第211話
一度ゲートが閉じることで分断された血液で作り出された腕を使って相手の体を捕らえたマリオネッターは、わずかな口元を横へと伸ばしながら相手の様子を見ている。ただ、捕まっている側の東雲はずっと高いわずかな声を出しながら足をわずかにばたつかせつつ、トランシーバーを落としてしまった両手を使って自身の息を止めようとしている攻撃を潰そうとするも、いまいち力が入らないようであった。
2人の周りはたくさんのがれきがこわれて砂煙まみれになっている一方で、それ以外に見えているのは何か所もできている燃え続ける炎とそれの侵攻を阻んでいる血だまり。それのせいで夜の闇はどこにもその存在がないかのよう。一方で、後者の黒よりの赤い水面にも前者の赤い光が入り込んでいる。
空へと向けて茶色い煙と黒い煙が浮かび続けるせいで、それ以外の壊れかけているビルの様子も、外側にあったはずの森の様子も何も見えないままになってしまっていた。
そんな中で、服を完全に焼かれたせいで全裸で男性器も隠さずにわずかに残った太ももだけを縁に立っている相手の様子を首を上に向けてるマリオネッターの姿は真っ黒な空洞の部分と正面の敵を掴んでいる部分で影になってしまっている部分以外はみな周囲の炎の光に照らされ続けて、それは背中側の脳内も同じようにいる。
一方で今も東雲は息ができずに喉をずっと鳴らし続けながら握りこぶしをぶつけようとしたもののその瞬間に手元で握り締めていた砂煙を相手に向けて払うも、それで相手はただ一度だけ顔に着いたそれを拭くみたいにするだけで、顔にできた空洞はずっと相手の方へと向けられたままであった。しかし、その瞬間彼女の手元に地面と水平な向きの魔法陣が現れると、それと同じ色の光が足元のはるか下の方にも出来上がったまま自身の手元にトランシーバーを持ってきて。それによってその魔法陣から次から次へと小型のドローンを召喚すると、相手の目があるはずの位置の空洞の中へと入りこませると自爆。それを何度も何度も繰り返すたびに体が外へと吹き飛ばされて地面へと転がり落っこちてしまっていた。
「魔法の武器で人は死なない、そのルールは絶対であります」
自分の魔法で体を浮かべてゆっくりと相手の方へと降りて行き、自身の背中を覆っている魔法少女としての衣装をはためかせながら両方の腕を左右の下へと伸ばしながらいるままにしている。そして、着地してからも数歩相手の元へと降りて行くと、体はまっすぐ上へと伸ばしたまま顔だけをわずかに下へと向けるような形にしていて。その表情は赤と黒が交じり合った炎の色に染まっているようである。
一方で、頭の半分の上の部分のほとんどが爆弾で吹き飛んでしまい、右側の頬とそっち側の耳と口元しか残っていないまま、真っ赤な肉塊がだらりと溢れてしまっている姿を見せたままうつ伏せに倒れているマリオネッターはほんのわずかに体をびくびくと動かすことしか出来ずにいて。その上に東雲は足を一度直角に曲げてから叩き落とすことでまた大きな悲鳴を上げさせていた。
さらに、すぐに手元に召喚したドローンを手に取ると、その羽を回転させる音を辺りに響かせる。でも、それでもそっちは一切動けずに地面に体を落っことしたままにすることしか出来ずにいた。
「薫子もすぐにそっちへ送るであります」
その言葉と一緒にドローンを一度振りかぶってから相手の体にその羽を突き落とそうとするも、それでとらえたのはコンクリートが始める細かい砂と煙だけであった。一方で、それをしていた本人もはっと目を開けて背中を折り曲げたまま正面に顔を向けると、そっちで手だけを使って体を這いずらせている姿を見て飛び上がろうとするも、その瞬間、地面から勢いのいい巨大な手が飛び出て空へと向けてその体を打ち上げてしまった。
勢いよく突撃するようにしていた東雲はそれのせいで勢いを止めて足をわずかに前に出すようなポーズをしている物の、その体勢のままわずかに息を繰り返していたのを、両方の手と足で体を地面へと落っこちるのを支えて。四つん這いの体勢のまま何度も激しく口から呼吸する音を辺りに響かせるのを繰り返していた。
一方で、東雲がただ1人取り残された敷地の中では、ただただ炎が燃え続ける姿や建物が耐久の限界を迎えて倒壊し続ける様子を残している。しかし、それはどんどん勢いを増しているようで、だんだんとマリオネッターの血だまりがなくなっていくのに合わせてその範囲を広げているようで、顎を自身の体へと近づけるようなポーズのままずっと四つん這いで、体中から汗を垂らし続けていた。
歯を何度も噛みしめながら体を動かそうとするも、それに対して周りで動いているのは滴っていた汗が次から次へと溢れるかのようになっているだけで、立ち上がるどころか、腕が降り曲がってしまい、体のバランスを崩して前腕と拳を乗っけるみたいな体勢のまま何度も激しく息を吸い続けるのを繰り返す。そのままおでこを砂利の上に擦り付けながらそのわずかな音を擦り付けている物の、それに対して近くの砂煙が巻き置き続けている方では、ずっとどんどん炎が広がっているせいもあり、マントと髪の毛をずっと巻き上げてその体へと落っことすのを繰り返す。さらに、何度も辺りの建物が燃え盛ることで倒壊する音を立て続けていた。
しかし、その頭の先が向かっている方の建物が大きなビルしかない方も、わずかに砂煙が少なくなったのかそのてっぺん辺りが砕けたのから残った先端部分だけが鋭く尖ったままになっているのを一切変えないまま東雲の方へと黒い影を見せていて、それだけでなく、真ん中辺りも右や左にえぐれてクレーターのように丸くなっている部分が今もできていて、それが数分に一度のペースで次から次へとがれきを破壊し一部が崩れては大きな低い音を辺り一帯に聞かせ続けていた。
それによって地面が激しく振動しているのも当然のようにそっちの方へと伝えてきている物の、一方で辺りには建物が崩れた残骸と機械や家具の崩れたものの姿だけ。まっすぐな物は四つ這いで頭を地面に押し付けている体勢のままいるせいで上へと持ち上がっている太ももだけで、そこで強くお尻を上へと向けるようなポーズをしているままそこを後ろへと持っていく。
しかし、歯を何とか搾り上げて体を起こそうとした瞬間、彼女が体を乗せていたがれきが一気に倒壊。それのせいで空中に一瞬だけ体のバランスを崩しながら回転させうつ伏せからあおむけの体勢に変わって。さらに、地面のコンクリートを破壊することで地面へと体が落っこちたまま両方の手を左右へと伸ばしながらそのまま地下施設の床へと叩きつけられると、それに続いてたくさんの岩たちが降ってくると、その途端に2機のドローンが目の前に現れるもそれも障壁を作り出すよりも前につぶれてしまい、そのまま主人の元へと落っこちて来ると、その大きなものたちが体のすれすれのところへと滑って落っこちていた。
読了ありがとうございます。




