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Lunatic  作者: コンテナ店子
第一部中編
41/216

第41話

 エレベーターがまたゆっくりと元々同じ場所に戻っていくような動きの中でその縁に自分の手を置きながらため息をつく。それに合わせて肩が持ち上がって脇を自分の体に押し付けるようにする。そうしてると、頭を傾けるようにしながら息を吐き続けてたら、だんだん尻が下がりそうになるけど、頭の中身までもが動きそうになって、歯を食いしばって元に戻した。


 その後は、腕を一切曲げないような姿勢のままそうしている間も、正面の壁は少しずつ流れて行っているが、そこの光景はそれ以外には何もない。


 しかし、周囲の灯りは天井を四角く囲うように取り付けられた蛍光灯の灯りが照らされているせいで数回目をぱちぱちと瞬きしたけど、それも数回だけで終わって、呼吸に合わせて胸が動いているのを感じ取ると、自分の手の平の付け根辺りをおでこに押し付ける。そうすると、自分の体の真っ白な色に赤色の肌が混じり合うようにしているせいで、そこから目を離せずにいた。でも、それも、目を閉じることで自分から見えなくしてしまう。その間も、エレベーターはずっと揺れながらゆっくりと音を立って進んで行き、その振動を私だけにお尻から伝えて来てた。


 私たちが寝泊まりしている階層へとやっとエレベーターが辿り着いてゴンドラの動きを止めるけど、勝手に私の体が左右に揺れるせいでまっすぐに歩けなくて。それに合わせて少し前に出した手も揺れてしまう。それのせいで、数歩あるいたら急にペースを速めるように進んで、そこでため息をついて数秒間そのままでいて、また進んで足を遅くしてを繰り返すようにしていた。そうしているうちに、右の肩が寄りかかるように壁へと衝突。でも、その冷たさを感じ取るように、自分の頭もそこへと髪の毛越しに当てる。


 そうすると、一本一本が壁と頭の隙間で持ち上がっていくのを音と感覚で感じ取った。そうしているうちに、また喉が小刻みに震えて、それと一緒にそこが鳴るような音が出てしまったけど、その隙間からは何もしないからか、そのまま勝手にさせてた。


「お疲れ、何話してたん?」


 目を開けたのに合わせて体を起き上がらせるようにすると、すぐ後ろに片手を肩よりも少し上の辺りで上にあげてる北川の姿があって。目を皿のように平たくしながら鼻を鳴らすようにして笑っていた。それから、向こうは肘を壁に向けて立てるようにしながらそっち側の手の平を頭に付いてて。その一方でもう片方のを腰骨の辺りに置くように。それから私の方へと顔を向けると眉を少し持ち上げるようにしていた。


 それに対して、肩と頭をそっちに乗っけるようにしている私は、北川の体や腕と壁の間に出来た隙間を眺めてみるけど、そっちには暗がりと僅かな部屋の灯りによって灰色の壁と床が照らされているだけだった。そして、それに照らされていない箇所は何も見えないほどに暗くなってしまっていて、そっちからは物音がすると言えば、たまに部屋の中から聞こえて来る寝息くらいのもので、それ以外には何もない。それのせいでもあって、その間も北川はそのまま動かなくて。そっちをじっと見ている私を見詰めている間をしばらく置いてから、「ん?」とだけ言って私の方へと催促して来た。


「……何も」


 目線を壁がない方へと向けて、そっちにあるはずの中央へとすり鉢状に下がっていく階段が見えないのを見つめる。でも、肩はそのままにしようとしてたけど、北側の目が数回瞬きするみたいに動いたのが見えた途端、それも話してから、まっすぐに両腕を下ろしつつその先端にある両手を強く降ろしてまっすぐに立つ。そうすると、自分の顎に肩が近づくように動いて。そのままにいようと思ったけど、その数秒後にはまた息を吐きながら戻ったら、また顔の角度は変えないままに目線をさっきと同じ方向へと向けた。


 そして、それと一緒に北川の姿は視界から消えてなくなるけど、でもそっちからわずかに髪の毛が擦れる音が、指が触れていながらもその中に入ってはいなかったはずなのにそこから音が聞こえて来た。


「本当だ」


 さっきよりは少し大きめに、でも、出来るだけ抑揚は付けないようにして。それが言い終わって私は肩を動かしながらも息は出来るだけ出さないようにしてた。それから後ろに振り向いて、ため息をつきながら数歩ゆっくりと足を動かすたびに肩の向きを斜めにするかのように歩いてから、いったん足を止める。片方だけ出た姿勢のまままた上半身を大きく動かすようにしてまたもう一度ため息をついてから今度は体を出来るだけ動かさないようにしてそのまま進んで行った。


 そうしてる私に対して後ろにいる北川はわずかな声を出しながら服が肌と擦れてるほんの少しだけの音だけを立てていて。それに対して私は特に何もせずにそのままただただ歩いていくだけだったけど、広場から曲がって通路へと入っていくと、その瞬間に靴自体が床と足の間に挟まれたことによる音と共に向こうからも足音が聞こえて来た。




「それでさ、うちのおかんが言う訳よ。あんたの宿題見るために社員に頭下げて有給取ったのにって。泣いてまで言うんだよ、マジわけわかんなくない? だって私頼んでないじゃん!」


 倉敷さんらと話した次の日、ベッドの中で全身をブランケットで包むようにしていた私のそれをひっぺ返してから手を引いて食堂まで連れて来た北川。今は手にした箸で空中を強く突くようにしながら上下に動かすようにしていた。そんな姿を、背中を猫背にしながら聞いている私は、皿の真ん中にあるしらすを混ぜるみたいに少しずつ動かしながらそれらが端によって固まらないようになっていくのをただただ眺めていた。


 そうしながらも、私は両方の脇を締めて、私の手に込める僅かな力によって小さな魚たちが次々と道を開けるようにしている一方で、それのせいで押された食べ物たちが元々開いていた場所を隠すようにしているのを眺める。その間も、北川は語尾を強調するように大きな声でしゃべりながらも、その度に座っている丸椅子を動かしている音を立てていた。ただ、それのせいかこっちに向けて話している北川の声を耳でもまっすぐに捉えているのもあって、私が動かしている魚たちの音は聞こえない。そして、向こうは話が終わると、口を一旦止めたと思ったら、自分の分のしらすをご飯の上に乗っけてそのまま食べていた。


「あの……」


「ん? なに?」


 私が息とともに吐いて口をほとんど動かさないように向こうへと向けて話していくと、それに対して北川は茶碗の向こうからこっちに向けて視線を投げてくる。それを見てたら、私は顔だけをそっちに向けている姿勢のまま、手を太ももの付け手に置いたまま目線を横に反らす。そっちではこの前姉御の人にクーデターを仕掛けた連中の残党が一番奥側の壁と隣接している個所から順番に座っているのが見えたけど、反対側でせわしなく動いている配膳係たちの音のせいか、そっち側からは何も聞こえてこないし、そっちまでは多くても十個ほどしか離れてないのに、私がさっき眺めてた食器よりも小さくなっているように感じた。


 それから、北川の方からまた食器と箸がぶつかり合う音がしたらすぐにそっちに視線を引っ張られてしまう。そうすると、そっちはただただ食事を進めながらも、私の目に気づいたのか、顔を下に向けながらも視線をこっちへと向けるようにしていた。


「いや、つまんなく、ないのか……?」


 そんな北川に対して、鼠径部の辺りで両手を重ねながら、私の食器が乗っているお盆のヘリの辺りを追うようにしながら、声の大きさが小さくなりそうになっているのを無理矢理大きくしてからまた抑えるようにしながら話していく。そうした後、北川は一回だけ小さく米を口の中に放り込んでから元の姿勢に戻ってこっちに視線を戻してきた。


「全然? 私からすれば、あいつらの方が全然つまんないと思うけどね」


 その言葉が発せられたのは、私のが止まってからほんの数秒後の事で、また抑揚を大きくつけるように一文字一文字の高さを変えるようにしながら、最後は少し伸ばすようにしていた。そして、その間も箸を動かしてしらすを取りながら米も取って、言い終わると共にそれを自分の口の中へと放り込む。


 ただ、その後、数秒間沈黙が続いたと思って、その間私は、何もない口の中で空気を噛むように歯同士が重なり合う位置を調整。それから瞬きを数回繰り返すようにしていて、そうしている間に、一旦箸をおいた北川が口から息を吐きながら体の重心を少しだけ後ろにやるようにしてて。そっちに視線を向けたら、また前と同じ勢いで親の悪口を言い始めてた。


「……腰抜け」


 北川の話しているのから意識を反らされたのは、私の真横から急にわずかなささやくような声がしたからで。勢いよくそっちへと振り向くと、いつの間にかハリーが顔を僅かに下へと向けるようにしながら手を足と同じような角度でまっすぐにおろしてそこに立ってて。少し前かがみになってその表情を眺めようとしたけど、それはこっちからではよく見えない。


 ただ、私はわずかな音として声を出しながら、体をそっちへと向けたまま前のめりになったそれを元へと戻そうとする。その間もハリーは全然動かなくて。私は両方の手を両胸の前あたりに出すようにしてたのを同じ高さのまま重ねるようにしていくのと一緒に、わずかに北川の方をみるようにするけど、そっちではあくびをしているだけだった。


「はっ、ハリー……」


 一旦言葉が止まりそうになったけど、語尾に近づくにつれてだんだん声を出していくようにしていく。そして、ずっと中心に寄せるようにしていた表情も少しずつ外側へと戻していくように。それから、下の瞼を下に引っ張るようにしながら顔を僅かに傾ける。でも、その間もハリーは一切動く様子を見せていなくて。そっちからは声も聞けない。


 だから、この前ハリーに連れられた方へと視線を向けると、そっちでは姉御の人が仲間に1つの椅子を除いて囲まれながら両手を組んでこっちの方をじっと見て来ていて。それとじっと目線を合わせていると、呼吸を飲むように。


 それから視線をそらしたくももちろんなるし、そうしようとしたけど、そっちにもやっぱりその仲間の人たちがこっちを見て来てて。その姿は全員全く動こうとしなくて。眼を少しだけ開けるようにすると、口同士を重ね合わせて。そのまま椅子を引いてそこから遠ざけようとしていた。


「お前……」


 でも、その瞬間にハリーの声が椅子が滑る音の隙間から聞こえてきて、そっちに顔を振り向かせながら私は顔のパーツたちを元へと戻すようにしたけど、その直後に、向こうの顔と自分の顔の視線がぶつかって。その眉をひそめるようにしていながらも、目元が髪の毛の影になっている姿を見ていたら、息を飲むように口元が動いたせいで、そこを吸い込むように動かしてしまう。そのまま小さく口を開けるようにしていると体から力が抜けるような気がしたけど、それはほんの数秒で終わってしまった。


「表出ろ!」


 部屋中に響き渡る大きな音。それに押し飛ばされるみたいに私が尻もちをつくと一緒にハリーの方を見るけど、向こうはずっと肩で息を激しくしながらそこを大きく広げるようにしている。それに対して私はお尻を限界まで地面に落っことしながら、目線を左右に広げつつ両手を地面に付こうとするけど、そっちにはテーブルがひっくり返されたせいで転がってたしらすが塊になって落っこちてるのにぶつかっただけだった。

読了ありがとうございます。

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