37話 〜つかの間の休息〜
お久しぶりです!
これからもマイペースに投稿しようと思っていますのでよろしくお願いします!
さてこれはどこかで見た風景に近いな。
遠くに入道雲が見えるあおあおとした空、太陽の光を反射して光り輝く海。
本は持っていないが夢で見た光景に近いな。
あとであいつに相談しておくか。
「バロン様、お話があるのですがいいですか?」
「ああ、話ってなんだ?」
「実は以前からバロン様のことを……」
「やっぱりダメー‼︎」
言葉を遮って赤面しているセアの口を塞いだ。
「アモネ様が言い出したことではないですか」
「やっぱりダメなの!」
「何がダメなんだ?」
「お兄ちゃんは知らなくていいの!」
アモネの顔は何故か赤い。そう言われると余計気になるんだが……。
「ジャンケンに勝てたら言っていいと」
「気が変わったの!」
そう言ってセアの背中を無理やり押して元の場所に戻っていった。
本当になんだったんだ?
「……まあいいか」
目を閉じてリラックスする。時より吹く風が気持ちいい。しばらくこのままで……。
と思ったが昼食だな。ちょうど準備も終わったみたいだし。
俺とスズは来る時に役割を果たしたからこうしてゆっくりとしている。
ティクと契約をしてからは魔力の上限と回復速度が上がっている。
俺が知らないうちに契約を交わしていたんだけどな。
「さてとそろそろ行くか」
近づくと肉が焼ける香ばしい匂いがする。
やべ、食力が抑えられねえ。
「バロン! 早くするのだ! 早くしないと私が全て食べてしまうぞ!」
「全部食べたらここら一帯吹っ飛ばすからな?」
お腹が空きすぎてやばいこと言った気がするがまあいい。
「「いただきます!」」
全員一斉に言い食べ始める。
そのBBQは程よく焼けており、肉は噛むたびに肉汁が出てくる。
一言で言えばかなりうまい。まじで来てよかったわ。
食べあったあとは少し休んでみんなで遊んだ。
ビーチーバレーやスイカ割りをした。
笑顔が飛び交い、笑い声が辺りに響く。
気になったことは3人の水着が変わっていたことぐらいだ。あの時に買った水着って1回しか使ったことなくない?
とまあ楽しい時間ほど速いわけで気付けば日が傾いていた。
そのあとは個人的な用事を済ませてみんなでカレーを食べて各自部屋へと戻った。
◆◇◇◆
2日目は昨日と同じように遊んだり疲れたら砂浜に椅子を並べて休んだ。
「これも明日で終わりかぁ」
「そのうちまた来る機会があるさ。今度はうちの両親と一緒だと思うがな」
最終日は明日と言ってもビーチではなくここから少し北に向かった方にある繁華街に行く予定だ。
てか本当に時間って速いな。
そんなことを考えていると隣の部屋からはガラスが割れる音とアモネたちの悲鳴、爆発音が聞こえた。
急いで立ち上がり、無理やり壁を2枚粉々に壊す。
目の前には呆気にとられたメイラたちと膝を床に付け肩を落とすセアの姿があった。
その部屋にはアモネがいない。足元には粉々なったガラスが散らばっていて窓がある壁は吹き飛び外の景色が見える。
「バロン様、すいません。私が……私がもっと速く動ければ……」
その声は震えている。
「セアのせいじゃない。アモネを連れ去ったのはどこのどいつだ」
「黒フードで顔が見えません……でした……」
「そうか……」
今まで無言だったメイラがこっちへ近づき布切れを差し出してきた。
「これはなんなのだ……?」
差し出してきたものは円の中に右向きの龍の刺繍されている黒い布だ。
ヘルが俺の手からその布を取り上げる。
「これは……」
「それが何かわかるのか?」
「これは水の神竜を崇める海人が身につけている紋章よ」
「海人か……早くしないと厄介なことになるな」
攫われた理由はわからないがそんなことより早くアモネを助けに行かなければならない。
ここでは転移が使えない。ビーチの反対側はほぼ森で転移を使えば森のどこに転移するかはわからないからだ。
森の中のどこにいるかはなんとなくだがわかる。追跡魔法に似たような魔法を使っているからだが。
「おっとここは行かせられないな」
部屋から飛び降りて走り出した瞬間にフードの2人組が目の前に現れた。
片方は声からして男だろう。
「邪魔だ!」
剣を取り出し振るが軽々と避けられる。
「怖い怖い。これは報告通りだ」
そう言って紫色に光る石を手に持った。
こいつらは無視してアモネを助けるべきだ。
「だから行かせないって」
一歩前に進むと見えない壁にぶつかった。
このくらい強い結界魔法は何人もの魔力を集めなければ発動できない。
つまりは海人が全体が“敵”だと思った方が良さそうだ。
「くっ」
どんな魔法を放とうがびくともしない。
「バロン、どいて」
リアの声で横に体を逸らすと液体の入った瓶が飛んできた。
その瓶は見えない壁に当たるとそこ以外の壁があらわになる。どうやら通れるようだ。
「バロン様、私たちも行きます!」
「バロン、私たちも行くのだ!」
全員がやる気満々のようだ。はぁ……。
ってこれが悪い癖だな。
「ああ、頼む」
「行かせるわけないだろっておっと」
フードの男の目の前を氷が掠る。
「バロン様、ここは私たちがどうにかします!」
「だから早く行け!」
「わかった。クアーラ、カーシュ、リン頼んだぞ」
そうして森へと走り出した。
◆◇◇◆
夜の森は視界が悪くいろんな魔物が襲いかかってくる。
視界を確保しようとメイラに光魔法を使ってもらうこともできるがそんなことをすれば余計に魔物が襲いかかってくるだろう。
木を切って進めば木に擬態している魔物と戦うことになる。
空を飛べば鳥の魔物に襲われるってこの森ってかなり危ないな。
「まさか本当にあの2人を超えてくるなんて」
「それに想定より5分以上速いよ」
さっきと同じようにフードを被った2人の少女が木から降りてくる。
「お姉ちゃんどうするどうする?」
「作戦通り足止めするよ」
そう言ってそれぞれ両手に短剣を持った。
「バロン、ここは任せろ!」
「ハルの言う通り任せてくれ」
「シーくんたちが残るなら私もここで戦うわぁ」
少女だが強い感じがする。妥当な戦力だろう。
「だ〜か〜ら〜足止めするって言ったじゃん」
「させないわよぉ」
スズはこちらにきた少女の腕を鞭で絡めとり引き寄せた。
「お姉さんと遊びましょうか」
「おばさん離してよ」
「おばさん?」
……地雷踏んだな。そのおかげで前に進めるんだが。
振り返らずに先に進もう。
しばらく走ると浜辺に出た。そこには何十人ものフードを被った人が待ち構えていた。
目の前の道を塞がれ止まると囲うように周りに集まった。
「今更なんだけどさ」
「何が今更なんだ?」
「僕って実は君がピンチにならないと力を貸せないんだよね」
「はあ⁈」
「まあ、命の危機だったりだとか君がどうにかして勝たないといけない時だったりとか」
まじで今更すぎるってかなんでついてきたんだよ。
「まあうっかり魔法を放っちゃっただけなら許されるんだけどね」
ティクはそう言って光属性の魔法を進行方向の敵に放つ。
「僕は最近考えた魔法を試してるだけなんだけど君は先を急いだ方がいいんじゃない?」
「ああ、助かる」
「別に君を助けるつもりなんてないよ」
「ああ、そうだな。あくまで魔法の試し打ちか」
「そうだよ。それにこの後僕にも仕事があるんだから」
ここはティクに任せ、再び走り出す。
後ろからは大きな爆発音が聞こえたが悲鳴は聞こえなかった。
「バロン様! お先に言ってきてください!」
「どういうこ……」
「そりゃあ! なのだ!」
俺は空高く飛ばされる。すぐに戦闘音が聞こえたどうやら敵のお出ましのようだ。
そのまま地面に垂直に壁を作り出しそれを全力で蹴る。
地面に当たる前に体制を戻しまた地面を走る。
「マスター! 今すぐに障壁を張りなさい!」
「ッ‼︎」
障壁を張った瞬間、とんでもない魔力の塊が障壁に当たる。
その障壁は粉々に砕け散った。
「これで倒せると思ったのにまだ立っているんですか?」
「誰だッ‼︎」
木の影から出てきたのは冷たい目をした白い鎧を身につけた自分と同じくらいの少女だった。
髪も白く、片手には少女の身長ほどある杖を持っていた。
「私はカイラと申します。以後お見知りおきを、そして……」
カイラと名乗る少女は杖を掲げてこう告げた。
「さようなら」
足元に膨大な魔力が集まり破裂する。
瞬間移動で避けたが少女は杖を横に振り、魔法を唱える。
「あなたに慈悲を」
その時、身体中に穴が空いたような痛みを感じる。
しかし、特に体に傷はない。
「普通の人ならばここで気絶しているはずですが……?」
膝を地面につき、少女を睨む。
頭を回転させ、どのようにこの少女を突破するかを考える。
ここでこの少女に時間を使っていてはアモネを助けられなくなる。
ふと、その時、自分の中から声が聞こえた。
「俺に手伝いをさせろ」
と。




