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Lunatic  作者: コンテナ店子
第一部中編
47/216

第47話

今週末にboothで新刊が出ます。

そっちもよろしくお願いします。

 私たちが使っていた部屋がある方の通路ではなく、マナたちの部屋がある通路から広場の様子をじっと眺める。そっちでは、中央の一番下の階層になる場所でハリーがコアラと一緒にそこで立っている背中側が見える。わずかに下を見るようにしているハリーの後頭部が広く見えているけれど、それが動きそうになっていた時に、コアラが両方の手を拡げながら口を大きくして何かを喋っているようだが、その声は聞こえてくる一方で、小さくて中身までは聞き取れない。


 そんな様子を私は角を掴むようにして見つめていたけれど、コアラが話しだして数秒後くらいに体が動いて、顔を壁の前に持って行こうとする。それから、おでこをそこに当てていたら、その冷たさを自分でも実感させられるみたいだった。向こう側ではしばらくしたら向こうの声もだんだん聞こえなくなってきて。それと共にそこからおでこを離すことでそっちを見るようにすると、未だ2人は同じ姿勢のままいるようだった。それを私は目を僅かに大きくするように見たまま、呼吸をしにくくなってしまう。


 それから、2人から視界を反らすと、そっちの方で世古島が両方の膝の上に腕を置きながら背中を丸めつつ首を横へと向けてそっちを見つめていた。その顔には特にしわが出来上がっている訳でもなくて、こっちが見ている間、顔の向きもそのパーツの1つ1つも動かしていない。


 ハリーはというと、何度も両方の手で親指を握りしめるようにしているのを、数秒ごとに何度も繰り返していたが、その一方で足は全く動いていない。さらに、喉を何度も動かしているかのようにしていたから、そっちから視線を逸らすようにして体はそのままに顔だけを振り返らせると、その直後に私の肩の上に手を置かれて、わずかな重みに視線をそれが繋がっている腕を見つめることになった。


「しっかりな」


 口を横に広げたまま首を動かして話すマナの声聞いてから、息を飲む。その後、何回か口元を動かし続けることで、自分でも歯同士がぶつかり合う音を確かめる。そして、もう一度ポケットに入っているスマホを両手でしっかりと掴んでから取り出すと、横にあるボタンを押しこんでからわずかに口を開く。そして、昨日の夜にしたのとおんなじ操作をしてスクショをもう1回確認した。


「あっ、あぁ……よし……」


 マナの方を見ながら視線を1つ1つ確かめるみたいに声を出して。肩から腕を上下に動かして呼吸に合わせる。さらに鼻から息を一旦吐いてから体を立てて。それから、両方の手に握りこぶしを作ることでそこに力を込めた。その後、少し壁から離れてハリーの方を見直した。


 そのまま、上唇に下唇を押し込むようにしたまま、顎を自分の体の側へと近づけるようにする。そのまま、正面に集まっている世古島たちやその仲間や野次馬を見ていると、目を強くつむりながら心臓が小さくなるのを感じた。


 でも、それでも、何度も顔を左右に振ってから、髪の毛を乱して、それからそこを正面に向け直した。


「……行ってくる」


 その言葉と共に、一瞬だけマナの方を見たけど、すぐに元に視線を戻す。それから、歯を強く噛み締めつつ頭を下げることで、握りしめた両手を一気に上へと持っていくと、ほんのわずかに熱くなる痛みを頬で感じた瞬間、自身の体を震わせるように背中の曲がりと両方の腕を一気に降ろした。


 それが終わったと思った次の瞬間には、青と白が混じり合うような光の向こう側にハリーの眉のあたりにしわを多く作っている表情が目の前にあった。それと視線がぶつかった瞬間、1回だけ息を飲んで、目を開こうとしたけど、それよりも早く1歩だけ足を前に出すことでそこに力を籠める。それから、歯に力を込めておでこを前に出しながらハリーの方をじっと見つめた。


 向こうでは、私が光の中から出てくるのと一緒に、コアラが肩の前に手を出しながら滑らせるように1歩ずつ後ろへと下がっていくけれど、それに対してハリーはその場で口元を僅かに動かすことで体を前のめりにしている。そっちを見ていると、私は頭に両手を持って行きそうになって。でも、背筋をえびそりにするような形で動かして前を見るようにした。


 私が作り出した電撃の音が消えて、周囲から音がなくなったと思った瞬間、ハリーの口元が一瞬だけ息が溢れるように動いた瞬間、最初の言葉が出て来るの予感して。私ももう一度だけ目を閉じた。


「来たな」


「問おう! お前が、私のマスターか!」


 声を限界まで出すようにしながら、口を開いたのに合わせて顔を縦へと伸ばすようにし、さらには、両方の手を握りしめながら下におろした。そして、それに合わせて、髪の毛を僅かに浮かすかのようにすることでその熱さを感じ取ると、一度下げていた顔を正面、ハリーがいる方へと向ける。それから、周囲の寒さを感じ取る前に足元へと作り上げた魔法陣を素早く回転させて、自分の胸の前で両方の腕を重ねることで、袖が重力に従って手の全体が現れた瞬間、足の下から来る光をどんどん強めて行って。


 すぐにハリーたちの様子を見えないようにした瞬間、電気の力でうさ耳パーカーのボタンが上から順番に外れていくと、中に着ていた制服を自身の体を覆う光の粒子へと変化させていくと、中に着てたネグリジェの感覚以外が周囲からなくなる。でも、それを光に残した魔力へと、スクショを何度も確認したジャンヌオルタのドレスのヴィジョンを送り続けた。それにより、肌に突き刺さる外の空気がお腹と背中全体に広がっていくけど、すぐにうさ耳パーカーがその丈を伸ばすことで私の足元まで伸びるマントにすることでその後者側はある程度軽減。さらに、私の擦り傷たちを足元は包帯で、腕側は指の所だけ穴が開いたロングストッキンググローブで覆った。


 それで出来上がった格好を左右の腕を胸の前で曲げるようにすることで確認。そこに出来た黒に近い紫色のそれを眺めてたから、星の形のボタンで変形したうさ耳パーカーが止まると、魔法陣から出ていた風が止まったので、腕を横へと突き出すみたいに動かしてから、首を動かしてフードが奥へと入り込むのを感じてから、数歩歩き、歯を噛み締めた。


「私に挑もうとする者、そこにいるか……私は、魔女、アヴェンジャーのルナティック! この世の全てに虐げられてきたこの身に積もり続けた炎、今裁きの雷として貴様らの全てを焼き尽くそう!」


 右目の前にまっすぐに伸ばした右側の指を置き、さらにそれ以外の左に並ぶ3本の指を出来るだけそれと同じ傾きになるような位置で並べる。さらに、手の平を口元にそろえるようにして。それのせいで、視界はほとんど私の右手で埋め尽くされるし、それ以外の見えている場所もかすんで行くように。それに対して、息を吸い込むようにしてから口を紡ぐ。


「……おい」


 ハリーのわずかな低い声を、周囲の電撃の音が消えたタイミングで聞いてから。私は腰を僅かに落とすことで、スカートが自分の太ももと膝を擦るようになって、それから全体の爪を立てるようにすることで体全体に力を籠めるようにする。その直後に両方の目の横辺りを汗が滑って行くのを感じて、顎を顔の方へと近づけるのを感じる。でも、ハリーの方をじっと見て、そのシャツにたくさんできている灰色の汚れを追っていく。


 周囲を目線だけで確認すると、世古島はいまだ両方の腕を組みながら長いスカートに包まれた両方の膝を立てるようにしているだけ。わずかに瞼が少し動くこともあるけど、それだけで。それ以外には私とハリーの間辺りを見ている目も筋肉を服の上から露わにしているかのようにしている体にも変化はなかった。


 私の体の後ろで広がってるうさ耳パーカーのマントが隠れている部分も含めて、ジャンヌオルタのドレスに守られている箇所以外には、コンクリートから来る冷たい感覚が空気を挟んで入り込んでいる。しかし、先ほどの口上で口を大きく動かしたせいか喉が痛くなるのを感じている間、体を少し前のめりにするけど、その間もハリーから目線は反らさない。


「死ぬ、準備は出来たか」


 声を最初だけ出してから、息を少しずつ吐いていくようにしていると、今度はしっかりとその芯を通すように首を上へと向けて先頭の音を大きくする。それから、ハリーの顔に出来た肌のしわやその荒れ、そして目元に出来た影の辺りを改めてみる。それと一緒に、唇が震えるのを力を込めて抑える。さらに、その中で呼吸が行ったり来たりを繰り返して、それのせいで喉が苦しくなるのを感じて、腕の辺りで雷の熱さを集中させていった。


 それから、その音が自分の耳でわずかに聞こえるのを感じたけど、私のシューズが床の上を擦れるのを感じた瞬間から、その辺りの色が変化させていった。


「おままごとはもう終わりか」


「私は本気だ」


 向こうが言い終わるよりも前に、そう思ったけど、結果的にはギリギリそれが出来たくらいのタイミングで口を開いて。そのタイミングでは一瞬だけ背中を元に戻そうとしたけど、それが完全にまっすぐになる前に、顔を左右に振ることで元に戻そうとした。実際問題、それも上手く行って、ハリーが両方の手を握りしめながらこっちに来ているのに対して、私は腰を落としたまま体を前のめりにしてた。


 そして、最後に足の裏辺りに力を籠める前にいったん止まる。もちろん、心臓が小さくなっているような感覚も忘れられない。しかし、それでも、ハリーや他の周囲の人が私を見続けている様子を目だけを動かしていくことで見ているだけで。口からまた言葉にならないような声だけが出そうだった。それに、それと一緒にまた足が後ろに下がりそうだった。でも、また目に力を限界まで込めて、その場で踏みとどまった。


「我が復讐の炎! この身の中で自らを焼き尽くすのみでは終われはしない! さぁ、我が憎悪の具象、その身で味わってみるがいい!」


 広場の中央よりもこっちに来てるハリーとは反対側の方に肘を引いてから一気に足で地面を蹴り飛ばして。それと一緒にそのまま前のめりになると、靴が床をえぐり始めてそれでとんだ砂と砂利が私の視界にも入り込んだ瞬間、その奥にハリーの姿があると思ったのに、その直後にはもう目の前に色までもしっかりと自分の視界にもわかるようになっていて。それは髪の毛やフードがまっすぐに飛んでいくのに合わせてたなびいて、私の体に引っ掛かることで何とか追いついていたせいか、視線がハリーからズレていたせいだった。


 ぶつかるよりも1,2秒前くらいに両方の腕を一気に前に出すことで、その肩の硬い所を掴み、それからまた地面に足を突こうとしたけど、その瞬間に触れ合った爪先の所が割れたせいでそこに冷たい空気が一気に入り込む。それから、閉じる直前くらいまで細くした目のままおでこをぶつかる直前にまでやって来る。


 それから、ハリーもほとんど同じような目線をしているのに気付いたら、その直後には向こうは頭を後ろに向けるようにして、その後すぐにもう頭をぶつけて来ようとしているのに気付いて、こっちも目を瞑りながらも、かかとを持ち上げた足に力を込めて押しこもうとしたら、向こうも左右の足を前と後ろにする様に地面へと付けて、膝を曲げて強い力を込めているようだった。


 喉からただただ出すような大きな掛け声と一緒に頭突きをこっちに仕掛けて来たけど、それよりも先に私も電気を体に込めることで素早く頭をぶつけたら、それだけでこっちの脳にも骨を介して振動が一気にやって来てそこが前後におかしくなるくらいに揺れ続ける。それを少しでも減らしたくて、おでこに両手を当てようとしたら、そこにドロリとした熱い感覚があって、一気に背筋が冷たくなるのを感じた。

読了ありがとうございます。

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