第116話
ハリーの声を聞いた途端、私の目が大きく開くのを自分でも感じ取ると、呼吸も忘れてるのに気づいたのはそれの数秒も後だった。口は開いてるのにそこを通っていくのが何もないけれど、それに対して周囲では何も聞こえて来ることはなくて。その静寂は私が口から呼吸をゆっくりとだけどだんだんと声を強くし始めたことでしっかりと聞こえるようになる。
でも、それに対してハリーは未だまっすぐに杏を挟んで私の前に立っているだけで、わずかな声を出しているこっちが腰を落としながらそっちを見ているせいか、その目線はこっちを見下ろしてきてて。それと合わせている間にだんだんとこっちは歯を強く噛みしめながらその音を自分でも感じ取ってて。両方の肘を立てるみたいに腕にも手のひらにも強い力を籠め続けた。
そして、その間も杏はただただそこでまっすぐに立ち続けていて。それを見ていると息を吸い込みながら鼻を動かす。でも、その間も私は口の中に込めている力を一切抜こうとしない。
「どういうことだよ……」
目線を左右に向けるままにいる私が足を強くその場で踏みしているのに対して、ハリーはすぐに一歩前へと足を出していて。それから後ろ側に肘を曲げたままに引く。さらに、口を開いている姿を体の半分だけが見えていて、残りは杏の後ろ姿に隠れてしまっている状態のままに見ることになる。
そっちもそっちで顔の眉を下へと下ろしているままにそこへとしわを集めるみたいにしていて。でも、その一方で私のようやく出た声は自分でも聞こえてはいたものの、だんだんとそれは消えていくのを感じている間、また私は呼吸をわずかに繰り返し続けてた。
「お前の親友はそんなロボットじゃねぇだろ!」
喉から一気に吐き出されるみたいに出てきたそれは一気に早口のままに出ていくみたいになっていて、それを聞いた途端こっちも喉を伸ばしながら前腕と地面を平行になるように。
そのまま強く力を込めたままにいようとしたけど、数回呼吸を繰り返したままになっていた後、最後に強く呼吸を一気に吐き出して曲がっていた背中の角度をどんどん強くしていく。それから視線を横へと逸らしながら上の唇を下のに押し付けるみたいに。
そのままそっちを見てるけど、砂利でまみれたわずかなようやく人が1人通れるくらいの塀と外壁の隙間の通路があるだけで。それを見ている間唇同士が離れないままにわずかに小さく動かし続ける。
「そんなこと……!」
その声を出している間、わずかに私はだんだんと目線を横から下に落っことして言っている間、膝同士をくっつける。そのままそこを前へと向けるようにしてて、でも顔の向きはそのままにしていた。
一方で、ハリーの近くに両方の手を出すみたいにしながら志田さんが一歩近づく。でも、それと接しそうなほどの距離になった途端でその手を真下に落っことす。2人ともまっすぐに立ったままこっちを見下ろしている上にわずかに上がった1段上にいるせいで志田さんもこっちを見下ろしていた。
それから、また一度口を開けたままにしていた私は正面にいる杏の姿を見つめる。でも、そっちの姿は全く変化することもなく、ただただ最初にハリーに押されて全く動かなかったとき以降全く同じ。ずっと背中を眺めている間だんだんと目尻が落っことして言っているのに気づいた。
でも、長袖と手袋の間で銀色の腕が見えているシャツの奥側で私が東雲の用意したリングに体を叩きつけた時にできた傷の姿があるのに気づいた途端、息を強く吸い込んで体の中を膨らませる。それから、またもう一度視線を横へと逸らす。
「世古島なら、そんなこと、言わないぞ」
小さくわずかに口を動かして話した私の声が自分でも聞こえにくいくらいの大きさで出た途端、ハリーの背中が大きく上へと上がるみたいになったのと同じく顎も動いて。それに呼応するみたいに私も顎を上へと押し付ける。
でも、こっちが足を一歩後ろへと下げたのと同じタイミングでハリーも足を大股にしながらまっすぐに進んで来ようとしていたのだけれど、杏の体を肩に右手を当てて押し出そうとしてて。でも、それで全く動こうとしないその姿を見ていた私はわずかに体も足に続いて反りそうになっていた。そして、その後に口を強く締めながら歯を噛みしめた。
「てめぇに姉御の何がわかるんだよ!」
こっちの襟元を引っ張りながら体を前へと出しているハリーの顔と私の顔がおでこをぶつかりそうなほどに近づいているのに対して、私も両方の腕の中で熱さと痛みを感じて一瞬だけ目を閉じてから自分の体に魔力が入るのを感じる。
でも、さっきと同じように喉を狭くするみたいにそこへと力を込めている私の前でハリーは何度も口を使って呼吸を繰り返しているのを体の動きでも音でも感じ取る。
それに対して私はずっと視線を目に向けていたのに対して、しばらくしたらまたおでこの方へと変えるけど、そこが動くことはなくて、ただただ呼吸に合わせて上下しているだけ。
そう思った矢先、こっちの両手の周囲から何度も魔力によって生み出された電撃が音を立て始めたタイミングで向こうも眉をよりひそめるのが目に見えてわかったけど、それを私は辞めない。
そのままハリーのおでこのあたりをずっと見つめたままにしていようとしたけれど、玄関の爪が引っかかって開く音がした途端にサンダルが地面を叩く高い音がしたのに気づいて、そっちへと振り返るみたいにすると、志田さんのお母さんだと思う人がゆっくりと入ってきてるのが見えて。それの向きが変わったと思った途端、頭の中がじーんとするみたいに中身が振動しているのを感じた。
「2人とも!」
小刻みに走ってくる音を聞きながらおでこに両方の手を当てながら数歩後ろに下がる私だけど、そのまま背中を大きく曲げてたつもりだったのに、それでわずかにあふれた声が自分にも聞こえている間、ハリーがこっちに勢いよくこっちに近づいてきたと思ったら、膝蹴りを顔に決められてそれのせいでまた今度は頭を上へと向けたまままあおむけに倒れる。
それから後ろにあった門に後頭部をぶつけて、そこが切れた感覚がすると共に、目を大きく瞑っていると、頭の中が鐘がなるみたいな音がずっとしていて、それのせいで周囲の音が何も聞こえないままにいた。
すぐに体を両方の手を地面につきながら立ち上がると、ハリーは肩で息をしながらまっすぐにずっと立ったままにしてて。親指を残りの手で握り締めるのを両手でしてた。一方で私は数回せき込んでその中の血があふれているのを数回吐き出した。それのせいで、膝の上に両方の手を乗っけたままに顔を上へと向けるのに対してハリーはずっと同じまま。
「陽!」
「やらせてあげて」
志田さんのお母さんがこっちに近づいてくるために体をわずかに前のめりにしているのに対して、志田さんが腕を横へと出してその前を通れないみたいにしてて。それのせいで前者は道を通れないみたいになってた。そして、本人もそれで体の動きを出来ずに体をまっすぐにするみたいにして視線を下に向けてた。
そっちをしばらく見てからわずかに視線を横へとそらしたら、杏がいるところで止める。その姿は背中をまっすぐに立てたままの同じ姿勢のままでいて。風も周囲から吹いていないのもあって、坊主姿の髪の毛も短く上へと伸びてて。その様子からまた、ハリーの方へと視線を向けた。
そっちでは、息がだんだんと整ってるみたいで。わずかにおでこが赤くなっているようにも見えるけれど、表情は口をだんだんと横へと伸ばして歯を見せてる。でも、それに対してこっちは一度息を吸い込むみたいにするしかないし。向こうの影になってる顔から視線を逸らすことしかできない。
そして、下唇の上で上のを滑らせて中へと入れるみたいにしてからもう一度開けた。
「杏!」
手の力を抜いたままに出した声はその背中もハリーたち3人の様子も超えて、壁にぶつかって反響するのを感じ取る。それから、足を数歩だけ慎重に一歩ずつ進めていくと、それが斜め前辺りに向けて進んで行っているせいか。すぐに杏の顔は見えてきた。
そして、私が自身の胸の横辺りで指を曲げたままに平を見せるみたいな形にしていると、こっちに向けて顔を曲げてきてて。それを見たらわずかな声を出しながらそっちにう一歩近づいて。一度目を開けるみたいに。
首だけを曲げたままにこっちを見てきてる杏は、こっちの体がその横に着たタイミングで顎も使って下を見る。
「私は、杏が……ずっと、一緒にいてくれて……すごく、うれして、杏も、そう、だよな、私と一緒にいて、ずっと、楽しい、よな……!」
出来るだけ早口で隙間をなくしていきそうにして話していくのに合わせて目線も左右に動かす。それから、そっちの左側の袖に両方の手を重ねたままにおでこを肩へとこすれ合わせる。それによって、奥にある金属の冷たい感覚を味わったままになっているけれど、でも、そこも口を動かすのに合わせて前後していた。
一方で、私が話を進めている途中なのに、ハリーが息を飲む音を立てながらこっちに近づいてきてた。
「待てお前、そいつは……」
気配で近づいているのを感じるその影が、私にわずかな声を向けているのに気づくけど、数秒間ごとに止まるのを繰り返しながら発してる時は少しだけ早口目に出てる。でも、それを無視したままに口から一度苦しくなった息をもう一度吸い込むのと一緒に頭を下へと向けて頬を膨らませてまた息を吐いた。
「私と、一緒にやってほしい、お願いだから……!」
背中を少しだけ丸めたままに顔を上へと向けて口を開ける。目もできるだけ同じくしている私を見ている杏は真顔のままただただこっちの姿を見ていて。それから視線を動かして、私とハリーの目がずっとぶつかり合っているのを感じ取る。そのまま私の顔が上下に小さく動いているのを自分でも感じている間、ずっとその視線を見ていると少しずつ口が横へと広がっていくし、そこから息と一緒にほんのわずかな声が出る。
両方の肘と前腕を平行にするままにシャツを重さで引っ張っていた両手から小刻みに足を動かして言ってる私は、それから顔を少し下に向けながら両手を背中とお腹側に回してハグするみたいにした。
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