第49話
明日boothで新刊出ます。
そっちもよろしくお願いします。
声がしたのに全員が当然のように気づいて、特に私は目を上に上げながら唇と歯も同じようにする。でも、それでも、ハリーやマナが首を動かしたことで周囲の空気が動くのを感じると、嫌でも肩を自分の体へと近づけるようにして。瞼を目に押し付けることで小さく呼吸を口から繰り返した。でも、その後喉を押しこむようにしていたけど、そっちからは何も音が聞こえない。
それから、辺りの足が動かないのを感じつつ、私が最初に北川の方へと振り向いた。そっちでは、こっちよりも前にいる世古島やマナの間を通り抜けて腕を下ろしているそっちがめをぱっちりと開けた状態でこっちを見てたけど、両方の腕を地面と平行にするかのようにしたまま広場の中心へと向かう階段を一歩ずつ等間隔のペースで歩いてきてた。
それが終わって私と北川の目線がほぼ同じ高さになったくらいで、片方の手を腰に当ててそこで大きめの輪っかを作りながらもう片方の手の平を胸元と同じくらいの高さで立てることでまた口元をほころばせながら目を同じくらいの広さに広げて行っていた。
私の頭の中では、さっきの明るくて軽い抑揚のついた声出てたのがずっと脳内で繰り返し聞こえてて、それのせいでこっちは鼻を自分の意志で動かすことで体の中に空気を何度も取り込むようにしていた。
先端側にいる2人の少し前辺り、それらと同じ距離になるあたりでまっすぐに立つ北川。挨拶をこっちにしてくるポーズももう辞めたせいで、本当にそれだけの姿勢でいた。しかし、世古島はわずかに片方の足を前へと出すように立ったまま、両方の拳を握りしめるように。さらに、ハリーも私の真横へと歩いて来てた。そんなメンバーの様子全員をまとめるように視線を動かしてから、息を吸い込んで辺りを見回した。
「まっ、待てよ……」
僅かに足を動かすように前に出てから口をちょっとだけ開けて数歩歩く。でも、それで聞こえて来たのはわずかな足音だけで、それ以外には何も聞こえない。ただ、辺りからは顔が動いているのを空気越しに感じて、それのおかげで私は北川の方をまっすぐに見ていられた。
それに対して、向こうはすぐにこっちが足を止めるよりも早く口を動かし始めて、それと一緒に顔を上へと僅かに向けながらも、そのまま視線はこっちへと向けたまま。
「なんなら、全員まとめてやる? 私は全然いいけど」
その言葉だけを言うと、首を横に傾けることでこっちを見て来るようにしていて、それと共に、今度は他のメンバーがこっちに対して視線を向けて来る。それから私は、ハリーの方を見るようにしたけど、そっちと目が合った瞬間、向こうがわずかに首を縦に振るようにする。それから、終わった後も元の高さに戻らずにわずかに顔を傾けるようにしていた。
そんなハリーの姿を見ていた私は、そこで心臓へと空気を入れるように強く息を口から一度だけ吸いこむようにして、それを向こうがしたようにこっちも顔を動かして。それからもう一度北川の方を見たら、そっちでは頬の形を変えずに目を細くするような表情をしていて、目が合った瞬間にそれを辞めて元のぱっちりとた物に戻してた。
それの動きが止まったのを確認してから、滑らせるように足を一歩ずつ慎重に動かしていくと、それと共に砂利が動く音がして、その瞬間にそこを押しつぶしてから肩を張って北川に近づいた。
「北川……」
おでこを使って持ち上げることでそっちを見るようにすると、北川は首を横にかしげるだけで言葉を発することはなかった。それに対して、私はただ首を息を飲むように動かすことしかできなくて。それのせいで、辺りからは数秒間の間音が消える。その間私は数回呼吸を繰り返しながら胸元をそれに合わせて動かそうとするけど、今度は両方の手を握り直して、それと一緒に自分の体のうさ耳パーカーの中へと魔法で作り上げた光の粒子を集めようとしたけど、それもすぐにやめた。それからは、ただ手に力を込めているだけにした。
「あのさ、私」
一度、中の空気を飲み込むように喉を動かす。それから、1回世古島やハリーがいる方へと視線をもう一度向け直すと、そっちではさっきとほとんど様子が変わらない姿をしていて。そっちを見ている間も極力少なくするようにしてから、前へと、北川の方へと戻した。
そっち側の背中には、東雲らと一緒に乗ったりしていた銀色のエレベーターが幾度もの角をこっちへと見せつけている柱があった。ただ、それはこっち側の左右にある壁にある電球色の光すらもそっちには近づかない。銀色の塗装が上部から落っこちて来る影の色と混じり合うかのようであった。
そして、それの出入り口になっている踏切の所に、こっちから見たらそれの正面のような位置に北川が立ってた。それに、向こうはそっちに焦点を当てている間も動こうとするどことか、見た目がかすんでいる事すらもしなかった。
「……倉敷さんの話に乗ることにしたんだ」
出来るだけ口を動かさないような話し方でそれをつぶやくようにしている間。私の体のどこでもその揺れを感じることもなくて。その後も、両方の歯の中でも特に下側を押しこむような形で顎を下におろした。
しばらく床に落っこちているわずかな砂を見てから、もう一度北川の姿を確認すると、向こうではわずかにだんだん音を持ち上げるようにしながら頬を持ち上げて目を細めてる北川の姿がある。しかし、その声が止まったら、細く笑うような表情をしている物の、それと一緒に声は出てこないせいか、周囲からは何も聞こえて来ることはなかった。
その周囲の冷たい感覚をしばらく味わっていたせいか、私の喉も締め付けられていく感覚を味わい続けてしまって。それのせいでまた体が引き締まるように両方の脇を締めると、またお腹にある傷が余計に痛くなるのを感じてしまった。
「頼むよ……」
一旦歯を食いしばって目元に力を籠めているけど、そのままでいたら、向こうはただただ目を上の方へと持っていくような表情をしていて、そのまま私は途中で一度持ち上げるように声を出したけど、伸ばしていく間にだんだん消えてしまいそうなそれを出す間にお腹の痛みをまたさっきと同じように呼吸ですぐに整えていった。それはすぐ、口が閉じるよりもすぐに終わってた。
でも、そんなタイミングで、私が喉を締め付けている間に、北川が急に声を出しながら体を伸ばしだして。右手を左の二の腕に合わせるようにした状態で、背中を反りながら握りしめた手を天井へと向けていた。そして、それからそこで手を開いたり閉じたりを繰り返している。
それに対して私は、そんな光景を呼吸を吸い込むようにしながら見つめる。それから、口を閉じていたらだんだん喉が苦しくて周囲から空気がだんだん冷えて来るのを感じるけど、それに合わせて、両方の手を握りしめつつ、うさ耳パーカーの奥にいる制服のしわが私の体にも引っ掛かろうとしているのを感じ取った。
「そっか、ようし、そういうことなら、仕方ないか」
伸ばすのを辞めて体を元に戻すのと一緒に吐いた息と声の後、体をぐっと落っことした北川は、背筋を曲げて体をちょっとだけ前のめりにし、それと共に腰に両方の手をおいて笑みを作ってから言葉を発してた。その中身は、言葉を1つ1ついうたびに抑揚を変化させてるみたいで。最初はけっこう大き目だったのに対して、その後は息を吐きながら、それに続くのは最後まで一気に行ったと思ったらそこだけあげるようにしていて。最後は肩を落としながら息を吐くようにしてた。
それに対してこっちは、下側の唇を動かしてその中から何も感じることなく息を吐き出すようにしているし、そのタイミングで頬を少しだけ上に持ち上げるような形で、目の先端を持ち上げてた。
それから、北川は手はそのままにお腹の辺りを少しだけ持ち上げるように自分の中心へと両手を近づけていて。それもしばらくそのままにしてたと思ったら、その直後に視線を左右に動かしハリーや世古島の方を見ていた。その後、こっちに向けて手の平を伸ばしてくる。
「一緒に、東雲ぶっ倒そ」
最初は大きいと思ったけど、その直後にささやくような声の大きさにしてて。それから私は視線を北川の手に合わせる。そっちでは、私の両方の目で見てもその甲側しか見えないような場所で立ってて、それを見詰めていると、その出っ張った関節の様子が何もない場所と思ったけど、そっち側に世古島がいたのに気付いて、一度だけそっちを見たらその視線と目が合うけど、それ以降は特に表情も変えずにただただこっちを見ているだけだった。
それに対して私は口をそこまで力を籠めないようにしてじっと見つめてから、首を1回だけ動かして。もう一度北川に視線を戻して、それから向こうの手の平に自分のを合わせるようにする。しかし、私が力を籠めるよりも先に、向こうが勢いよくこっちのを握りしめてきて、そのタイミングで肌同士がぶつかり合う気前のいい音がしてた。
それから、また私の開いた口が横に広がるようになって、それから息を吐くようにしてたら、一気に腕をこっちに引っ張るようにしてきたら、私の方から体が一気に前のめりになり、それを北川の体が受け止めて来た。その瞬間に、こっちの顔が向こうの横を通り過ぎて。そのほんの数秒後に肩がぶつかるのを予見するけど、それよりも先に北川の口から本当に僅かな糸のような細い声で私の耳を突きさした。
「でもさ、その場しのぎって、よくないと私は思うけどな」
目線でそっちの顔を見ようとしたけど、そっちを見ようとした瞬間には、もう顔が通り過ぎてて、もう髪の毛しか見えてないと思ったら、そっちの手でこっちの肩と二の腕とをちょうど重なり合う辺りを支えられていた。
私は北川の背骨の奥側で手の平を前へと出すような形で、肘をまっすぐに伸ばしてたけど、だんだんそこを戻していくようにする。でも、そこに付いてる指は全体的に下へと向かって落っこちて行くようにしているだけで。力が籠って閉じられることもない。
しかし、互いに服を介して触れ合っている向こうの体が少し温かくなっているように感じたけど、だんだんそれもなくなっていくのを感じた。でも、その間、向こうが私の体に添えている手に力が入ることもなかった。
読了ありがとうございました。




