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Lunatic  作者: コンテナ店子
第一部前編
20/216

第20話

 数秒間待った後、敵の中の真ん中にいる巨人が立ち上がって、こっちの方へと近づいてきた。でも、それもゆっくりと歩いてくるようで、表情もしわ1つ見つからないような形になっていて、むしろ、階段を数歩降りて私と同じ高さの所に来る直前で、口元を僅かに緩めるようにしていた。それを見ているだけで、また手が顔の方に寄せられて、そこを何度か叩く。それと一緒に目をつぶるけど、気づいた時には意識するよりも前に顔が一気に持ち上がって。それから、正面を見るけど、敵は数歩進んだだけだった。等間隔で聞こえてくる足音。それ以外の音は周囲のどこにもなくて、その度に心臓が強く主張してくる。


「いや、待ってください、あいつ、あぁ見えて、あの、せこっ、世古島。のやつが気にかけてた魔法使いですよ」


「へぇ、やっぱそうかよ」


 私の目の前に来た敵は、さらに顔を緩めるように歯を見せる。それに対してこっちは、顔を横に反らしながら閉じないようにしつつ目に力を籠めることしかできない。さらに、その影が私の体を覆っているのを見ながら、胸元で両手を重ねようとしたけど、それがすぐに滑って、上になった右手の平が下側の握りしめた人差し指の横を滑り落ちて小指に引っ掛かった。


「なに、やるんだろ?」


 下の歯を上のに押し付けるようにしながら左右を見るけど、私の弧を描くように動いた視線の中に敵とその取り巻き以外の人は誰もいなかった。そして、私の前のまで見下ろすようにしている目は、頬が持ち上げられるのに合わせてアーチのような形になっている。それに対して、自分の目線が下に行きそうになったのを、目を強く瞑って押し止めた。


 それから、思いついた言葉をしゃべろうとするのと一緒に、唇が音が鳴りそうに開いたら、外の冷たい空気が中に入り込んでくるのを感じる。数秒だけそのままでいてから、鼻の下を歯に押し付けるような形になった。


「そっ、そうだ、そうだった……」


 口の中で唾液が動くのを感じるように言うと、だんだん息を吐くのと同じような勢いでしゃべった。それから、目を開けて上を向く。そうすると、こっちが下から見上げるようなポーズで、首を持ち上げるような形で相手を見上げる。そのまま、喉を縮めるように前側を押しこむようにする。それと一緒に、こめかみのあたりを汗が滑りそうになっている感覚を味わうけど、それはそれだけで、私の体の側面を一向に進んで行きそうにない。


 それに対して体の中のはどんどん滑っていくようで、私の体のわずかな膨らみを滑って行くと、ブラの中にしみ込んで行くのを肌の感覚で気付かされる。


「じゃあ、やってみろよ、ほら、殴っていいぜ」


 言葉と一緒に相手が顎を私の右下に向けることで、それをこっちに見せつけて来た。それを見て、私目を大きくようにするけど、その直後に歯を食いしばるようにして顎を自分の体に向ける。でも、それで私が上目遣いになるようにそっちを見ても、向こうは頭を1回だけ上下に動かすだけ。喉も内側に押し付けるようにしながら一瞬だけ目をつぶった。


 それから、体の力を全部抜いて息を吐いてからもう一度手から順番に込め直す。その瞬間に、また手に冷たい感覚がちょっとだけよぎるけど、それと一緒に頭を強く何回か降って髪の毛がおでこを擦るのを感じる。それから、呼吸をゆっくりさせながら体も動かしていく。


「よっ、よし……」


 小さくその言葉を発すると、口の中を冷たい外の空地が入り込んでくる気がして、その反対に中で籠って湿った空気が出たと思った時、私の体、その全部がつぶれそうな勢いで左側が右側に押し付けられるような感覚に襲われた。そして、それは喉も全く同じで、中の骨が砕けて、呼吸の通り道がなくなった。でも、その次の瞬間にもう片方が壁に衝突して、それと一緒に出てた唾液が体に張り付いてる感覚と身体中が熱くなって響いている感覚だけがそこに残った。


 また、体の痛みで追い出されるみたいに息を吐いているのに、お腹と喉の痛みのせいでとても出て行かなくて、代わりに何も言葉になってない音だけしか出て行かない。それに続いたのは、ただの涙で、体の温かみも全くなくなった、水特有の冷たさが体に突き刺さって。でも、お腹を押さえて膝を曲げながら床に座り込むと、お尻が壁にぶつかってへっこむ感覚を感じながら、今度は頭が痛くなるのを味わった。


 それから、なんとか息が戻ったと思った時、おでこに手を当てると、いつも感じたことがないくらいの熱さを感じて、咳き込むと口の中に溜まってた唾液が飛び出していくのを唇でわかる。でも、それも、周囲から聞こえてくる笑い声や掛け声を聞いた瞬間、一瞬で冷たくなった。


 でも、その直後に、一気に空気を吸い込むようにしながら頬を膨らませて目を強く瞑る。さらに口をすぼめながらゆっくりと息を吐き、前を見ようとしたら、もう敵が目の前に来てて手の平とおでこをぶつけて、その直後に足が地面に浮く感覚を味合わされて、体を伝ってた涙もその瞬間に離れていくし、その直後には、脳の中身が動いた気すらもした。それと一緒に、地面に頭から着地させられて、さらに足がつくことなくどんどん顎にある敵の手に力が押し込められていくと、何度も何度も頭が激突させられていく上に、そこから血が飛び出して、その痛みが余計に大きくなった。


「つまんね、もう終わりだ終わり」


 体が宙をうく感覚とまた大きな音と一緒に聞こえてきたそれを、唇をかみしめながら息をして胸が上下に動く感覚を味わう。周囲から聞こえてくる声に、私はただ鼻と顎をしゃっくりするように動かして、両手をただただ広げたまま体を動かさずにいることしかできない。ちょっとだけ視線を動かそうとすると、そっちには敵の背中があって、それだけで目をつぶりながら鼻をすする。それと一緒に首が奥へと延びるように動かすと、背中にあったがれきが転がっていくのを感じた。そレがだんだん小さくなっていくのに合わせて、歯を前に出しつつ胸を自分から動かして張るようにした。そうすると、天井にはただ壁があるだけで、薄汚れて黒くなったり灰色になったりしているところがあるくらいで、それを目を薄くするようにして、その中の目玉も軽く動いた。それからゆっくりと呼吸をして体の中に溜まる空気が全部入り切ったのを感じてから、それを数秒間キープ。それから数秒間吐くようにした。


「おい」


 でも、そのすぐに女性にしては低い声がして、それと共に吸い込みかけてた息が一気に吐き出されて。さらに喉から吐き出される音がしたら、その数秒後にはすぐにそれを追うみたいに声が出た。それの後に、視線を目だけでそっちに動かそうとしたけど、その後に見えたのはただ汚れてる上履きだけだった。


「ハリー……?」


 その言葉と一緒に息をゆっくりと吐き出そうとする。その温かくも冷たくもない。そのまま、右の頬を地面に合わせるポーズのままいると、顔が小さく震えるのを感じるけど、こめかみの辺りだけを地面に付けるようにして、残りの部分は空中に広げるようにする。ただ、まだ顔がしゃっくりのように動くけどその度に涙が通った跡を感じ取った。


 でも、それと一緒に聞こえてくる高いしゃっくり以外の音は、相手が歩いていくのだけで、特に目の前の足はまったく動くことはなくて、その代わりに、わずかに視線を動かしたその瞬間に、プリーツと切れ目が特徴的な青いスカートが見えた瞬間、私の眉毛の内側が持ち上がるように動いて、息を吸い込む。それで鼻の穴と鼻の下が広がるけど、そのままの形で体を動かないようにすることしかできなかった。


「あいつが来ると思うか?」


 目だけを動かして上の方を見ると、こっちを何の表情もなしに見つめている姉御の人と視線が合いそうで、すぐにそれに対して自分から進んで反らす。でも、そっちの方ではただ床がまっすぐに進んで行っているのとそこに転がる小さながれきだけ。それのせいで床に出来た小さな影を眺めていたら、向こうから敵とその取り巻きが続けている話し声や笑い声が聞こえてきて、指を小さく動かそうとしたけど、私の下にいたのが動きそうになってすぐにやめる。

読了ありがとうございます

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