第200話
うさ耳パーカーが飛んで行った方をただただ数秒の間だけ見つめるかのようにしていた私に対して、そっちにいる東雲の召使いも北川さんも、目を開けたはずの一ノ瀬さんもずっと何もしないまま、私の斜め前辺りの地面の辺りで固まったままで。そっちの方を空気の動きだけで感じてる間、私はただ眉間の辺りに力をわずかに入れつつ顔を下の方へと傾けていた。
辺りには、戦いの連続でかなりの面が破壊されている高いビルの周辺に点在する背の低くて大きくても2階くらいしかない、横に平たい建物たちはみなトタンのような横に長い屋根を壁よりも外側に出しているせいもありそのほとんどが真っ黒に染まっている上に、それらの影が残っている道の所も暗くしているせいで、私の視界の空になる部分以外は全部暗くなっている。さらに、そっちもそっちで雲がなくなっている物の、それに対して星の光も見えないせいで、どこもかしこも同じような色にすら見えているほどだった。
一方で、それ同士の間に見えてる少し離れたところにある木々の様子も、ただただ葉っぱ同士が擦れ合ってる様子を見せているような気がするけど、その詳細は一切気づけないままだった。見てる間、私は顔を下に向けたままただただ唇を下へと向けるままにして周囲の冷たい冬の空気が風でこっちにも運ばれてきて肌を擦ってる感覚をずっと味わい続ける。
しかし、それで私も体を唯一覆っている制服は全く動くことはなく、ほんのわずかに肌の上を擦っているのは髪の毛だけ。でも、対して私は何もしないでずっと瞼を下のと上のでずっとくっつきそうでくっつかないのをずっと続けてて、背中もわずかに丸めているのをそのままにしてた。
解除したのは、一度だけ息を吐きながら顔をまっすぐに向けて歩き始めて唇に力を入れたので顎を引っ張るみたいにしてる間、足は等間隔で、ローファーがアスファルトのほんのわずかな砂の音を立てるように踏みしめてしまう音をしっかりと辺りに聞かせるかのようにずっと歩いている物の、辺りにそれが反響しているような感覚は一切ない。
ただ、私のよりも大きく聞こえてきたのが後ろで聞こえた気がするけど、それで特に何もしないつもりだったのに、それに続くような声が私の方にもした途端、わずかに開けていた目の範囲を一気に大きくする動きをするけど、上の歯で下のの先端を噛みしめる感じのまま視線をそっちの東雲の召使いがいる方とは違う方に向ける。
「待ってください! まだお姉さまも、薫子の仲間も……」
最初だけわずかに高くなる感じで大きく出たけれど、一度止まりながらまただんだんと小さく声を出しているのが聞こえて。でも、それに対してこっちはそっちを見ないまま唾液と共に歯を噛みしめる音を聞かせているだけしか出来なくて。でも、私の視界の端っこの方では今もビルの下の方から何度も砂煙を起こし続けてその上に影を作っているのが私の元にも見えるが、それは転がることでただのがれきだということに気づくと、口と目を開けてまっすぐにそっちの方を見てたのを、目線共に下の方へと向けるのを一度だけ瞬きしてから元に戻す。
「帰れ」
一瞬だけ口を動かしながら出す私の声に対して、そっちの方からほんのちょっとの高い声だけがするような気もするけど、それもほんの一瞬だけで。また目の前の場所からする音だけに辺りの様子は戻る。
一方で、私はまた体に力を入れるのを服の中だけで形作る感じで制服の中や靴の中で電気を貯めるけれど、布同士のわずかな隙間から紫色の光が漏れているのは私の方にも見えるままになってた。
「足手まといだ」
それだけ言うのに合わせて、両方の肘を引く勢いに合わせて背中を丸めるような動きをすると、私の何もついてない髪の毛が一瞬だけ持ち上げるけど、その瞬間目元に力を入れながら一度だけ足を折り曲げる。そのまま、1秒の半分もしないうちに体を一気にまっすぐに飛ばして建物の上の方を目指す。
私の勢いもあってずっと上がってた砂煙はその上部だけだけど一瞬で消えてなくなり、その直後に最初から外壁に出来上がった穴の中の1つを通って部屋の中へと着地して数歩進むと、そっちのドアが取れかかって何度も高い音を立てながら開けたり閉めたりを繰り返しているせいで暗いのと明るいのが交互に繰り返される。しかし、明るい方もそれはそれで夜の中の月の光で照らされているだけでほとんど周囲と変わらないまま。
自身の体をまっすぐに立てたまま視線を左右に動かしている私に対して、辺りには背中側の穴が出来上がったことで棚やテーブルなどの家具が一部壊れてたり半分になって崩れてしまっている姿が一切動かないまま、私の方へと影を伸ばす。一方で、そうなっているのは辺りに大小も形も不規則に転がり続けているがれきたちも全く一緒で、デコボコした粗削りの様子で尖ってるのや中の棒を出してサビている様子を私の方へと伸ばしてきたりしている物の、それに対して私は何もせずにただただまっすぐ進んで手を下の方でほんの少しだけ振ってた。
「彼女らがいれば魔力の位置まで探知できる」
私がドアを平いて、顔はまっすぐに向かい合ったドアの方へ向けたまま目線だけをそっちにいる倉敷さんの方へと向けると、その横に並んでる杏が2人いるも、どちらも目から光を出して赤いネオン管のような光が夜の闇の中に交じり合っている姿の中で立っていて。指をあてて角度を整えている眼鏡のレンズもその光を浴びてしまってて、中の目は一切こっちからは見えない。
相手がいる方へと斜めに伸びて行ってるドアを側面のところに手を当てることで元へと戻しながら数歩前へと歩くことで私はそっちとまっすぐに向き合うようなポジションに立つ。一方で、向こうは今も顔を斜め下に向けることで赤い光よりも闇の色が濃くなるような形にすることで目線をこっちに向けていた。
さらに、声を出して何かをしゃべったと思ったけど、その次の瞬間には私はもう杏のうちの1人の目の前で手を貫通させながらその左胸のところで向こうの体を構成してた機械が故障した電気の音を立てているのに気づいたら、後ろ側から頭を掴んでそこに強力な電気を流し込むと敵は体を反らしながらまっすぐに伸ばすことで四肢を大きく左右に伸ばすような形にしていた。
「最後のチャンスでしたよ、今のが」
その声すらも私の勢いよく血が流れない体から腕を引っこ抜いた後に蹴飛ばして相手を向こう側の壁の方まで吹き飛ばした後に、倉敷さんの方を顔を上げる感じで見つめるけど、向こうは私から距離を取るように数歩後ろにへと下がった途端にそっち側にいたもう1人の杏が手をまっすぐに下げたまま首の所を回転させる感じで私の方を見てきたのに気づいたら、わずかに息を吸って壁の方へと体を持っていきその後ろ側を歩くことで男の方から体の距離を取っている物の、その隙に向こうがこっちに何かを発したと思ったら、その丸い機械が私の方へと飛んできてて。手の平でとらえようとしたら向こうの方から大きく開いてこっちの部位を壁へと叩きつけてくる。
攻撃でとらえられたことに気づいた瞬間に体がそっちへと引っ張られそうになったのとほぼ同タイミングでまた体を分解して電気の粒子に変えようとしたのにそれが上手くいかず、相手の飛び蹴りをすると一緒にハンマーみたいに両方の足を合体させて突撃した途端、私は体を左右にひねろうとするも手をとらえている機械のせいで動けずにそのまま腹に攻撃を受けてしまう。
衝撃のせいで息を吐きながら唾液と血を噴き出して、低い声を上げてしまいながら上半身を大きく前に出すと、髪の毛も大きく揺らしてしまった。それのせいで、自由な腕を相手のくっついた足の上に手を乗っけそうになるけど、すぐに私から距離を取って手を落っことすとそれが地面に落っこちる音を立てると一緒に開いた腕の中からガトリング銃を突き出して、銃弾を何度も打ち出す。
当然、今も私はまっすぐに立ってたせいで、何度も何度もそこから飛んでくる銃弾に一切抵抗できずに体中から血を噴き出してしまってて。それが止まったのは、何とか片方の手をとらえ続けてた機械にも当たってた銃弾のおかげでそれが壊れたのに気づいたタイミング。でも、その時にも体中の肌を貫いた弾の後からいくつもの血があふれているのが体を滴り続け、制服の中にももちろんその染みを作り続けていた。
そんな中で体を一度電気に分解することで元居た部屋の方へと戻ると、その壁にもたれ買って顔を上へと向けながら手のひらを床へと落っことしながら足を地面に落とすことしか出来なかった。なのに、背中の方からは今も地面の上を歩いていることで横の方にあるドアに足音が近づいてる音を感じ続けてた。
読了ありがとうございます。




