第111話
公園の中で小刻みに口から白い息を吐き出し続けているシャドはそこを小刻みに震わせるようにしながら視線をひたすら左右に動かし続けていて、スマホを持った左手を上へと上げながらその光が顔には入り込んでいないようであった。
そんな姿に対して、近くを小走りでいた男たちがその横を通り過ぎて、その瞬間に肩がぶつかったせいで片足が持ち上がるのと一緒に息の塊を噴き出してしまうのと共にそこから唾液を吐き出す。そのまま体を斜めにしたその姿はいとも簡単に地面へと落っこちると、均等に塗装されたランニングコースに激突したせいで大きくせき込んでしまっていた。一方で、ぶつかった側の人は腰を使って体を動かすと、その足を止めないままに横にいた友人と一緒に大笑いしていて、その声がシャドにも聞こえていた。
両方の肘を曲げたままにその手を握り締めているその姿からは、同じタイミングで歯も噛みしめているようで、その音が一緒に聞こえてきていた。しかし、だんだんと笑い声はどこかへと消えていくみたいに小さくなっていて。それに対して目を閉じることしかできずにいた。
それから、一度ため息をついて正面を見るシャドは、目を細くしたままにうつ伏せになっていたスマホを取ると、そこには画面に数本の不規則で動いているひびが出来上がってしまっていた。
すぐにひびに気づいたシャドは「頼む」と何度も口を開きながら開いている左の手のひらでその側面を叩きつつ電源を入れると、スリープモードが解除されたことに気づいたタイミングでゆっくりとため息をつく。
また同じ腕を大きく上げるポーズでゆっくりと歩いていくその姿は腕を何度も左右に動かしていたが、それもわずかな低い声を出したタイミングで止まる。その瞬間足踏みをするようにその場で何度か動かした足に対して、目を大きく開いている彼女は、唇を強く紡ぎながらその腕をもう片方ので支えるみたいに。ぷるぷると小刻みに震える指でその画面を操作してyoutubeの画面を開く。
上へと向けてあげている腕の肩との肘にはそでが重力に従って下がってきているせいで、手のほぼほぼ全体が鳥肌が立った様子をさらしてしまっている上に、その姿勢のまま口を押さえずにくしゃみを勢いよくしている。その上に、それ以外の個所も含めて風に病衣がひらひらと揺れるづけていて、当の本人はそのタイミングで下を見ながら目を強く瞑る。
歯を強く噛みしめた後に顎を震わせながら上を見たままでいると、一度左手でスマホを持ってからもう片方の手を落っことしたらその勢いで肩を何度も動かし続けていた。一方で、スマホからいきなり音がしたのもあり、すぐにシャドも視線をそっちへと上げると、その瞬間に喉を鳴らす。
「シャド、あたしだ。もう別人のつもりだが、お前の中ではあたしは花笠心愛だ」
顔が見えにくくなるような位置でまっすぐに向けているハリーとスマホからでもしっかりと見えている志太の2人。どちらも近くのハンガーに上着をかけた様子を写したまま漫画喫茶特有のオレンジ色に近い暖かな薄いオレンジ色に包まれている。
一方で、シャドは両方の口のすぐ横にえくぼを作るように力を込めたまま、唇を前へととがらせていて。その足をまっすぐに立てている姿はランニングコースの横へとつけられた白い街灯同士の間にある暗い場所の間にいた。しかし、その向こうにいるさっきと同じようにまっすぐ歩いてきている人たちはそれの姿に気づいた途端に目を大きくしていた。
「あーもう!」
最初は腕を限界まで上げた体勢で肩辺りを反らすまま顔も上へと向けたようにしていた。しかし、それで親指を動かすたびに狙っていなかった文字もタップしてしまうせいでろくにそれを打ち込むこともできない。
それのせいか、腕をわずかに曲げながら顔に近づけるけれど、それでも全く書き込まれている文章が意味も分からないものになっていく上に同じ文字がずっと続いているのにも気づくと、それのせいで息を強く吸い込む羽目になる。
さらに、シャドは大きな声を出して握り締めた両手を強く曲げた膝へと叩きつける。その瞬間に、左右を歩いていた人が体を大きく上へと持ち上げるみたいな反応をしているせいか、一気にそれへと視線を向けるみたいに。そして、その姿勢のままでいた。
数回息を繰り返すみたいにゆっくりとそれを繰り返している間、中腰の姿勢のままただただいるようにしかしていなくて、画面の中にいる2人はまっすぐに立った体を並べているようであったまま配信がモザイクを描くように止まったままになってしまっていた。
その姿勢のまま両手の親指の腹を使ってそこを勢いよく書き込み続ける。そして、その後もう一度唇をかみしめるみたいにした後にもう一度操作しなおしていた。
「あの、見逃してしまいましたし、あなたがシャドさんだって証拠を出してもらえますか? 名前だけならだれでも心愛さんはこうして顔をだしてるんですから」
ぶつ切りになっていたせいでその声は聞き取りにくくなってしまっている物の、志太はゆっくりとその言葉を話していたものの、シャドは口を小さく開けながら右手を限界まで上へと上げたままに指でスマホをすれすれを持つみたいに。
目を強く瞑りながらいるそのの姿に対して、画面の向こうにいる志太は素っ頓狂な声を上げながら膝の上に置いていた手を上げつつ目を丸く開けていた。それからわずかに唾液の音を立てながらハリーはため息をつく。
シャドのいるコースの横にある駐車場の向こう側には、民家が道路に並ぶように建っていて。そこにいる物たちは一部の窓からハリーたちのいる場所よりは明るい色に照らされていると思いきや、彼女らも天井からの光に照らされていて、それだけでなくモニターの光とスマホの光に照らされていた。
「ちょっ、ちょっと、お母さん、今は忙しくて、またあとでかけて! わかってる! わかってるから! 今大事な時なの! すぐかけなおす! それじゃあ!」
一方で、志太の耳元にスマホが当てられたことでシャドの体には何も光がなくなったと思いきや、近くにいた薄汚れた格好のまま髭も伸び放題にしている男たちがドラム缶の中で何かを燃やしている様子があって。それでその背中を赤くたぎらせているようである。
ただただほとんど動かないままにじっとしているその姿はその炎が出す音と共に聞こえて来る声に包まれていて。スマホから聞こえて来る声もなくなっているせいでそれがよく聞こえていた。
わずかにそっちから風が起きているせいかシャドが着ている服が一気に膨れ上がり、そうなった途端にもうほとんど体と触れている部位がなくなったせいか、それから戻った後に開いている方の手で一気に体へと服を擦りつけるようにしている時に見える骨の形がより強調されていて、それで体を動かしたせいか、瞼を下げながらおでこを地面へと向けつつ足を一歩前へと出していた。
それからその膝のところで曲げた足に両方の手を乗っけるようにしているせいか、そのまま汗を垂らしながら何度も体を上下に動かし続けていて。スマホのつるつるとした感覚がそこにも伝わっているよう。
「腰抜け……木月流那はあたしの舎弟だ。あいつに用があるなら私を倒すのが先だ」
一度強く息を吐きながらなんとか体勢を立て直した後にハリーの低い声が聞こえて来るも、その一方でシャドの方は体を倒すような勢いで前かがみになりながらそっちへと進んで行き、そこにあった蛇口へと張り付くみたいな姿勢で体を押し付ける。そのまま側面を触れていた手で上を向いている飲み口のノズルを回す。
勢いで空へと向かった水しぶきで天然パーマも肩を包んでいた病衣も濡れ始める。そこから落っこちて水たまりとなる水路へと落っこちた後に滑っていく水をシャドは舌を出して飲む。そこからわずかな言葉になっていない低い声を出している間、出しっぱなしにした舌を何度も前後に動かし続けていて。顔を水飲み場の石に頬擦りするようになっていた。
「最初に会った場所、そこに明日の18時に集合だ。1対1でだ。他のやつに手出しはさせるな、私もこいつには手出しさせない。いいな」
一方で地面へと落っことされたスマホは画面があおむけになっているせいかその音がずっと篭るような形で聞こえていて。水が滴り続ける高い音と相反するようであった。どちらの音にもシャドは一切反応しないままにずっと水を飲み続けていて。その動きをしたままにお腹をずっと両方の手で押さえたままであった。
ずっとハリーや志田が話し続けている姿を生配信の画面は映し続けている物の、その顔の上にはTwitterの通知が次から次へと表示され続けていて、そこにはシャドのことを応援するコメントが次から次へとリプライやDMに来たことを知らせ続けていた。
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