第120話
「はぁはぁ……花笠心愛、見てろよ、お前をぶっ殺して、必ずやっつけてやる! みなさん、あいつに負けるつもりはありません、徹夜で準備もしてきましたから」
肩を上下に小刻みに動かし続けるシャドは、前に配信した時と同じいくつもの箇所がほつれている様子をあらわにしている病衣を自分の肩へと引っ提げていて。そこから汗と砂埃の匂いを周囲に振りまいていた上に、天然パーマはわずかに円を描くようになっている場所をいくつも作っていた。
それから、近くにあった校門のレンガの上に座り込んでそれで立てた膝の上に腕を乗っけってため息をつくその姿は、周面を通る自転車に乗っかっている若い女性は見向きもしない。一方で、頭を何度も小刻みに上下へ動かし続けているその姿は学校の敷地から木の枝が伸びてきているせいではみ出ている物が影を作っているせいか、影になっていて赤い光が入ってくることはない。
その異常なほどに白い肌の上に汗をにじませていたものの、そこを袖で何度もぬぐう。しかし、その間もスマホをポケットに入れてその盛り上がりを作っているのを膝で表しているのをそのままにしているにもかかわらず、わずかな声をずっと出し続けていた。
ただ、周囲には誰も人はいない上に、学校からも全体的に光が消えてしまっているせいで、鳥のわずかに鳴いている声や風で木が揺れる音、そして、遠くを走っている車が道路の上を進んでいる音がするくらいで。その中でシャドのこらえようとしてはいるのか小さくだけ聞こえているわずかな笑い声がずっと聞こえ続けていた。
一度ため息をついて、体を上へと持ち上げていたのを元へと戻してから、すぐに歩き出し始め、それが口から激しい息を繰り返す形であったせいか、その呼吸とレンガの床を靴でたたく音が後者にまで反応しているみたいだった。
そして、校門のすぐ前に着たタイミングで、一度腰を曲げるままに止まったと思ったタイミングで体の向きをそっちへと向けてから数歩後退。それを一度止めてから走る時と同じポーズをまっすぐに決めて膝同士を曲げると、そのまま乱暴に四肢を動かしながら校門へと向けてまっすぐに走り始めるも、その直前のところでわずかにペースを落としてから足をそこへと引っかけて乗り越えた。
「よし、ここで、あいつをぶち殺してやるあいつさえ、あいつさえ……」
何度も半開きの口から呼吸を繰り返して何度もつぶやくとは言えないほどの音量で言葉を発し続けるシャドだが、周囲には誰も人はいない。
レンガが敷き詰められている床を歩いていくその姿がオレンジ色の夕日に染まり続けている一方で、その中はもうすでに真っ暗な色に染まっていて。ガラス張りになっている校舎同士を結ぶ廊下にバックライトをつけたスマホを当てたままにしていると、そのわずかな光だけがそっちを照らしていた。
それから頭を何度も振りながらくせ毛で上へと向けて無造作な爆発を見せている髪を動かし続けて、膝に手を突くと、そのまま何度もいつものように校舎同士を反響させるような大声で「うんこ野郎」や「まんこ」と繰り返し叫び続けていて。そのたびに尻を中心にして体を上下に動かし続けていた。
声が整ったタイミングで口を紡ぐと、すぐに中腰のままスマホを操作し始めて、学校のフリーWi-FiにつないでからTwitterを開くとすぐにツイートのボタンを押そうとしたものの、1秒でボタンを押すのを止めてから通知のところを押すと、そこにいくつも届いているリプを確認し続けている。
中身にはシャド自身のことを応援するコメントが文字数の限界までギリギリで書かれている物が丁寧語になっている物はもちろんのこと、ハリーを非難する「あほ」や「ガイジ」などの厳しい言葉で非難している物もある。一方で、その逆もあり直接本人に「効いてる」とコメントしているものまである。そして、本人はスクショを撮ってからそれらをすべてブロックするのを繰り返していた。
窓ガラスを割ってから目線を左右へと動かしながら歩いていくシャドは、階段を上り終えたところで非常ドアの緑色の明かりに包まれているその体は一度止まると、喉を強く引き締めながら半開きにしていた口をもう少しだけ大きくするようにしていて。それから一度強く息を吐き出すと共に、体をわずかに前のめりにすることで教室が一列に並んでいる看板の様子を見ているままにまっすぐに早歩きを繰り返す。
しかし、それも数秒間で終わったと思うと、一度息を強く吐き出すと共にすぐにその中へと入っていく。しかし、それに対してそっちの中では何も音はしない。そんな様子をシャドは視線をゆっくりと動かすままに見ていると、その後にスマホをもう一度構えてその中を照らす。それからもう一度まっすぐ下に落っことしたままにしていた手を強く握りしめる。それから顔を真下に向けたまま何度も息を繰り返して。それと共に反対側の肩を両方の手で持つみたいにしたまま苦しそうなものに息を変える。
しばらくそれを繰り返してから強く息を吐いたら、もう一度Twitterを開いてまた増えている通知を再確認すると、自分の脇を締めながら歯も噛みしめる。しかし、そこに表示されているリプライの姿を下へとスライドさせずに自分のプロフィールを開く。そこに1000倍ほどのフォロワーとフォロー数の差を見ながら自分の胸に握りこぶしを作ると、そのまま自身のツイートをしゃがんだままにさかのぼり始めた。
そこにある昨日のツイートは自分が昔流那たちに無視されたことから自分がこうなったことや、自分が他の人にも同じ気持ちを味わってほしくないから活動していること、そして、流那だけは何としても倒さなければと語っている物まで。それが3桁ほどリツイートされている姿を見ているままに、喉を強く締め付けてから見てからもう一度立ち上がる。
体を斜めに倒しそうになっていた後に、そのままそっちに手を突くと、反対側の壁に書いてある10人くらいの小学生が手をつないでわっかを作っている絵の後に、入り口にあった看板と同じ番号が書いてあった。それを中腰のままに見ていたシャドはまた下へと視線を向けていた。
「お前……」
その時、だんだんと消えそうになっている声がしたのに気づいたシャドはしばらくそのままになっていた姿勢のままに、半開きになっていた唇の中でも下のを上へと押し付ける表情のままに顎を上へと持っていくように。手を付けている緑色のコルクボードの上で手を滑らせる。それから、首を回して後ろへと振り返ると、そっちにはわずかに頭を前に出すような姿勢でいる流那が肩を横へと伸ばす形で立っていた。
私の目の前にいるシャドはずっと中腰で体のほとんどを暗い場所の中にずっと隠しているようで。こっちの後ろ側にある窓の向こうから入り込んでいる夕陽の中には一切染まらずに、夜が始まりそうになっている東側の月の灯りがほとんど入らないままにいて。教室の中にいるそれ以外の教卓や児童の机の様子もそのまま。そっちを見ると、サインペンや彫刻刀で作られた落書きや足にできた黒い汚れがそのままになっていて。白いカーテンもわずかに黄ばんでいる様子をそのままにしていた。
その中でシャドが黄ばんだ歯を噛みしめながら体をだんだんとまっすぐにするために持ち上げ始める。そして、それと一緒に着ている服が前と同じ場所に汚れや染みを残したままにしているのが、だんだんとしわになっている場所から見え始めた途端に、その姿がまっすぐに体を向けてきてて。こっちもそれを見た途端両方の手を強く握りしめそうになったけど、すぐに元に戻す。
でも、それに気づいた途端、シャドの方から大きな言葉になってない叫び声を上げながら拳をこっちに向かって振るってきてるのが見えてきてて。そのうるささに目を閉じたままに顔を下に向けそうになったけれど、こっちは一度足をばねにするみたいにしたままに上へと飛び上がってから上にある窓の枠を、上に伸ばした片手でつかんでからもう一度足を曲げてから一気に飛び上がるとシャドの後ろ側に回り込み、足を軸にして体を回す。
それと一緒にうさ耳パーカーと制服のスカートが風でわずかに浮かび上がると、向こうも廊下に体を出しながら体を前のめりにしていて。小刻みに足を動かすことでその勢いを止めてから、近くにあった机を持ち上げてそのままこっちに投げつけてきて。それを見た途端に私は足元に力強く力を入れてから横に向けて飛び立つと共に左側の手と足を壁に着くことで黒板の上部分を掴んでからそこを足で飛び立とうとしたタイミングで机が大きな音を立てて床にたたきつけるのを感じて一度だけ息を吸い込む。
視線をそっちにむけたまま体をシャドの方へと飛ばそうとするけれど、床を前転してそっちに近づこうとした途端に、一気に私の周りを様々な色の煙が覆いつくして、それに気づいた途端激しくむせ返る。さらに、煙に視界を支配された中でさっきシャドがいた方から何度も咳こむ音が聞こえてきてて。そっちを見ようとしたけれど、その途端にそっちから熱い体温を感じたのに気づいて、口を強く紡ぎながら教室の中心側に向けて走り出そうとしたけれど、その途端に私がいた場所から何かがぶつかり合う高い音がして。そっちに体を向ける。
足を止めたまま煙が次々と出続ける音を感じていると、シャドの汗臭い匂いもそれにかき消されてしまっているのに気づいて。それに腰を落としたまま両手を横へと伸ばすままにそっちを見ているけれど、その次の瞬間、また喉から大きな声を出しながら金属の棒をこっちに向けて振り回してきながらシャドが煙の中から現れて、上から下へそれをしてきたのに気づいたらまた後ろにジャンプすることでそれを回避。
次は下から上へと振り回してくるので、それから首を強く引き締めると、また後ろに下がろうとしたらもう後ろのロッカーと背中がぶつかって。そっちを見たらその瞬間にこっちの横っ腹に鉄の棒が重みをぶつけたと思ったら、シャドの方へと唾液を吐きながら喉を鳴らしつつ目を強く瞑る。
「まっ、待てって……」
膝を床へと曲げてから何度も激しく口から呼吸を繰り返してぶつかった横を押さえるままに腰を曲げてると、そこからわずかな声を出す。でも、それに対してシャドは自分の頭の上へ両手を振りかぶってそのままこっちへとそれを振り落とそうとしてきてて。
その様子を見て一度だけ手を動かそうとするけど、そのスピードが間に合わないそうもない。それを視界でも気づいた途端に、息を吸い込みながら頭に強く力を込めて。それから自分の前に魔法陣を作り出してそれを激突させたら、そのままそれが明後日の方へと飛んで行ってたのに気づいたら、もう一度息を強く吸い込んだ。
「私がどうしてここに来れたと思う!」
読了ありがとうございます。




