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Lunatic  作者: コンテナ店子
第二部後編
143/216

第143話

 薄暗い上に砂ぼこりにまみれている部屋の中。窓が遠くにあるせいで星田がいる場所にまで届いている光はスマホの灯りだけ。そして、それが彼女の体を照らしているのは上半身と顔、そして開いている方の手を頬杖のようにしている割にその肘はどこにも付いていない状態だった。一方で、下に向けている顔も、しわが段差のように何か所かで来ている服も、すべて黒い部分が出来上がっていて、白いバックライトの中に影になっている部分を作っていた。


 一方で、窓の方には隣の建物が今も看板の側面についている電球が順番に1つ飛ばしで光らせ続けている様子を、彼女にも見せているかのようで。そのほかにも音楽を外へと一切遠慮せずに垂れ流している車だったり、エンジンの爆音を流しながら走っている車がビルの前を通りすぎたりする。


 しかし、星田の体の中で動いているのはスマホを持った側の手だけで。そっち側の足を自分の顔に近づけるように曲げている様子も、頬杖にしている手はもちろんのこと、機器を持っている方も腕や手の平を一切動かさないまま。


 それのせいもあって、星田自身の方へと伸びている町の街灯などで出来上がった光が窓から伸びてひし形になっている様子もその姿には届いてなくて。その中では茶色い砂の色であったり色んな場所に置いてある工事用具の様子もその塗装された色の様子を隠さないままに彼女自身を映し続けていた。


 星田さんは鼻からわずかな息を吸い込みながら瞼を下ろすようにしたままにしていて。目を細くしている物の、それがスマホの画面が暗くなっている間も一切遠慮なく映していて。それを彼女自身も見ることになるけれど、それに対して何もしないままであった。


 しばらくそのままでいた彼女だが、スマホから通知が入り、チャットに仲間が次々とログインしてきたことが表示されると、鼻から息を吐いて。倒れた柱の上で膝を立ててたのを下ろしたら、それと一緒に両方の手でスマホを構えたまま2本の親指だけを動かしてそこを操作し続けていた。それでチャットを打ち込んでいる間、彼女の細くなっていた目が上へと向いているのに合わせて口の両端も同じようになっていた。


 軽やかなペースで次から次へとひらがなが撃ち込まれた後にすぐ漢字への変換も完了したようで、1秒だけ入力した文字を確認したらすぐに送信。その文章が「こんばんは~」や「おっす!」などの軽い挨拶となっていて。それ以外にもムーミンやミニオンが手を上げているGIFが貼られていたのに続くことになっていた。


「こっちは順調。木月のやつに一応DMしとくわ」


 その文字が表示された後に、数秒間他のメンバーが入力中という文字を表示しているままにしているのをお尻の位置を整えるようにしているままにじっと見つめるような形でいる。その間も、星田がいる建物のすぐ下の道路では今も車が行ったり来たりしている音が聞こえているし、それ以外にも酔っぱらないがバカ騒ぎをしている大きな声がしているタイミングがあって。そっちの方はそれで終わらずに部屋の中で繰り返し反響しているかのようであった。


 視線を左右へと動かす動作をしながらいた彼女に対して、それがまたスマホの画面へと戻ったタイミングで「オッケー!」や「あいつのことだからすぐにでも飛んできそう」などのコメントが次から次へと流れ続けてて。それから、すぐに黒に近い灰色をしてるディスコードの画面から真っ白な背景と青色の模様が描かれたTwitterの画面に変化させると、そこにも同じようなペースでスマホを操作して、テキストを送信してからそのスクショを撮っていた。


 その後すぐにまたディスコードに戻ったら、星田が撮ったものとは別のTwitterのスクショが貼られていて。それを見た瞬間彼女もわずかに低い驚くような声を出してから、数回足をばたつかせるようにゆっくりと足を動かし続けた。


 それを拡大して文字を読み直すと「かよちゃんの卵に僕のかけたい」というコメントの後に、両方の目がハートになっている絵文字がつけられていて、それが3つも連なっていた。コメントをしばらく見てる間にだんだん笑うような声を数回出してから、チャットに戻ると、「きも」というコメントや緑色のゲロを吐き出している絵文字を貼り付けるメンバーに続いて、「なんでこいつもこんなんで気づかないんかね」と真顔のままコメントを続けていた。


 それの後に、星田のコメントについていくように「こいつ無職こどおじだからたぶん普段誰とも会話しないんだと思う。だから他人との距離感がおかしい」とスクショを貼り付けた本人が答えていた。それからさらに、また次のスクショが貼り付けられると、「なぎこさんとそういうことするの想像しちゃいました…」というコメントがされているようだった。


 それを見た星田はそのまま一切変化させないままに次のコメントとして、「やっぱ人と関わらないと脳って退化しちゃうんだなぁ」といつものペースを一切変えないままに返信していて。それが終わると一旦ため息を吐くように上を向くようにしてる。それから、体を一気に伸ばすようなポーズをして。それから勢いよく体を後ろへと背中を伸ばすと、一度声を付けた状態であくびをしていた。


 またもう一度同じような体勢に戻る星田は、今度は足の両方を使って胡坐をかくような体勢になって。そのまま背筋を曲げたままにしているところで、スマホに次から次へとコメントを繰り返した。しかし、そのまま送信しようとした時、スマホの上の方に通知が表示されて、それがシャドがTwitterを更新したものだと気づくと、体を前のめりにしながらそれを操作。Twitterの画面が開かれるや否や、そこにあるURLを開く前にその中身をコピーすると、ディスコードへと貼り付けた。


 その貼り付けが完了するや否や、一気にコメントが流れ、「きた」という物や「これでこいつも終わりかー」や「今回でしっかりつぶれてくれるといいけどなぁ」というコメント、さらには、「次のやつも早く探さないとね」、「今はシャドに集中しよ」というものなど。それを見ている星田も目を細めたままにしている表情を一切変えないままにしていた。


 その間に、さらに「ショウタイムだ」というコメントと共に、ネカマをしているメンバーが電車へと誘導するコメントがされているスクショを貼り付けられていた。それを確認してからスマホの画面を半分に割って片方でディスコード、もう片方でyoutubeという形にすると、そこから電車の音と何かがずっとこすれているかのような音がずっと聞こえている様子を一切隠さないままに聞こえさせているまま、それのせいで聞こえにくくなっている物の、シャドがわずかな声を出しているのが出てた。


「はいどうも、みなさんこんにちは、シャドです。今回はですね、えっとある友達が電車にもWi-Fiがあるって教えてくれたのでね、電車の中ですけど、電車の中で配信していこうと思います。なんで、ちょっと声が小さいんですけど、すみません」


 配信が流れている音をスマホから垂れ流しにしている星田は鼻からわずかな笑い声を出すまま口元に片手を当てて頬を持ち上げるようにして。そこの右側に親指、もう片方のところに残りの4本の中でも小指以外の3本を合わせていた。


「これからですね、配信に出てくれるかなぁ、一応お願いしてみようとは思いますけど、どうなるかどうか。オッケーしてくれると嬉しいけど、あの人はね、とっても優しくて、嬉しいんですけどね」


 前半分ではドアの隅っこのところで閉まったドアに頭を付けるような形で背筋を曲げたままにしているシャドは影になっている顔をそのままにしている様子を見せていて。一方でディスコードの方では、星田のアカウントにメンションを飛ばして、「呼ばれてるぞ」という物や「愛しの彼女はまだコメントしないんですか?」という物が次から次へと流れ続けていた。

読了ありがとうございます。

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