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Lunatic  作者: コンテナ店子
第二部後編
142/216

第142話

 片方の膝だけを持ち上げながらそこに両方の腕を乗せて何度も息を口から繰り返し、そのたびにハリーは何度も背中を上下するのを繰り返していた。いまだ周囲では冬の冷たい空気が流れていて、騒動を聞きつけてきたやじ馬たちも含めてみなコートやジャンパーを羽織った厚手の恰好をしている上に、息も呼吸が白い色になって行ったり来たりを繰り返している様子をあらわにしていて。しかし、それに対して彼女は体中から汗をずっと流したままにしていて、顔を膝の上にのっけたままになってる腕の上を視線を通ってくみたいな角度にしてるせいか掻いたそれは次から次へと水滴となって下へと落っこちては服の中に入って行くを繰り返していた。


 一方で、志太はそのすぐそばで同じように背中を石製の門に預けながら両方の足を組んで胡坐を掻いたままにしていて、何度も呼吸を吸ったり吐いたりを繰り返していて。後頭部もそっちに乗っけたままただただ上を眺めるようにしていて、そっちも同じように汗をずっと掻いたまま。ずっと自身の近くの場所に水滴を落としながらコンクリートの色を濃くするような跡を作っている物の、それはとげとげとした形を描いている。


 2人の後ろには石の門があるせいでそこには飛んでこなかったものの、そのすぐ横の出入りできるようになっていた上に、そこにあった車が入れないようにしていた柵は杏が破壊してしまったせいで、無数の遊具の破片や金属部品が転がっていて。その中には地面に転がっていた細かな砂の模様も残ったままになっていた。


 ハリーが奥側にいたせいか、視線をそっちへと向けている間、志太の体を介するような形になっていたために、彼が反対側を振り向いた途端顔を合わせるような形になっていて、どちらも肩と共に体を上下に動かしながら何度も息を繰り返す。


 しかし、志太の方はハリーの少しうつろな形になっている目やおでこの辺りからあふれている血の様子を見ている間、だんだんと目を開けている一方で、口は強く閉じたままにしている。


 それから、一度息を飲みこんでから、勢いに任せてハリーの顎に手を当ててから一気に自分の右肩を軸にして左肩を回転させながら相手の上へと覆いかぶさるようにして。背筋を伸ばしながらほんの少しだけ唇を前へと出すようにしていたが、その途端にハリーも一瞬だけ目を大きく開けながら相手の両方の肩に手の平を置く。


 志田も目を瞑ったまま体を重力に従って落っことそうとしていたのをハリーに止められて、すぐに目を開けながら口も小さく冷たい息を吐きながらだんだんと元へと顔の角度を戻すようにしていた。


「なんだよ」


 両方の唇同士に力を入れてわずかにそれを中へと入れるような形にしたままにしているハリーは、数秒間そのままでいようとしたままにしているのに対して、一度鼻から息を吐いてから、元の位置に戻った相手の方へと斜めに視線を向けるような形にすることでしっかりと中身を持たせるような声を出したままにしている。


 一方で、両方の膝を立てながらそこに肘を当てていて、それから一度強くため息を吐いている志田は、そのまま自分の頭を髪の毛越しに掴むような体勢になっていて。それからずっと何もしないでいる。


 そんな2人の間で、数秒間冷たい風がただただ流れ続けているのを感じたままにしているも、それに対して2人は何もしないし、もう完全に葉っぱが落っこち切っているせいで辺りの木や植物たちからも何も音がすることはないし、辺りにいる野次馬たちが話している声がしているくらいであった。


「ごめん……」


 それのおかげというべきか、ほんの少しだけしか出していない志太の声であっても、ハリーには確かに聞こえていて、顔を落っことしたままの体勢で視線だけをそっちへと向ける。ただ、相手に近い方の腕を落っことしたままにしている目に力を込めたまま鼻からゆっくりと息を吐いていた。


 それに対して、志太はまた言葉になっていない声を出しながら両方の手で押すような形で前かがみ気味になっていた体勢を後ろへと持っていくと、その途端に後頭部を石門に当てて上瞼を落っことしたまま口を小さく開けてただただ空の方を眺めていた。


 そっちには高く伸びてるビルがいくつも並んでいるものの、そのわずかな隙間同士から夜空に浮かんでいる星たちはただただそこにあるだけで、小さな息を吐きながら細い目を見るままにしている。


「ただ、なんだかね……」


 その声はゆっくりと、感情をほとんど込めないかのように抑揚をつけないで話していて。最初は上の方をじっと見ていた物のその声がだんだんと小さくなっていくうちに、顔も下に向けるようにしていて。それから体からだんだんと力を抜いて斜め下へと向いたままになっている指同士を触れるか触れないかのようなギリギリのところで擦れそうでこすれない辺りで行ったり来たりを繰り返させている。


「こういうのも、いいなって、ちょっと思っちゃった」


 その声を出している間ハリーはわずかな声を出したままにしていて。そっちを見ているのか見ていないのかギリギリぐらいの位置でじっと目線を斜め横へと向けるままにしていた。そして、その視界の先には、公園の門の後ろ左右に両方とも街灯があったおかげで出来上がった影が頭のところで重なり合ってて。しかし、それを見ている間も彼女はほとんど動かなかった。


 一方で、志太の方は顔を何度も両手で拭くように動かし続けて、それに続くかのように離れたタイミングでわずかな息を放ってて。それから口を紡いで鼻から息を吐いていて、それだけじゃなくて口の中に湿気を貯めるようにそこへと片手を貼り付けるみたいにしてた。


 ただ、それを1分経つか経たないかの間ずっとしていた志太は一度両方の膝を立てたまま自分の体の側に寄せたらその上に両方の腕を組んだ状態のまま乗っけて、さらにその上に頭を乗っけたまま目を細めるようにしている。


「僕さ、ちょっと焦ってたのかも」


 その声を聞いたハリーは一度立ち上がって目を閉じたまま頭を下げて髪の毛が揺れてるのをじっと感じながらいるままに、ただただそこでじっとまっすぐに立っているの。顎を落っことすままに脇の間もほとんど閉じたままにしている様子でいて。


 それを見た途端に志太も少しだけ口を開けたまま顔を上げていたけれど、お尻と両方の手を使って体を持ち上げる勢いで立ち上がると、服を引っ張りながらその横に立って体を斜めにするようにしながら相手のことをただただ見つめるようにしていた。


 それに音で気づいたハリーはそのまま目を半分だけ開けるようにした後に、志太の方へと顔を向ける。しかし、その目には確かに今も燃え続ける遊具の破片や近くにあったゴミの真っ赤な姿が反射して映っていて。それだけでなくそこから黒い影が一歩ずつ2人の方へとゆっくりとだんだんと大きくなるままになっていた。


 志田もそれを見ながら息を一度飲むも、相手が全く動かずにじっとこっちを見ている姿に気づいた途端に、両方の手を握り締めながら足を踏みしめて息を吸い込んだ。


「きっと、心愛さんもお前のことを誇りに思ってるはずだ」


 金属の音が繰り返しずっと同じ形で聞こえ続けているのをハリーも志太も聞いている間、そのままただただい続けているままにしていて。前者が出した声がわずかに聞こえていたら、後者は目元に軽く握ったこぶしの関節で盛り上がっている部分を何度か当てるようにしていた。


 それから、一度鼻から強く息を吸って勢いよく体を前に出すと、相手の脇の辺りで腕を回し、それから鼻を動かして強く息を吸い、それから目を強く瞑ると、何度も息を吸ったり吐いたりを繰り返してて。自分の側に腕の曲がっている部分を押し付けるようにしていた。


 だが、それも彼が自分から数回顔を振るようにしてからそれを離して。その後に喉を一度飲み込むようにしてからまた体に強く力を入れるような同じ姿をしていた。


 それに対してハリーはただただそっちの方を見ないようにしながら斜め上に顔を向けてて。自分の腕のところから相手が離れた後もただただ重力に従ってそれが自分の側に戻っていくだけだった。そして、それのせいで志太の方から見た場合はその表情がずっと見えないままになっていて。見えているのは肩のあたりまで見えている染めた茶色い毛がただただ揺れているその様子だけだった。


「謝っても、いい?」


「……何も謝ることなんかねぇよ」

読了ありがとうございます。

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