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Lunatic  作者: コンテナ店子
第一部前編
11/216

第11話

 施設の道はどこを見ても縦に長い長方形で覆われてて、私に当てられた部屋もある通路と今進んでいる通路とでほとんど区別がつかない状況で、ドアを超えるごとに左右の上の方へと視線を動かし続け、音がするとちょっとだけ足の動きを止めるようにしてからもう一度周囲を見渡す。私の真上にある照明は埋め込まれたような電球が一個だけあって、それが連続で並んでいる物の、それがない地面は暗闇で薄く染まっている。


 私が足を止めると、周囲は音が一切なくなって、分厚い素材で出来たドアの少し背が高い所にある羽目殺し窓の向こうもそれは一緒のよう。そして、その度に数歩戻ろうとするけど、おでこに手を当てながら顔を傾けたら、目の半分が隠れて、その手のわずかな赤さをじっと見る。そして、手にできたしわを追うように片目が動いて、もう片方の目で道を眺めているけど、そっちからドアが動いた音がした瞬間、手が引っ込んでフードのポケットの中に入ってしまった。


「わかってるっすよ! 私だって、それくらい……」


 探してた私を腰抜け呼ばわりしてくる茶髪の女子がちょっと離れたところにある場所から出て来た。でも、高い声で部屋に向かって大声で、体を僅かに前のめりになってて体を動かすたびに髪の毛も大きく動きを見せていた。そっちに近寄りたいけど、声を出そうとしても、ちょっとだけ意味もない物を出してしまうくらいで。


それから、すぐにその後をさっきの血が出ていた部分に包帯を巻いたままになったの姉御の人が後を追いかけてて、その右手を握りしめていた。そして、その瞬間には片目をつぶるように動かすが、女子が目をつぶった数秒後に顔を上げたその時にはもう元に戻って面影すらない。


「でも、でも……もう、先輩は、絶対返ってこないっすよ……」


 そう言いながら女子は肩を小さく何回か動かした後、痙攣するみたいに大きく動かして、それと一緒に自分の肩を強く握りしめると、そのまましゃがみこんでしまった。その顔は顔のパーツ全部に力を籠めるような様子を見せていて、それを見ているこっちすらも目を丸くして呼吸を忘れていたの思い出したほどだった。


 しゃがんだ女子に対して姉御の人は自分も足をまっすぐにそろえたまま同じ高さにすると、肩を抱くように腕を回しながら体もそこに寄せる。それで女子の顔は見えなくなったけど、後者の方と私の目が合って、その瞬間にこっちは目線に押されるように足を一歩動かす。さらに、目を大きく開いたら、心臓が小さくなったような感覚と一緒に、口を小さく動かしながら両手の平をそっちに向けると、数歩後退りながらお愛想笑いをした。 


「何がおかしいんだよ」


「えっ、えっと」


「泣くののなにがおかしいだよ!」


 背筋がすぐに真っ直ぐになって、両手も腰骨よりちょっと先の辺りで両方の腿にそろえるように置くと、喉が詰まったような気がして、咳が出そうになるけど、それと一緒に目から強い力が籠って、首で頭を下げるのと同じように何度も瞬きを繰り返しながら顎を強く上に押し付ける。


 その一方で、こっちに近づいてくる足音はだんだん大きくなってて、その度に縮こまるみたいに背中が丸くなっていく。さらに、それが止まると、私の視界の先端に向こうのサンダルに覆われた裸足と割れた爪が見えた瞬間、自分の体が影に覆われたの気づくと、骨同士がぶつかってるかと思うくらいに体が腰こまれた。呼吸の一個一個が永遠に感じてだんだん吸うのと吐くののスパンが短くなっている様にすらも感じた。


「あっ、あの、それは、あっ、えっと……」


「何が面白いんだよ!」


 私が頭を下げているのに合わせて髪の毛とフードがよりもっと深く自分の顔の近くにまで入り込んできて、その度に掴んだ服を間に挟んだ状態で爪をそれぞれの手の平に押しこむようなポーズをとる。でも、それでも目頭はどんどん熱くなっていくのを感じて。それから顎をもっと自分の方に近づけようとした瞬間、私の口元が手で押さえられて、それと一緒に唇が盾に広がったと思ったら、歯までも掴まれたかと思うほどの力でそうされてしまい、相手の背の高さに顔を持ってこられると、足が地面につかないせいで空中につま先立ちするような姿勢になった。


 姉御の人と私の視線がぶつかった瞬間、気づけばこっちのが横にずれそうになったけど、そうした瞬間開いてるほうの手で頬を叩かれた。ひびが入るかと思ったほどの痛み。口を横に広げた状態で何度も音を鳴らしながら息が行ったり来たりしているのを強く感じ取った。


 ただ、私がそれを数回繰り返した時、視線の端にいた目が動いてるのと、横で服が擦れあうような音がしてそっちに嫌でも振り向かなきゃいけなくなる。


「姉御! すみませんでした!」


 そっちでは、一緒に出てきた女子がぼさぼさの髪の毛を動かしながら頭を下げていて、その顔が見えないようになってた。その様子を見ているだけで口がちょっとだけ開くようになってる気がするし、おでこににじみ出る汗が少しづつよりその面積を広げてくみたいな感覚がある。それから、私が声をだそうとしたけど、それは言葉にならなくて、意味のない声が何度も繰り返し出てしまった。


「あたしのせいです! 許してください!」


 姉御の人の方へと向けて頭を下げたまま一切動こうとしないその姿は、髪の毛の一本一本すらもそう。そんな様子を見ているだけで私は両手の爪が下を向くようにしながら胸よりも少し下の辺りに手を持ってきた。でも、それもだんだん下がってきて、私が進んできた道の入り口の方も、その突き当りもずっとはるか遠くの方にあるようにすら感じた。そのせいか、姉御の人から離された手のせいで、ほんの数秒の間でも床につくまでずっと冷たい感覚を味わい続ける破目になった。


 そして、ちょっとだけ曲がった足は地面に付く時、うまくバランスを取ることが出来ず、膝を内側に合わせるような姿勢で落っこちると、フードを被ったままなのに顎が前を向くようになって、そっちでは姉御の人が髪の毛の隙間から私の方を見下してた。


「……次はねぇからな」


 その言葉は、振り返りながら発せられて、言い終わるころにはもう歩いて私と女子の人とは全然違う所を進んでいた。そうすると周囲にはそのサンダルが床を擦る音以外はなくなって、それがコンクリを反響させて奥の方にまで響いていくようで、私の心臓の音がそれに合わさる気すらもした。


 そして、その背中が影に消えた瞬間、大きな音が聞こえたと思ったら、女子の大きなため息で、それと一緒に一気に床に座り込む。頭を掻きながら重力に従うように背中側の床へと手を突いているその姿を見てたら、線を描くような息を吐き出しながら肩を両腕の上に乗っけるような姿勢をした。


「終わったな。かえっぞ」


「あの、ありがとうございます……」


「おう、マジで姉御はこえぇから、マジ気を付けろよ」


 少し肩を上下させるように動かしながら手を自分の太ももの下に滑り込ませるようにしながらさらにその上に手を置こうとしたら、もうその時には女子が片膝立ちになりながら立ち上がってて大きく両手を天井に向けて伸ばしてた。




 その日の時計が22時を指したころ、大きな広場についていた物はもちろん、私が使ってるベッドがある部屋も含めて、周囲からすべての灯りが消えてなくなった。そのせいで、辺りは完全に真っ暗となり、それ以外の物は見えなくなる。壁の方へと自分の顔を向けるようにしながら自分の手をその前へと置くようにするが、それでもその様子は見えなくて、ちょっとづつ近づけてたら、それよりも早く自分の鼻へと当たってしまった。


 当たった個所でもある爪は、つるつるしてて他の部分と比べたら全然硬いけど、周囲の空気の冷たさに比べたら全然体温を感じ取れて、そのままにしておく。それを押したり戻したりしてる間、周囲からはたまに外から何かが落っこちたりするもの音が聞こえてくるくらいで、部屋からは何も聞こえてこないと思ったら私の背中側にいる女子の人が寝返りをしたせいかブランケットが擦れる音がした。


 鼻を僅かに動かすと、その音が私の耳にも入ってきて。まるで部屋全体を反響している様にすらも感じ取って、ベッドの端の方へと投げておいた自分のブランケットをこっちの胸の方に持ってく。それと私の顔が近づくと、首を曲げて頭も壁の方を向けるようにしたまま、そこから臭いを感じ取るけど、そのまま自分の体と触れ合うような形にしておいた。


「あの……」


 喉から押し出されるようにした声は、それが出終えたと思ったらすぐに口を閉じて喉の動きを数秒間止めてたら、息が苦しくなって、少しづつ鼻から出そうとする。すると、またそこから音がして、唇に当たらないように顎とおでこに指と手のひらの付け根を当てながらベッド側の目を隠すようにした。


 でも、背中から聞こえてくるマットレスのバネが動く音はしてきて、その度に腕から鳥肌が立つようになると、その細かな肌が服と擦れてくすぐったくなる。そして、それは背中を丸めるようにしても止まることはなかった。


「なんだよ、もう寝ろ。明日もトイレ掃除はするんだぞ」


 息を吐きながら、一文字一文字の間を大きく広げるように話す女子の人。頭を掻く音も聞こえて来るのと一緒に、向こうが一度だけ立ち上がったせいか、その重さでマットレスがきしむのとブランケットが擦れるのを耳にする。その瞬間、体が呼吸で上下していた感覚が止まって、目尻が少しづつ下がっていくのを感じた。でも、そこから先は周囲からまた音が止まって、また外から聞こえてくる何かの機械が動く音や小さな足音だけに包まれた。


「なんで、謝ったんですか……?」


 言葉をだそうとした瞬間、私ののどが絞まったせいで軽く咳き込んだけど、でもそのあと2秒くらい沈黙が続いて、何度かその続きを言おうとして失敗しながら一文字目だけ言い続けるようなことを繰り返して、首を前に出すように動かしつつ続く言葉を言い放った。と思ったけど、それはすごく早口になって、いい終わると一緒に口の中身を吸い込むようにして動かす。でも、その勢いで閉じた口はそのままにしておいた。


「は?」


「ごっ、ごめんなさ……!」


 目を閉じ目その力を限界まで強めようとしたけど、それよりも早く口が動いて、それが言い終わりそうになったタイミングで、また勝手に口を閉じて周囲から音を無くす。それに気づいてから、顎に膝をくっつけるような姿勢をすると、ブランケットを挟んで自分の足を抱えるような姿勢になる。でも、そうしている間にも、向こうの女子の人は口を開いてて、それを途中から聞くことになった。


「いや、仲間のこと、困ってたら助けるのが当たり前だろ?」


 語尾を上げるようにしながらも、抑揚をけっこう強めにしながら同じペースで話す女子の人。それと一緒に、向こうのマットレスの上で体を動かした擦れる音がした。それを聞いた瞬間髪の毛の生え際にまた汗がにじんだ気がしたけど、それを一回拭うと、そのまま続く物はなくて、目を少し開けながら何度かぱちぱちと動かしてもそれは変わらなかった。


「お前は違うんか」


 周囲の真っ黒な闇。それを眺めているだけでは、何も起きない。でも、少し手を伸ばしてみると、数秒後にはまた冷たいコンクリートの上にぶつかって。そっちに中指の曲がった第一関節がぶつかると、眉毛が下がるのを感じてからそっと離していく。それから視線をそらそうとするけど、そっちには何も見えなくて。でもさっきの指にはまだ冷たい感覚が残ったままになってて。それから逃れるかのように指を強く握りしめながら目をそらすと、向こう側ではろうそくに光を灯して、ベッドの上で胡坐をかいてる女子の人の姿があった。


 それ以外の場所がただただ夜の闇に覆われている目線とじっと合わせてると、両方の膝に二の腕を軽く添えるようにしているポーズのまま、向こうは若干顎を引いて髪の毛を前に足てるような気がしたけど、それは背中がちょっとだけ猫背になってるだけだった。


「……したいけど」


 体を起こしながら、ベットの方を見てそう言ってみると、すぐに返事は帰ってこなくて、そのまま足をベッドの縁に起きながらお尻を滑らせてそっちに近づくと、私の体も炎の色に染まった。そして、それは下に向けてた視界いっぱいに広がってて。それを眺めたら、目の前から鼻から吐くため息の音を聞いて、そっちの方を向くと、図ッと話してた女子が歯を見せながら口を横に広げてて、ちょっとだけ背中を後ろに傾けると天井を見るようなポーズをする。


 でも、天井の方にはろうそくの光は届いてなくて。でも、その一方で女子の人の顎だったり肩を覆ってる無造作に伸びた茶髪や白いタンクトップ着た体だったりを赤い色と黒い色が交互に映るように映していた。


「何言ってんだよ。あたしだって姉御にすんのめっちゃ怖かったんだぞ」


 今度はゆっくりと、単語の一個一個を強調するような話し方をしながらベッドの上に体を放り投げながら、両手を頭の後ろに置きながら何度かマットレスの動きに合わせて体を跳ねさせてた。それを見てから私も、足を曲げながら床から離すと、女子の人がいる方に向けてもう一回曲げる。それから両手を重ねるようにして、ベッドの上に置くと、それと平行になるように顔を調整しながらゆっくりと目をつぶろうとしたら、こっちが終わったのを向こうが見てから、ろうそくの明かりが消えた。

読了ありがとうございます

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