思ったら、それで体勢を崩したせいで腕を前の方で振るように動きそうになったけど、足を前に一歩出して止まろうとする。しかし、それよりも早く杏の足払いが動き始めてて、まんまとそれにかかってしまい、その場で転んだと思ったら、地面に激突するよりも早くかかと落としを食らってその床をえぐらされるほどに落っことされて、その衝撃のせいで息も出来なくなってしまう。


 何度も咳だけが喉を通ると思った瞬間、私が体を動かせないでいる間、こっちの頭へとまたかかと落としがされると共に、口の中の皮膚がちぎれるような感覚がして、一気にそこから血が噴き出る。でも、杏はずっと同じことを繰り返すように、私へと攻撃を繰り返してきて、その度に視界がどんどんぼやけて来ると共に、咳をする力も弱まって。下側になっている唇の先端で唾液と共に血が溢れるのを感じ取った。


 でも、同じタイミングで同じ攻撃を何回も繰り返されているせいか、なんとか力が残っていた所で右手だけでも強く振り絞って、それに残ってる力の全てを込めるくらいにすると、床の表面を吹き飛ばしながら私の放った電撃が飛び散り、それと共に杏が言葉にならない大声を上げながらその場に足を突く音がして。そっちを振り返ると、片方のひざをついてから、もう片方の足で肩膝立ちしている。それから、その立てた側の足に両方の手を重ねながら肩で息を繰り返しているのを見た瞬間、私の頭が真っ白になったし体から力を抜いて、喉に力を一気に籠めると、辺りの視界が白と紫が交互に光り合って眩しくなって目を細めているのを辞めた。


 その一方で、私は体の横側を床へと落っことすようにしたまま、髪の毛の中に両方の手を差し込んでその音を聞きながら膝を自分の体へと寄せるようにしていたら、すぐにそこにいる両方の手を地面へと向けるようにして肘を立てて、それと一緒に砂煙が起きるのを目だけで確認するようにしてから、そのまま数回肩で息を繰り返すけど、その直後に後ろから杏が来ている服が擦れるような音がした途端に目を大きくするようにして。


 それから、すぐにクラウチングスタートみたいな感じで体を起こすと、自分の手から一本の糸状の魔術を放ってそれを金網へと引っ掛けてから髪の毛とフードが置いて行かれそうな勢いで飛び出す。そして、それと共に杏の方へと振り返る。そっちでは、一度片方の手を引くようにしてからこっちへと向けて走り出していた。


 しかし、それに目を少しだけ開けたタイミングで、私の後頭部より少しだけ前側の辺りと肩が糸を引っ掛けた壁に体が激突して、それで体がまた破裂しそうなほどの勢いで尖った金網にぶつかった個所の痛みを訴えかけてくる。でも、その次の瞬間にはもうそれが衝撃で凹むのを戻す勢いで。私の体を地面へと放り投げて来た。しかし、その瞬間には杏がこっちに向かって走って来るのを見た途端、眉に限界まで力を込めながら片手だけに力を込めて立ち上がろうとする。しかし、それよりも先にもう片方の手を天井へと伸ばして足を延ばしてから体を魔力で飛び上がらさせて、そのまま金網で出来た天井へとそれを掴ませるとこで、体がそこで揺れさせる。そこで、数回息を整えるようにした。


 でも、それも2回くらい繰り返したタイミングで杏が足を体を一回ジャンプしてから三角飛びの要領でこっちに足を強く踏み込んで飛んできてて、それを見てから天井を掴んだ手を離し、それから上下へと伸ばした両方の手を正面で回すように回転。それと共にできた魔法陣で杏の突進を防ぐも、そこでかなり高い音がすると共に、私の肘が相当に曲がって押し込まれてしまう。ただ、杏は自分の機械が外へと出てしまっている側の腕をチェーンソーへと変形させていて、何度の私の魔法陣を切り裂こうとして来ていた。しかし、それに対して、私も腕へと本来の力と魔力を籠め続け、その押してくる力に対抗する。


「杏……!」


 喉を大きく震わせるような大きな声を出しながら、魔法陣の光を強くしていくと、それだけで杏の体が背中を先頭にそれへとついて行くかのように四肢が遅れを取るような形で体を吹き飛ばされてしまっていて、それを見てから肩側を前にする様に前転の要領で体を回転させてから金網を足で蹴飛ばすことでまっすぐに飛び出す。そして、その1秒もしない間に杏の勢いを追い越すと、すぐに膝を曲げるようにして足を肩幅以上に大きく開くように股を拡げるつもりでいたけど、それ以上に左足を大きく滑らせて自分の体の勢いをせき止める。さらに、それと同時に両方の手と腕を大きく拡げて、そこに杏が落っこちて来ると共に、その重みで腕が地面側へと持っていかれるようになってしまう。


 しかも、それと共に杏が自分の腕をナイフへと変形させ、それをこっちへと突き刺そうとしてきて。それに気づいた途端に、空を切らせるためにほんの数ミリだけ体を浮かせてからお尻をそっちへと向けるようにした姿勢で一気に後ろへと下がった。


 私の腕の中から落っこちた杏はそのまま尻もちをつくも、それからもう一度私は膝を曲げてそれから周囲に起こした砂煙を一瞬で払うくらいの勢いで体を飛ばすも、杏の体が床へと背中から落っこちているのにそれがえびそりになるようにしているのを見た途端に、顎が喉に押しこまれる気がして。その途端に足を強く前へと出して止めようとしたら、それと共にそのタイミングだけ体を戻そうとしていたけれど、その途端にまた向こうがお腹の辺りから上昇を初めて。そのタイミングで私が息を少しだけ吐くようにしたけど、それ以降はそれすらも出来ないような感覚もあって。でも、すぐに髪の毛に1回だけ手を入れるようにしている間に、1秒くらい経つのを感じた。


「杏……」


 両方の手で頭を強く掴もうとしている間に、息と一緒にわずかに喉を押しこむけど、その状態で何とかわずかに呟けるくらいの勢いで杏の名前を呼ぶ。しかし、それに対して向こうは限界まで体を反るようにしていて。それと共に口を大きく開いているのを見ていると、私も余計に足を後ろへと下げるように一歩だけでも動いてしまう。しかし、それに対しても向こうはあい変わらずのまま。眼を僅かに開くようにした上、体の中が空洞になるかのような感覚を感じる。


 その直後、杏の皮膚を貫くように、そこから巨大な金属が出て来るのに合わせて、周囲へと血管や内臓、そして細かい金属の部品を吹き飛ばした。それを見た瞬間、私の胃の中の物が急に吹き出しそうになったせいか、こっちは強く呼吸を押さえるように両方の手をそこへと押し込むようにする。しかし、それに対して、杏の方は一切止まろうとせずに、上に向けた巨大な機械、縦に長い什器のような黒く光っている銃を、杏をブリッジさせた状態のままでこっちへと向けて来ているのに目を合わせさせられると、それと共に、背中を後ろへと下げさせられて、それと一緒に自分の胸元でわずかに指を曲げたままに手の平をそっちへと向けたままにし、その姿勢でわずかに開けっ放しになってしまっていた口を頑張って閉じるようにした。


 しかし、その途端に赤い火花を飛ばしながらガトリングが動きだしたのをその眩しさに目を瞑ってしまった上に、そのまま両方の腕で顔を覆おうとして、その勢いを利用するように体を地面で回転させるようすることで回避しようとしたけど、上手く行かなくてすぐにそこで転ぶようになってしまう。


 そして、その瞬間に後ろから異常なほどに高い音がして、そっちを見ると、発射された時と同じ火花を飛ばしてその熱さが私の靴下から出ている足に引っ掛かって、それのせいで私は大きな声を上げてそこに手を当ててその場で膝を自分の側へと寄せようとする。


 でも、その直後にそれから四足で歩くようにすることで逃げ出そうとした途端、すぐに足が吹き飛ばされるように銃弾がぶつけられたせいで、それに引っ張られるように体も吹き飛ばされて。その上に体にも無数の弾丸が激突させられる。その度に、体の中に籠っていた空気が一気に吐き出させられて。血と共に咳で吐き出させられた。


 その衝撃も、杏のいい様にどんどん勢いを増すせいか、私の体はすぐに金網へと激突させられて、その隅で小さくなるような姿勢をさせられたまま、魔力で硬さを強くしている腕と膝に何度も何度も弾丸が撃ち込まれるたびにそれの後ろ側も貫かれたような痛みを感じて。その度に周囲の視界がまたかすみだすと、もう喉の締め付けと顔に込められた力が限界を迎えようとしていたせいで、呼吸もままならなくなってしまいそうであった。

読了ありがとうございます。

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