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Lunatic  作者: コンテナ店子
第二部後編
131/216

第131話

 突如ビルの1階を破壊する形で出てきた砂煙に対してまっすぐに進んで行くハリーとそれを追うように小刻みに足を動かす志太。その2人がそれの前へと早々に到着するも、それに対してその中では何も見えない。それは、ハリーがもうガラス張りがなくなった窓枠に手を当てながらその敷地の中に足を入れた時も一緒で、そっちからしている反応はただ靴がガラスや砂利を踏みしめるような音がしただけであった。


 そのまままっすぐに膝を曲げて太ももを上へと見せつけるような姿勢でいるのに対して、後ろから来た志太はズボンのポケットの手前側辺りを持ちながら喉を飲み込みつつ、さらに目をわずかに開けるかのような表情をしていた。しかし、それに対して相変わらず部屋の中では砂煙がしているだけで。そっちには黒い影で崩れていたがれきの様子が見えていたり横転した家具の様子が見えているだけで、確かな形をしている物はなかった。


 それから、また志田の方からハリーの方へとその名前を呼ぶと、一度呼ばれた側が強く歯を噛みしめてからそっちへと足を進めだす。でも、その途端建物の中のどこからガラスが倒壊して割れる音がして。その高い音がその中を何度も反響している瞬間に背筋を大きく上へと伸ばすように志田がしてしまう。


 しかし、一方でハリーの方も足を止めて口元に手を当てながら何度も咳こみ、そうしている間も顔を自分に近い側に向けながら何度も咳こんでいる上に足を肩幅以上に大きく開きながら強くため息を吐き出した。


 それも数秒間両方とも続けたタイミングでまた顔を同じ方向へと向けたままに歩き始めようとした途端に、ハリーの方から腕を斜め下へと伸ばしながら止まるように指示するわずかな声を出す。それから志太の方から顔を正面へと向けると、そっちから一人の人が歩いてくる影がうっすらと出来上がっている物の、それのせいで靴が床を叩く音がしていたと思いきや、それも数秒間に一度ほどのペースになって止まり止まりを繰り返してしまう。それをじっとハリーも見ていたものの、首を強く締め付けるままに両方の手にも力を籠めるままにして。じっとまっすぐ相手の様子を見つめ続けた。


 さらに、その少し後ろにいた志太も同じように歯同士を押し付けるみたいな表情をしたままにしてて。それから顔をほんの少しだけ下に落っことすままにした表情をしていた。


 そんな中で、2人がじっとまっすぐに相手の様子を見ているけれど、それに対してそっちは体を左右に揺らし続けてて。その時間が十分に経ったと思ったころ、2人の前に何度も肩で激しく息を繰り返すようにしたままにいる女性の人の姿が現れたのに気づいてから、ハリーの方から小刻みに体をそっちへと近づけていた。


「ハリーさん……!」


 顔を上げながら倉敷さんの部下の女性が片方の腕をかばうような形で2人の方へと両方の肩を見せる形で近づいてきたと思いきや、それと共に途切れかけている声を出している。


 それを見た志太もハリーもその体へと自身のを近づかせながら腰を曲げて両方の手を出すけれど、その場で女性が倒れそうになったタイミングで後者の方が息を吸いながら体を近づけてそれを支えた。


 そのままその場で膝をついた彼女は、何度も口から息を吐き続けていて。それに対してハリーも目を大きくしながらわずかに見下ろすような形で相手のことをじっと見続けている物の、その焦点は定まらないようで。建物が衝撃によって揺れている時には志太と同じように焦点を上へと向けるままにしていた。


「腰抜け止めんのはあたしの責任だ」


 一度両方の手に力を込めたまま息を吐いて下を向いてため息を吐くハリーは、それから顔を一気に相手の方へと力を強く近づけて、目を大きく開けたままに顔の下側を自分に近づけるような形でまっすぐに相手の様子を見ていると、それに対して部下の女性は腕を両方とも回すようにしてハリーのを払うと、自身の腕を膝についてそれから何とか力を籠めるままに立ち上がる。


 さらに数回呼吸を繰り返したら、中腰くらいの姿勢でいるせいか未だハリーも払われた時と同じ姿勢のままでいるし、志太もわずかな口を開けたまま顔をそっちへと向けたまま、両方の手の平をそっちへと近づけるような形のままでいた。


「これは、あなたたちには手に負えることでは、ありません……!」


 言葉を途切れ途切れにしながら話していくそれは、その間で何度も呼吸を繰り返しているのが交じり合っていて。それを聞いている間、ハリーも志太も首を持ち上げるような力の入れ方をしながら呼吸をわずかな形にしていて。その2人の様子の間を部下の女性は通っていこうといていたけれど、それに気づいたハリーがすぐにそっちへと腕を出して止めていた。


 それも女性は追い返そうとしている物の、でも、それでも志田が一歩下がったのに対してハリーはそれをもろともしない勢いで今度は両方の手を自分に近い位置にある肩の方へと乗っける。


「お前こそ、素人が首出すんじゃねぇ」


 その声を聞いた部下の女性もわずかな声を出したままに顔をハリーの方へと向けてて。その途端に自身の膝へと当てていた手の指の関節を上へと持ち上げるようにそこへとわずかな空間を作る。


 そのまま互いに上から見るハリーと下から見る女性のに2人で前者が手首と指の先端、後者が握り拳という形で力を入れたままにしている。そんな様子を見ることしかできないつもりでいた志太だが、上からたくさんの砂煙が落っこちてき始めたのに気づいた瞬間に上へと顔を上げて。2人に向けて大きな声を上げながら近寄り、ハリーと目があった途端にすぐ女性の方へと体を寄せていくと、そのまま伸ばしてて来た両腕のうち右手を掴んで回りながら自分の裏側に持っていかせると肩を貸す形になった。


 それで少しだけ下を向いていた志太が顔を上げると、首だけで振り返る形でそっちを見ていて。そのまま走り始めたのに気づいてから小走りでそっちに向かって行く。その一方で、周囲からは次から次へと物が落っこち続けている上に、外に出たタイミングで3人の体は赤いサイレンの色に体が染まるのと夜の真っ暗な姿に戻るのを交互に始めていた。


 その光景を見ながらハリーと志田の2人は周囲の様子を首をわずかに上げたままに見渡し始める。でも、そっちにいる消火隊の人たちや消防車、そして見物に来ている人たちはほとんど体を動かさないままでいる上に、その割にはサイレンや話し言葉で周囲は埋め尽くされてほとんど建物の向こうから聞こえて来る音はほぼない。


 そんな中でハリーはすぐに人の波を分ける形で足を近づけて行ってて。その中でおでこを前へと出すような形で進んで行っているのを見た途端、志太はそっちへと行こうとするけれど、でも、自分の横にいる女性の姿へと視線を向けることになる。


 その姿はサングラスの向こうで目をわずかに細めながら志田から体を放すと振り返ってまっすぐにビルの様子を眺めていて、わずかに口を開けている物の、それに対してそっちではただただ砂煙が次から次へと出続けているだけだった。


 一方で、先へと進もうとしているハリーのすぐ横には消防隊がやってきてその体へと両側から手を持っていこうとしている物の、それへとそれぞれに反対側のこぶしを出そうとして一瞬向こうがひるんだタイミングで体を縮めながら人同士の隙間へと入り込んでいく。


「ハリーさん!」


 自身たちの近くへとお尻を向けるようにしてかがんでいるその姿に気づいた途端慌ててそっちに近づこうとする志太だが、そっちにもまた別の人が近づいてきていて。それが話を聞かせてもらおうとしていることを言っているのに気づいたら、その口もわずかに止めるしかない状態になってしまっていて。その後ろで女性が膝を曲げて床についてしまっているのに気づいてそっちに振り返っていたのもあるせいで、もう彼は足を止めるほかなかった。

読了ありがとうございます。

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