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Lunatic  作者: コンテナ店子
第二部後編
127/216

第127話

 駆け足では全くないほどではあるものの、着実に足を一歩また一歩と進めていくハリーの背中を見ている志太は、一度口を大きく開けながらわずかな声を出して足を一歩前へと出すようにするものの、それで目を落としながら開いているのに、一切向こう側は止まってくれなくて、その姿勢のまま視線を左右に動かし続けてて。しかし、最終的には口を強く紡ぎながら目線を横へと向けて唇を前へと出す。


 そのまま脇を締めている姿は、本人は一切動こうとしないものの、周囲の空気は上を通る大きなトラックの進む音で大きく揺れ続けていて。その一方ですぐそこにある川の水は一切動こうとしない。そんな姿を自分のお尻の少し横辺りにこぶしを押し付け続けるその姿は視線を向けようとするけど、それも早々に終わり、目を強く閉じることになった。


 しかし、その一方で、ハリーの方はそっちを一切見ないままに体をどんどんと坂を上っていて、そのたびに体に赤色の夕日の色が染まっている場所がだんだんと増えていくのを志田自身も見ることになる。唇へと強く力を込めながらじっとその光景を見ているその姿は、目を閉じて自身の手のひらをおでこへと押し付けるようにしたことでそこから大きな音を立てていて。それから強く息を吐き出すようにすると、それから体を折り曲げるようにしながら膝の上に手の平を移動させてそこに上半身の体重を乗っけると、またもう一度下唇を上のに押し込むままに呼吸を繰り返してから視線を一気に持ち上げて、その勢いのままに口を開いていた。


「ハリーさん!」


 その声が川の向こう側まで聞こえそうなほどに大きくなっていたものの、それの最初のところはまだ小さいままで。志田自身ができる中で一番の早口で出ていたそれが終わった後、足をわずかに開いたままに下へ伸ばしていた腕の先にある手の平を横へと向けるままにいると、鼻から息を吸い込んで一度目を下へと向けるままにする。それから唇を閉じたままに歯を動かし続けているそれに対して、少しずつ息に合わせて肩が動き始めていて。そっちへと振り返っているハリーもただただ後ろをじっと見続けるような体勢でいたせいかそれに気づく。


 彼女が足を滑らせるままに坂を下りてから相手の方へと歩くペースを比較的ゆっくりめのままにしてそっちへと近づいていくも、そっちは頬の盛り上がっている個所に自身の軽く握った手を押し付けるままに顔の向きをわずかに傾けていたら、そのまま鼻を何度もすする音を立てていて。志田とハリーはお互いの体を向け合うような位置に立っていたものの、それを前者の方から崩して横を向くと、目を強く瞑って手の甲側を乗っけるままにしていた。


 その間もゆっくりと何度も深呼吸を繰り返しているその姿を見ているハリーはしばらく両方の手を自身の腹と胸の間辺りで組むままにまっすぐいる物の、それに気づいてからはそっちへと近づいてから両方の手をその肩へと回しながら首も相手の肩を乗り越えるくらいのをゆっくりと進めていく形で動かす。


 ハリーのその動きに気づいた志太も、その途端に何度も自身の開いている両方の手首で何度も目元をぬぐい続ける。しかし、それで顎を自分の側へと寄せるようにした途端、彼女も背中側に回してた手を肩へと移してから舌を上へとくっつけるくらいの感じでそこへと力を込めたまままっすぐにその様子を見続けた。


「ごっ、ごめん……でも、思ってたより、ね……」


 言葉を何度も出そうとしている志田だが、それでもそれは全部しゃっくりみたいに体が上へと持ち上がるままになっているせいで止まってしまい、同じ言葉を何度も言い続けている。その上に、その声もかなり高いままになってしまっていて。自分の両方の手の指同士の隙間を出来るだけなくしている物の、そのまま体を折り曲げて自身の頭をハリーの胸元へと近づける。


 その一方で、そうされた側は一度喉で何もない空気を飲み込むままにしてから瞼を下ろしてその様子をじっと見続けているだけにしていて。それから音をほとんど出さないままに鼻からゆっくりと息を吐く。しかし、それでも目の前の姿がこっちに後頭部と肩のあたりの背中を見せている姿勢を一切動かそうとはしない。それのせいか、だんだんと目を落っことすようにしかできなくて。それのせいで、目を完全に閉じたままにしてしまっていた。


「泣くのはかっこ悪いことじゃねぇ」


 わずかに出た言葉をだんだんと地声に近づけていく形で発せられたそれを聞いた途端、後ろへと数歩下がるままに自身の二の腕を体の側面に沿わせるままに肘を掴む体勢で1人で立っている姿を志太は晒してしまう。さらに、その間もずっと頬を両側で一筋だけ落っことし続けていて、それのせいで持ち上がった頬の上もそれが通りすぎてしまう跡をずっと残したままにしていて。口を紡いだままでいる。しかし、それでもその場所はずっと小刻みに震えているのを一切隠さないままでいた。


 それを見ているはずのハリーもずっと目を閉じたままにずっと顔を下へと向けたままにしていて。それは、相手が後ろへと数歩下がったことで距離が開いたことからその手が離れたことでも一切変わろうとしない。そのまま両方の手が重力で落っこちて行く動作に対して逆らおうとはしない。わずかな息を吸い込むようにしている志太も、その光景を見ようとはしなかった。


「勝手に押し付けてるのはこっちだから……」


 ずっと同じ姿勢のままでいるままに発せられた声は、もう声変りが始まりつつあるその様子と相反するほどに高いままで出ていて。目をわずかに開けるもその視線は未だその姿の後ろ側の方向へと進んで流れ続けている方へと向けたままにしていたものの、それは真っ黒なままにただただ音も立てずに流れたままになっていた。


 それに対して、ハリーもわずかに目を開けたまま反対側を見るように視線を向けている物の、そのまま口をわずかな唾液を音を立てながら開けて、その位置を変えるかのように閉じる。


 それから、2人ともそのままの体勢でじっとしたままにしていたら、志太の方から顔は相手の方へと向けてたまにちらちらと視線を小刻みに動かして数秒間に1度ほどハリーの姿を見るようにするけれど、それに対してされている方は何もせずにただただ横にある雑草がずっと揺れているだけの光景を眺めたままでいた。


「姉御の言ってた言葉を、借りただけだ」


 少し早口目に進めていくその言葉を一度切った後、ゆっくりと視線を横へと向けるまにいたハリーはしばらく何も話さずにただただその場にいて、それから一度息を吸い込む音を出している物の、それは少しずつかすれてしまうようで。でも、それでも聞こえているところでは鼻自体の形を変えるほどに力を入れていた。


 その呼吸が終わった後もしばらくの間また周囲を車が走っている音しかしない状態やそこから漏れてくる大音量のラップも数秒で消えていくのを感じているまま。でも、一度口から息を吐くタイミングでハリーはそれを終えたタイミングでまた同じ声を出して続きを言う。


 言葉が終わった後は目の前にいる志太からも視線をそらして瞼をわずかに落としている姿勢でいたものの、それでわずかに一瞬だけその名前を呼ぶも、辺りからは何も聞こえてこなくて。それに対してハリーはそのままずっと顔と共に視線を下に落っことしたままに歯へと力を籠めることしかできない。しかし、しばらくそのままの姿勢でいたその姿は、だんだんと首に込める力を強くしていくように顎を自分の体へと近づけるようにしていて。そのまま目を強く閉じたままにわずかな声を出すだけ。


 そんな姿を見ていた志太も顎を上へと持ち上げるようにしたまま喉をひっこめていると、ハリーの肩へと自分の手を乗っけるままにそのなだらかな坂に自身の手のひらと指を沿わせていて。そのままその様子を見たままにしていたけれど、目を斜め下へと向けたままにさっきの声よりも小さな声で謝っていた。

読了ありがとうございます。

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