第176話
スマホを手に左右へと目をやる諸葉の後に続いて車同士がようやくそれ違いそうな道路の真ん中を進んで行っている北川は、足を止めている両方の横にあった、かつては東雲たちと過ごしてた広場の様子を細めにしながらわずかに見つめるけれど、そこにもう何もなくなってしまっているのを斜め上へと視線を向けるままにしてしばらく見つめる。
そして、それから近くにあった車が幾度も走ったせいで凹んだ場所をしばらく見つめるも、そこにはもう何もなくて、唯一あるのはただのヒビだけであった。でも、前方向にいる諸葉の方がそこで視線をきょろきょろさせながらいるだけでしばらく動かないでいるし、動いたと思いきや数歩で足を止めてまたスマホへと下に視線を向けたままになってしまっているのを繰り返しているせいで、北川も同じく動かないままになっていた。
そんな中で、2人を包んでいる空の青色の様子は白一色で黒くなっていたり灰色な姿をほとんど見せないまま半分も埋めない形で浮かんだままになっていて。そっちを北川も視線を向けるまま両方の手をポケットの中へとしまい込んで小さく口を開けたままただただ見つめるままになっていて。それに気づいた諸葉はすぐに両方の肩の形をくっきりとさせるくらいの感じで足を前へと進めてその姿へと近づいてきていた。
「おい!」
大きな力を込めるような形で出たその声に対して北川も背中をびくりとさせながら両方の手も持ち上げるままにしてそっちを見るけれど、それからわずかに笑うような表情をしながら声も出して数歩下がる。さらには、目線を斜め横へと向けながらわずかなため息を付くみたいに。
しかし、声を出した側はそっちの様子を見るなりすぐにまた最初の進行方向の方へと体を向けながらスマホへと視線を落として、わずかに揺れるようなペースで足を数秒に1度のペースで進めるようにしていた。
「ごめん」
消えるとまでは行かない物の、ほんのわずかな一瞬しか聞こえないその声を出した側は、視線を横へと向けるようにした後に下へと向けるままになっていて。下の唇を上へとくっつける感じのまま手のひらの中でも手首に近い位置を頭へ叩きつけるような音を立てた後にそこから下の腕をまっすぐ下に向けて落っことすことで視界の半分以上をそれで隠す。
自身の青い色に近い血管のまっすぐ上へと伸びている姿や中の骨の形が浮かび上がろうとしている様子を口を閉じたままにじっと見つめる北川は口を閉じたままにそれを見ているせいか、それ以外の場所の見えている部分が霞んでしまいそうになっている。そして、それが戻ったのは腕のせいで見えなくなっていた諸葉が「行くぞ」といつも通りの中学生女子にしても高めの声を出すままにしているまま顔だけを振り替えらせることで足を止めつつ北川の様子を見つめていて。
言われた側も一度汗をぬぐうために腕を持っていきながらもそれを辞めてそっちへと小走りで近づきながらだんだんと足を進めていくペースをゆっくりにさせていくまま冬の空気の中で全く色が付いていない息を口からまっすぐに出しながら、それを追っていくような形でまっすぐに足を進めて行ってて、それの最初の方だけを見た諸葉はすぐにスマホへと一度視線を落っことしてからそれを自身の顔へと向けたまま、道路の方を見て歩き出していた。
その後を体を覗くような顔を横へと向ける動きを北川がまれにするのを見せながらも諸葉の方はただただ足をまっすぐに進めるままにしていて。小さく口を閉じていて、それが前のめりになることもなくただただ背筋を曲げながらたまに左右を見渡すような形で視線を向けながら進んでいる。
さらに十数分間進んで行ったところで、相手が急に足を止めたと思い、北川はわずかに目を開けながら喉を一度飲み込むように動かしながら数歩前へと進むような形で相手の後ろ側を通って、そっち側に体を倒すことでそっちにあった空き地の方を見つめる。
一方で、そっち側でベンチの上に両方の膝をくっつけるままに髪を乾燥させたままに顔を下へと向けていた一六が、それを一気に上へと向けながらわずかな声を出していて。それに対してわずかな手を上げるようにしている北川を尻目に諸葉はまっすぐに相手の方へと近づいて行くと、その斜め前辺りに立つことでまっすぐに見下ろすまま口を開く。
「東雲一六、アニタを倉敷から救うために一緒に来てもらうぞ」
一方で、一六は声をかけられた後も視線を斜め下に落っことしながらも髪の毛を下へと向けながら、眉も向きを変えるような形にしているまま唇をわずかに前へと出すような表情のまま、じっと3人がいるベンチと植物のある場所を円の形のように描く雑草がある地面の方へと向ける。
それに対して、2人の様子を視界の中に入れていた北川は、わずかな声を出すと共に、一六の方から視線をそらしてもう一度諸葉の方を顔事向けることで見つめるけれど、そっちは顔の向きを変えるもそれはほんとうにわずかな物で。口を噛みなおすように動かしながらいる姿が見えているのはギリギリ片方の目が見えている角度になっているだけだった。
「情を寄せるな。こやつはアニタの役に立つことが最優先だとプログラミングされておる」
諸葉が出した声は語尾の方でわずかに持ち上がるだけで。一緒にわずかに目を開けるところから来ている目線を片方の目だけで向けてくるように。さらに、両方の手で反対側の肘を持つようなポーズをしながらもほとんどそのまま体を動かそうとしない。
さらに、それでもう一度一六の方へと顔を向けているのに北川も気づくと、同じく見下ろす感じでそっちを見ると一度瞬きするかのようだった。
「そうだけどさ」
その語尾を勢いよく上げるような声を出すと共に勢いよく体を下へと落っことすと、そのまま両方の手を上へと上げながら回転させ、お尻をベンチの先端にくっつけさせることでそこに振動を起こす。さらに、そこに座ったまま両方の指ごと天井へと向けるままエビ反りになると、わずかな高い声を上げて、それに続く長生きを吐くと共に、両手を自身の背中側の座面へと置き、そこはお尻よりも後ろ側になっていた。
さらに、諸葉の方を見上げるまま小さく口を開けているような姿勢でいる相手を、一六は顔を下へと向けるようにしているままにしてて。それで自身の膝を見るみたいになったと思いきや、それに続いて目線だけでそっちを見るようになる。
「こいつは嫌がってるんだよ」
「嫌がっては、いません」
わずかに一瞬だけ間を開ける物の、人間であれば唾液が飛びそうなくらいのペースで顔を動かしながら出た声は、それに対して大きさは大したことなくて。2人は聞こえている物の、敷地の外側にいる人が聞こえているのかは怪しいレベルであった。しかも、それだけでなく、最初の声が勢いよく出た後に続くようにしたのは数秒間口を閉じたまま唇同士に入れる力を変えるようにすることで口を動かす。
それを聞いた北川の方はそれを聞いた途端両方の手を自身の両方の手の間に入れるようにしたままになっているのを一切変えないまま体の向きだけを変えることで目を大きくする。
「そうなの?」
語尾を上へと持ち上げるような話し方をする北川に対して、一六は自身の顔を下へと向けることで視線を北川からそらし、それから唇に強く力を入れながら目尻を垂らすようにし、肩を上へと張るような両方の太ももを限界まで押しつぶすような感じで両手の座面へと置く位置を限界まで近づけるように。
一方で、話すと共に顔を一六の方へと近づけるままになっている側は、未だ両方の足を左右へと向けながらその外側に片手を突いてそこに体重を乗っけてるみたいにしながらいるも、2人の真ん中あたりになるような位置よりも一六側になるような位置でまた同じポーズのまま諸葉へと視線を向ける。
「だから、情を寄せるでない」
わずかに先頭を上へと上げるようにした声を出す後に続いたその声は、次から次へと言葉の要所要所で強調するようなしゃべり方をしていて。それと共に相手の手を引っ張り上げることでベンチから立ち上がらせようとする。
一方でそれをされた一六は、わずかに口を開けながらもそこからため息のようなそれを吐き出すだけで、それでだんだんと音が消えて行くようになりながらも、一度大きく開けたそこの目尻を落っことしたような目を閉じるくらいにまで目を細くして下唇を中へとしまうかであった。
完全に立ち上がった後も、両方の手の手首を重ね合わせるような形にすると一緒に両方のお腹を掴むままになって背筋を前へと曲げるような立ち方をする。
「知ってますよ」
その声はいつもの甲高い物とは全く違う、すぐに言い終わる感じで失われると、それから自分から進んで行くような形で同じ体勢のままいようとするけれど、それと同時にわずかに後ろへと振り返るような形でいる。
しかし、未だ座っているままにしている目を細めた北川はずっと下へと向けたままにして体を斜めらせながら手を座面に着いたままにしている。その体勢のまま唇をずっと閉じたままもう片方の手を誰もいない場所でわずかにずっと爪で円を描くかのように引っ掻き続けるように動かして。それでわずかな高い音がずっとするだけだった。
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