第44話
北川が実はお気に入りのキャラです。
流那より好きかもです。
それに対して、ハリーは舌打ちをしながら首だけどっちでもない場所を向けていて。その後は真っ直ぐに立ったまま、首だけを下に向けて北川の方をにらみつけていた。その後、そっちは近づいていた足を止めようと一度だけしてたけど、それもほんの一瞬だけだった。
「お前はごちゃごちゃしゃべりすぎなんだよ、そんなもん、何の意味もねぇ」
やっと声を出したハリーは足だけを動かす早歩きで斜め横にずれると、その後はポケットに手を入れて私や北川の横を歩いて行こうとしている。それを見て、北川は、上から下に落とす伸ばすような声を出して、体を伸ばしていた。ただ、それが終わると共に、大きく息を吐きながら肩を落とすと、目を開きながら両手を裏返しで組んでそこと腕を伸ばしつつ通り過ぎたハリーの方へと振り返っていた。
「てめぇはどこまで来たってあたしらみたいにはなれねぇよ」
上半身だけ回転させている北川に対して、ハリーは振り返るどころか、私たちの部屋がある方の通路へと進んで行こうとするだけだった。それに対して、北川は首だけを回して横を見ている形に。それから腰に手を当てて背中を反るようにしているだけだった。
ただ、その足跡が消えてなくなってドアが閉まる音が聞こえたような気がしたころ、私がおでこに手の平を当てようとした瞬間、北川が「よし」と明るい声を上げながら首を一旦動かしてから、振り返って私の方へと視線を送る。しかし、その表情は、目を細めるようにしながら、それと同じように頬を使って口を横に広げているようだった。
そんな姿を見てからその場で座り込みそうになっていたのを、ただただ私はおでこと足に力を込めてそれらの関節を内側に寄せるようにすることで何とか立っているのを保ち続けていた。
「また、次こそはちゃんとやろう、決着まで」
それから、まっすぐに歩き始めようとした北川のせいもあって、広場には私一人が残りそうになったタイミングで、私は膝が落っこちそうになって、視界の隅でぼやけている場所にいる向こうが、そのままでいたのをしばらく見てから、重力に従ってそこへと膝を落っことすと、スカートを滑って出た膝がその冷たくて砂が小刻みに落っこちているのを感じさせられて、それは傷が出来ている個所も例外ではなかった。
「なんで、こんなこと、しなきゃいけないんだよぉ……」
その声は、ようやく首の中から息と一緒にひねり出すようにするような声であったけど、その瞬間、壁を反響して聞こえてきた音がしたのに気付いた次の瞬間に、遠くで聞こえて来た足音が止まって。それと同じタイミングで自分の体を引き締めるようにするけど、その後に声が聞こえて来たのは、その数秒後のことだった。
「そうは言うけどさ、だったら私に死ねっての」
その言葉と一緒に、どんどん足を進めていく北川がこっちに近づいてきてるけど、首を少し上に向けるようにしてこっちのすぐ横に立っている。でも、その後にいったん止まった後の言葉を続けてた。それから、数秒間私も向こうも全く動かないでいたけど、先に向こうの方から足を動かして一度往復した道を元へと戻ろうとしていた。でも、それに対してわたしはただただその場にいるだけで。向こうはそのまま通路の影へと消えて行こうとしていた。
「まぁいいや、まずはハリーでもいいし」
少しだけ口を閉じた状態で声を出していた北川の声が聞こえたと思ったけど、その瞬間に私が床に向かって体も倒すことになった。そして、その後にわずかな北川の声が聞こえて来たと思ったけどその直後に聞こえてきた足音はもう聞こえなくなるまで何も変化はない。
その瞬間に、私は顔に腕を擦り付けるようにして何度も動かし続ける。そうしているけど、辺りからは何も聞こえてこなくて。そのままそうしていようと思った。少しずつどんどん顔に籠って来る熱さが増すのが高まり続けて、それが抑えられなくなると、両方の手の平が滑るように掴まれてきて、限界までそこに力が籠ると、背中が震えるように動いて。どんどん音だけは小さい物の声が抑えられないように溢れ続けて来てしまう。息を吸い込もうとするとそれが喉に当たるのに、でも辞められなくて、どんどんそれを早くしながら、頬を滑る冷たい涙が、そこにようやく差し掛かった辺りでしずくとなり垂れ下がってしまう。そして、数秒後には地面に向かって落っこちて行った。
それなのに、それの十数分後には、どこからか足音をして、顔がそっちへ行こうとしたのを両方の腕で抑え込もうとした。
メアリーから受け取ったスマホが私の顔を照らしていて、それのせいで周囲の中唯一私の体の中でも胸元より上の辺りだけが光っている様になっていた。しかし、そっちを見てから視線をまた画面へと戻しても、その後に、スリープに戻してしばらく体を完全にベッドに投げてから目線を元に戻しても、消灯時間の三分前を表示しているそのロック画面は変わらないまま。それから、ため息をついて瞼を少しだけ落として目を細めた時に、ようやく1つだけ数字が進んだ。
その間、周囲では何も音がしなくて、スマホの向こう側でぼやけながらも見えているハリーのベッドは未だブランケットがめくれている内側だけがこっちにくっきりと見えている。そして、そっちには私のスマホが照らしている箇所はこっち側だけなせいで、そっちにはほとんど光が届いていないせいか、そのしわの奥深くにより暗い箇所が出来上がってしまっていた。
それからも、幾度も呼吸に合わせるように体を上下に動かしているけど、それでも、また時間と分だけを映した時計のロック画面は一向に動こうとしない。その上に、私の顎が自分の体へとまた少しだけ近づいて、それに合わせてベッドが擦れるように動くことで、低い音を立てたままだった。そして、それのせいで私の顔から白い光を放っていたスマホが少し上の方へと向かうようになってしまう。それから、お腹からその横の辺りでベッドの上に落っこちている腕をじっと見つめた。普段は中に着ているシャツの袖が届いていない箇所は、たくさんの細かい傷跡が未だに出来ていて、そこが赤と黒が混じり合ったかさぶたになっていた。
部屋のドアへと向かいながら歩いていくと、腰がわずかに下がってしまう上に、両方の肩を同じようにするかに腕を横へと広げる。それから、口を少しだけ長方形に近づけるみたいに開けて、そのまま一歩ずつ進めながらそっちに行こうとして、それからドアに体を張り付けさせることで、その冷たさを実感させられる。正面からくっつくような形でいる私に対して、ドアは何も動くことすらなくただただその場にいるだけ。
それから、一旦息を吐いて、その冷たさを感じてからドアノブを落とすことで、おでこを使ってドアを押しこむ。それから、少しだけ遠くに光が見えている廊下に入るけど、私はただスマホの灯りをお腹とドアの間で付けてから、体をそこから離す。
それから、自分の胸の前あたりでスマホを構えながら立っていると、広場がある左側にそれを向けた瞬間に、等間隔で並んだ灯りで3つほど離れた箇所で、わずかに真っ黒になった塊が通路の角に落っこちている様に見えていた。
それを私はスマホを反対側の床側の角へと向けるようにしながら目を縦に伸ばすような表情をしそうに。歯もそれに合わせて上へと持っていくような感じになると、唇もそれに合わさった。ただ、それでも、向こう側の形が変わる様子もないせいで、今度はそれを逆に動かしてから、そっちへと少しずつ近づいて行った。
その足取りは、呼吸に合わせて左右へ動かすように、かなりゆっくりになってしまっているように感じるけど、その度に足の裏に力を籠めるようにしながら少しずつそれを前に進めていくことで、相手の斜め前辺りに来た時に、少しだけ私の位置を後ろに戻そうとする。しかし、それと一緒に、ハリーが体育座りをしている膝の方へと向けていた頭を、髪の毛をほとんど動かさないで、目だけを出すようにしてこっちを見て来たから、思ったよりも大きく一歩足が後ろに下がってしまった。
それから、片方の腕をそっちへとむけつつ、そのまま肘を真横へと向けるように。さらに、目線を左右へと動かしながら、一度口を閉じているけど、その後、そこを開けて呼吸を吐き出す。でも、喉を強く締め付けるように目を瞑ってから息を吐いたら、それに合わせて腕も脇との間を拡げて。それを戻した途端に、目線を私が立っているせいで見下ろすような形で口を動かし始めた。
「ハリー……」
それから、目線をそこから外して、ハリーがいない側の角へと目線を向けると、指がわずかに動いてスマホを持っている側の手の親指が、電源ボタンと触れ合う。その段差を乗り越えるくらいで、後はただただ親指の腹でなでるかのように動かすくらいだった。
その一方で、ハリーは鼻を腕の上に乗っけるようにしながら、髪の毛を自分の顔の前に落っことすようなポーズのまま、細くした目を私が向けている方と同じ場所を見ていた。ただ、私たちがいるのはどっちも灯りが照らしていない場所だと思ったけど、そっちから視線を戻してただただ下を見るようにしたら、私の後ろへと下がっている方の足がまた一歩後ろに向かっていた。
「なんだよ、部屋に帰れ」
低い声を出したと思ったら、言葉がそのまま進んでいく気がしたけど、語尾のタイミングで少しだけ大きくなった上に、上に上がっていた。それに対して、私はおでこを下に向けたまま、目を閉じたら、指の関節を下へと向けている四本のそれで親指を握りしめる。しかし、それらが一秒ごとにちょっとだけ力が抜けてまた入れ直してを繰り返すかのように震えてしまっていた。
でも、周囲からは全く音はしなくて。ただただ私の喉から溢れて来る意味もない音が通路全体に響き渡るみたいだった。それなのに、私の手の平へと突き刺さる8本の指はただただ手に籠る力に合わせて痛みを訴えかけて来るだけ。それをずっと続けてるのに、肩を自分の体に近づけるように引っ張った。
「なんで、なんでなんだよ、本当に……」
一度出しにくくて声が上づってしまった後に、もう一度言い直すと、まだ声の高さは変わらなくて。だんだん声を小さくしていき、最後のが消えてなくなろうとする前に、向こうがまっすぐな声を重ねて来た。
でも、それに合わせて私の目を開こうとしたのに、向こうはただただ同じ姿勢のまま。こっちは肩を落とそうとしたけど、それを頑張ってそのままにしてた。
「そんなの、全部お前のせいだろ」
「私にどうしろってんだよ……」
私もハリーの籠ったような言葉が消えて聞こえなくなったと思ったタイミングで、喉に力を込めて引っ張り出すようにして声を出す。一度止めた時に、息を一旦吸い込んでからまた声を出し直した。
ただ、それでも私が、声を出した後、また周囲から音が消えて。それのせいで、だんだん私の背中が曲がって行って、膝もそれに合わせて曲がっていく。
「頼むよ……だって……」
数回口から呼吸を繰り返すことで、出来るだけそこから音を立てないようにするけど、そんなのなんの意味もなくて、溢れるように口から声が出たら、すぐに止めようとしたけど、でも、心臓が締め付けられたと思った瞬間に続きの声が出てしまった。
「ハリーが、私に、勝てるわけ、ない、だろ……!」
読了ありがとうございます。




