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Lunatic  作者: コンテナ店子
第三部前編
165/216

第164話

 語尾を伸ばすような感じでわざと演技が勝ったような声を出していたそのぬかるみから伸びている2つの手は、今も東雲の体をずっととらえ続けていて。そのギザギザとしながら角をとがらせている姿と、弧を描くようにしているそれの元になっているぬかるみからは、わずかな液体の塊が常にそこから飛び出すようにしているのを繰り返していた。


 周囲からすべての音がなくなり、私も召使いの人も北川さんも部下の女性も全く動かずにいるせいもあり、顔を横へと向けたままそれの前で途中で折り曲げている両方の腕を重ねている東雲のわずかなうめき声が聞こえている。さらには、それだけではすまずに、ぬかるみから今も飛び出す形で出続けているのがどろどろしたのが飛び出す汚い音が聞こえ続けていた。


 その沈黙に近い状態が崩れたのは、ずっと聞こえていたうめき声がいきなり大きくなったのに合わせて、東雲が目元に限界までしわを作るように力を入れる表情をしたせいであった。一瞬だけで終わらず何度もぬかるみから出た紫色の手がついてない側面を手の平で強く抑え込むようにしている東雲は、大きな声を何度も上げながら必死に抵抗している物の、足をばたつかせていることしか出来ずにいた。しかし、その間も、声が止まったタイミングで何度も息をはっきりと聞こえる音と一緒に口から吸ったり吐いたりを激しく繰り返している。


 ただ、それが終わったタイミングでまた東雲が新たな大きな声を上げ始めてしまっていて。体を横向きに立てながらうずくまる。しかし、召使いの少女は両方の手を地面へと向けて伸ばしながらだんだんと後ろに下がってしまっていて。数秒に一度のペースで少しずつ下がって行ってしまっている。ただ、ペースはだいぶ遅いせいもあって、そっちに近づくのはだいぶ同じペースとなってしまっていた。


 一方、私はずっと正座するみたいに肘をくっつけたままただただ顔を下へと向けるみたいな姿勢になっているのに対して、両方の前へと向けた膝の先端に手首を置く感じにしたまま、背筋を曲げたままに顔を下へと向けるようなポーズをして。唇同士をくっつけるみたいな感じに。しかし、そっちには今も黒く周囲の影と一緒になってしまっている様子を自分自身に見せてしまっていた。


「お姉さま!」


 そんな中で、大きな声を出した召使いの方へと私が勢いよく顔を持ち上げることで見るようにするけど、一方で本人は膝を曲げて中腰気味になりながら息を強く吸ったり吐いたりを繰り返すだけになっていた。さらに、肘を90度曲げる感じのままにして前腕を床とずっと平行にする感じにしている。


 しかし、波打つ形で何度もジグザグした見た目を上下へとずっと動かし続けている腕はわずかに動きを止めるようになっているけれど、その間も掴まれていた東雲はさっきと同じような呼吸を繰り返すままにしていた。ただ、私と同じようにずっとその様子を見つめるままにしてる北川さんのすぐ横にいる足の位置が変わることはない。


「主のこと、何にも知らないただのお手伝いロボットが僕の力に勝てると思ってる?」


 ヘドロのたまりから今も泥が跳ね続けている所からした声は、少し高めで不定期のタイミングで抑揚を上げたり下げたりような形で何度も繰り返し出てくるようにしている中でも、半場笑うかのような形で合って。それを聞いた途端、召使いの少女は片方の手で持つままにしてたテイザーを両方の手で掴むみたいにしながら歯を強く噛みしめる。目元と口元にしわを強く作る感じにしているのに対して、今もずっとヘドロの中からはずっとくすくすと小さく笑うような声がしていた。


 一方で私は両方の手をさっきよりは持ち上げながらも指の付け根の所の関節をちょっとだけ持ち上げる感じのまま顔を前へと持っていく感じにしてるけど、でも、手のひらもだいぶその範囲を狭くする感じにしてるし、爪の向きも下へと持っていってる感じのままになってる。


 そんな中でも、視線は正面に向けたままだったのもあって、大きな叫び声を喉から出すことでテイザーが光り輝くような音もほぼほぼ聞こえなくなってしまうほどにしている召使いの女の子は数歩走ったところでヘドロの塊へと飛び掛かる。


 しかし、その体に身にまとっていた東雲が普段着にしてる制服と同じような灰色に近い色をしているニットも、チェック柄のスカートも一切そっちの色には染まることもない。


 それにもかかわらず、テイザーを持ってる両方の手を何度も上から下へと振り下ろすのを繰り返していて。しかし、それで意味を成しているのは、その青白い光がヘドロに入ったタイミングで光を見えなくしているくらいで。それを引っこ抜くようにしている間も何も変わらないまま。そんな中でまた東雲の大きな声が響き渡ると、一度動きを止めてわずかな声を出しながら顔を上へと向ける。


「お姉さま……!」


 もう一度さっきよりも声の大きさが最初は一緒くらいになっていたのに、だんだんと消えるような感じで出てしまった声。それがなくなったと思った数秒後に、上へと一度伸びてから頭を掴んでいるそれを捕まえるために飛び掛かるも、召使いの少女の体はいとも簡単にそれをすり抜けて床の上に落っこちることしか出来なかった。


 地面へとおでこを当てるようにしている彼女は、そのまま両方の手で床を滑らせるようにして握り拳を作ってから、わずかな高い声を出すようにしているままにしか出来なくて。もうすぐそばに東雲がいるというのに、一切それに対して何も出来ないまま、ただただ私に近い側の口を横へと広げることしか出来ないし、私の方からそっちを見ても出っ張っている家の角が見えているせいでほとんどそっちの様子は見えなくなっているまま。


 ただ、その2人の大きな叫び声は聞こえていると思ったけれど、それよりも大きな、このアパートの壁を吹き飛ばされ、それの突風で私や北川さん、そしてそっちの方にいた人たちも一気に飛ばされてしまい、ヘドロがたまっていた床も粉々になってしまっていて、その途端に東雲を掴んでいた手も離れる。


 その攻撃により私の元にも無数のがれきが飛び出てくるものの、私は目を大きくしながら息を吸い込むことしか出来なくて、わずかに肩を落っことしながらいると共に壁だった


残骸が飛んできて、それのせいでぶつかって頭を後ろへと持っていくようになる。


 何とかまだ残っていたこっちの部屋の床に次々と4人の人が転がってくるのを見るのと同じタイミングで体を起こすも、そのタイミングで無数の黒い鉄のような全体像と、その周り続ける刃を白く尖るらせているブーメランが次から次へとこっちに向けて飛んできていて。それを見た途端、私の方にもまっすぐに、地面と平行に近い感じの流れで飛んできているのに気づいたら、目を細くしながら顎を上へと向けるようなポーズをする。


 でも、体の力を完全に抜いておでこから無造作に垂れてる血の色に一切遠慮しないままにするまま薄目にしてた私の視界にも黄色い光が現れたのに気づいたら、小さな声を上げながら、北川さんが2階になってるこの部屋の境界線になってる崖の所に立って体をまっすぐにしながら腰の少し上のところで肘を曲げて立ってる。


 私の背中の方で残りの3人が倒れてるのを感じながら私は膝立ちになる感じのままそのお腹を出したままにしてる服の上側と、カールが大きくかかった髪の毛を激しく起こる風にはためかせながらわずかに口だけを動かして笑う。それから、激しく横なぎに自身の鞭を振るうと共に、来ていたブーメランを打ち落として、それと共に掻き消えてしまっていた。


「やっぱ東雲を選んで正解だった」


 そういいながら、北川さんは体を前のめりにするようにしながら、足を後ろへと一歩だけ下げてにやりと赤くなった頬を使って目を細めていた。

読了ありがとうございます。

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