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Lunatic  作者: コンテナ店子
第三部前編
156/216

第155話

 かつては東雲が1人で仕事をしていた部屋に夕暮れの赤い太陽の光が地平線と触れ合うことで、そっちに向けた窓から直接入り込んでいるかのようになっていた。それのせいで、部屋にあるものが赤とオレンジ、そして黒が交じり合っている色にすべてが混じり合っているかのようで、その中で書類を見てはハンコを押してを繰り返し続けている少女も全く同じであった。一方で、数秒に1度瞼を開けたり閉めたりを繰り返している物の、当然それで音が鳴ることもなくて、唯一聞こえているのはハンコが紙を挟んで硬い面とぶつかっている時だけ。


 ずっと静まり返っていた生徒会室にも、次から次へと外から激しい足音が聞こえて来ていて。それにそこにいたただ1人の少女も気づいて、資料へと向けていた顔のうちのおでこを使って上へと向けるように。そのまま顔をじっと向けるままにしていた。


 エアコンから風が出ている物の、カールを描くようにして複数のまとまり同士が絡むように出来てるツインテールへとまとまっている髪の毛は全く動く様子を見せない。そして、窓の向こうにもある空の様子もそれは同じで、黒くなっている羊雲がいくつも浮かんでいるも、それが肉眼ではとても動いているように見せない姿が斜めに並ぶように、形は違えどその隙間に赤色の空を見せている。


 しかし、彼女はそっちの方を全く見ずにただただ本来は緑色のはずの黒板が空の色に染まっている様子、そしてそこに自分の名前しか書かれていないのと、その横2つのマスにも消されているが薄く自分の名前が書かれているのと、それの上を黒板消しが上下に動いていたと思われる跡をあらわにしている。数秒間そっちに視線を向けていた彼女は、すぐに少しだけ息を吐きながら資料に目線を戻そうとするも、その瞬間に勢いよく、驚くほどに大きな音と一緒にドアが開いていた。


「生徒会長!」


 次から次へと部屋の中へと大きな足音を一切変えないまま入り込んでくる女子生徒たちは、両方の膝の上に両方の手を付けるようにしながら肩を何度も動かすようにして口から同じような感じで息を繰り返している上に、廊下の方から入り込んでいる冷たい風は確かに入っている物の、銀色ツインテールの一番背が低いその少女の所には全くそれがやってくることはない。そして、それはパイプ椅子を引いて低い音を立てている間も全く変わらなかった。


 立ち上がった後も、彼女は視線を左右へとずっと向けるままにしている上に顔も同じように動かしてしまっていて。わずかに口を開けながらあわただしくいる物の、それに対してそこにいる女子生徒たちは何度も生徒会長の名前を呼ぶ続けると共に助けを乞う言葉を出し続けているだけで。とても何かを話しても返事をしてもらえる状況ではない。


 結局、生徒会長自分の肩の前の辺りに持ってくるようにしながら指を一番先端側の関節の所だけ曲げて指をそっち側に向けながらもそれ以外の場所は自分の体に近い側へと向けて曲げるようにしていた。そのまま、小さな声をわずかに出しながらいる物の、でも、それが言葉にならずにただただ音だけを出すようにしていた。


「みな落ち着け、いったいどうしたというのじゃ」


「その件については説明は不要」


 生徒会長の何とか言葉をどもるようにしながらも、止まる直前のところでそれを強調するような声を出していて。それから、何とか言葉を出そうとするたびに目の前で目を向けてきている上に汗を掻いている女子たちの様子に圧倒されて止まってしまいそうになる。


 しかし、何とか背中を反るような形になりながら出している声をギリギリ言い終わったのにも関わらず、それに続くように出た、明らかに男性の物である低い声がした途端、生徒会長の側からでは女子たちの様子があるせいでほとんど見えないままになっている物の、ずっと動いていた姿がその場で止まる。


 一方で、ずっと近くにいた女子たちは上半身を使ってそっち側に振り向いていて。そのまま体を制止させていると思いきや、すぐに視線を逸らすようにしていた。結果として、全員が床を見るようになっている。


 さらに、廊下の方から硬い靴が音を立てながら生徒会長の方へと近づいてきている音がした瞬間に、そこにいる女子たちが一気に部屋の端側、棚やロッカーが置いてある場所へと一気に下がり、お尻を出すようにして歩いている側もそこと家具がぶつかった途端に背筋を戻している。そんな様子へと生徒会長は一切視線を向けないまま両方の手を強く握りしめながら、顎を自分の側に近づけるまま、歯を噛みしめていた。


 そっちから歩いてきている倉敷と、その後ろから歩てきている部下の女性。前者は一度眼鏡のアーチを中指で戻しながらも顔を地面へと向けるままにしてそこ全体が影になるようになっているせいで、その表情も見えにくくなっている。


「臨時の生徒会長としての任期は、残念ながら短い期間で終わるということです」


 生徒会長の目の前へとやって来た倉敷は、彼女が中学生にしても背が低いのもあって上から明らかに見下ろすような形で見ている。そのまままっすぐにずっと立っている様子に対して、言われた側は一度小さく喉を鳴らしながらも、ずっと歯に込めている力は一切変えないままになっていた。


 さらに、ずっとドアのすぐそばでずっと立っていた女性も、流那に付けられた傷の所にガーゼを未だ貼ったままにしている物の、同じようなペースで進んでいる音が、他に何も聞こえない部屋の中で日々わたっている。さらにカバンの中に入っていたクリアファイルの中からレジュメを1枚取り出すと、それを倉敷は一度だけ目を通すとすぐに片手で片方の側を持ったまま生徒会長の方へと差し出す。


 受け取った側は、両方の手でそれを持つと、だんだんと自分のおでこをその面へと近づけるようにしていて。それからわずかにもう一度喉を鳴らして、眉間にしわを限界まで寄せることで、手を小さく震わせていた。


 そして、それを見ていた外野の女子生徒たちもほんの小さな声で生徒会長のことを呼んでいるも、言われた側もとても答えられる様子ではない。その証拠に、顔から明らかに赤色が抜けて行っているのが、夕暮れの色に染まりきっている部屋の中でもしっかりとわかるようになっていた。


「あなたはこの資料にサインすることが最後の仕事になります」


 倉敷が体を少しだけ前後に動かしながら話している動きをしながら胸のポケットから取った万年筆を両方の指で持つようにしているまま、体を前のめりにしているともいきや、すぐにそのペンを机の上に置くと、そのままパイプ椅子を引きながら開いている手でそこへと座るように指示。


 一方、それをされた側は紙を強く叩きつけるように手の平で机に強い音を立てる。そのまま、腕をまっすぐに伸ばしたまま髪の毛を下ろして顔に無数の影を作りつつ何度も呼吸を繰り返していた。数秒間その姿勢でいた彼女だが、一度息を吸いつつパイプ椅子の上に座り、先ほどは鳴らしていなかったきしむ音を鳴らす。


 両方の肘を机の上へと立てた少女の両端に倉敷とその部下の女性が立っているのを確認すると、そこに書かれていた、自分の名前が書かれた生徒会辞任届と、その後全権を倉敷亜里沙に委任することが描かれた文章をもう一度読んでいるようだった。


 目を強く閉じることでその周りにいくつものしわを作っている彼女の様子を、ほんの少しだけ背筋を斜めにするようにして見ている生徒たちのわずかに口を開けている様子を裏腹に、その様子を見ている倉敷は全く動かないまま。隣にいる女性も同じようである。


 しかし、今も両方の手で万年筆を持つままにしている生徒会長は、力を限界まで込めている歯をあらわにしたまま指よりもおでこを下に向けているようであった。ただ、それは数秒間だけで、一気に息を吸い込んでそれを止めると、すぐに自身の名前を殴り書きのような勢いで書類に書くと、キャップもしないままにそれを床の上へと叩きつけて。その音が聞こえた瞬間、また女子たちが生徒会長の名前を何度も呼ぶ声がかなり高いままに聞こえているようであった。


 それから倉敷の影がその姿へと近づくも、そっちにしばらく振り返らずにいる生徒会長に対して部下の女性が「拇指をお願いします」といるのを気づいた瞬間に、彼が持っている朱肉と紙を奪うと、もう一度力強く指を2度押し込んでいた。


 投げるような勢いで滑らせている紙を確認すると、それを部下の女性に渡し、受け取った側もそれをクリアファイルへとしまう。一方で、生徒会長は肘をどっちも机の上に置いたまま指同士を組んで、それにおでこをぶつけるみたいにしている。


 目もつぶったままわずかな言葉を出しているように彼女がしている物の、黒いスーツ姿の2人は一切気にせずそのまま歩いて部屋を出ようとしていた。


「アニタが黙っておらんぞ」


 先を歩いていた倉敷の片足が外の廊下に触れ、靴が音を鳴らした瞬間に、生徒会長が今までで一番大きな声を出している物の、背中を限界まで力を込めて両方の手のひらにおでこを押し込むようにしている動きもする。


 一方で、倉敷はずっと背中を向けてまっすぐに立っているだけで何もせずにいた。生徒会室は今も夕暮れの赤とオレンジ、そして黒が混じったような色の中でいて、家具はもちろんのこと彼女自身や端の方で事態を見守っている生徒たちも全員その色に染めている。しかし、廊下側は夜の反対側の青色の月の色が混じっているような姿を見せていて。彼もそれをまっすぐに見ているようになっていた。


 それから、首だけを使って顔を半分だけ相手の方へと向ける。さらに、それと共に半笑いのような息を吐きながら話し始めていた。


「彼女は自分の妹ですら見殺しにするのですよ」


 その言葉を一瞬で言い終わるようなペースで話していた物の、それに対して生徒会長はずっと背中を曲げたままにしているポーズを変えずにいた。それを倉敷しばらくの間わずかに見ているようにしていた物の、それを辞めたと思いきやすぐに歩いて廊下へと進んで行く。


 彼の硬い靴が鳴らす高い音をずっと立てているのが等間隔である様子を、生徒会室にいる全員が聞くことになるも、それに対して何もできずにいることしか出来ないようであった。

読了ありがとうございます。

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