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Lunatic  作者: コンテナ店子
第二部中編
116/216

第115話

 ハリーと志太さんの横に並んでいる姿の後に続いてわずかに足を動かしている私のさらにわずかな隙間を開けた後ろに杏の姿があるのもあって、数秒間に一度ほど後ろへと振り返るように。


 前の2人がようやく2台がすれ違えそうなほどの道幅をしている車道のど真ん中を歩いているのに対して、私たちは側溝の右端と左端を歩くみたいにしていて、それの影響もあって自分の体が横にあるブロック塀にうさ耳パーカー越しの肩をわずかに擦らせる。


 一方で斜め後ろにいる杏は今も振り返るたびにその背景をわずかに変えているだけでそれ以外の場所はほとんど変化しようとしない。でも、そっち側は私たちがずっと歩いてきた道ではあるものの、もう寝静まった後なのか、どこの家の窓からも光が見えないし、付いているところもブロックの影になってしまっていた。


 でも、向こうの2人から着いたという声が聞こえた途端にそれへと従ってわずかに顔を上げると、そっちでは入り口のところに電気がつけっぱなしになっている様子があって、その周囲が温かみのあるオレンジ色に染まりきっている。そして、私の顎がまた元の位置に戻ろうとしているのに対して志太さんが靴の音を鳴らしながら進んで行ってて、それと一緒に両方の腕を胸の前に出すみたいにしながら小刻みに歩いて行ってた。


 一方でハリーもそれほど早くはないけれど、足はそっちへと進めていってて。ポケットに手を入れながら段差を上っていくけれど、それに対して背中をまっすぐにしたままにしてて。進むたびに膝を上へと伸ばす。それから、門が手で開かれる高い音がするのと一緒に喉を締め付けるみたいにしてたら、上の歯に下のを押し付ける。


 それを見ながら歩いてたらすぐに足が志太さんの家へと向かう段差と触れ合ってるのに気づいて、上へと視線を向けたままに体をまっすぐ下へと落っことしていたけれど、でもすぐに後ろからまた機械が揺れる音がして。その瞬間に後ろへと振り返りながら息を吸い込むけど、それで杏の方を見るよりも早くその体が私にぶつかってそれでこっちが倒れたら、杏が私の膝をついた足を踏みしめながら肘をこっちにぶつけてくる。それに対してこっちは低い声を出すことしかできないけれど、でも、杏は全然止まってくれなくて。そのまま向こうがまっすぐ進むのを目をつむりながら受け止めたら、両方の手を引き締めて肘を自分の体にくっつけた。


 


 頭に右手を当てながら目線を上へと向けるみたいにして小さく足を動かしているのに対してハリーと志田さんは小さな声を出すようにしながらも、特に前者は額に汗を掻きながらこっちへと視線を向けるみたいにしてくる。でも、それに対して杏はそっちへと近づいて行ってて。それを見てたら慌てて私は声をかけた。


「杏! 待って……」


 その声を出す私に対してだんだんと歩幅を小さるようになってたそっちは間に合わなかったのかもうハリーたちがいる段差に乗っかろうとしていて。でも、それに対して私は大きく前へと出しながら体も腰を中心にしながらそっちに体を前のめりにする。


 それと共にわずかな声を出そうとするけれど、その途端にハリーがもう杏の肩を見ながら脇を開きながら一歩前へと足を出して、それから肘を両方とも勢いよく横へと向けるのに近い角度をつける。さらに、膝を曲げて勢いをつけてからそれを押し込んだ。


「ハリー!」


 その声を私が出すよりも先にそっちの両方の手が杏の体に音を立てながらぶつかるけれど、それで杏の体は一切動かないどころか、そっちへと近づいていく足も一切動こうとしなくて一瞬だけ視線を落っことしたままハリーの様子を見落としていた。


 でも、それもほんの1秒の間だけで、もうまたすぐにまっすぐ正面を見て歩き出そうとしてて。それに気づいた途端に私は息を吸い込みながら体を前へと出すために数歩小走りでそっちに進もうとするけれど、一方そっちはただただもうハリーとの距離を詰める一歩を出そうとしていて。こっちは目を瞑りながら力を両方の手に込めてから膝を曲げて体を飛ばしたら、その足がハリーの元へと到達するよりも早く私が腰へと抱き着いた。


「杏!」


 杏の体に抱き着いたまま何度も呼吸を繰り返している間、そこへとおでこを擦りつけたまま喉を締め付けるつもりでいるけれど、それのせいか靴がわずかに滑っていくのを低い音と一緒に感じ取って。それに対して私は何度も口で呼吸を繰り返しながらただただ膝立ちのままに口を締め付けるみたいに。


 その一方で、ハリーと杏は私の手でわずかに体が後ろに下がったおかげで距離が開いてたけど、前者の方から一歩前へと足を進めるせいかまた体同士の距離がだいぶ寄ってて。そっちは顎を自分の体の近くに寄せることで自身の顔に影を集めたままに視線を下から見つめるみたいにしていた。


 数秒間そのままでいたと思ったけど、杏の側から視線をそらしてハリーが私の方を見詰めてきてて。それに気づいたら息を吸い込むままに顔を膝からスライドさせてその様子をみたら、1つの音を数秒間伸ばし続けたままに顔を斜め上へと逸らしつつそのあたりを掻くようにして後頭部に右手を持っていってた。


「あのな、腰抜け……」


 わずかな声がよくやく聞こえて来るそれは、後ろにある車道を車が通り過ぎるようになった途端にそれが消えてなくなりそうで。しかも、顔全体が視線も含めて私の方を向いててどこにも私の方を見ていないパーツがない。


 一方で私はそのままいるそっちの様子を数秒間眺めていたら、地面に沿っていた足を持ち上げたままに膝を曲げてたのをだんだんとまっすぐにしていると、そのまま両方の手と前腕を地面と平行にするみたいにしたままにそっちへと視線を向けるみたいに。


 でも、杏はそのままそこでまっすぐに立ったままにいたのもあって、私たちの間にいるみたいになって。それを挟んでハリーの姿を見ることになる。しかし、それに対して一度息を強くため息にして吐く音がした途端、私も喉を強く締め付けなが数歩後ろに下がってその様子を視界に入れる。


「こういうのは言いたくないんだが」


 限界まで力を込めて両方の腕を重ねてそれぞれに反対側の肘を掴むままで体を締め付けると、また顔の角度をわずかに下へと向けたままにしてた。でも、それに対してそっちは瞼を小さく下と下ろしたと思った後に私のことを見てくる。


 それに気づいた私はわずかに口を開けたままに足を一歩だけ後ろへと向ける物の、息を吸い込むままにしていて、それが終わったタイミングで唇同士を重ね合わせる。それから鼻からわずかな息を吸い込むのを繰り返し続けていたら、その間もハリーは全然意味のある言葉を発することもない。


 でも、それを見かねたというべきか、後ろにいた志田さんが小刻みに足を動かしながら肩を前へと出して歩いてきたと思ったら、その瞬間にその前にまっすぐに伸びた腕が斜め下に向かったままに全く動かないでいて。志田さんもそれの持ち主であるハリーの方へと視線を斜め上に向けるみたいにしたままにしてた。


「待て」


 その声はいつもよりも低いような形で出てきてて。それが聞こえた途端私も一気に視線をそっちへと向ける。そして、志田さんも顔を斜め前へと向けながら口を開けてて。わずかな声を出したと思いきや、でも、それで2人とも動くこともない。


「こいつはあたしの役目だ、手出すんじゃねぇ」


 足を一歩前に出して腰を落としたままにしていたハリーに対して、私は両方の手の爪を前へと出すみたいな体勢でいたその姿は息を吸い込んだまま数歩後ろへと下がるみたいに。しかし、それに対してハリーは口を閉じたままにそこに力を込めて、腰はそのままにもう一度杏の姿をまっすぐに見つめる。でも、それが数秒間ずっと周囲の草が揺れている音だけを私たち2人の周りでわずかに感じてたら、今度は私のことを見つめてきてて。


 その髪の毛の花を作るみたいに編まれてたのがなくなった位置はもちろんのこと、それ以外の場所も全く動かずにいたら、私も喉を締め付けてそこに力を込めながら改めて両方の手も握り締めると、そこから燃えるような熱さと痛みを感じて目を閉じながら左右に顔をわずかに振って。もう一度ハリーの方を見たらそっちの方から自然と口が動き始めるのが見えた途端に鼻から吸い込むけど、それに対して向こうは一切止まることなくその言葉を発してきてた。


「そいつは、杏じゃねぇ」

読了ありがとうございます。

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