第108話
昨日の更新分を予約じゃなくてその場で更新してしまったみたいです。
すみません。
「もしもし」
車が通り過ぎた瞬間であったがために消えかけていたハリーの声を聞いた途端、志太は口を大きく開けながら体を前のめりにして、開いている方の手で体を支えながらわずかに前のめりになる。それからわずかに肌がこすれ合う音が聞こえて来るような感覚と一緒に何度もその名前を本名の方で読んでいた。それと共に幾度も呼びかけている間、体が何度も前に出ては元に戻ってを繰り返していて、その声は工場の方も反響してまた聞こえて来るほどであった。
その顔には上着を着たままであったせいか、わずかに汗がにじみだしていて顔の角度を変えるたびにそこに映っている街灯の光が反射している様子も変わっていくようで。その一方で口を何度も動かしているのに対して目の大きさはずっとそのままである。
「うるせぇ」
明らかにヒートアップしていた志太に対してまっすぐにただ吐き捨てるみたいにしながらも、普段彼に話しかける時と同じような喉に力を籠めるような形で出てきたそれを聞いた側は、一度だけ息を吸い込むみたいにしている。そのままに、もう一度おでこに手をついて、そこについていた汗を軽くぬぐう。
さらに手の平の中でも手首に近い当たりにそこを乗っけて、それだけで終わらずに深呼吸を数回するとともにおでこの少し上の辺りに生えている髪の毛を弄りながら目線をスマホとは反対側の横へと動かす。
「……ごめん」
小さくその声を出す志太の言葉がなくなると、辺りからはまた音がなくなってしまう。その間も、口を開けてはそこからしゃべろうとするも、言葉が少しだけ出た途端にそれがなくなるような口の閉じ方をしてしまう。
さらにその後、髪の毛を強くつかみながら声を出し続けている後に、そこを軽く掻く。でも、それの音が聞こえるのと髪がわずかに動いているだけで志太の周りに変化は他に何もない。一方ハリーの方からも言葉は何も聞こえることはなくて。それどころか近くからしている人の声や喧騒の様子の音が邪魔をしていてその息遣いすらも何もしない。
「あの……」
そのわずかな声は周囲から何も音がなかったからようやく聞こえたくらいになっていて、それと共に志田本人も顔を少しだけ下に向けたままに瞼を落っことすそれから、自転車の持ち手に着いた肘から伸びた手に乗っけた頭に込める体重もより重くするみたいにしていて。それのせいで髪の毛が掻き分けられてそのわずかな隙間から皮膚が見えそうになっていた。
一方でもう片方の手は腕も含めていまだずっと同じ位置で脇を締めてから伸びた先の肘までも体にくっつけている。その体勢のまま、自転車のペダルに乗っけていた足を一度強く押し込むことで、そこがわずかに前へと回転していた。
「用がねぇのにかけてくんな」
「待って!」
その声は先ほど慌てていた時と同じくらいの勢いで、でも、言うと共にすぐに消えていきそうなほどに早いものであった。
一方で、それを聞いたハリーもだんだんと小さくなっていたものの少しだけ早口めだったそれを聞いた途端、わずかな息をスマホに聞かせるみたいにしている。それも聞こえなくなった後、数秒間志太の方が一度口を締めなおすのと同じタイミングで静寂がやってくるけど、その直後にまたそっちから語り始めた。
「木月さんが、危ない。それだけは伝えさせて」
単語ごとに言葉を切って、そのタイミングで口を開けたまま同じ形で呼吸もそこへと通さないままにただただいるようにしていて。それのおかげで今までで一番言葉を発し始めてから終わるまでに時間が一番かかっているようだった。
一方で、電話の向こうからは鋭く息を吸い込む音が一度だけするもそれ以外には何も聞こえてこない。そして、それから少しの間だけじっとした後に視線を横へと逸らすも、そっちには工場の門が閉められたままになっているだけで、そこは周囲の闇に溶けたままになってしまっている。
しかし、志太は自身の目の焦点をそこにはもちろんのこと、それ以外の場所にも合わせることもなくただただ下の唇をわずかに上へと押し込むみたいにしていて、瞼を少しだけ下ろしながらもそこを小刻みに動かす。
「それと……」
口からこぼれるように出た声は、周囲が静かであったがためにようやく聞こえて来るくらいで、それに対して電話からも何も聞こえてこないままで。横に向けたままにしていた視線を左右へと泳がす。でも、その間も全く息もできないほどに静止していた志太は上側になっていた4つの指からだんだんと力が抜けていく。
それのせいでそこの関節がだんだんとそこから滑っていくのをそのままにしていて、わずかな音が立つのも同じにしているが、それも数秒間の間だけで、数秒間そのままずっといようとしたけれど、それに対して彼は首を強く締め付けるみたいにして目を閉じる。
「僕に、手を貸してほしい、一応、木月さんは知り合った仲だから、だから……」
さっきと同じ言葉の話し方をしながらも息を吐くような音を一切隠さずに出していた上に、文字の1つ1つも開けるみたいにしているせいか、音も普段よりもわずかにゆっくり聞こえていた。それを出している間、口からも力を抜いているせいか、志太の顔も同じようになる。
言葉を言い終えた後も、わずかに何かを言おうと言葉を紡ぎ続けようとはしている一方で、それは全く形にならず、ただただ無意味に口から洩れるみたいになっている。しかし、それが終わったら開いている方の手で自分の目を覆いながら小さく笑うみたいにして。それに対して電話からはわずかに「なんなんだよ」とため息をつきながらの声がしていた。
「僕の作戦は、1人でやるには、少し怖くて」
その言葉を発するときには志太は今までよりは少しだけ声が高くなっているようで。1つ1つを言い終えるたびに息を吐くように。だんだん話していくうちに視線が横へと逸れていくみたいだったけど、今度はさっきよりもその焦点ははっきりしているのか道の向こうをただただ見つめる。
それが言い終わった後、しばらく間志太自身も電話の向こうにいるハリーも何も言葉を発することもなければ、周囲からも風の1つも立とうとしない。そう彼も思った矢先、電話が切られたのに音で気づいた途端に、目を大きくしたと思ったら、わずかな声を何度も出しながら顔をスマホへともう一度近づけるみたいにしたが、もうそこからは何も聞こえてこない。
数回同じことを繰り返した後、スマホを顔の正面へと持ってくると共に指を画面へと何度もたたくみたいに繰り返していたものの、それに対して目と口を大きく開けていた。しかし、そこに色が現れたのは結局スリープを解除するボタンを押したときで、また通話履歴がそこに現れただけ。両方の手を自転車の持ち手の上に置いた上にさらに自身のおでこを乗っけた。
さらに、ため息をもう一度吐いたものの、その途端にスマホが通知を知らせる軽快な音を鳴らしたのに彼も気づいて、目だけを起こしながらそっちを見るように。片目だけを向けるみたいにしているのを続けていたが、それもほんの数秒で終わり、すぐに顔を口も含めて高さを腕よりも上に。
それから、親指だけを使って通知を押すと、彼も学校へと通う途中に使っている陸橋とそのすぐ近くにあるコンビニの様子が撮影されている写真がチャットに貼られていた。それを目を動かさずに見つめていた彼は、籠へとスマホを放り込んだ後、小さく「よし」と言った後に体を起こし、ペダルに力を籠めるためにもう一度体を前のめりにさせるままにこぎ始めていた。
読了ありがとうございます。




