第19話
最近即売会直前でめっちゃ忙しいのでちょっと短めです
それから部屋の外へ出ると、数十歩くらい離れた場所でこの前姉御の人たちを見下してた人が広場へと広がる階段の所に座り込んでいる姿が、取り巻きの間から見えた。周りの中の1人が演技がかった言葉でゆっくりと何かを言っていると、そこにいた全員が大きな声を上げて部屋中に響き渡るような笑いを上げていた。
そして、それでその連中とは少し離れた場所を歩いていた女子たちが背筋をまっすぐに伸ばすように、肩を自分の頭の方に近づけてるけど、そのまま足音を僅かに立てながらまっすぐと進んで行くと、各々の部屋へとつながる角を曲がる。
そんな中で連中のグループの中の1人が他のメンバーはもう終わってるのに、1人だけ長い間笑っていると、その人の肩が中心の人から強くたたかれて、そこを自分で支えるようにさせられる。さらに、それだけでなく、片目を強く瞑るようにしながら頭を下げてそっちへと謝っている。さらに、時間を開けて両方の人が舌打ちしている姿が見えた。
「いやぁ、姉御に勝てるやつなんて誰もいないっすよ!」
「わかんねぇぜ、まだ勝負はやってみなきゃわかんねぇって言うだろ? よし、プロレスだ! あたしに勝ったら今日の飯はおごってやるよ!」
そう言いながらその人が両腕を大きく広げながら、2mは超えるかという巨体を見せつけるように立ち上がる。その音と一緒に、周囲で残っていたわずかな人たちは一瞬にして足を止めていた。
それから、私は自分の両手を強く握りしめて、足を肩幅に広げながら、頭を下へと向けながら目を強く瞑る。1回息を大きく吸い込んでから頬を膨らませて体に一気に力を入れようとする頭の中の考え。全部吸い込み終わって呼吸が止まっている状態を維持。頭を何回か左右に振ってから息をもう一回吐いて、もっと顔に力を込めて、数回呼吸を口で繰り返してからもう一度口に空気をほおばる。
その中で熱くたぎる感覚を感じて、おでこの力がいったん緩みそうになるけど、その次の瞬間には、もう一度力を籠めるようにした。
「どうした! だれか、あたしに挑める奴はいないのか!」
顔を少しだけ伏せがちにして正面の方を見ると、トイレの入り口の前にいる私の方に背中を向けながら相変わらず両手を大きく広げている巨体の姿。それの視界の側にいる女子たちは視線を壁の方に向けながら、胸元やお腹の辺りで両手を持つようにしている。そして、それらは周囲から物音がするたびにわずかに動いてるけど、それ以外のタイミングでは一切そうはならなかった。
それが数秒間続いたと思ったら、また取り巻きの方を見ながらその女が乾いたような笑いをゆっくりと始める。そして、それと目が合った順番から、周囲の階段に座り込んでいた女子たちも笑い始めていた。それも重なり続ける度にどんどん笑い声も大きくなっていき、体も前後へと動いている様に見える。
そんな様子を見ながら、私が下の顎を上の顎に軽く押し付けるようにしながらも、ちょっとだけ前に出ている右足の爪先に力を籠めるように。それと一緒に顔のパーツを中央へと近づけるようにしながらしわを作った。
「そうだよな! ここのリーダーはあたしなんだからなぁ!」
「……やる」
そう、私が言った瞬間、広場の中にいた、巨体の人とその取り巻きはもちろんのこと、慌ててた周囲の女子すらもこっちに視線が向けられた。そして、それと一緒にそのあまりにも大きく膨れて凸凹としている腕も動いたがために、私の喉がまっすぐ伸びるように息を飲む。それに、その音が消えると、周囲からも音が消えて背中の辺りが冷たくなっていくのを感じた。それから、頭の角度を変えないように顎を引いてから、足に強く力を込めて持ち上げるけど、踏みしめる時には力を抜いて、その代わりの歯を強く噛み締めた。
それから、数歩進むと一緒に階段の所へやってくると、こっちが動くたびに視線が動いてくる周辺の取り巻き立ちと視線がぶつかる。彼女らは身長差があったり取っているポーズがそれぞれに違っていたりとするが、だが、今はそれらを一切崩さずにじっとこっちを見ている。
その横を通り過ぎようとした時、足が無を踏みしめたことに気づいた瞬間、声が出るよりも先に、背筋にいた冷たい感覚が一気に頭のてっぺんにまで来たと思ったら、その次の瞬間には体が傾いて、そっち側から一気に床へと転がると、階段の角度が私の体に数回突き刺さった。
それが収まったと思ってから数秒後、体を一度自分の正面へと回転させながらぶつけた個所の一部を手で支えながら状態を起こそうと足を立てる。それから周囲を見渡そうとすると、目を大きく開きながら近くの人と見合っている。それは取り巻きの連中もそれとは関係ない女子たちも、みんな一緒だった。
髪の毛を顔の前に来るように顔の角度を変えてから一度目を大きく瞑り、痛い所を抑えていない手を顔に当てる。それからもう一回、顔を前へと向けた。
「わっ、私がぁ、……やる!」
1回小さく出たと思った声を、今度は大きくするように発して、少しだけ伸びるようになってしまったから、最後はすぐに切るように話した。そして、それが終わったと思ったら、ちょっとだけ苦しくなってた息を吸い込んでから、壁の方にいた女子たちを交互に見渡しながら出来るだけ大きく口を開けながら話した。
「私たち、ずっ、ずっと負けて負けて、それが悔しくてたまらない、それ、それなのにっ! ずっと目を背けて負けて、負けて、悔しくて、ずっと、負けから目を背けて来た!」
体を何度も振り回すように一気にまくし立ててから、口の端に出来た泡を一旦飲み込むように息を吸い込んで、膝に手を置きながら数回音を立てた口呼吸を繰り返す。それから顔をあげると、歯を噛み締めるようにしている取り巻き立ちに対して、そのリーダーは体を起こそうとしていた。
それに対して私は、もう一回体をねじりながら生唾を飲む。足が震えるように小さく音を立てるけど、そこに力を加えようにも加わらなかった。
「そうだろ!」
一旦右側にねじったのを戻すようにしながら反対側へ体を動かす。その勢いのまま体を元に戻すように翻すと、喉が切れそうなほどの勢いで終わる直前までに言い終える。それと一緒に手も広がるように回ると、体に巻き付くように背中とお腹にぶつかった。
一瞬だけ何もないただの壁になる場所をじっと見つめてから、周囲の様子を見ると、みんな体のどこかを掴みながら自身の斜め下を見ているようであった。ただ、それでも、頭の中で考えておいたフレーズを数回繰り返すのと一緒に、指を小さく等間隔で動かす。数回息を吸ったり吐いたりを繰り返してから。もう1回敵の方に視線を戻した。
「それも、今日までだ」
今度は出来るだけ、文字同士の隙間を開けるようにして息を吐きながら言葉を発していった。それから足に限界まで力を籠めようとすると、すぐに曲がってしまいそうだったから、下の歯の右側に力を込めながらそれを防ぐ。そうすると、女の方は周囲にいる取り巻きと目を合わせるようにしながら口を動かしてた。その間、体はほとんど動かなく、そうじゃないのは首から上だけだった。
私が話すのもすぐ終わったせいで、周囲から聞こえてくるのは正面からする話し声だけだった。でも、それよりも今は次の言葉をもう一回脳内で復唱して、それと一緒に目線を上に動かしてからそのままの角度で右の方へと向ける。それから、またもう一度息を飲むように首を動かすと、隙間を開けないようにしながら次の言葉を発した。
「……今度こそ負けない」
言い終わったら目を大きく広げて唇を口の中に入れるみたいに動かす。そうすると、おでこを少しだけ前に出すみたいな角度に顔がなった。でも、今度は向こうは別のやつと目線を向き合わせるようにしてて、でも、たまにこっちの方を見ていて、その際には視線が合うけど、それと一緒にこっちの目に込めてた力が抜けてちょっとだけ小さくなったと思った瞬間に唇が中央に集まるかのような感覚があって、喉が押しこまれそうになったので、今度は口が開いて声が出そうになったけど、下瞼の近くが持ち上がるのと一緒に頬が震えるのを抑えるためにその辺りを何度もたたいた。
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