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Lunatic  作者: コンテナ店子
第三部前編
168/216

第167話

 北川さんの声も、召使の子の声も、ほんの一瞬だけ聞こえるみたいな気はするけど、でも、それよりもずっと出来上がってる渦の中から低く聞こえ続けてる音が私の体の中にも響く感じまでしてて。それのせいでわずかに頬を持ち上げるみたいにしてる間、口から涼しい息の感覚がずっとするし、それだけじゃなくて、だんだんと一回だけうっすらと開けてた目を閉じていく。その間も、だんだんとその場所が狭くなっていってるけれど、辺りで規則性もないままに空中をさまよいながらもだんだんとほんのわずかずつ渦の中へと進んで行っているがれきたちの姿が見えて。中の金属部分が露出して見えてたり、特に決まってない場所で尖ったりデコボコしてる姿を一切変えないままにしてる。


 体が空中をころがるせいで、いまだ見えている雨が降り注ぎ続けている外の様子がわずかに見えてるけれど、とっくの昔に地面よりも内側に来てたせいで、隣の家の屋根の端っこの方だけがわずかに穴の入り口をわずかに覆うようになっている姿をわずかに見てるけど、雨でそれがどうにかなっている姿もない。


 でも、それもまた私の体が回るように落っこちて行くせいで、それも自身の体で見なくなって。そのタイミングで目を閉じると、もう辺りからは雨の冷たい感覚もしないで、ただただ空中で浮遊してる感覚だけを感じる。


 その間も、何度も2人のこっちを呼び続けている声は確かに聞こえて来るけど、でも、私は何もしないままになってて。自分の顔の横左右で曲げた肘を平行にする感じのままちょっとだけ曲げるままになっている間、ずっと膝も頭とは反対側を向かわせながらもずっと同じように折り曲げてた。




 私が空中を転ぶみたいにしている体勢が終わったのは頭のさらに先へと向けて伸ばす感じになってたそれと盛り上がってた膝が激突したタイミングで、前者は手首に重なったままになっている体勢になってしまっているのに対して、後者はずっと平行になる感じでただただずっといるままになってた。


 一方で、近くからは何も声も音も何も聞こえないままになっているし、細かい砂や石が落っこちている様子を肌やうさ耳パーカー越しに感じることもなくただただじっとしていると、何も刺激を感じないほど。地面を伝わって起こる振動すらも何もなかった。


 そんな中で、目を開けることもなく、体を側面が触れ合うような感じで、ただ本能に従うまま体の向きを変える。それから両方の肘の硬い部分が重なるような感覚を味わいながら唇をずっと力を閉じる感じでいるのに対して、太もものあたりから先は同じ形で曲げてるけれど一切重ならないようにするのを意識していた。


 一方で、寝転がってる私の後ろの方から聞こえて来る金属に重さがかかるみたいな音がした時に、私は口を閉じたままにしてるだけで何も動かないまま。でも、向こうも向こうでそれ以降は何も聞こえない。


「死にたい?」


 最初に沈黙を割ってきたのは、さっき金属の音が聞こえてきたのと同じ方からした、大人の女性とも少し違う必要以上に高くて、言葉同士の間がすごく短く感じるような早口な声。でも、それから先にはまた周囲に何も音がしないように思えて。少しだけ目を開くのと一緒に私は低いわずかな音を喉から出していた。


 その声が聞こえなくなったのに対して私の前の方の床は、辺りがさっきの渦の紫色と同じような瘴気に包まれているだけではすまずに、水色や緑色の色んな姿をしたひし形みたいな色をした光が地面を照らし続ける。さらに、それだけじゃなくて、光の色が数秒間に一度ほど変化するのを繰り返していた。


 一方で、私は向こうの声が聞こえなくなってから数秒ほどしてから顎を自分の側に近づけることで、光も見えなくなるまま自分の膝の様子すらも見えないような角度でずっと腕にフードを被ったままの頭を乗っけたま間に。そのせいで、おでこの辺りに髪の毛の先端がかすれ続ける感覚をずっと味わい続けるけど、それが数秒後にはも動かなくなって気にもならない。


「じゃあ、やめとく」


 一度だけ息を鳴らす音と一緒に、声を出した人は体を動かしているのか、機械か何かの音をまたきしませていた。それが終わると、また沈黙の時間がやってきて、辺りで動いてるのは私の体を通り越すみたいな感じで出てる光がわずかに私の視界の端っこの方に入ってるような気もしたし、それがずっと動くのも一切遠慮なくこっちに見せつけるようになる。


 それ以外はさっきと一切変わらないままに顔の向きを変えないままにずっと瞼を下へと落っことすままにしているのを変えないでいる。それで見えているのは先に行けば先に行くほどにどんどん紫色の瘴気の色が濃くなるのを一切変化させないで、どこを見ても私らのいる場所を弧を描くようにかたどっているだけだった。


「やるならすぐにやってくれ」


「なんで」


 私がわずかに出した声は、最初出そうと思ったタイミングでちゃんと出てくれなくて。それのせいで、一度唇を元に戻す形で閉口したままになって。眉が下がるのを感じるけれど、それに対して背中側から話しかけてくる方も、さっき声を出した時の以降は何も聞こえない。


 それのせいもあって、私は次に声を出すようにしたタイミングでは一度喉を飲み込む後に出すみたいにして。でも、それに続いて向こうがそれ以外の音を一切出さないままに出した声に対してこっちはただただ何もしないままになっていた。


 相手の語尾を持ち上げる感じで聞こえて来るその声は辺りの闇の中に一瞬で消える気すらもする。


「薫子から言われてるのは東雲アニタだけだからね」


 しばらく音がない間がまた続いた後に出た声と一緒に、さっきまでよりも低いきしみの音がした途端、向こうが出した声はほとんど抑揚が少なくなっているのを一切隠さないままにしてるのに対して、息をまた強く吸って吐いてを繰り返してた。


 一方で、私が出来てるのは喉を締め付けるまま眉同士をくっつけて、背中をより丸める感じのままにして口の間からわずかな呼吸が出続けてるのを味わう。さらに、自分の頭を覆ってるうさ耳フードを強く引っ張って、背中と頭にその力がくっつくのを実感させられるのに気づいて。顎と自分の体をくっつける感じにどうしてもなってしまっていた。


 目に強く力を込めて、自分の体に肘を押し付けてその硬さを実感させて。でも、それに対してまた周囲で騒がしい喧騒が聞こえた気がしたけど、それはただの髪の毛と耳とフードがこすれ合わさる音がするだけだった。でも、ずっと閉じてた目を勢いよく開けてしまっていて、その上息を強く吸い込むことになってしまうし、その表情をずっと固めたままになってて。その間、力なくうさ耳パーカーの淵を持っていれるポーズをずっとしてた。


「楽しみを奪われたら困るんだって」


 相手のさっきまでとほとんどペースも大きさもほとんど変えない、必要以上に高くて跳ねるみたいな感じで出てる声を出しながらいるそっちのそれを聞いた途端、もう一度目を瞑ってフードに当ててた両方の手を地面へと付けて。それから体を一度回すことで地面と同じ方へと胸と顔を向けてから一度息を吸って吐いてを繰り返す。


 さらに、視界が見えにくくかすんでいるのを払うために腕で何度かそこを擦って。もう一度強いため息を吐くまま頭を数回上下に動かすのを一切隠さないままに。体を起こそうとするけど、わずかによろめいてしまい、完全に起き上がるまでずっともう片方の肘でそれを掴むようにしながらいる方の肩が下へと傾いてしまう。


 一方で、こっちが口で何度も息を吸ったり吐いたりするのを繰り返しているのに対して、空中に出てる映像をまっすぐ見つめるだけにしてる相手は、錆が無数に出来上がっている縦に長いジャッキの上に取り付けられた椅子の上で背もたれに乗りかかっているだけで何も動かなくて。それは、左足の代わりに破れたオーバーオールから出てる、途中で切れている血管の数本と骨も全く同じだった。


 いくつもの縫い合わせた跡を残している腕を使って体を前のめりにするような姿勢に一度変えると、それでジャッキの高さが変わる訳でも、その下にあるキャスターが動くこともない。そこにいる子供はヘルメットと長い長髪越しにただただまっすぐ目の前の映像に出ている水色と緑色の目をしている相手の様子をただ見つめるようにしている。


 そして、そっちの小学生くらいの見た目の子は戦闘機に乗ったままコックピットの側面に両方の手を当てながらじっと見ている姿がそこに反射して映っている。しかし、そっち側は傷や汚れが付いたままになっているせいか、わずかに見えにくくなっている。


 一方で私は、体は椅子の方へと向けるままにしてる一方で、顔だけを映像へと向け続けてて。それに対してそっちからはほとんど音がしないまま。さらに、体勢を変えた後はヘルメットの子供もそれは一緒。私も向こうも、ずっと何も音がしないまま映像の様子を見つめることしか出来なかった。

読了ありがとうございます。

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