第124話
わずかに目を細くした状態で体を前に出しながら女性の方を見てる星田さんは両方の手でドア枠の両側を持つみたいな体勢のままでいる。一方で、その顔が曲がった先にいる方は一度ため息をついてから体を一瞬だけ前のめりにしてから体を横へと動かして外に出てた。
でも、それでドアが閉められた音に気付いた途端に息を吸い込んで。それで頬を大きくしてから喉を締め付けて体を起こす。そうすることで道路の上に立つけど、すぐそこには十字路があって。私のそばには赤色の逆三角で作られた看板がすぐそこにあった。そっちに視線を向けるままにわずかに口を開けている物の、それとはほぼほぼ反対側から金属がぶつかり合う音がした途端に視線をそっちへと向けると、先生がカーゲートに両方の腕を乗っけてそこへと体重も重ねるみたいにしているせいか、わずかに背筋を斜めにしている姿勢のままにじっと女性の黒いスーツ姿を見ているようだった。
「いきなり素性がわからない子をこっちに押し付けられてもね、こっちとしても困るんですよ、いい加減にしてくれないですか?」
言葉ごとに語尾を強調するような話し方をしている先生はそれ以外の個所でもわざと抑揚を強調するような話し方をしていて、それに合わせて体も動かすみたいにしていたけれど、一方で倉敷さんの部下の女性はほんの少しだけ下唇を上のにくっつけるみたいにしながらただただサングラス越しに相手の姿をまっすぐに見ているままで、両方の手も地面へと向けたまままっすぐに落っことしているようではあるものの、握っているそれに力が籠められることはなくて。でもその親指の形が見えることはない。
「違約金は1週間以内に支払うよう契約書にも書いてあります。再度確認の程、よろしくお願いします」
さっき先生が話した時とは真逆でいつも通りの声で話していく部下の女性はスマホを操作すると白いバックライトがその黒い恰好や闇にまみれている姿の中を照らしている物のその体の様子が変わることはない。その一方で、背中側の見えている部分は影を強調することになる。
でも、それに対して先生の方はその声がなくなると共にすぐにそれに続く言葉をためるかのように肘を横へと伸ばすみたいに立てていた。それから息を吸い込んでる音を感じ取ったと自分でも思ったけれど、その一方で、向こうはその1秒後ぐらいに話し始めてた。
「一方的に押し付けてきて」
息の震えるとのと一緒に聞こえて来るそれに対して女性の方はほとんど何も言わないままにその場で立ってて。口では何も言わないものの、その声が聞こえなくなって数秒後くらいにまたスマホを操作し始めて。しかし、画面と指が触れ合っている音は何も聞こえてこなくて。両方の肘が左右対称にそっちへと向けて伸びている姿をただただ見ることになった。
「私はただ倉敷さんの指示の元に外回りをしているだけで、契約を変更する権限はありません」
私とワゴン車を挟んで話している2人の姿は結局こっち側のドアと向こう側のドアを介してみることしかできなくて、肩より上の辺りはほとんど見えないまま。しかし、2人はそのまま私の今後の処遇についてをずっと交互に言葉を出すことで言い続ける。特に先生の方の声がよく聞こえてくるも、決して女性の方も聞こえてこないことはない。
でも、お互いにお互いの方を見てしゃべっているせいで私が後部座席から降りたままの位置にいるのに対して、そっち側は前部座席の少し前の辺りからまっすぐに伸びた線の先になるような位置でずっと立ったまま。
それに対して首をわずかに狭くするように下を向いたまま目を薄くするけれど、そのまま両方の手で親指を握り締めるままにいようとしたけれど、それに対してずっと少し前の方では2人が話している声が止まらない。それのせいで、私は一度車の中へと戻ってずっと同じ姿勢のまままっすぐ車と同じ方向を見た姿勢でいる杏の元へと、シートに両手を着いたまま近づく。
杏の腰に両方の手を回してからおでこをくっつけて、そこの髪の毛がつぶれるみたいな音を感じ取ってから息を喉で中へと押し込むみたいに。でも体中を縮めたくなる力には一切逆らえなくて。そのまま脇を締めながら肘を自分の側へと押し込む。でも、それに対して杏の体が動いている様子を一切感じることはない。それどころか、わずかに篭るような音と共に向こうでいまだに私の処遇を話している声がさっきの話し方とほとんど変わらないままに聞こえ続けてた。その間、私はわずかな息を吸ったり吐いたりするのをずっと繰り返し続けることしかできなかったけど、それも小刻みに崩れるのを感じてしまう。
頭からゴミ袋の側に突っ込んでいたシャドは、流那たちと遭遇した教室から出た廊下の奥にあった窓が開けっ放しになっている姿からほんの少しだけ離れた箇所でただただ太ももを上へと伸ばしている一方で、膝は曲げたままでそこから先は袋の上に落っことしたままになっていた。
それがずっとそのままただいるせいで、周囲からは車が水たまりを吹き飛ばしている音や垣根のすぐそばを歩いている人がさしている傘が鳴らしている雨の音だけで、その他には、ビニールの上に雨水が落っこち続ける音がしているだけ。シャドの足にも同じようなペースでひたすらに雨に降られている物の、そこは素肌をさらしているせいで、ほとんど音がしないままになってしまっている。
破れた袋のすぐそばに虫が湧いていて、それがシャドの体のすぐそばやその上にも這っている物の、その体は一切動こうとしない。一方で、すぐそばにある縦長のハウスにも彼女の体が突っ込んでいる物とほとんど変わらない影が出来上がっていて、そこには赤い火のマークが書かれた張り紙がコーティングされた状態で張り出されていた。
その体がいまだ埋まった状態のまま何度も咳を繰り返していることで周囲のごみ袋も揺れ始めたタイミングで虫が一斉に去る音が聞こえていたものの、シャドは咳き込む以外の動きをほとんど変えずにいて。それは何度も足をばたつかせることで袋の山を崩しながら出てきた時に口から大きな息を吐き出している動きをしているタイミング以外では変化がない。
一度呼吸を吸い込んでから吐き出すシャドは自分の体が下にある袋に滑って行っているのに対して何もしないせいか、両方の腕と天然パーマが雨に濡れてまっすぐになったのも上の方へと取り残されたまま病衣越しに脇を出しているようなポーズのまま目をわずかに開けたままでいて、そのままの姿勢で歯を噛みしめる。しかし、その音は周囲の雨の音で消えてなくなりそうで。その姿勢で鼻から息を吸い込むも、その中の鼻水をすする音が聞こえて来るだけだった。
一方で、空を見上げる姿勢でいるその目に映っているのは雲にまみれた状態だけで。そっちを数秒間見ていたシャドは、体を起こすとわずかに猫背になったままに両方の手を自分の頭へと当てて。そのまま息を何度も繰り返す。しかし、それで口から息の姿が見えるわけでもなく、腕全体に出来上がっている鳥肌の様子が変わるわけでもない。
そして、しばらくそのままの姿勢でいたせいか、袋同士の隙間にいた虫たちが這いだしてきていて、その音を立てながらシャドの体の上や病衣の上も一切ためらいなく這いまわるも、その姿は決められた息の勢い以外にはほとんど動かないまま。
それが崩れたのは息を一気に吸い込んだタイミングで、自分のポケットの中へと手を突っ込むと、以前転ばされた時にできた画面のひびがそのままの形でいると思いきや、そこから派生している新たなものに息を飲むみたいにしてしまって。それから背筋をまっすぐに瞼を下げて。足も自分に近い側へと持ってくるように膝を折り曲げる。
それと共にその電源を付けると、即座に同じ場所を連続でタップしてロック画面を解除すると、そこにデフォルトのままの画面が表示され、それに対してWi-Fiが横にクエスチョンマークを付けている様子が見えていて。それからスマホを持ったまま腕を一気に落っことすと、それで袋が少しだけへこんで元に戻ると、そこにいた虫たちも吹き飛ばされてしまう。
「木月、流那……!」
そのわずかな声を一緒にあげるシャドは急に息を激しくするように口から何度もそれを繰り返すと、胸元に両手を当ててそれを押し込むようにする。しかし、それでも動きは全く止まる気配を見せないのか、どんどん背筋を足へと近い位置に曲げて言っていた。一方で、顔にも限界まで力を籠めてそれを体現するかのようにしわも多くなっていく。さらに、そのままの表情で意味のない大きな叫び声を何度も上げてしまっていて。しかし、周囲には人が誰もいないせいで、その様子に反応するものは何もなくて、周囲で動いているのは虫が触覚をゆっくりと動かしているだけ。
その様子のままにいるシャドはだんだんと声を笑い声に変えていくと、下を向いている状態からだんだんと上へと向けるようになり、胸も空へと向けるように首角度も変える。その状態で「うんこ」と大きく叫んだり、短い言葉と何度も南まりの名前を呼んだりと、それからまた深呼吸を体を折り曲げた状態で繰り返し始めていた。その間も腕と足で隠すままにしていた口から、耐えながら笑うようにわずかな声を出し続ける。そして、それに呼応するかのように限界まで縮めるような体勢のままにほんの少しだけ震える様子を見せていた。
周囲ではずっとただただ雨が降り続けていて、外の道路にできた水たまりや田んぼの中にも落ち続けるのが止まることは全くなった。
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