第51話
第一部は後編で終わります。
出来るだけ平たくするように足を延ばしている太ももの先端辺りに両方の手を僅かに関節で持ち上げるようにしている方へ、私はわずかに視線を向けるようにする。そっちを眺めていると、広場の中央へと伸びている階段を見ることになるけど、そこには本当に僅かな、私の視力でギリギリ見えるくらいになっている砂が落っこちている。そして、足を向けているその数段下には、この前ハリーと戦った時にえぐった地面があり、そして、その先にはクーデターを止める時に私が壁に着地した時のひびが不規則なジグザグで進んで行っているのが見えた。
広場には私の他にいるのは後ろにいる北川、世古島、ハリー、マナ、コアラの合計5人だけ。そっちで同じように座っているのは北川で、少しだけ視線を向けようとすると、膝に手を当てながら屈伸を何度も繰り返してて私の行動に合わせるようにしゃがんだタイミングでこっちを見て来たと思ったら、一度動きを辞めて肘を左右へと伸ばしたまま頬を横へと伸ばすようにしている。しかし、それも数秒間の間で、すぐにまた元の動きへと戻っていた。
そして、その後、その後ろで世古島が視線を横へと向けるようにしていて、北川の足元を見ているような形になっていた。
それから、私はもう一度視線を元の方向へと戻していくと、もう30分ほどで消灯の時間になりつつあったということもあり、左右に並んでいる傘を被った電灯が下に向けて伸びているだけな上にその明るさが弱くなっているせいか、中央当たりは見えなくなっていた。
両方の腕で力を抜いたままにしていると、横に広げているようにしていたままになっていた。そして、そのままずっといようとしていたと思いきや、その瞬間に上から大きな金属が揺れる音がした瞬間に、それと一緒に肩が大きく反応しているのに気付く。それから、一旦歯を噛み締めて鼻の下を伸ばすようにしていると、周りがどんどん立ち上がったり振り返ったりしているのを感じて。私もそっちへと向き直った。
どんどんと上から聞こえて来る音が大きくなっていくエレベーターがこっちへと向かってくる音。その度に心臓が動く音が大きくなっていくのを感じて、体の中身の空気が重くなるのに合わせるように眉をひそめながら歯を下側から合わせていく。それのせいか、私が向けている視線は他のメンバーがずっと上を見ているのに対して、こっちはただただまっすぐに向くようにしていた。
そして、そうしている間に、上から降りて来ていたエレベーターの床が私の視界の中に入ってくる頃には、ほぼほぼばねの上に乗りかけているタイミングだったので、かなりゆっくりと落っこちて来ていて、その境目が見えた途端に、その茶色いシューズと白いストッキングが出ていた。
エレベーターに1人で乗っている東雲の姿がこっちに映った途端、ハリーやマナたちの方からも足が一歩後ろに動く音がして。わずかに首が上へと向いているのに気付く。そして、私の少し横にいる北川は一瞬だけギリギリ音が聞こえるくらいの音で息を吐きつつ、口元を横へと広げるようにしていた。そして、その後姉御の人の方を見ると、そっちでは両方の腕を組みながら顎を自分の側に近づけて、私の方へと胸のあたりまで伸ばしている髪の毛を見せているようであった。
そっちを見ている間に、エレベーターが止まったと思いきや、いきなりそこを靴が叩く音がして、そっちへと振り向いた瞬間には、私の方向へと肩を前のめりにする姿勢で眉を目へと相当に近づけるかのようにしている東雲が、こっちへと近づいて来ていて。それに対して、私は足を一歩だけ後ろに下げてしまうけど、そこに強く力を籠めるようにする。しかし、そこに限界まで力を籠めることで、かかとを持ち上げるようにした。ただ、相手は私の正面に来る前に、腕だけを持ち上げて相手の肩へと自身の指を引っ掛けるかのようにしている世古島によって、その動きを止めていた。
顔をちょっとだけ角度をかけている世古島は、目だけを動かしていて東雲の方をじっと見ているのに対して、そっちもそっちを見ながら歯を噛み締めるような表情をして同じようにしていた。しかし、2人ともその場でしばらく動かずにいると、後者の方から視線をそらしてこっちの方へと見て来た。
それに対し、身長差のせいで見下ろしてくる向こうを首を使って見上げるようにしている私は、両手に力を強く籠めるようにしていた。それのせいか、口からする訳でもないけど、呼吸が激しくなって。音も立てずに肩をゆっくりと動かすようにしていた。しかし、東雲の方はしばらくの間、歯を噛み締める音を立てることしかしない。
「お前……」
語尾に近づくにつれてだんだん声を大きくしていく東雲。それと一緒に向こうも私と同じように両手を握りしめることで、周囲に魔力を籠めさせつつ、髪の毛と制服を浮かせるようにし始めて。その瞬間に私ももう一度両手を握り直すことで、力を込め直していた。しかし、その場で東雲もそうしないし、私も変身はしないままに。
「……今度こそ、負けない」
私がただ気持ちを乗っけるように最初出したけど、喉が少し痛くなったのを感じて一旦呼吸をし直すように止めて、その後にもう一度言葉を出し直すように続きを言った。その後、東雲はすぐに制服と髪の毛を翻すようにして私たちの方へと背中を見せつけて来ると、すぐにエレベーターの方へと早歩きで歩いて行っていた。
東雲がエレベーターの向こうから見ているのに対して、私はもちろんのこと、他のこっちにいるメンバーは誰も動けなくいて。そう思った次の瞬間にはもう北川がそっちに向けて歩き出してたから、私がわずかな声と一緒に腕を少しだけ曲げた手を出すようにしているけれど、それに対して向こうは両方の手をポケットの中に入れたまま数歩歩いていくようにしていくだけだった。その背中しか見えていない姿が離れていくペースは、エレベーターの上に乗っかって足の音が変化していても変らない。
「行くぞ、ハリー、コアラ、マナ、頼むぞ」
そして、北川がこっちを向いたタイミングで、世古島が数歩前へと斜めに歩き、踏切の少し前くらいに立つようにしたタイミングで、こちら側に、髪の毛と右側の目、そして口元の半分だけを見せるようにしているがこっちへと振り向くが、それに合わせて髪の毛がほとんど動かないままで。1つ1つ言葉をしっかりと出していくような声を聞いた直後に、呼ばれた3人がその場で首を縦に振るようにしながら進んで行こうとしたのを見てから私も足を動かす。
それに対して、他3人に続いてエレベーターへと乗ろうとしているハリーはいったん止まって、こっちへと振り向いて近づこうとしているけれど、それに気づいてから私も一度足を止める。
そうすることで、こっちが一番最後の段差の上にいるのもあって見上げるようにしたまま、ハリーの方を見ようとしたが、ほんの少しだけ自分の体へと顎を近づけようとしている向こうの動きが止まる前に、私の方から最後の段差を登って体が横になる位置に立つようにする。
「腰抜け、お前らしく行け」
私の耳でようやく捉えられるような声を出したハリーに対して、歯と唇をかみしめるようにして、東雲の方を見る。そっちもそっちでじっとこっちの方を見ていて。もう一度私と視線をぶつけ合うことになった。しかし、向こうはそれから顎を上へと向けるようにして、こっちを見下ろす。
それに気づいた瞬間、私は自分の手にもう一度力を籠めるようにしていることで、歩き出していた。それから、その中に空気を入れた後に言葉を発し始める。
「……わかってる」
その声を出してから、肩の重なり合っている位置がなくなったタイミングで私も下を向きながら音も立てないようにまっすぐ歩いていく。それと一緒に、肩を拡げながら両方の手を動かす。しかし、それも短い時間だけで、ほんの数秒後には高い音が鳴り始めるけど、それに対して自分は何もせずに、東雲の正面にいる世古島の横を通ることで、2人の間くらいになる場所からまっすぐ線を伸ばしたような手すりの所に体を寄り掛からせる。それと共に、私は一度だけため息を吐くことで、ポケットの中に入れているスマホを片手だけで握りしめる。そして、もう片方の手は外の空気に晒し続けていた。
その後、ハリーが乗っかって来たタイミングで、東雲の方から歩き出してボタンを押してくる。その後を、肩幅くらいに開いている足をそのままにしてそれと平行になるようにしている世古島が顔だけを動かして視線を追っていた。
また、エレベーターが何度も揺れ続けている間、ずっと私は壁が流れて行くのを見ていくが、自分の視線をまっすぐと向けている所、同じようにしみや汚れが私たちが乗るゴンドラの灯りにだけ照らされた間だけ通り過ぎていく。しかし、それに対して灯りが揺れているのせいか暗いのと明るいのがあるのに対して、私は何もせずにいた。
それもほんの短い間、たぶん1分ちょっとくらいの間に止まって。そっちでは東雲が先陣を切って進み始める間、誰とも視線を合わせようとしなかったせいか、その後に先に進もうとするのが一番早かったのは私であった。その後を、切れのいい息を1回だけ吐くようにしてから北川が付いてきてて、その後を世古島たちがついてくるみたいだった。
そして、東雲が自分で重いドアを押そうとした瞬間、そっちから開き、そこには昨日私が会ったスーツの女性を携えている倉敷さんが手の指だけをポケットに入れながら顔が僅かに角度を付けるような形でこっちを見ている姿があった。さらに、入り口を開け終わったのかその横で両方の手を下におろしている20代くらいの男たちが左右に立っているまま動こうとしない。
そんな光景を前にして、東雲が目線を僅かな後ろにいる私とは逆側の後ろへと向けようとしていた物の、その次の瞬間にはそれを戻して正面を見るように。そのにらみつけるような視線のまま、足を動かそうとしないその姿は、歯を強く噛み締めるようにしながら、手も同じようにしていて。それを見ている間、倉敷さんのはほとんど動くことはなかった。
「またお会い出来ましたね、東雲さん」
数秒間時間を開けていた物の、音を立てないようにして頬を一度だけ動かすような笑みを浮かべている倉敷さんは、それと一緒にこっちに近づいて来たと思いきや、東雲と体を重ねないくらいの距離で立った。それに対して、後者の方がさっきの物から表情を一切変えないまま顔を上へと向けるようにしている。しかし、それに対して倉敷さんは顔をそこから流れるように反らすと共に、鼻で笑う。しかし、東雲は全く動じずにいる。
それから、前者が一度何もない場所を見た視線を戻すようにして、こっちを見て来た。それに合わせて、その後ろから光が入ってきているせいで顔全体が影になってしまっている倉敷さんと目が合うようになったタイミングで、私は口を少しだけ開けて一歩だけ後ろに下がりそうになったけど、うさ耳パーカーの中に入れているスマホをもう一度握りしめることで、それ以降は動きを止める。
「そして、木月流那、さん」
1言1言を強調するようにしている倉敷さんはその言葉を発するたびに体を少しだけ前後に動かしていているせいか、文字ごとに抑揚が強調されているよう。それに対して、私は呼吸を強めていきそうになる一方で、口は閉じたままにしておいた。しかし、後ろにいるハリーが私のすぐそばにやって来て、こっちを呼んだのに気付いたら、すぐに振り返ると、目だけを前に出すようにして口を強く紡いでいるようにしていたまま、こっちの肩を持つようにしていて。それを数秒間見つめていたら、そっちへと足を動かすようにして東雲や倉敷さんらから距離を取る。
「余計な御託はいらないであります」
世古島たちの元へと戻ったタイミングで私がそっちにいるコアラやマナとも視線を合わせていたタイミングで、東雲が声を出すと、そのまままっすぐに歩き出して、倉敷さんやその部下たちの後ろを進んで行っていた。それに対しておいて行かれた側はまたアーチの部分だけを中指で押すことで眼鏡の位置を調整していた。
そんな間も、東雲はわずかに肩の辺りを前のめりにしていて、前へと進んで行くと、それに合わせてショートカットの薄い水色が揺れ、その間に左右の壁にある照明の光が入り込む。そして、その様子を私以外には倉敷さんの部下たちが上半身を動かしてそっちを見ているだけ。ただただ1人でリングがある部屋の方から出ている眩しい光の中へと消えて行っていた。
それから、ハリーがわずかに前へと動こうとしているのに気付いて私もそっちを視線だけで見ようとした途端に、すぐに動きが止まってしまい、それから世古島が出ていく。それを私は右耳で音を聞いているのに対して、目線ではハリーの方を見たままにしておいた。
読了ありがとうございます。




