第130話
スマホを見たまままっすぐに歩いていくハリーとその後ろから歩いていく志太の2人は前側がそのまま歩いていくせいか、後者がわずかに体を手を使って横へと逸らそうとすることでそっちから来ている人とぶつかるのを避けさせようとしていると、すぐに振り返って目を向けてくるも、それだけでまたスマホの方へと視線を戻していた。
彼女ら周囲では人もほとんどいなくなったせいで静かになっていてビル街にもほとんど薄暗いわずかな灯りが見えているくらいでほとんど看板の姿も読むのが難しくなってしまっている上に、人も女性は露出が多い派手な恰好をしている人が増えている上に、男性もスーツを着崩している人の多さが目に付いている。
そんな人たちが固まりながら汚い輪っかを描くように固まっている姿を志田が横目に見ながら体を前のめりにして進んで行っている物の、それに対して向こう側は声の大きさを一切はばからないような笑いを繰り返しているだけで、それのせいで彼らに近いところにいた人が体を反らしたせいで顔がえた見た瞬間、自身のの向きを一気に変えて正面を見てた。
それのせいで下唇で上のを押す表情のままにおでこを出しながら両方の腕と足を動かすペースを速めたせいで、その音もしっかりと聞こえるようになっていて、自分よりも前に来たそっちの姿をハリーはスマホから視線を上げてみる。2人の様子は横にある黒の壁と金色の文字や枠で覆われているブティックのショーウィンドウに反射して映っている物の、そっちにいるペンダントを下げているマネキンのそれは灯りがついていないにも関わらず光り輝いていて、周囲の青と黒が交じり合っているような灯りには一切染まっていない。
一方で、ハリーは正面にいる髪の毛だけを見せている志田がまっすぐに立ったまま後頭部を下げている様子をじっと見つめたままでいた。しかし、左手はまっすぐに落っことしたままであるものの、もう片方の手は肘を90度曲げてまっすぐにした先にある手の上に乗っけたままにしてたスマホは画面を上へと向けたままにしていた。それのせいで、その体はわずかなバックライトに照らされたままでいた。
「あのさ、ハリーさん……」
わずかに顔の向きを変えるように横を見ているまま志田はそれと一緒に少しずつ言葉を発していく。その言葉は単語1つを言った後にしばらくの間があった。
その間は、また少し離れたところにある古い木製のような外観をしている居酒屋の前で、吊り下げられている提灯の先端にまで届きそうなほどの背をした男たちがいまだにまた1言言うたびに馬鹿笑いをしながらお互いの体を叩き合うようにしている音が聞こえて来る。
一方ハリーと志田の横には少し段が高いところにいるせいか、ブティックに飾られている衣装を着たマネキンは胸を張ったポーズを取りながら黒い衣装をまっすぐに下ろしたまま背を2人よりも高くして立っていた。その上、つばの広くなっている帽子や華美な飾りを付けているせいで横幅もウェストの割には非常に大きく見えていた。
「なんだよ、とっとと言え」
その言葉を早口目に発したハリーも肩に沿う形で落っこちている髪の毛が先端の方だけわずかに広がっているだけで、それ以外の場所はまっすぐに落っこちているし、それはさらに短い志太も同じ。そのまま体をほぼほぼ呼吸以外では動かさないままに体は進行方向と同じ方へと向けたままにしている。
そんな2人の間には数メートルほどの隙間が空いている物の、それに対してその横をまれに現れる歩く人はキャバ嬢と客が腕を組みながら歩いている姿や年老いた女性2人が手を重ねそうな距離まで近づけながら進んでいる姿があるものの、それらはほとんど2人が店に近い側にいるせいで車道に近い方の側を歩いていた。
口の位置を何度も整えるかのように唇を動かし続ける志太は目をわずかに薄くするかのように上瞼を少しずつ落っことすように。それから、上唇を前に出すままにしているけれど、頬もほんの少しだけ膨らませていた。
「大事なことだから、先に言わせてもらうけど」
わずかなその声は言葉が上ずってしまうたびに止まりながら話していくせいでしばらく時間がかかっている。その間、言葉を発し始めたタイミングで目を少しだけ持ち上げるようにしていたままにいるハリーは、まっすぐにその様子をほんのわずかに顎を自分の側に寄せているだけでそれ以外にはほぼ動きを出そうとはしない。
一度音を立てずに顔へと両方の手を当てて、そのままにいるのを1秒も過ぎずにいるせいですぐにそれを拭くかのように横へとスライドさせている間、鼻からわずかに息を吐き出しているせいか、その音はハリーには聞こえてなかった。
でも、志太はそれから肩をほんの少しだけ持ち上げてから元へと戻して。その後また振り返ると目をいつも以上に大きく開けている。両方の足を肩幅に広げるままにまっすぐ相手の方をまっすぐに向けたままにしばらくいて。しかし、その間も2人の近くを歩いて行く人たちの姿はまばらではあったものの、行ったり来たりをしていて。それらはみな進行方向をまっすぐに見ているだけだった。
「ハリーさんに恋したい」
息を一気に吐いた後に出した声はかなり早口目で。一切止まらずにそれを出し終えた途端に肩の動きを止めて口を強く閉じたままにしていた。下唇を上へと強く押し付けたままに顔の角度もその勢いに従わせるような表情のままにいる彼はそれもある程度進んだタイミングで動きを止めてしまう。
一方で、ハリーの方はそれを聞いたり見たりしている間ただただまっすぐにわずかな力を眉間に入れてしわを作っているままに、その声を聞いてからもしばらくの間じっと相手の方を見たままにしていたけれど、両手を首の後ろ側へと持っていくようにしていて、さらにその下に髪の毛を挟む。そのまま顔を前へと持っていくままに眉毛同士を近づけながら腕に力を入れてその筋肉を外側へと形作る。
「姉御は……」
その声は周囲の喧騒の中へと消えて行きそうな音量であった上に、その口の開いた範囲もほんの少しだったせいで志太もほとんど聞こえないままだった。でも、その口をずっと力を入れる箇所を交互に入れ替えるかのようにしているままに瞼を下におろしながらただただ顎を自分の側に向けるのをどちらもずっと続けたままでいたものの、その頃にハリーが手にしていたスマホのバックライトが切れてその体が白い光が消えてなくなっている。
2人の横にあるブティックのマネキンがつけているペンダントの反射もそのままで、遠くの建物同士の間から出ているパチンコ屋の灯りがわずかに出たり入ったりしている他、進行方向の逆側にある駅の軒下の灯りなど、どちらにも白い光が出ている物の、それは2人の体には一切届いていなかった。
しかし、その途端2人の近くで、急にあまりにも不自然で勝手にその体がしゃがんでしまうほどに大きな揺れが襲うと、一度聞こえないほどの舌打ちをしながらしゃがむハリーとそっちに近づく足を動かしながら膝を折り曲げる志太は、すぐにそれがした方へと振り返ると、紫色の光と共に窓ガラスが一斉に道路の方へと砂煙と一緒に吹き飛ぶ光景を見ることになった。
しかも、それだけで終わらず砂煙が出ている中にもわずかな灯りが角度をいくつも作るような糸となってその中を走っているようで。それを見た途端ハリーがそっちに近い角度になる道路へと手を立てたまま素早く立ち上がると、それを追うようにゆっくりと体を起こす志太。前者が口を強く締め付けるままに喉を震わせながらじっとその光景を見ていたのに対して、後者も顔の角度は同じでいる物の背筋をわずかに曲げたまま唇を小さく開けていて。でも、しばらくの間2人とも一切動かずにいた。
「ハリーさん! あれ……!」
文字を1つ1つ確認するみたいにゆっくりと話していくその声を出しながら、顔を話しかけた側へと向ける。一方で言われたハリーはその場で一度空気を飲むように喉を動かしている物の、それもそのままにしていて。それから足を一歩ずつ動かすままにしてそっちへと進んで行こうとする。それに対して志太もわずかな声を出してまたその名前を呼ぼうとするけれど、それに対してもそっちは何もせずにただただ体をまっすぐに前へと進めているだけだった。しかし、そのこめかみのあたりにはわずかな汗が一筋垂れるようになっていた。
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