第153話
今回で第2部完結になります。
明日の更新はここまでのあらすじをまとめて、明後日から第3部スタートです。
トラックで運ばれた杏の体は、そのまま都内某所にあった、かつて東雲が彼女や流那たちの研究のため使っていた施設へと運び込まれていた。その間も、その体は一切動かないまま、人の肌がまだ残っている側の腕も、そうじゃない方の鉄で出来た機械となっている側も、ほとんど一切傷が付いていない様子をただただ見せているままになっていて。その担架の両側を掴まれると、コンテナの暗がりからその2人が現れて、まったく同じ顔を下人が前にも後ろにも1人ずつ付いていた。
辺りは、彼女が出てきたもの以外にも様々な車やトラックが行き来をしているようで、止まるときに外へと空気を噴出する音を立てているのを一切隠さないし、それ以外にもフォークリフトがバックしているサイレンを鳴らしているのが影から聞こえるようになっていた。
それらが出入りをしているシャッターがいまだに開いている様子は今も同じようになっているせいか、夜の黒い空の様子を完璧に映している物の、その向こうにある街路樹やゲートも同じ色に染まっているせいで、ほとんど真っ黒になってギリギリその影が見えているだけになっている。
一方で、そんな作業が進められている光景をただただモニタールームで見つめている倉敷は、部下の女性が斜め前に座ってパソコンを操作している様子を眼鏡の内側から見つめるように。しかし、それは一瞬のことですぐに顔を上へと向けることで杏が消毒室へと運ばれて身に着けていた服をはがされている様子や、所持品を1つずつ籠に入れて整理がされている様子を見ているも、その眼鏡に反射している色はすべてほぼほぼ白色なままであった。
また、彼のすぐ手前で座ったままパソコンを操作しているサングラス姿の部下の女性はおでこに包帯を巻いている様子をそのままに見せたままそこを斜めに自身のパソコンと対応するモニターへと向けるような体勢をして指をただただひたすらに動かし続けているし、脇を軽く力を入れるくらいの範囲で狭くするままにしていて。2人姿は周囲が暗くなっているせいで、モニターの灯りだけが包んでいた。
「さて、皐月ノ宮への手配は」
一度大きく出した声を止めた後に続けて出た声は、まっすぐに立っていた姿から両方の腕を組みながら顔を下へと向ける動きと共に体全体の向きを180度変えると、尻をデスクの上に乗せることで、足を斜めにまっすぐ伸ばす形にしている上、顎をひっこめて目を閉じるように。
それに対して、女性の方は、パソコンを操作することでモニターの操作ウィンドウから別の物、ドキュメントファイルが最も手前に来るような形にしていて。それから、腕と指だけを使ってその中にある皐月ノ宮関連というファイルを開くと、それの中のpdfを確認してそれを開くと、白い長方形の中に黒い文字が小さく並んでいる姿を全体を表示するような形にしていた。
女性が椅子を後ろへと下げるのに対して、倉敷の方がペン回しをしていた様子から一度だけ辞めて顔だけを使ってそっちの方を見ていた。
「はい、学園長への手配はすでに済んでいます」
ほとんどの文字はまっすぐに並んでいる上に背も全く同じままになっているのに対して、右下の方に一筆書きで書くようなほどに崩しているままにサインが描かれていて。マウスのホイールを回すとその部分だけが異なっている書類が次から次へと表示されていた。
その殴り書きのような文字を眺めている倉敷は表情を一切変えないままただただその様子をじっと見つめているのに対して、部下の女性の方はスマホを取りだすとすぐにそのバックライトに照らされている位置を顔全体から耳元へと変えて、返事をしだしていた。
最初はいつも通りのすぐに言い始めてから終わるようなペースで進んでいたそれも、数回繰り返した後に、急に口を強く締め付けるような形で下唇を上のに押し付けるような形で、おでこのところにしわを多く作るようにする。そのまま、顔を下へと向ける。
一方で、その横でずっと両方の腕をまっすぐに立てるままにしているそっちは、ワイシャツが見えている白い胸元以外はすべて靴も含めて黒くなっている様子を一切隠さないままにしているまま、部下の様子を見ずにずっとパソコンに表示されているサインを1つ1つサインを確認するかのようであった。
「倉敷さん、報告しておきます」
電話をしている間に数歩倉敷の方から離れるように動かしながら、スマホを持った側の肘にもう片方の手を合わせるままにして、背中を丸めている姿でいたところで。振り返ってすぐにその言葉を言う物の、その最初の頭文字だけをわずかに強調するような形で話し始めていて。しかし、その最初の一文字を出した後に、一旦止めるようにしている後、喉を動かした後に背中をまっすぐに伸ばして、それと同じような勢いで先ほどと同じペースで話し始めていた。
一方で、倉敷の方は眼鏡を戻すような形で人差し指だけをアーチに当てて押し込むようにしている間、顔を下へと向けるような形にしていて。その様子のまま目線だけを部下の方へと向けるままにしているせいか、その顔はわずかにモニターのバックライトにさらされているのもあり、その顔の影になっている部分が余計に強調されているかのようであった。
「東雲アニタが、現れました」
わずかに口を開いて小さな声を出している部下の女性であったが、それで相手の方から視線をそらさないままにして、彼女は言葉を出していた。
そして、それを聞いていた倉敷は自身の鼻と口の間の辺りに人差し指の横の所を当てて、頬のふくらみのところに親指を添えることで口元をずっと覆っている。腕がそれに合わせてゆっくりと持ち上がっていたのに対し、顔を下へとじっと向けるままにしているせいか、じっとそこで何もせずにただただいるかのようになっていて。それのせいで、辺りではほとんど動くものはない。しかし、彼は頭を下げている間傾けているのは首だけで。背中はずっとまっすぐにしたままであった。
シャドと遭遇することになった駅の、シャッターが閉まった入り口の上から伸びている軒から降りてきている柱に寄り掛かっている流那であったが、そこに触れているのは頭と肩だけで。体全体が駅のシャッターと平行になるように横向きになったまま残りの部分は斜め横にスライドしている。しかし、そこから一歩も動こうとしない上に、斜めに雨が降り注いでいるせいで、髪の毛もうさ耳パーカーも頭に完全に張り付いてしまっていた。
さらに、その横へと伸びている足の所はもちろんのこと、お尻が落っこちている部分にも同じように水溜まりが出来上がってしまっている物の、そこにもずっと雨が落っこちているのが増加するように、ずっと波が置き続けているのを一切隠すことなく映しているようになってしまっていることもあり、その表情も一切映ることもないし、直接顔を見ようにも、正面から見る場合には、そっちもそっちで顔とフードがその存在を隠すようになっているのもあり、表情が一切見えないままになっていた。
一方で、彼女の体から伸びている腕は肩がぶつかっている側の左手は肘のところで腕を落っことして甲側をそこと触れ合うようにしているし、反対側はお尻からまっすぐに落っこちている様子を一切遠慮なく表現しているかのようであった。
周囲では、近くにあるのはかろうじて家の形を保っているような建物で、屋根の中に数多くの場所で穴を作っている様子があり、そこへと次から次へと水が入り込んでいる音を流している上に、トタンの上にも同じ勢いで落っこちているようでその音も流那の元まで来ている。
一方で、道の反対側には長方形で縦に長いアパートがあり、そこに並んでついている窓から出ている光は平行にずっと並んでいる姿から同じ色のを出し続けている上に、そこにまれに人の影が出来上がっている物の、それはカーテン越しに真っ黒となっていた。
色がほとんどサビた赤茶色が交じり合っている物干しざおと雑草まみれになっている庭と、アスファルトで塗装され、まっすぐに白い線を引かれている駐車場。それの後者にはまばらに置かれている車はそれと平行になっている上に、各スペースのところに書いてある数値を隠しているようになっている。それらの間で円を描くような形で道路を作っているロータリーには様々な色のチューリップが植えられている物の、それもすべて四角い鉢植えの中の話になっていた。
そこを歩いている人はただ1人、その影が流那の視界の中に入ってきているようではあったが、それに対して彼女はほとんど何もしないままに、していることといえば息を繰り返しているくらいである。
一方で、そっちから来ていた相手は、顎を引きながら眉間にしわを寄せるような形で近づいているまま、まっすぐに足音を立てながら歩いているも、その音は水が跳ねる音だけになっていて。それが深い水たまりがあるにもかかわらず一切進行方向を変えないで進んできている。そして、当然ながらその体にも雨や周囲から次から次へと風が吹き続けているせいもあり、髪の毛とスカートが揺れ続けていた。それのせいで、遠くから見ると、流那と同じように顔がほとんど見えなくなっている気がするも、すぐ近くではまっすぐ前を見続けている様子が一切変わることはなかった。
「おい」
まっすぐ足と腕を下へと向けているような形でまっすぐ立ってしまっている彼女は小さな声、周囲の雨や風の音に消えそうになっているその音を聞かせているのに対して、流那の方は何もせずにずっと風に揺れながら下を見ているようにしているまま、ほとんど動かずにいる。しかし、近づいてきた方も両方の手を強く握りながら足を一歩だけ前へと出すような形で踏みしめると、それに対して辺りでは一度水しぶきが起こるようになっていた。
「おい」
そのタイミングで辺りから水が飛び跳ねるようになっていて。しかし、雨でずっとそれと同じようなものがずっと落っこち続けているせいで見えにくい物の、その勢いの激しさもありしっかりと動いている様子を見ればわかるようになっていた。
一方で、その声は確かに聞こえている物の、髪の毛から垂れさがっている水滴が一切動かないままになっているのと同じように流那は呼吸以外ではほとんど動かないままに。数秒間2人ともじっとそのままにいる様子を互いにただただ見せるかのような形になっているも、またもう一度後から来た方が右手を握り締めると、そのままそのうさ耳パーカーを強く握りしめて体を勢いよくそっちへと寄せる。
「私と一緒に来い」
その声は最初と同じような声で、ほんのわずかな物を雨の中へと消えそうになっているのを一切遠慮しないままに通している物の、流那との距離をほぼほぼおでこがぶつかりそうになっているほどのような物になっているのもあって、そっち側にも確かにその声が聞こえていた。
一方で、その眼にはほとんど光がないまま、だらしないようにわずかに口が開いたままになっていて。体も同じようになっているせいで、うさ耳パーカーの後ろ側に垂れ下がるような形になっている上に、首を大きく頭の重さに合わせて反るような形になってしまっていた。
それを見た言葉を話している側は、一度ため息を付きながら勢いよく流那を叩き落とすように床へと放るとそのままそっち側は勢いに任せるように地面へと向けて頭をぶつけることになってしまっていた。しかし、そんなことをされてもただ斜め下へと目線を向けるようにしてあおむけに体中を雨に打たれたままにしているだけ。
立っている方も足を一歩前に出す形のままいるせいで、ずっと体を斜めにするような形になっている上に、当然のようにその体も背中側から雨がただただぶつかり続けているも、当の本人はそれを一切気にしないかのようにしている。
周囲では、車が遠くの十字路をたまに通るのが聞こえているかのようで、そのタイヤが水たまりを吹き飛ばすようにしている音が2人の方にも聞こえるようになっている一方で、それが付けているランプの灯りは正面へと向かっているのもあり彼女らの元へはとても届きそうにない状態のまま走って行ってしまっていた。
「倉敷と戦うには、お前の力が必要であります」
東雲が発した言葉は、いつも通りのほとんど抑揚のない物で最初は進められていた物の、一旦止まった後に続いて出てきたものは力が入って発せられるような形になってていて。それに流那も一瞬だけ顔を上げるように反応しているようであったものの、それに対して相手はただそっちから見て斜めに顔を向けるようにしている姿を一切変えないままにして、互いに視線をぶつけあっている姿を数秒間ずっととどめているようであった。
一方で、もう一度流那のうさ耳パーカーを掴んで引っ張り始めた東雲は運び始めると共に薄い水色をした魔力を自分の体に込めるまま右手にだけ持っていくと一緒に歩き始めると、自身の手を回すことでその前に魔法陣を作り出し、それをゲートへと変えると、流那と共にその中へと入って行く。
その後、そこには何も残されていなくてただただ2人がいた場所にあった水溜まりが今も水が落っこちては波を作り続けていて、魔法陣の光が消えると、本来そこを照らすはずだった明かりが消えたせいでほぼほぼ暗くなって汚れすらも見えなくなっている天井の様子すらも映さずにただただそこにいることしか出来ずにいた。
読了ありがとうございます。




