第32話
エレベーターがあった通りを超えたその先には、砂煙でも起きているかのように周囲が曇ってしまっているのに辺りでは何カ所も紫色と赤色のが交互に並んでいるネオン管の光が上の方に取り付けられている一方で、その下では階段のように並んでいるベンチの上にたくさんの男たちが座り込んでた。そこでは大声を上げながら中央にある金網の中で殴り合っている異形な化け物たちに向かっている。そして、リングの中から金属がぶつかり合う音が何度も繰り返し続いてきて、その度に私の肩が一気に上がるようにして腕を少しだけ持ち上がるようになってしまう。
それに対してすぐに姉御の人たちの方へと振り返ると、そっちにいたハリーは目を縦に伸ばすようにしているだけでこっちにはその横顔を見せている。でも、私が両腕を曲げたままに手をそっちに近づけるようにすると、向こうは勢いよく肩を振り回すようにしてこっちへと視線を向けながら声を出してきて、その直後にこっちを少しだけ見ているようにしただけで、互いに声を出さなかったらそのまま向こうはリングの方へと視線を向けていた。
ただ、その間私は目線を下に寄せるようにしてしまってて、そうしてたのに、金網の向こうにいる化け物が壁に激突して高くて大きな音がしたせいでそっちに向いて。それを息を飲みながら見てた間に、端の方でハリーがそうしていた。その瞬間にこっちももう一度そっちを見ようとしてたけど、その時にはもう向こうはこっちを見ようとはしない。そんな状況なのに、ベンチに座ってる男たちは罵声を浴びせたり馬鹿笑いをしていたりとやかましい声を上げながら体をオーバーに動かしている。
その声たちに包まれながら、自分の両手でそれぞれの反対側にある二の腕を掴むけど、そこにあるうさ耳パーカーの袖がわずかにへこむだけでほとんど高さも変化しない。唯一感じたのは腕の中の骨の硬さだけだった。
「もたもたするな! お姉さまが待ってるぞ!」
その言葉を聞いたのは、リングの外周を回るように進もうとしていた妹の人がこっちに上半身だけを回転させるようにしながら振り返ってきている方からで。その声色は鋭いながらも語尾をさらに持ち上げるようにしながら、喉から出しているようだった。しかし、それも周囲の多勢の声にかき消されそうになっていて、中盤辺りからそれに合わせて足踏みをしながら体も動かしているよう。しかし、その瞬間に肩を強調する姉御の人が進もうとすると、上唇を前にするようにしながら両方の手を握りしめている。
「だっ、だが……」
「こんなものは余興! クスリやる勇気もないくせに、いつまで経ってもガキみたいなことやってる体だけ大人になってるやつらを飼い殺しにしてるだけ! お前らが来るのはこっちだ!」
私も口を小さく動かしただけなのに、その言葉を出そうとした瞬間に妹の人が声を被せるようにして来る。姉御の人がそっちまで行こうとしているのに、その人は私の方をただずっと見ているだけで、両手を相変わらず握りしめているまま下に向けるようにしていた。しかし、そのまま足を一歩だけ前へと出すようにしている姿勢のままいる。
私は、正面をもう一度見るとそっちにはリングを挟んだ向こう側にまた電気がついていないのか暗くて先が見えなくなっている長方形で切り取られた穴が出来上がっていた。それを見てる間自分の口が少しだけ開いていたせいか、吸い込んだ空気が喉の奥へとぶつかってきて、それのせいで喉の奥が少しだけ痛かったから、強く喉を噛みめた。
青紫色のネオン管の光に包まれたさっきのは分くらいしかない部屋。それが私たちの通された部屋で、そこには私たちが通ってきた通路の他にはスタッフオンリーと書かれている場所以外に出入りできる場所はなさそうだった。私たちが出た通路の先は空中につるされた足場になっていて、さらにその策に、カメラが外側に数個取り付けられたいる、金網で覆われたリングがある。そして、それのさらに外側では、黒色のローテーブルとそれに備えられたボックスソファがあって、そこで胸をはだけさせたスーツとオールバックの金髪を携えたの男が数人の女性、しかも体にぴっちりと身に付くようなワンピースを着ている人たちを侍らせていた。
その男性が笑いながら上の方を見るようにしていると、すぐに私の目線も右上を向きそうになって。そっちにある白色のスポットライトの方を見ようとしたけど、服を握りしめながらすぐに視線を正面へと戻した。
私たちに左肩を向けるようにしながら立っている東雲は、上に取り付けられてるエアコンから吹いてくる風で制服と髪の毛をわずかに揺らすようにしながらいて。それから下を眺めるようにしていて、妹の人がわずかな足音を鳴らしながらそっちに近づいていくのに気付いたけど、その姿がすぐそばにやって来た時には、声をかけられたせいか視線をそっちに一瞬だけ向けるようにしている。
それから、体も同じ方向へと向けるようにしているせいか、それからリングへとまっすぐに戻してて。少しだけ体を拡げるようにしながら下唇を押し付けるようにすることでそれを前に出すようにしながら顎を自分の体に近づけるようにしていた。
そんな様子を私も目を少しだけ開きながら見つめてた。でも、それに気づいたのは腕から力が抜けた後の事で、それがただただ下を向いているだけ。そのまま、妹の人を前に置いた状態でその頭の上から背の高い彼女がまっすぐに前を向くようにしている。そうしているせいか、私も頬を使って少しだけ目元を拡げながら、眉も上に持っていた。でも、私の少し後ろ辺りで姉御の人が足を一歩出すようにして音を鳴らした瞬間、こっちはすぐに唇を強く噛み締めるようにしながら顔を左右に振った。
「さっさと始めろ」
ほとんどいっていの高さ。それもずっとかなり低めのままに話していく姉御の人だけど、でも、その言葉の間に東雲は髪の毛を浮かせるようにしながら顔を正面へと向けるように持ち上げる。その後、また顔がネオン管の光を浴びてそれと混じり合うようになると、そのまま私たちと同じ向きに向いて進み始める。そうすると、そっちにあった1人用のゴンドラに乗り込んでヘッドセットの位置を整えると共に、両手を下に向けて、息を吸い込んでいた。
そんな姿へと私たちも視線を向けると、さっきのボックスソファに座っていた男らや、その少し後ろにある酒が後ろに並んでるバーのカウンターにいる店員と客もそっちを見ていて、口を緩めるようにしながら目元を持ち上げるようにしているけど、客の方が向けてるのは視線だけで、それから酒を飲みながら一度だけそれ元に戻そうとしていた。一方東雲は、そのままの姿勢で降りていくだけで、それを見ている姉御の人やハリーもそうだと思ったけど、私が振り返った瞬間、後者はこっちに視線を向けながらも、おでこを向けるような角度になっていて、息を飲む羽目になった。
「お姉さま……」
その声が一瞬聞こえたその後。すぐに部屋中に東雲が首を後と動かすようにしながら話し始める声が響き渡っていた。
「皆様、大変お待たせいたしました。ただいまから、皐月宮魔法少女研究施設の研究発表を開催いたします」
その声と共に、金網に覆われたリングで一部の床が動き出して空洞を作りながらだんだん下へと進んで行くようにしていた。でも、その中にはまたコンクリートの壁が出来上がっているだけで。でもそれを見ていたと思った矢先、大きな地震みたいな振動が起きて、足を拡げながらすぐに手すりに摑まる羽目になった。それに対して、ハリーたちも背を低くするように腰を落とす。しかし、東雲はそこでただ立っているだけで、見ている人たちもそうしているし、上部で部屋の中央を見ているだけの姉御の人も髪の毛をふわふわさせながらも足を開いて立っているだけで体は動かそうとはしてなかった。
しかし、振動が続いたのも数秒間の事でその後は沈黙が辺りを支配する。ただ、そう思ったのは数秒間の間だけで。気づいたらまただんだんと音を大きくしながら振動し始めるのが始まる。それのせいもあって、顎を自分に近づけるようにしながらも、心臓が小さくなるのと喉の中が押しつぶされるような感覚を味わう羽目になる。でも、周囲からは話し声が少しずつするようで。手すりを握っている両手の関節を自分から遠ざけるように滑らせて行った。
「今戦場に入り込んだのは失敗作として作り出されたマウスを媒介としたモンスター。おおよそ不条理にも対抗できるほどの戦力はある一方、人間には制御不能の完全なモンスター」
振動が止まったころ、マイク部分を持った東雲がいつも通りの話し方でまっすぐと立ったままその言葉を発する。そう思ったけど、彼女は少し上の方を目線だけ向けながら、足だけを動かして口を動かしながら周囲へと視線を振りまき続けていたが、私たちの方を見ていることは一度もなかった。
でも、その直後に、周囲の空気全体が揺れると思うくらい大きな、そして壁を貫通しそうなくらい甲高い声がリングの方からしたと思った時には、もう私は自分の体の中でも特に顔を覆う様に右手と左手の二の腕を前へと出すようなポーズをした後だった。しかし、その部分が小刻みに震えるのを感じながら、息を飲んで数回呼吸を繰り返すと、一度顔を上げようとする。でも、その瞬間に低いがさがさと動き回る音がして、その瞬間に咳き込んでしまった。
その後、自分の肘の裏側に目の間を当ててから、息を吐いて目線を正面に向けると、リングの中で外を眺めるようにしながら鼻を上下に動かしながらも、うねうねと不規則に動き続けるしっぽ、そしてかなり黒色に染まり切っている毛を立てている、私たちの倍はありそうなネズミのような物がいた。
足音を立てる度に地面が揺れたと錯覚するほどに大きな足音。それに鳴くたびに耳が貫かれそうで、身体中を小刻みに動かしているその姿を見ているだけで私は口元を中へと押し込みながら、さらにその上に手を重ねるようにした。
「妃美、まずはお前の番であります」
少し離れたところにいる東雲に首を曲げて見られてたから、それに対して体を少しだけ後ろに下げながら両手を胸の辺りで重ねるように。一方で私は、まずは下にいる東雲の方に視線が向いたと思ったけど、その後すぐに、ゆっくりと一定のペースで前を見て行って、その声をかけられた姿を見た。その顔は、口元にしわを作るかのような勢いで紡ぎながら、目を大きく開いてて、数秒間見つめては数秒も経たないうちにもう片方へと動かすかのように、ねずみと姉の姿を交互に見る。前者が円形のリングの外側をぐるぐると回っているのに合わせて大きな足音を立てているのに対して、後者はもうすでに目の前のリングを眺めているだけだった。それでも、妹の人は同じポーズのまま2つを見続けるのを辞めようとはしなかった。
しかし、私がそんな姿をちょっとだけ口を開けながら見てたと思ったら、後ろから誰かが近づいてくる気配を感じ取って、すぐにそっちへと振り返ると、3人の男が歩いてきてて、声を僅かに出しながら手もそっちに近づけるようにするけど、先を歩いていたうちの2人は素通りしていった。そして、それから妹の人が体の向きをその人たちの方へと向けながらわずかな言葉を区切るようにしながら一歩ずつ後ろへと下がり始め、目もかなり水分を含むようにしている。さらに、両手の平をそっちへと向けて震わせていた。
私よりもわずかにそっちへと近い位置にいる姉御の人の方を見た瞬間、その口元からわずかに歯が擦れる音がしていた。
「初めまして、あなたが、木月流那さんですか」
でも、その声が聞こえた瞬間、私はしゃがみこんだ姿勢のままそっちの方を見ると、首を使って上を見るようにする姿勢になってて振り返ったら、そこには銀色の眼鏡をかけているしわ一つないスーツ姿の男がいた。その人は私の方へと僅かに顔を近づけるように体を前のめりにしていて、眼鏡の奥にある細い目をまっすぐにこっちへ向けていた。そして、曲げた膝の上に片手の肘を乗せながら、もう片方の手の平をこっちに差しだしていて、その中央の辺りに窪みを作るような形になっている。
それを眺めてから私は、開いてた口から言葉になってない声を数回出してから、その大人の人から視線を下の方へと反らそうとしたけど。でも、その瞬間に後ろから妹の人の叫び声がして。そっちに振り返ろうとすると、男2人が肩を抱えるようにしているせいで足をぶらつかせていたその人がリングの上に覆いかぶさっている金網に出来た出入り口の中へと放り込まれ、その後すぐに金網同士がぶつかる音がした。
そしてそれに続くように、部屋のスポットライトが動くと、リングの中だけを照らすようになり、その場所以外の場所で聞こえている音は何もなくなった。
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