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Lunatic  作者: コンテナ店子
第一部前編
15/216

第15話

 モニターを眺めながら人差し指を鼻の下に置いて、東雲アニタは前のめりになるような姿勢で座っていた。その部屋では、モニターが発する青い光を一身に受けているその顔以外の物は何も光っていなくて、生徒会室の中はなにがあるのかわからなくなっていた。そして、頭についているヘッドフォンからは、何かが擦れるかのような音がしていると思いきや、一気に大きな音がしてそれはくっきりとしてわかりやすくなっていた。


 周囲から聞こえて来たのはしばらくの間それだけだったが、数分後には外から一定の間隔で廊下を叩く音が聞こえて来た。しかし、東雲はそのまま顔をパソコンへとまっすぐに向けていて、マウスを一度クリックすると、左側へとドラッグしていた。それから、数秒後に何度も連続してクリックを繰り返し始めるが、その音は外から聞こえて来るものとは全くタイミングが異なっていた。


「お姉さま、また新しいサインをもらってきました!」


 そう言いながら、部屋の引き戸をサッシとぶつかってバウンドさせそうなほどの勢いで開きながら現れた妃美は、以前の時と同じようにアニタの腰へと抱き着いていた。それから目を薄くするように上瞼を動かすと、ゆっくりと音を鳴らしながら息を吐いていた。


 それに対してアニタは、妃美が抱き着いてからの数秒間の間また繰り返しのクリックを続けてから、瞼を両手の平で押すようにしてからため息を吐き、瞬きを何回かしてから、左手を妃美の頭にゆっくりと置きながら首の向きをそっちに傾けた。


「あの、お姉さま……今夜こそは……」


 そう言う妃美の顔はわずかに頬を前へと出すようにしながら瞼を伏せがちにし、たまに目だけを動かしながら東雲の方を眺めていた。その一方で、腰を回して上半身をそっちへ向けながらも、目線を右側にある机の方へと流している。周囲にはパソコンのファンが回転する音だけが聞こえていた。


「仕方がないでありますね、ほら、服、脱がすでありますよ」


 その言葉を聞くと、すぐに脇を締めるようにしながら顎を体へと付けるようにしている。そして、体の前で両手を重ねながらそこを上下に動かしてこすり合わせていた。だが、東雲が立ち上がって両腕をそっちに向けるまでその音は聞こえてこなくて、相手の動きに合わせて両手を離すと胸のボタンを1つづつ外されると一緒に、妃美は甘い声を出し続けていた。


 その一方で、次々と手際よくボタンをはずしていくアニタはその間も顔をそっちの方に傾けているだけで、手以外の部分は一切動いてない。背筋もいつものようにまっすぐのまま。周囲から聞こえてくるのは、妃美の声と服が擦れる音だけであった。それも数秒の間で、彼女の膨らまない胸とそれを覆う下着が露わになると、体の息の動きをそのままにしたままポーズも変えずにいた。


 それから、アニタの方から首を一定の間隔で近づけて、唇を合わせようとすると、それと一緒に妃美が小さな声を出し、自分の胸の前で手を重ねるようにしていた手に強い力を籠める。それから彼女は、姉の方から離されるまでずっと下唇に力を籠めるように顎を引いたような表情をしていた。


「下も脱ぐであります」


「あの、お姉さまに脱がせてもらいたいです……」


 言葉を聞いてから目だけを下に動かすようにしてから、ほんの数秒後には顔の方に戻していた。それから、瞼を上に戻す。一方で、妃美は瞼を下げつつ頬を横に出すように下の歯を上のへと押しこむようにすると、体を僅かに出すようにスカートに手を付けると、手首を押し付けるようにしながらホックとチャックを外して重力で一瞬落っこちそうになるのを掴んだ。


 そして、一度外の冷たい空気を体へと取り込むように小さく息を吸い込むと肩を落とすとの一緒にスカートを滑らせて行っていた。それに対して、アニタは上半身を傾けてパソコンに表示されていたメールを確認。それからもう一度妃美の方へと向き直っていた。




 一緒に食堂へと入ったハリーが話していた学校にいた先生の悪口の声も、言葉を発すると共に1人で笑っていたのにも関わらず、食堂へと入ると共にその声を止めてて、私は目を丸くしているようであった。それから、後を少しだけ足を速くするように追いかけていた私もその横へと並ぼうとすると、それと一緒に足音を空中へと放つようにペースを落として動かなくなる。それと一緒に、喉が押し込まれるような感覚と一緒に、左歯の奥側同士を押すようにしながら体を、ハリーがいる方とは違う側に傾けてちょっと後ろの方に向けようとするが、それからすぐに元に戻す。


 そうすると、私の隣にいたハリーは、斜め前にいる、姉御の人たちがいる側の列を見ると、昨日それに歯向かってた相手のグループがいるテーブルの列を通り過ぎる。それと一緒に、連中の中でも私たちに近い側にいる人が食器を動かす手を止めてその背中を見ていたが、足は全く気にしないようにどんどん配膳ルートへと進んで行った。


「まっ、待って……!」


 喉を一回動かすようにしてから体を斜めるかのように足を進めようとするが、ハリーはお盆を持ったまま背中をこっちに向けてるだけであった。そして、私もその横に並ぶと、脇を締めつけながら首を前に出すようなポーズをする。そうすると、真っ白な服とマスクで覆われている人たちは一切止まることもなく、ただハリーにしたのと同じように私のの上にも食べ物が乗った皿を乗せていく。その時、その目は食器にしか行ってなくて、私のを置き終わると、それと一緒にまた次の食器の方へと目線を戻していた。


「ハリー、遅かったな」


「すんません、やっぱ寝不足気味みたいっす」


 私たちがやってくると一緒に、グループの真ん中の席に座っていた姉御の人は狭くなってる壁と女子の間を、両腕を曲げながら歩いてくると、まだ座ってないこっちにまでやって来る。それに対して、ハリーは、すぐにお盆を一旦テーブルの上に戻して、勢いよくやって来る手を受け止めるようにして、音を立てながら握手をしていた。


 それと一緒に2人の口が横に広がるようになっていて、手首に筋肉の形が出るように角ばりつつあった。その一方で、それを見ている私は、ハリーがお盆を置いた隣の席にそうすると、脇を締めるようにしながら、座った丸椅子の裏側をもって席をテーブルへと近づける。そして、音をたてないようにそっとそれを置いた。


「お前も、こっちでいんだな」


「えっと……あっ……それは」


 姉御の人が座ってる私を立った状態のまま見詰めるようにして来る。それに対して、こっちは隣にある椅子を見るようにするが、汚れている位置が微妙に違うだけで全く同じ形をしたものが何個か並んでいるだけ。目線をそっちからこっちに戻してからもう一度姉御の人に戻すと、同じ表情のまま両腕を組んでる。それと視線が合った瞬間、自分の視線が親指を人差し指に乗っけるように組んでいたまま両膝の上に乗っけている様子に目が行く。そして、それと一緒に猫背なまま歯を押しこむように口を動かした。


「そう……する」


 最初をちょっとだけ言ったら、姉御の人の腕に込める力が強まったような気がして、喉が詰まったような感覚から逃れるかのように今度は上へと顔を向けると、そのまま頬を下げるように動かした。そうすると、眉毛も私の首と一緒に下へと向かって行くかのようであった。それから、各々の尻が椅子の上に置かれる音や、床の上を引きずる低い音をたてた後、数秒後に食器同士がぶつかり合う音が聞こえて来た。その間私は、ただ自分の前に置かれた皿を眺めてたが、ただただ唇を僅かに前へと出すような顔をしているだけであった。そして、周囲の音を聞いてから私も手を動かして、その間に顔をテーブルに向けながら上目遣いに向こう側を見るが、あっちも同じようにただただ食事を進めているようで。そう思ったけど、視線を横へと動かしたら、昨日姉御の人と戦ってた女子がじっとハリーたちの方を見ていると目が合いそうになって慌てて元へと戻す。そして、それと一緒に両手も下へと向けたままにしておいた。




 食堂を出た後、すぐにハリーに対してこっちから別れるように言って、トイレへと入ると、入り口のすぐそばにあったロッカーを開けたら、すごい大きな音がして後ろへ振り返るが、そっちにあったのはコンクリートでできた頑丈な壁だけ。そこに一本のひびのような凸凹したまま進む線があって、それを視線で追うようにする。それから数秒してから、振り返ってモップを手に取ると、その場でそれに力を籠めたら、勢いよく地面の上を滑って行きそうになって、慌てて体勢を整え直した。


 それから数分間、肩を落としたまま瞼を目に押し付けるようにする。その間も外からはただ歩いている人たちの足音が聞こえてくるくらいで、自分の肩に当てるようにした持ち手をより強く押し付けた。


 その後、食堂で落っこちてた眉毛をそのままにしなながら、バケツを取るために背を低くすると、背筋を曲げた状態のままその汚れた底を眺めていた。そこにはちょっとだけ水が残ってから、そこと凸凹のせいで私の顔は歪んで見えた。




 授業が終わるのと一緒に先生がどこかへ歩いていくのを見てから数秒後。袖を捲りながらうさ耳パーカーを被りつつ、その背中が教室の後ろのドアを通り過ぎるのを見てから、机の上に乗せた両腕のさらに上に乗せたおでこをすぐに持ち上げて、自分のカバンへと片手だけを入れて左腕を机の上にのせてしばらく右腕を左右に動かすと、コンビニのレジ袋にぶつかって、それの取っ手をもって椅子を後ろにずらしながら立ち上がると、そのまま教室の外へと歩き出した。


 それから数秒もせずに隣の教室の入り口に付くと、靴の先端をレールに沿えるような位置に合わせるようにして、肩を斜め下へと出すようにしながら、首を伸ばす。それから視線を前後に動かそうとしたけど、その瞬間に後ろから誰かを呼ぶ声がしたと思ったら、茶髪で肩くらいまで髪を伸ばした見たことあるような気もする女子が教室の中からやってきた人とハイタッチしたと思ったら、そのまま手をつないで廊下を歩いて行った。


 それを数秒間見てからメアリーたちのことを頭の中で呼ぶけど、そうしたいのにいつの間にか私の前と後ろで背の高い女子たちが話し始めてて、それらと交互に目線を合わせるようにしてから、背筋を曲げて背を小さくして小刻みに足を動かしながら進んで行く。それから、廊下をさっきと同じ方向に向けて進んで、クラスの後ろのドアに行こうとしたけど、そっちももう5,6人の女子が溜まっててとても動けなさそうだった。


 両手でビニール袋を持ったまま、そっちを首を使ってみるようにしながら来た道を戻る。私の視線の向こうでは窓から入って来る太陽の光が緑色の廊下を照らしているが、その一方で窓同士の間は黒い影が出来上がっていて、私の顔もそれのせいで日向に入るたびに目を細くするようになっていた。


 それから同じ姿勢のまま教室に戻ると、正面や右側から色んなグループの話し声が聞こえてきて、一瞬止まりそうになるけど、1組分だけ机を超えた先にある私の机を触れそうになったら、その瞬間に周囲から音が聞こえなくなったと思って私の目もそれに合わせて大きく広がる。そして、首をそのままの角度にしていてもそのままだったから、上に向けたらスカートが短い女子たち、椅子に座ってるのと机に座ってるのがこっちの方をそれぞれに見て、私は口をほんの少しだけ開いてた。


「なに」


 最初を持ち上げるように、低い声を出してくる机に座ってる方。それを聞いてから私も話そうとするけど、口から出たのは言葉になってないわずかな音だけだった。それから、足を後ろに動かしてたつもりだったけど、そのタイルの凸凹を靴で感じることはない。その一方で、二人の目線はこっちからズレることはなかった。


「いや、別に……」


 後ろに振り返ってすぐ教室の外へと出て行こうと思ったけど、持っている袋を落としそうになったのと一緒に後ろから小さな息を吐くような笑い声が聞こえてきて、それを右手で握りしめるように胸へと押し付けるようにしながら、うさ耳パーカーを自分の顔の方へと引っ張った。

読了ありがとうございます

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