第149話
東雲の召使いが飛ばしたドローンも一瞬で振り切りながら、さっきの動画でアナウンスされてた駅の姿を見つけるとすぐに足をまっすぐ下へと伸ばすような感覚でそっちへ落っことしていると、そのままの勢いでホームの様子を覆っている屋根の上に着地。それの勢いのせいで足元が若干編こんでいた。しかも、デコボコとして影になっている場所を等間隔に作っている上に、塗装が赤茶色い部分を見せたままにしている様子を一切隠していない。
たった2つのホームをつないでいる階段と通路。そしてそこからさらにまっすぐ伸びた左右に、入り口になっている階段があるだけの光景。それを左右へと視線を動かすようにして見ている私に対して辺りからは誰も人がいないようで。電気はついているから視界は保たれている物の、いくつも線路が左右に膨らむような形で駅の中を走っているせいで周囲は相当に広くなっている。しかし、その中のどこからも何かが動いているような姿はなかった。
私が来た方へと振り向くと、さっき東雲と会った都心の方がこっちからでも見えていて。そこのいまだに寝静まらずに光を見せている窓だったり、ほんのわずかだけどパチンコ屋のサーチライトの灯りが見えてたり。私がいる場所が薄い白色の光と違って様々な色に染まっているそっちの様子を下唇を上に押し付けながらじっと見ているような気すらもした。
でも、すぐに翻す感じで体を動かすと、私の背中を覆ってたマントもそれに合わせて私の体に巻き付く感じでくっついてきてて。それのせいで体を前のめりにするみたいにすると、体を早歩きにしている間、歯を強く締め付けながら進んで行ってて。足元のローファーが硬いコンクリートを叩いている感覚がしっかりと聞こえているのを自分でも感じてるけど、だんだんと口を閉じたままにしてるのが苦しくなるのを感じてしまう。そして、それのせいで足を走らせて進めてくみたいにしてた。
一方で辺りには私が飛ばすみたいに動かし続けてる靴が立て続けている音がずっと聞こえ続けているようで。それ以外には何も聞こえないままだった。
「シャド! 私だ! いるのか!」
喉を限界まで開くようなくらいの勢いで出した私の声に対して辺りではただただ周囲では電灯がつけたり消えたりを繰り返している音がどこからか聞こえているくらい。左右にはコンクリートでできた壁とその上にある老朽化が進み始めている途端の建物と、目隠しが付いてる窓の向こうにたくさんの物が見えている様子。そんな建物が何軒も並んでいるかのようである。
そこへと左右に目線を向けながら小さな歩幅で歩いて行っている私に対して、どこからも人の様子はなくて。周囲で見えている動きは私が白い息を吸ったり吐いたりを繰り返しているのくらい。
目も限界までとはいかないままにいる物の、いつもより大きくしているままに、勢いよく顔を左右に動かしながらホームの細長い中をまっすぐに進んで行ってるけど、そっちには等間隔の範囲で看板があったり誰も座ってないベンチがあったりで。
少し早歩き目で足を進めている勢いのせいか私の後ろにあるうさ耳マントが持ち上がったせいでそこの中にも冷たい辺りの空気が入り込むのを感じる。
「シャド!」
そんな中で、たくさんの種類の色をしている染みが出来てる上に、正面にある模様もかすれて見えにくくなっているゴミ箱がある。そして、それに背中を寄りかからせるような体勢でシャドが地べたに座り込んでいた。
向こうに向けて私はだんだんと足を進めるペースを遅くしながらも、止めることはなくてそっちへと足を近づけ続けていた。腕を振るのも同じようにゆっくりにしてるけど、息はずっと白いのを等間隔でゆっくりと吸ったり吐いたりを繰り返すのは辞めない。
一方でシャドの方からは何も動きがなくて。それは私が大きな声を張ってそっちの方へと向けたタイミングでも同じ。それどころかその汗の臭いを嗅げるくらいの距離を置いて立ってる間も同じで。そこで肩を上下にして自分の胸に右手を当てるままにしている時も、向こうはずっと足をまっすぐに延ばしたまま両方の腕を地面に向けてるままの姿勢でいた。
さらに、背筋も首の辺りで曲げてるせいで、ぼさぼさに伸びて、爆発した寝癖がそのままになっているそれを一切隠さないままにこっちへと見せてきている上に、横髪も伸びて、近くにある柱でそこが影になってるせいで相手の影は全く見えないままになってる。でも、その体を覆ってる緑色の病衣がちぎれたりしわまみれになっている様子を一切隠さないままにしているせいか、私は口を強く紡ぐ。
それから、そっちへとまた近づこうとした途端、相手の方からびくんと体を動かすようにして首を一気にまっすぐにしているようにしながらゴミ箱を叩く感じで頭を上へと持っていっていたら、私も目を大きく開けるままにしていて。進めてた足を後ろへと戻す。
両方の手の関節をそっちへと向けながら爪を下へと向けるようなポーズをしてて。こっちは、自分の胸の前辺りに持ってきてるようなポーズをしたまま目と口をわずかに開けてるみたいにしてしまって。向こうの動きが急だったせいもあり、それに気づいたのは数秒後のことだった。
「シャド、あの……」
何とか視線をそらして左右にそれを向けたりし続けているのに対して、シャドは何もしないままずっとその場で顔を正面へと向けたままにしている格好のままずっとまっすぐに座ったままで。呼吸をしているのかすらもわからないまま。
一方でわずかに足を動かす感じでそっちに近づこうとしているのに対して、向こうは同じ様子をずっと見せたままにしているのを隠さずにいて。その体へと触れようと肩に手を震えるのを出来るだけ抑えたまま近づけようとした途端に、それが急に抑えられたのに気づいて。
私もシャドの冷たい手がこっちの右手の親指以外をすべて握り締める形になっているのに気づいて息を一気に吸い込むと、目を大きく開いてしまって。それから慌てて手をひっこめようとすると、魔力を入れずともこっちの力の方が勝ってしまい、勢いよく引っこ抜けて私が想像してたのを超えるくらいの速さでそれが飛んでってしまっていた。
一方で、シャドは地面に向けて体を勢いよく落っことしてしまっていて、顎を落っことした途端に息を狭いところから吐き出すような音を出す。それに気づいた途端私も息を一気に吐きながらそっちに近づくと一緒にその名前を呼ぶけど、向こうはその瞬間に握ったこぶしをこっちへと振るう。
「待てよ! あれは、誤解で……!」
シャドが弧を描くみたいな勢いで両方の手を振るってくるのに対して、こっちは一切魔力を込めないままに足を素早く後ろへと下げて行ってる。さらに、両方の手をそっちへと向けながらお尻を少し下げる感じのまま言葉の文字1つ1つを出し続けている。
一方で向こうは言葉になってない声を何度も出しながら両方の腕を振るうたびに目を瞑ってて。シャドが体をいつもの私とは比べ物にならないくらいに、前かがみにしてるせいで体のバランスを大きく崩しながらこっちに迫ってきてた。
それのままにまっすぐシャドが殴りかかってきてたから、私が体を転がすようにして横へとスライドすると、すぐに自販機に頭を突っ込んでてそっち側も大きな高い音を立てるも、それで一切その形が変わることはなくて。突っ込んだシャドの方だけが背中の方から落っことしてそこを丸めるような形であおむけになってたら、頭を押さえながら目を強く瞑る。
その様子で小さく息を吐き続けてる様子へと、私はまた立ったまま見下ろすように向かって行くと、そっちの方から一気に目を開いて反応したと思ったら、口を数回空気でうがいをするように動かしてて。それが音も含めて聞こえてきたと思ったら、一気にそこから落っこちるような感じで唾液が飛び出したのに気づいたのは、もう私の体は背中をバク転させる感じで後ろに下げてるせいだった。
「死ね! 死ねハゲ野郎! どれだけ都合いいんだ!」
一度肩膝立ちになってから、こっちに走ってきてるシャドの姿を見た私は、叫びとほとんど変わんないくらいの勢いで出てきたその声に対して腰を少しだけ落としながら両足と両手を曲げて向かい打つ。
シャドの方が突進してきた頭にこっちの両方の手を曲げた状態で押さえようとすると、力が全然籠めるよりも前にその勢いが止まってしまって。それから向こうが足を1回後ろへと下げて勢いを付けてから蹴飛ばすみたいにしてるのに気づいたら、その溜めをしようとしたタイミングですぐに両方の手を肩へと持ち替えたらアンバランスな方の足を蹴り飛ばして転ばせた。
そしたら、向こうの方から息が噴き出るみたいな声を出して、硬いコンクリートに肩からぶつかって。口から細かい唾液を飛ばしながら目を大きく開けたと思った次の矢先に、肩を押さえるままにして。しゃがんで座ってる様子を私はただただ両方の手を落っことしたままにじっと見るようにする。
ただただまっすぐにしている私の体は、シャドがそうしているせいかこっちも一切動かす気になれないまま、自販機の灯りがこっちの上半身だけを照らしているのをずっと感じたままにしてた。
一方でシャドの方も何度も咳をするのを繰り返してて。その勢いと一緒に体も何度も上下に動かし続けていて。それを見てる間こっちの目がだんだんと薄くなっていくのを感じたままにしてた。
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