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Lunatic  作者: コンテナ店子
第一部中編
43/216

第43話

 ずっと同じように、私の足取りが左右へと蛇みたいになるようにさせられながら、服を引っ張られ続けるせいで体がかなり前のめりになってしまって、その後ハリーが投げ捨てるように手を離したせいで両手を回してバランスをなんとか保とうとしたけど、そんなの全然意味なくて、砂が転がっている床の上で思い切りすべるせいで、擦りむいた傷が血の跡を線をそこに作っていた。


 その辺りも抑えるようにしたいけど、お腹の傷の方がもっと痛くて、その場で左側の肩と体側を上へと向けるようにしてうずくまる。でも、その瞬間に背中を蹴り飛ばされて、またお腹に激痛が入り込んで、口から細かな唾液が溢れた。それがなくなった後も、呼吸を何度も繰り返すせいで、体を起こそうにもすぐに地面に立てた腕が曲がってしまう。そのせいで、その瞬間に体が地面にぶつかってまた体に出来た傷が私にその存在を訴えて来る。


 でも、それも後ろから聞こえてくる砂が擦れる足音のせいで、一気に意識がそっちに向けられて、また呼吸を強く吸い込む。でも、そっちにいるハリーの足音はすぐに止まって。でも、こっちはまだ呼吸が止まったままで。そのつもりだったのに、また服を引っ張られると、瞼を僅かに開けながら歯を食いしばって、でも、そのままハリーの力に従うしかなかった。


「おい! そんなことしてる場合じゃねぇ!」


 大きな声が耳元でしたせいでそこを押さえたかったけど、腕に全然力が入らなくて。眼を強く瞑ってそのつもりになるくらいしかできなかった。その一方で、ハリーはそのままでいて、私のうさ耳パーカーに出来たしわがこっちの体に突き刺さるけど、その一方でそれによって外側へ浮き出た部分は私の体から離れてた。


 それからなんども喉を開こうとするけど、その度にそこを呼吸が通ろうとする上に、何とか強くそれを吐き出そうとして、体がこわばるように動く。そしたら、心臓が早めに鼓動を立てるのを繰り返し続けて、それに私の体も反応するように口の中の空気を飲み込むように動かした。そして、その後周囲から音が聞こえなくなった時に、何度も音を立てないように呼吸を繰り返して、それが自分の中でも感じなくなってから声を出す。


「なんで、もうほっといてくれよ……」


 喉が震えるのに合わせて、また体温が目元に集まって来るのを感じる。その瞬間に、また一旦体が持ち上げられると、一瞬だけ体が自由になったけど、その時に私がしたことと言えば、重量に従う事だけで、その後にはハリーがまた私の胸元に握りこぶしを叩きつけられると、その瞬間、それと同じものが頬にもたたきつけられて脳が低い音を立てるようになった。そして、それはしばらくの間、その音が響き続けるみたいに私の頭の中で残り続ける。


 それが苦しくて、頭を下に向けて自分のとハリーの胸同士が重なり合う箇所を見るけど、そこでは向こうの灰色のシャツとこっちのこっちのパーカーが見える。でもこっちのの体との間には、もう一枚のTシャツがあった。ただ、そっちは上のに軽く引っ張られるくらいで、ほとんどしわは出来上がってない。


「いちいち生意気なんだよお前は! あたしや……」


 一度何度も呼吸を口から繰り返しながら肩も動かす。でも、その瞬間に瞼を下ろしながらそこを震わせてたこっちの視線からそれを反らしてきて。それを見てたら、歯を食いしばりながらそこからわずかな音を立てるようにしていた。ただ、その間もそのわずかな隙間から音を鳴らすようにしている。


 一方で私は、喉を鳴らすようにしてその間を無理矢理通すように小刻みで呼吸を繰り返す。でも、お腹の前で腕同士を上下に重ねるようにして、脇を強く締めている私に対して、ハリーは今も右側の手で胸倉をつかみながらもう片方の手を大きく横に広げて拳を握りしめていた。そして、それらもその方の動きと同じように制止させられているせいで、こっちのパーカーもそれを受け取っているようだった。


「姉御の事、何だと思ってんだよ!」


 息や唾液を吹き飛ばすくらいの勢いで最初に発せられたその声だったけど、一度止まった時に、数回呼吸を繰り返しているハリー。その瞬間に、また体温が目元に集まり続けてるのに、目を大きく開いてしまう私は一気に背筋がまっすぐになって、顔もそっちへと向けられるけど、でも、そっちでハリーが頭を明後日の方向に向けていた。


 そっちを見ると、その足元で地面に付いた片手を軸にして体を回してる北川がそれと共に足払いをして、目を強く瞑りながら尻もちをついてるハリーに対して、ゆっくりと立ち上がりながら頬を持ち上げている。それに合わせて、目を細めるようにしつつも、口元を開かない。なのに、ハリーは舌打ちをしながら体を下ろしたまま目を細める鋭い視線でそっちの方を見ていた。


「そう言うけどさ、あんたも、腰抜けとやってること、一緒じゃん」


 普段からはきはき話す北川が抑揚をいつも以上に付けながら、腰に手を当てて背中を丸めることでハリーの方を見ている。それに気づいた瞬間、そっちも素早く手を正面側の床へと這うように動かしていくと、腕を前についてからその勢いのままに飛び出す。


 それに対して北川はステップを踏んで後ろに下がろうとするけど、全く間に合ってなくて、頭突きを真に受けているけど、それと一緒に左目を強く瞑るようにして、その瞬間に一度勢いを付けるように持ち上げてから、相手の腰元を腕で掴んだまま、そこに膝蹴りを決めていた。


 その瞬間、ハリーは低い声を腹から一度だけ出すけど、その後は喉元でわずかに音を立てるようにしているだけで。その直後に両腕を曲げた状態で敵の体に手の平を当てると、力を込めて押し倒した。


「さっすが、お前らみたいなのはすぐ暴力に訴えようとするよね」


 床にぶつけた尻をさすりながら、今度はゆっくりと話しながらも、まっすぐに声を出していったと思ったけど、最後の方は一気に持ち上げるようにしていた。さらに、歯を見せているとは言っても、鼻から一旦息を放つように。


 その一方で、ハリーの方は三転着地みたいな姿勢で眉間の辺りにしわをまとめるようにしている。しかし、それも数秒間の間だけで、すぐに体を起こしながらも、すぐに元へと戻っていた。


 そんな姿を見ていた私は、軽くため息をつきながら自分の体を見ると、そのタイミングで手を強く握りしめようとするけど、そのせいでまた身体中の傷が存在を主張してきた。でも、それでも、2人がじっと見つめ合っているせいで周囲から音が全くしない様子を見ていると、目の開き具合を変えることはないが、それでもその辺りにしわを限界まで集めて行った。


「あの……あの……」


 私がそっちに向けて手を出しながら目を瞑りそうになるけど、向こうはどっちもただただまっすぐに立ったまま両方の手を握りしめているだけで。ハリーは片足を前に出して、顎を下に向けるようにしながら、歯を噛み締めてにらみつけているけど、北川はわずかに腕を拡げるようにしながら頭を持ち上げて敵の事を見下ろすようにしてまっすぐに立つ。


 それ等の姿を見てるだけで、また目の我慢が限界を迎えそうになるけど、それでも、自分で自分の傷を押し込むようにしながら体が前のめりになった状態でいることで、数歩足が遅れるように動く。そして、その姿勢のまま顔を上げてそっちを見る。すぐに話し始めたかったけど、体の痛みに歯を食いしばることで、膝を曲げながらそっちに重心を乗せるようにした。


「私が悪いなら、謝るよ……」


 息を吐きながらだんだん小さく、震わせるようにしながら声を出すのが終わってから。苦しくしていたのを解放するかのように声を出す。でも、正面にいるハリーと北川はさっきの向かい合う様子から変化が一切なくて。それどころか、前者は体をよりこわばらせるようにして腰を落としていたし、後者もその首をもう一度位置を整えるようにしながらその笑みを作り直していた。


 そして、それから十秒もしない間に、北川の方から腰のあたりに当ててた手をズボンのポケットの入り口へと合わせるようにしながら、こっちへと振り向いて来た。


「私はいいけど、でも、だったら私の勝ちってことでいいよね」


 それだけ言ってから、そっちは首を肩の上で転がすようにしてこっちを見てた視線を戻す。そして、それから言葉を発するよりも前に数秒間間が合ったから、その間に、一旦崩した口元をまた元に戻して怪しい笑みを再びしていた。その一方、ハリーは数歩大股になるように足を近づけていく。さらに、そのタイミングで肩を動かすようにしていた。


「って、姉御に伝えてくれるかな」


 でも、その瞬間に、一瞬だけハリーの足が止まったと思ったら、そのタイミングでまた動き出すのに気付いて、それよりも早く私が少し大きめな声で体を前にだす。


「そういうの、やめてくれよ」


「あのさぁ、私、割と腰抜けにキレてんの」


 私だってそれなりに大きな声を出したつもりだったのに、それよりも大きな声で首を動かしながら。それに対して私が唇同士を押し付けていると、その後は普通のペースで言葉を発し始めた。


 でも、体もそうだし、視線もそっちはずっとハリーの方を向けたままにしてて。少しだけかかとをつま先立ちにしてて、跳ねるようにしてたけど、ハリーはただただ両方の手を握りしめながら肩を前に出すようにしているだけだった。


「ほんとはさ、感謝したいんだけど。私さ、あんたらとはもう全然想像もつかないようなところから来たんだよね。だって、逆がそうだから。あんたらみたいなのが実在するなんて、想像もしなかった」


 わざとそれぞれの言葉の語尾だけを強く抑揚を付けてる声をだしてて、その間ずっと飛び跳ねるように屈伸してた北川。それを辞めたのは、最後の言葉を言い終えた後だった。それから、次の言葉が出るまでの数秒間、その姿は脇を開けるように両腕を自身の斜め下左右に拡げるようにするけど、それによって腰を落とした様子がハリーよりも下に行ってた。


「でも、あんたらのこと見てて……やっと、目が覚めたんだよね」


 ずっと部屋全体でも聞こえてるだろうくらいの大きさだったのに、そこだけは声を潜めるかのようなくらいの大きさで、私の方へもようやく聞こえてくるくらいだった。言い終わった後も、鼻からゆっくりと息を出したままでいるその姿は、体に出来ている角をくっきりとさせるかのよう。


「ハリー、お前もそうだろ」


 その言葉と一緒に、体を落としてたのを元に戻して、脇を軽く締めて、肘までを体に合わせるように。その恰好のまま北川は首を上下に動かすようにしながら話して行ってた。その声は、さっき自分語りをしてた時よりも大きくしてて。その後も体を僅かに斜めにしながら話しかけた方へと向けていた。



読了ありがとうございます

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