第48話
体が冷たくなるのと一緒におでこから手を離して、自分のお腹の前あたりで皿のような形にすると、そこに擦ったようでだんだん外側に向けて薄くなっていく血の跡があると思ったら、すぐに正面へと視線を向けると、ハリーがおでこから血を流し、それが線となって目同士の間を通ってから鼻の辺りで別れて、さらに口の横を通り過ぎていた。
そして、それは跡を作っているせいでしばらく見ていてもそれがなくなることはない。そして、手をそのままにしながら、私はただただ口を僅かに開けて目を震わせながら大きく開く。でも、それに対してハリーはただただこっち見て呼吸を繰り返している。それが終わるのは、首元を上に向けてこっちを見下ろすような視線で歯を僅かに見せるようにしていた時だった。口を数回動かすようにしている私は、マントの中で肘を自分の体にくっつけるようにしているだけで、目を左右へと動かすと、ジャンヌオルタの服がマントで隠れてしまいそうになっている。
でも、それから視線を戻そうとした途端に、頬に向けていきなりと言っていいほどのタイミングで拳がぶつかると、その勢いに押しこまれるみたいに顔が横を向くと、そっちには誰もないし、元の箇所に戻そうにも、そこが痛くて抑えてるせいで視線しか向かなかった。
「はっ、ハリィ……」
頬に片方の手を当てながらいるせいで、喋りにくいし、実際息をなんとか吐き出すくらいのペースで声を出した。喉を高くして吐き出すそれが辺りからいなくなると、他の音は何もしなくて。それに対してハリーは顎をこっちに近づけるようにしながら目線を鋭く向けていた。
それから、向こうがまたもう一度同じことをしてこようとして、それを見た瞬間目を大きく開こうとしたけど、同じタイミングで肩を回しながら上半身だけをそっちに向けることで両方の手を一気に伸ばしてハリーの腕を掴む。それから、2秒間くらいそのままでいようとしたけど、ハリーの歯を食いしばりながら目を大きく出すようにしている表情を見て、こっちも目を奥へと押し込むようにしてそこに電撃を放った。
そうすると、向こうは顔を大きく上へと向けながらもっと大きな声を出して。ただただ1つの悲鳴を発し続けるし、それは私が放つ電撃の音よりも大きく、私がまっすぐに肘を伸ばすことで、向こうはその握りしめた拳を上へと向けるようにさせられてしまっている。
それに対して、私は喉と顎を自然とそっちへと近づけそうになるし、目もどんどん泣きそうになってしまいそう。でも、大きな穴が開いたせいで外の空気が入り込んでいる靴の中にいる足に力を籠めることで、それを抑え込んだ。
「まだ始まったばっかりだろうが、そんなもんじゃねぇだろ!」
痛みに対する叫び声に負けないくらいの起きさで出されたその声に視線をそっちへと向けようとすると、片方の足を軸にして回し蹴りをされて、内臓が潰されそうなくらいの痛みと一緒に一気につばが飛び出して、そことお腹の傷を押さえながら、しゃがみこみつつ咳き込んだ。
でも、それでもハリーは一旦体のバランスを整えたタイミングで、またこっちにかかと落としをしようとして来てて、また、未だにおでこから血を流しているのに、そのままそれをしてこようとしているのを見てから、わずかに両方の腕を横へ広げるようにしながらも、手は胸の前にいさせるようにして視線だけをそっちへと向けるようにしたら、ジャージに包まれた股が割れているところがこっちにも見えるし、その向こう側に両方の腕が頭の少し上で握られているのが見えた。そして、その直後に、ハリーと目が合った。
その後、私の頭に振り下ろされたかかとが直撃すると、その瞬間に一気に口の中に籠っていた息と唾液が吐き出され、その瞬間に何度も繰り返しそこを咳き込続ける羽目になって、そのままの勢いで、正面に倒れ込んだ。
そうすると、うつ伏せになっているこっちの上の方で、ハリーがゆっくりと息を小さくした口から吐き出しているのが聞こえてきて、その瞬間に私の腕や足が重力に従って地面に押しこまれることでその肉を横に広げるのを感じる。そのまま、呼吸をしても胸元が動かないのを感じてたら、そのままわずかに浮かしてた頭も耳側からそっちへと落とす。
でも、それと一緒に、私が足元で床をえぐったことで出来上がっていた裂け目が見えて、それをじっと見つめていると、体の下の平たさを改めて感じ取り、それからまっすぐに体を伸ばして、特に両方の腕を目を閉じながらそこに力を込めて伸ばすと空を掴むことしかできない。と思ってもう一度だけ体を動かしたら、今度はその目的にしてた硬くまっすぐに伸びてたそれにこっちの手が届いて。それに気づいた瞬間、何度も口だけの呼吸を繰り返してたそこだけを閉じてから、腕を曲げてそれを押し込んだ。
それから、ハリーが私の掴んでいる方の足を曲げて肩膝立ちになるのは数分くらい経つか経たないかくらいのタイミングだった。それから、肩膝立ちのまま頭を下に向けたまま何度も肩で息を繰り返しているけど、その表情は重力で引っ張られている髪の影になっていて見ることが出来なかった。でも、それでもおでこから途中で別れる線を描いている血の跡と、顔全体に浮かび上がっている無数の汗はしっかりと見えている。それから、ずっとそのままでいるのを見つめてたら、私の頭もようやく床へと落っこちた。
そのまま、目を瞑りそうな感覚で瞼を重くしていると、ハリーの呼吸を繰り返しているのが聞こえてきて、そっちを見てみると仰向けのまま胸元が上下にずっと動き続けているのが見えてて、両方の腕を横へと広げて床の上に野放しにしているようであった。でも、しばらくそのままでいたと思ったら顎を上に向けているまま、声を出して笑い始めててその大きさが部屋中にこだまするみたいだった。でも、私が握りしめた足の箇所以外はずっと動いているし、部屋の壁を反響するよりも先に、また次の音が聞こえて来るみたいで、辺り全体をみわすように視線を動かす。
それから、私は両方の足を膝に曲げて、両方の腕を立てたけど肘を曲げたままに体を回転させて地面の上に背中を叩きつけてハリーの横に行った。
「ハリー……ありがとう……」
呼吸を優先させるかのようにして、その隙間に入れたり一緒に吐き出していく声。さらに、瞼にほとんど力を籠めない状態でそこを瞑る。そしたら、髪の毛の後ろ側でフードと擦れる音が聞こえて来るのと一緒に少しずつ光の温かさを感じながら、自分の体にうさ耳パーカーが乗っかって行くのを感じて、でも、靴は壊れたままで、そこから冷たい空気が入り込んでいく。
そうしている私の向こう側にいるハリーは一度の呼吸だけで吐き出すように何か言っているようだけど、その中身までは気にしないように。自分の瞼の後ろ側の真っ黒な姿はぎりぎり開いているそこからほんの少しだけ光が入り込んでいて、その周辺だけ白くなっている様になった。
「なぁ……聞かせてくれよ、あいつのこと……」
今までは何も聞かなかったようにしてたけど、口で呼吸しているそれを続けたままにその声が聞こえて来ると、私の方は両方の瞼を開いてくっきりと視界を見るようにする。それに対して、他の場所は何もなくて。ハリーの言葉が呼吸を通して自分の中に入って来るみたいに、体を膨らます。一旦唇を閉じて、特に下のを強く自分の側に押しこむようにするけど、横に広げている手をだんだん腰の方へと近づけていく。でも、それ同士をくっつけるまではいかないように、拳2個分くらいは開けたままにしておく。それを数秒間続けたままにしていたけど、またお腹に手を乗せたら、制服とパーカー越しでもそこに出来たまだ癒えてない傷の痛みを感じる。でも、それを何度も手にほとんど力を入れずに撫で続けた。
「……杏だ」
真っ直ぐに天上の何も見えない影になっているのをただただ見つめ続ける。それをずっと続けていようと思ったけど、まっすぐにそっちへと向けたその声を一度も呼吸を途中に挟まずに抑揚をつけないで出し終えた後。またそこの傷が痛みだして、片目を閉じながら片手に力込める。でも、それと一緒に聞こえて来たのは、私が歯を食いしばった音くらいで、それ以外の物は辺りから何もない。でも、すぐ後ろにはたくさんの、自分の足で作り上げたえぐれの左右に無数のがれきが転がったままになっている。
その様子を見ながら、一旦息を吸い込む。でも、それは始めた瞬間だけ吸い込んだのを聞こえたし感じたけど、それ以降は何もない。そのことに気づいた瞬間に、また私の方から言葉を話すのを始めた。
「私が、殺した友達」
両方の目を閉じながら自分の体に肩をくっつけるようにして。それに続いてる腕をお腹に巻き付ける。それと一緒に傷も当然のように動いて自分の体にその痛みを押し付けてくるみたいだった。でも、それも息が整っていくみたいにだんだんと戻していくと、そこから力も抜けて行ってただただ抱えるみたいに乗っけてるだけになった。
目線だけで横を見ると、ハリーの髪の毛があっちへ行ったりこっちを行ったりで癖をそのままにするかのように色んな方向へと向けて伸ばしたままになっていた。そして、それはほとんどが頭の上をまっすぐに落っこちて行っていたままほとんど隙間を開けずにいるため、その茶色がそのままに見えていた。そして、それを近い位置から私が先端側から見て行っている間も、呼吸を繰り返しているの以外では、何も動こうとはしない。
「お前も、あたしと同じだ。まだ、やり直せる」
こっちにギリギリ聞こえるくらいの音量でささやくように話しているその声は、だんだんとこっちに増えて来る足音を感じると、両方の腕をまっすぐに伸ばすことで、そっちを見たら、世古島とコアラたちがこっちに向けて正面から来てるのと、ハリーがいる側の道からマナがステップを踏むようにリズムよく階段を下りてきているのが見えた。
それを見てたら、私の真っ直ぐに貼ってた両方の手を曲げるようにすることで肩を落とし、それと一緒に重力で下の唇を少し広げるようにする。それから、顔の向きを僅かに下へと変えることで、追いついて来た世古島たちの姿を出迎えることになった。
そして、その後にハリーの方へと振り向くと、髪の毛の間から未だ血の跡と汗を残したまま息を繰り返したままだった。
「あたしらは、生きてんだからよ」
私がハリーの側にある方の片手に力を入れて起き上がってから、そっちへといつものペースで数歩だけ歩いて近づく。それから、膝に手を突きつつそっちに向けて手を出そうとしたら、それよりも先に、私の未だ指の第二関節より先がまだ外側を見せてる状態で、そこに拳を突きつけて、それと共に私の指が天井へ向くようになった。
そのタイミングで私は目を丸くして口を僅かに開くけど、その直後にハリーの口元が横に開いて動くのを見てたら私もすぐにさっきの尻餅をついてた時のそれと同じようにした。
私の顔の動きが終わったタイミングで、ハリーの方から軽い掛け声を出した後に、体を一気に持ち上げたら、胸を張るように動かして、それから自分の腰元に両方の握りこぶしを当てるようにしていた。
「終わった? じゃあ、次はあたしが腰抜けと戦う番だね」
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