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Lunatic  作者: コンテナ店子
第一部中編
42/216

第42話

 両手とお尻を床に着けた状態で左右を見渡すように視線を動かすけど、私の折りたたむようにして床に落っことしている膝同士が重なっている光景しか見えなくて。でも、それと共にその場所が影になっていくのを見ていたら、だんだんそこが暗くなっていくのを感じ取って。すぐにそっちへと振り向きたくなったけど、目の前にある向こうの足元を見ていると、斜め下の地面の方へと視線を向けたくなってしまった。それに対して、向こうはただただそこに立っているだけで。その光景を眺めていたら歯を噛み締めるように数回動かして。そこを空気が通れなくて喉が苦しくなる。


 それのせいもあって瞼が少しずつ下げるように動かすことになるけど、そこにしわを作ることも出来なくて、上の唇を使ってしたのを覆うようにする。そのまま、少しずつ瞼が勝手に私の目を押し込むようにして来るのを感じてると、そのまま瞑りそうになって。でも、下唇が左右に擦れるのを感じてたら、そのままでいたいけど、でも、その瞬間に私の首元に硬くて尖った物が押しこまれたと思った瞬間、頭から考えてた2つのが一瞬で消し飛んで、戻ってきたのは片方だけ。


 自分の首元に当てられたのがハリーの握り拳で、その場所に私の服が引っ掻けられてて、それのせいで背中と胸元の外側が締め付けられてて。目の前にいるハリーの顔が近すぎて私の両手の甲が自分の胸元に当てられるようになってた。そのまま目を薄くしながらおでこを前に出すように。でも、それでもハリーは顔を暗くするようにしながら目をじっとこっちへと向けていた。


 でも、喉が苦しくなるのを感じて、なのに口を開けられなかったけど、私のすぐそばでハリーが大きな声を出してきたのが耳に押し付けられた途端、それが押し出されるみたいになって、それで口の中で勢い良く息が出されるのを感じ取ってしまうけど、それでもハリーが真正面にいる顔をどけようとしない。


 ただ、それも一瞬の事で、すぐにいなくなって。それと一緒に目も口も開いて、ただ正面を見つめるようにするけど、そっちにいるハリーは前のめりになってた状態から元に戻るようにする。ただただその後すぐに息を口から数回して呼吸を整えると、おでこに両方の手の平を押し込むようにしていた。


「あのさ、私もいるんだけど」


 そうしてる間に、最初はかなりゆっくり、1文字1文字を丁寧に表現するようにしていた声で、その後は、少し早口気味に北川が喋っていて、そっちを首だけを上に向けてみると顔を少しだけ傾けながらも両方の手を腰に当ててて、そのまま目をしっかりと開けている。しかし、それに対してハリーはほんの少しだけ肩をそっちへと向けるようにしながら立ってて。その数秒後に舌打ちをしながら一瞬だけ視線を逸らす。


 一方で私は、どちらもを見るように視線を動かそうとするけど、でも、両手を少し出して喉を開こうとすると、それでも、服に出来たしわが少し戻るようにして私の体に張り付いた上に、そのせいでまたお腹に出来た傷が痛みを発してきたせいで、そこを抑えながら目を閉じる。そのまま視線を下に向けたまま、2人の方へと頭を向けたままにした。


「飯、どうしてくれんの」


 その言葉はいつもの北川の物よりも明らかに低くなってて。喋るペースはさっきと同じように最初の言葉を強調するようにしてた。でも、その直後にまた大きな音がして、今度は2人の間にある私が座ってた丸椅子が投げ飛ばされて壁にぶつかって明後日の方へと飛んでしまって立てられた音で、それと一緒に私の背筋をまっすぐにしてしまったら、頭の辺りが持ち上がったせいか急に冷たく感じたと思ったけど、息を止めそうになってしまう。


 それに対して、張本人のハリーは、ただただ北川の方をじっと見つめていて、目はしっかりと開いているのにその近くにしわを作っているような形をしていて。その一方で北川も、顎を引きながら少しだけ口を開けていて、さらにはわずかに顔を赤くしてた。でも、そう思った次の瞬間には、丸くなるようにしていたその口元を横に広げるようにしながら軽く息を吐いて、その瞬間にこっちへと足を拡げるようにしながら体を近づけて来ると、服を思い切り引っ張られて。それと共に私が足を曲げてたのに合わせてお尻に軽く力を籠めるけど、それでも強い力を込めて引っ張られると、体が宙に浮いたような感覚になった。


「こっちは2対1なんだけど、なに、姉御にでも泣きつく気?」


 私が足を床に着地させるよりも先に北川は話し始めて。そっちに向けて視線と顎を落としながら、口を僅かに開いて膝をまっすぐにすると、肩を拡げるように少し両腕を拡げる。でも、それでもすぐに私の左右から来る、北川の手と肩がこっちの体を締め付ける力を強めてきて、その瞬間に喉が苦しくなるけど、でも、私は少し時間をおいてから、左の手で反対側の肩にいる向こうの手に合わせる。ただ、それでも向こうのはちっとも動きそうになかった。


「まて……」


 少しだけ言葉のトーンが上がりそうになったけど、それと一緒に、自分の手に力を少しだけ込める。でも、それと同じタイミングでこっちの手に相手の手の中にいる骨がぶつかって来るみたいで。そっちに視線を向けるけど、でも、それに対して、少しだけそこから離すように、指の先端だけが重なっている状態に持って行った。それから、そっちに向けて視線を向けようとするけど、それと一緒にお腹に痛みを感じて、目からだんだん力がなくなって。だんだん視界が薄くなっていく。


「北川、私は、いいよ……」


「まじで」


 少しずつ言葉を発していこうとするけど、でも、それよりも早く北川が言葉を合わせて来る。それは相当に早口な動きで来てて。私が言い終わったときにはもう向こうが言い終わってて。でも、そっちの方はほとんど抑揚もないし、普段の声とは全く高さも似ても似つかない。また、それで私の声が消えてなくなると、辺りはまた沈黙に包まれて、辺りを見回す。


 でも、思った通りというべきか、おでこを少しだけ持ち上げながら辺りを見渡すけど、姉御の人たちも、以前クーデーターを起こした人たちも、どちらにも属してないメンバーの視線も、全部こっちを一身に見ていて、その様子を見て何やら顔を合わせ合ったり、口を僅かに動かしてるのが見えて。それと一緒に、自分の眉がどんどん落っこちて行くのを感じてしまい、喉を押しつぶすように自分のそこを動かしていった。


「……本気だ」


 喉から無理やりひねり出すようにしたそれは、自分の想像以上に高くなってしまったのもあって、震えながらであったのもその直後に声が止まってしまう。その後、数秒間息もせずに、私自身が制止したままに。


 しかし、それに対して真横にいた北川の手に籠ってた力が抜けたのを感じると、少しだけ私の肩の盛り上がっている部分からその指が滑っていくのを感じたけど、その次の瞬間には体を回転させるようにしながら向きを変えて、目と口を少しだけ開けるようにしてた。でも、それもほんの一瞬で、その直後にはおでこにしわを作りながら口を横に広げてそこから重ねている歯を見せつけるようにしていた。


「なんだよ」


 先頭と三番目を強調するようにしながらも、声をいつも以上に低めにする北川だったけど、私はそれを聞く前に体をもう入り口の方へと向けてしまっていたのに気付いた。でも、その声を無視しつつ、顔全体に強い力を込めてわずかにそこを前へと向けながら出来るだけ足をまっすぐにするようにして歩いて行った。そうすると、私の上履きが鳴らす音が部屋全体に響き渡る気すらもする。


 でも、それはすぐに消えたと思ったら、その後ろからもっと大きな音がして。そっちを振り向こうと一瞬思ったけど、体がそれに合わせてこわばって肩が持ち上がったのに気付いた瞬間、それを辞めてむしろ足を動かすスピードを上げようとした。なのに、そのタイミングに肩全体を覆う様な強い力を込められたせいで、それと共にわずかに私の体が傾いて、それと一緒にハリーの声がした。


「待てよ」


 喉を全力で動かすみたいなくらいの勢いで発せられたその声を聞いた瞬間、私の歯同士が思いっきりぶつかった気がして、それからすぐに距離を取ったつもりになったけど、でも、気づいたら全然足は動いてない所か、一歩も進んでない。唯一動いてたのは顎を引っ込めるようにして顔ごと下を向いてたのと、胸元で両手を少し出すようにしただけ。


 それに対して、私の肩を掴んでたハリーは、腰骨の少し下くらいの辺りで体に両手を付けるようにしながら、目線を鋭くこっちにぶつけて来てて、それと共に、私の方へとゆっくりと足を動かしてにじり寄って来てた。それを見てるだけで、こっちは目の辺りに自然と力を入れたくなって。そこの熱さに必死で耐えることしかできない。


「私は、よくねぇんだよ」


 声をゆっくりと進めながらも、若干巻き舌にするようにして話すハリー。その体が私とぶつかりそうになるくらいの位置にまで来る。私の事を上から見下ろしてくるようにしてきて。それを見ている間、呼吸の動きを自分でも感じさせられるように、だんだん口から音もなくそれが動いていくのを感じる。


 でも、そのまま下を向いて、背中を丸めるようにしていながら心臓の動きを感じているつもりで、瞼が震える一つ一つの動きが永遠にすらも思える中、急に胸元が掴まれて、そのせいでこっちの体が一気に反らされたと思ったら、それについて行くみたいに足も数歩動かされて。それのせいで背中が急に寒気が走るけど、ハリーは一切止まってくれない。


「てめぇ、やっぱ今から締めるわ、今すぐ来い」


 一瞬だけ振り返って、こっちを見たハリーが、吐き捨てるみたいに早口で抑揚もなくその言葉を発したと思ったら、さっきまでと同じペースで歩き出して。それに対して、こっちもハリーの手で体が引っ張られるのに合わせるかのように足が勝手に動いてしまう。


 その左右へとふらつき続ける足取りのせいで、目が激しく揺らされて。そっちへと腕を持って行きたいのに、そっちは私の言うことを聞いてくれずに、ただただハリーの力に従うみたいに下を向いているだけで。出来ることと言えば小さく言葉にならない声を不規則に出すようにしているくらいだった。

読了ありがとうございます。

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