第169話
自分たちがいた部屋すらも渦の中にまみれながら少しずつ崩壊していく様をその青紫色の側面からは少し離れた建物の屋根からじっと見つめるようにしている北川と一六の2人。前者がまっすぐに立ったまま両方の手を自分の体と平行にしていたまま立っていたと思った矢先に、勢いよく音を立てながら胡坐を掻いてその足同士の重なる位置に両手を乗っけているのに対して、後者は体育座りをしたまま顎を自分の体へと近づけ、眉と目の間を出来るだけ狭めるような表情をしていた。
一方で、渦の方はもうすでに建物のすべてを飲み込み終えたはずなのに今もずっと流れ続けていて。それのせいで少しずつ動くような低い音を立て続けているのを一切隠さないままに。しかし、その一方で2人の間に聞こえている音、一六が自身の顔に両方の手のひらを一度叩きつけるような大きな音はそれよりも明らかに大きく聞こえているようで。そっちへと顔を向けるようにしている北川の耳からしたら、続いて出てきたわずかな高い言葉になってない声も同様であった。一秒も隙間を開けないままずっと何度も繰り返すような形で出ていると思いきや、十秒ほど隙間を開けるような後にまた繰り返していた。
一六の表情は見えないままになっている物の、北川は目尻と眉を落っことすようにすることしか出来なくて。それから一度顔を拭くようにしてから彼女自身もおでこに手の平の先端を当てながら長い声を出していて。それが渦の音以外辺りが静まり返っている夜の中に消えて行くようであった。
2人がどちらも下を見ているせいでその視界に入っていないものの、空の上では雲で一部見えなくなっているが、多くの場所で小さく輝き続ける星の様子を見せている。でも、その形が雲以外で変わることはほとんどない。
一方で、顔を伏せたままにしている一方で体をずっと周囲の寒さに溶かす一六はずっとわずかに体を震えさせたままにしていて。しかし、それで音が鳴ることもなく、聞こえて来るのはさっきまでずっと降っていた雨によってできたわずかな水滴がどこからかずっと落っこち続ける音が聞こえて来るだけで。それがトタンの上に落っこちることで高い音をずっと立て続けていた。
そんな中で、北川の方から手をゆっくりと伸ばすようにする物、体ごと行っているのもあって肘を曲げたままにしている物の、指もわずかに関節を上へと持っていくままにしている形で一六に向けて近づける。でも、それに対してそっちにいる相手は自身の腕を思い切り回し、手を払った。しかし、一度明後日の方向へと向かった自身の手の方へと彼女も視線を向けるけど、一度口を横へと伸ばしながらもう一度同じような動きをしようとする。
「うるさい!」
今度は腕の動きだけじゃなく、体と顔の向きも相手の方へと変えながら喉を擦らせるようなほどの勢いで目を大きく開けながら何度も肩で息を繰り返しながら叫ぶ一六。それを見て、両方の手の平を見せるようにして唇を閉じることで頬を膨らませるままにしている北川は、手を前後に動かしながら横へと曲げるみたいにしてる足をも使って少しずつ後ろへと下がって行ってた。
しかし、それに対して言われた側は、わずかに一瞬だけ高い音を立てながらまた同じようなポーズに戻るために肘を上へと向けて立てるように。一方で、それを見守っていた側も一度ため息を付きながらまた胡坐を掻くポーズに戻ると、足の裏側に自身の指をくっつけるようにしてそこを中心に手のひらも合わせて一周させる。そのまま背中を前へと伸ばしてそこで前後に揺れるようにしていた。
「何も言ってないじゃん」
わずかに言い捨てるように、言った矢先に消えそうなほどのペースで言うその声が聞こえてなくなると、顔を前へと向けながら動きを止める。一方で、じっとしているのは一六の方も同じで。ずっと腕のせいで髪の毛を持ち上げてそれを伝って落っこちて行くかのようであった。
2人が屋根の上に立っている2階建ての建物では、2階には電気がどこにもついていないものの、1階には一番大きな窓のカーテンがしてある隙間からもう光があふれてしまっていて。その薄いオレンジ色のような色がずっと漏れている。しかし、そのカーテンのわずかな色の中に、人の影がゆっくりと横へと移動している姿が映るも、途中で座ったのか下へと消えて行くようであった。
「消えてください……目ざわりです」
同じ姿勢で一切動かないまま一六が自分の膝と重ねたままの両方の腕へとおでこをくっつけたままにしてずっといるだけで。でも、その声にギリギリ質を付けるような形で出した言葉を自身の体にぶつける。しかし、それでも誰も見えていない顔は出来るだけそれぞれのパーツを中央へと寄せるような動きに近い形でずっといる。
だんだんと消え入るような声が消えようとしている2人の体は、青がほんのわずかに入った黒色の夜の中に交じり合ってて、道路を照らしている街灯は周囲の風景の中で散見している物の、それはすべて下を向いているせいで彼女らの所に一切届いていない上に、辺りは住宅街なせいでその場所よりも背の高い建物もない。
そんな中で一度体を勢いよく体を落っことすようにすることで両方の手を立てることで上半身の体重をそっちへと預けることで、先端の方だけが緑色に染まっている髪の毛が下へと向かいながらいる態勢になる。
「腰抜けも私もなしで東雲を救うの?」
その、今までとほとんど変わらないようなペースで話している言葉が終わると共に、一六はずっと横へと伸ばし続けていた肘を自身の体へとくっつけながら手の平だけが乗っかっている膝のところにくっつけているおでこをより顎を自分の体へと近づけることで髪の毛が滑る音を立てて自分にも聞かせるようにしていた。
返事をずっと言われた側はしないせいで、ずっと辺りには沈黙が支配していて、唯一聞こえているのは遠くで走っているトラックが道路の上を叩くようにしているものやクラクションを鳴らしている音がするほどだった。
その間、髪の毛を前の方だけは手の甲とぶつかり合うせいで上へと盛り上がってしまっている上に、それだけでなく後ろ髪の方も肩で持ち上がっているのを一切変えないままにしてしまっていて。それは彼女が顔の向きを変えることで相手の方とは逆の向きへと顔を向ける。そっちで、下の唇を上へとくっつけるままになったまま鼻から息を強く吸い込むようにしていることで、しばらく呼吸の音すら辺りからは聞こえなくなる。でも、数秒後に吐くけれど、それは震えを体現するかのようなゆっくりと、だんだんと出ているかのような形だった。
息が終わったタイミングでまた体の位置を整えるようにお尻を一度浮かせてから体中の隙間を一切なくすように。それから、顔を前へと向ける形に戻しているせいで、眉を目に近づけながらさっきまで渦が出来上がっていた、もうただの何もない薄茶色の砂だけが残る空き地だけがただただ広がっている様子へと視線を落っことす。
「なんで、私がそんなこと、しないといけないんですか……」
限界まで音が高くなり言葉が切れるたびに無理やり出るかのような勢いを感じる、その声を聞いた途端目を大きく開けながら相手の様子を数秒間見ている北川だが、それに対して声を出すこともなく、ただただ同じ姿勢のままその様子をじっと見つめ続けている物の、その背筋がまっすぐに上へと伸びているせいもあるが、彼女ら2人の間にけっこうな身長差があるせいで、声を出した側を聞いた側がじっと見つめるような形になっていた。
「愛するお姉さまがそう言ったんじゃないの」
声を出す前に一瞬最初の言葉だけ出すような形で止まってしまったものの、それで一度自分の握りこぶしを口元にくっつけるようにしながら数回そこを動かしてから会話を続けた。しかし、それが言い終わったのに気づいた途端、一六の方は体を勢いよくそっちへと向けることで前のめりになる。
「今お姉さまはここにいないじゃないですか!」
その言葉を言い終えた彼女は顔を限界までおでこがぶつかるそうなほどに北川へと顔を近づけるようにしていて。それに対してされた側は一切動かないどころか、じっと相手の様子を見つめるままに。数回瞬きをした。
終わった後に一度ため息を付くことで体を勢いよく後ろへと下げながら鼻から息を吐き出すことで、両手を付けたまままた同じ体勢に戻る。じっと上の方を見つめるままにしてて。また同じようにため息を繰り返していた。
一方で、それを見つめながらも体育座りをしながらも顔を上げたままにしている一六の方はじっとそっちの方を眺めるままにしてわずかに口を開けるようにしてた。
「言われてみればそうだ」
さらっとすぐに言い終わったようなペースで言葉を出した北川はそれと一緒に勢いよく体を立ちあがらせると、灰色のジャージの上から尻を数回叩く音を立てながら体をまっすぐに向けるままにしてて。それに対してみていた側はわずかな言葉になっていない声を出しながら顔を上目遣いにそっちを見るままになっている物の、それに対してそっちは体を上へと伸ばすままにするだけで。出したものすらもそっちが出しているのにかき消されてしまうほどだった。
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