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Lunatic  作者: コンテナ店子
第三部前編
172/216

第171話

 一六が一度アパートの跡地にまでやってきていた一方で、北川はシャッターが閉まったお店同士の間でまばらに人が歩いている道の中で顔を上へと少しだけ向けながら「あっつ……」とわずかな声を出すようにしていて。それから小さく口を開けながら自身の手に一度灰色のジャージをまとわせてから体に掻いてた汗をぬぐう。しかし、そのタイミングで後ろから歩いてきていた人が素早く一瞬だけ体を避けさせるような形で相手から距離を取るようにしていた。


 しかし、それに対して北川自身は全く気にしないような小さい歩幅を一歩ずつ動かし続けていて、それにも関わらず、高い音を立てながらくるまったしわだらけの紙が転がっているのを一切気にせず体中汗を流し続けている。それに対して、辺りからはさっき歩いてた人が信号の所の角を曲がって早々に見えなくなっていた。


 辺りでは大きな看板に文字が非常に太くなっているフォントで描かれている文字が書かれていて、さらにそれだけでなく、その周囲をきらびやかにするかのような宝石やキラキラとした模様で装飾されている。一方で、その周りに取り付けられている電球や、バーによってそれを照らすような角度で向けられている照明もい全然光ってない。


 さらに、今北川が1人で歩いている道の建物に面している所には黒色で中身が見えなくなっている物の中から生ごみの臭いがしているゴミ袋であったり倒れたまま風に転がり続けている空き缶の様子が見えている。しかし、彼女自身も近くを歩いている人たちもそれに対して何かをするわけでもなくただただその場にいるようになっていた。


 一方で彼女は、ただただ背筋を曲げたままポケットに両方の手を入れたままフードは下ろしたまま歩いて行っている物の、サンダルが鳴らす音はどこにも響き渡らないものの、彼女の耳元にはそれが確かに聞こえる。しかし、それでも彼女は歩いているペースを一切変えない。


 そう思った次の矢先、急に体を傾けたと思いきや、足のペースを急に早くして。そのまま車道の方へと行ってしまいそうになったところでギリギリ近くにあった電柱を掴んで、そこへと右肩全体を押し付けながら顔を下へと向けたままにして何度も呼吸を繰り返すことになる。しかし、それに対して、近くにいる人は何もしないままそっちの様子を遠めに見ながらも足を進めて、通り過ぎるタイミングで元へと戻しているだけであった。


「やっべぇ……」


 何度も顔を震わせては元に戻してを繰り返している間、ずっとおでこからいくつもの脂汗を流し続けていて。その間電柱から出っ張っている箇所を握り締めるようにするだけで。繰り返し何度も目を閉じてその近くにしわをたくさん作るようにしているだけであった。


 そのまま体を柱の上でだんだんと滑らせながら落っことしていくことしか出来ない間、すぐに地面と電柱が接している所へと膝がくっつく感じにしているままになってしまっている間、北川は激しい咳を繰り返してしまっていて。それのせいで背中を繰り返し何度も上下に動かしてしまっていた。


 何とか止められたのは、もう一度手を強く握りしめることで、自身の体の周りへと黄色い光をまとわせたタイミングで。それから両方の足を肩幅よりも広く開いて、さらにそれだけで終わらず膝を曲げて強く踏ん張ろうとするも、しかし、すぐにそこが落っこちて地面に叩きつけられてしまう。


 また肩を電柱にくっつけるまま目を大きく開けて何度も体中から脂汗を掻く量をさっき以上に増やしてしまっているままになっていて。それに対して北川自身は強く歯を締め付けることしか出来ない。


 一方で、そこの近くにいる人はそっちへと手を出して近寄ろうとするものの、その気配に気づいて息を締め付けるような形で唇同士をくっつけたまま振り返る。そっちの人は黒一色のテーラージャケットとテーパードパンツ姿のスーツ姿の女性で、さらに白色のハイヒール姿で。一方で北川は今も昨日と同じ灰色のジャージと同じ素材のパーカー姿で、特に後者はくたびれてフードの重力に従うようにその体から離れるように落っこちるようになっていた。


 さらに、彼女の目の光をほとんど失ってどこにも焦点が合わない姿と女性が視線を合わせるようになった途端、体を勢いよく遠ざけながらわずかに自身の二の腕をもう片方の手を使って自身の側に近づけるようにしながら遠ざけていて。その体勢のままわずかな高い声を出す。それからじっと北川がじっと下から見上げるような形で相手のことを見つめるような形にしているのに対して、ずっと左右を見るように女性はずっとその漆黒というほどではないにしても白と黒の2色しかない場所を見つめるままにしている光景と目線を合わせないように、ずっと動いていたのをさっきまで歩いてきた方に合わせる。


 一方で、しゃがんでいる方もずっと顔を落っことすようにしながら歯を強く噛みしめて片方の手の爪を立てるかのように指を立てて関節を持ち上げるようにしているまま電柱にそれを突き立てていて。そのまま何度も咳こんでしまうともう片方の手も地面に平事叩きつける。


 そんな光景を見た女性は、すぐに早口で声を出しながらその場を足早に去っていくようなペースで進んで行ってしまって。すぐに一番近くにあった曲がり角を走りながら進んで行って。姿が見えなくなるだけでなくハイヒールで地面を叩き続けていた音すらも消えてなくなると、辺りからはたまに聞こえる高い風が周囲を切る音だけになっている。


 しかし、そんな中で北川はただ1人道路の中に取り残され続けていて。ずっと肩をただただ上下に動かし続けることしか出来ない。一度強く息を吸い込んでから吐き出し、両方の唇をずっとくっつけるような顔つきのままいようとするも、それも力がなくなって途中でわずかに開けてしまう。それから、限界まで下に向けていたはずの顔をわずかに上へと向ける感じでじっとして目の前の建物に入り口として取り付けられている自動ドアに反射して映っている様子を、ただただまっすぐに自身の様子をじっと顔を下へと向けながら目線だけをそっちへと向けて見つめ続けていた。




 バスについている段差を一段ずつ足音を大きく立てるのを一切隠さないまま体を左右へと揺らしながら降りて行った北川に対して、他の客が降りることはなくすぐに勢いよく空気を噴き出しながらどこかへと向かって走って行ってしまう。そんな中で、彼女はただ1人肩を上へと持ち上げるような体勢のまま顎を自身の体へと近づけるような体勢のまま口を紡いでじっとしていた。


 その体の上の部分には葉を失うことで幹と枝だけになってしまっている桜の木が覆いかぶさるようになっているせいで、わずかな木漏れ日と影になっている場所が不規則に並んだままじっとただただ風で揺れ続けるせいで、そのまっすぐに立ちながらいる様子を一切変えないままに。一方で、その近くにはもう落ち葉も何も残っていない上に、その先にあるわずかに盛り上がった石垣の上にあるフェンスは揺れることもなければ風の音も聞こえないし、声も何も音がしない。


 その一方で、青色の看板で描かれている皐月ノ宮学園と書かれている交通標識は風で動いても一切形が変わることなくただただその場に残ったままになっていて。それを支えている白くて細い柱も含めてずっと同じ形をしたままになっていた。


 そんな中で一度息を吸い込みながら後ろへと振り返って。それと共に白と黒が交じり合ってほぼほぼ一色になっている目をそのままにしてると、それと共に彼女の背中にまとわりつくようになっているジャージも同じように風でふわりと持ち上がって。道の向こうの方をまっすぐに見ながら口を少しだけ開けるようにしているも、辺りの灰色のような色に交じり合っている道路の様子や、かすれつつあって白い文字の止まれに黒いひび割れが混じり合っている姿は変わらない。


 振り返った上半身について行かせるために足の位置も整えるようにして。それから新たに向く方へと手を伸ばすことで腰の少し下にいた手を持ち上げるようにしようとしたけれど、一度自分の顎を下ろしたまま唇同士をずっとくっつけて細くすることでそれ以外には何もしないまま。


 しばらくずっとそうしていたけれど、一度わずかに音がするのかしないのかすれすれくらいの音を立てながら顔を同じ方向へと向けたままにしながら眉毛を一度下へと動かすようにする。


「良子さん……」


 辺りからは冬の風が吹きつけて北川の未だ出たままになっている肌にもそれがぶつかっていてダボダボのその服のしわの位置をほとんど変えないままにいるのもあり、彼女自身もわずかな声を出すような形で喉を鳴らして。そのままじっと髪の毛に覆われてたのを正面の方へとむけたまま両手を下へと落っことしている。


 一方で、その口元が何度も力を加える位置を変えるかのようにただただずっといる間、近くからは車が一瞬だけ通ることが聞こえて来るもののそれ以外には何もしなくて。一度だけ瞬きしてから目線を道路の方へと向けるようにしていた。


「あのさ……」


 服のしわで手悪さしてわずかに指だけを動かし続ける北川はずっとそのまま足を動かさないで瞼を落っことしながらもそこを細くするだけで閉じることはない。一方で、その体が向かっている方はずっと下り坂になっているせいで早々に道が見えなくなってしまっている一方で、そっち側には石垣が下へと向けて伸びて行っていて。さらには、その上にある街路樹がダマになるように固まっていて濃い緑色のそれをほとんど黒くて影に染まっている。


 一方で、北川の方はわずかな声を出すけれど、それが想像以上に高くなってしまっているようで、一度鼻と口の間くらいのところを指で拭くようにしながらも、その動きを途中で辞めて唇の上に人差し指をずっと乗っけたような形で、それに直角にして親指を触れさせていた。


「良子さんだけは死んだら泣いてくれるかな」


 ずっと顔に当てた手をそのままにしてじっとしているその姿に対して、辺りからは何もきこえないまま。しばらく目線をちらちらまっすぐに道が向かっている方へと向けたり戻したりした後に手を落っことしてから一瞬だけさっきと同じように斜め下を見ながらもすぐに目を閉じて顔を勢いよく持ち上げてから目を細めながら笑顔を作った。


「ありがと、これで気兼ねなく死にに行ける」


 それだけ言うと顔を出来るだけバスが走ってきた方の道へと向けるようにしながら続けて体の向きも同じ方へと戻して。それから腕をまくることで注射跡と傷だらけの跡が残ったままになっている腕が白くなっているのを一切隠さないまま晒すことになって。それから背中を丸める前かがみの姿勢になると、一度膝を叩いてから鼻から何度も息を吸ったり吐いたりを繰り返して。それから口を大きく横へと広げるままにしてた。

読了ありがとうございます。

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