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魔王さま、働いてください!!  作者: 沢山 綱政
第3章 魔王はつらい

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29.5話 〜4つの鍵〜

「死になさい」


 女性が手を振り下ろすと紫色の刃が飛んでくる。その刃を避けるとさっきまで立っていた場所に当たった。てか、穴空いてるんですけど?


「アキア‼︎」

「大丈夫!」


 もしかしてあれじゃない? 四天王の中で最強みたいな人なのかな?


「ふーん、今のを避けるんだ」

「……⁉︎」


 目の前に女性の顔が現れる。まさか脚力だけで近づいた⁉︎


「ッ……‼︎」


 ドレスを着ているのに動きがかなり速い。避けるので精一杯だ。


漆黒の槍(ダークランス)!」


 ユーが攻撃をしてくれたおかげで攻撃から逃げることができた。


「ユー!」


 そう叫ぶと何を伝えたいのかわかったのか私の後ろに転移してきた。


「ユー、攻略方法がわかった」

「どうやってあれを倒すの?」

「交互に攻撃する。相手に攻撃させる暇を与えないようにすればおそらく倒せる」


 3……2……1、今!

 口を動かしタイミングを教える。剣を取り出して相手に斬りかかる。


「そんな攻撃当たらないわよ?」

破裂(バースト)!」


 この魔法は攻撃のために使ったんじゃない。


「はああぁぁ‼︎」


 ユーの攻撃は当たった。しかし軽い。

 女性は標的を変えユーを攻撃しようとする。


「怒りの攻撃!」


 装備していたのはだけじゃない、憤怒の手袋(グローブ)も装備してる。


「……ッ‼︎」


 女性は顔を歪めると私を睨んだ。その目は赤みがかった紫色に光っている。ちょっと嫌な予感がするのは気のせいだよね?


「爆殺」


 瞬時に体を反ると後ろから何かが後ろで破裂するような音がした。

 危なかった〜。少しでも遅かったら死んでた。


「暗黒斬!」


 ユーは作戦通り攻撃をする。だけどその表情は私を心配しているようだった。


「はあぁぁ‼︎」


 その後は一心不乱に攻撃をした。女性の攻撃を避け、攻撃、避けて攻撃を何回、何十回、何百回、攻撃しかもわからない。え? 17回? 結構少なかった。


「「白と黒の剣舞‼︎」」


 その攻撃が女性に当たると女性は膝を地面に付け、苦しそうな顔をする。


「はぁ、はぁ」


 正直に言うと私の体力はもう限界が近い、それはユーも同じそうだ。


「それぞれ次の一撃で終わりそうね。じゃあそれぞれ必殺技を同時に使って決着ってどうかしら?」


 私とユーはそれに無言で頷く。


「ユー、耳かして」


 小さい声でユーに作戦を言う。


「……!」


 ユーはコクリと小さく頷き、剣を構えた。


「準備はできた? それじゃ、行くわよ」


 女性の頭上には大きな漆黒の太陽のようなものが浮かんでいた。

 掲げた手をしたり振り下ろす。


「終焉の光」


 その太陽はこっちに落ちてくる。


「ユー。チャンスは1回だからね」

「わかってる」


 2人で息を合わせて同時に剣を振る。


「「破壊術、撃」」


 その技は漆黒の太陽を真っ二つに切り裂き、女性の方へと飛んでいく。

 その時、その女性は微笑んでいた。


「ッ……‼︎  破裂(バースト)!」


 女性の足元を爆発させて後ろへ飛ばした。この攻撃で死ぬことは……ないはず。

 全身の力が抜けて地面へと倒れ込みそうになる。


「ユー?」


 倒れ込む寸前、ユーが受け止めてくれた。


「ありがと……」


 それを最後に魔力が枯渇で気を失ってしまった。


        ◆◇◇◆


「……あれ?」


 目覚めた場所はさっき戦っていた場所。でもさっきと違うことがあった。


「天井とベッドがある」


 起き上がって周りを見渡す。横には女性が眠っていた。

 何回見てもやっぱり吸血鬼に似ている。

 コウモリの羽、鋭く尖った2本の牙。髪は銀色。戦っていた時とは違っていて可愛らしい顔で寝ている。


「少しくらいなら……」


 顔を人差し指で突いてみる。やっぱり柔らかい。

 ツンツン、ツンツン、ツンツン。


「何してるの?」

「ひゃん!」


 ユーが後ろに立っていた。驚いて変な声出しちゃったじゃん!


「いつからそこにいたの?」

「えっとアキアが彼女のほっぺを突き始めたところから……」

「もっと早く話しかけてよ!」

「あなたは早くその指を頬から離してくれるかしら?」


 起きてたの? 反射的にビクって動いちゃったじゃん!

 ユーはユーで恥ずかしいところ見られちゃうしさ……。


「あなたたち私のこと拘束しなくていいの?」

「なんで拘束する必要があるの?」

「なんでって……」

「僕たちを倒す気ならあの攻撃に抵抗するはずでしょ?」

「……ッ」


 女性は俯き、言葉を詰まらせた。


「私は生きることを望んでなんかいないわ。それにすぐに鍵を盗られたことに気付かれてあの人に消されるに決まってるわ」


 女性はこちらを睨んで話を続ける。


「あなたたちが私を助けた意味はないの。あくまであなたたちの自己満足に終わるわ」

「ねえ、生きることを望んでないって言った?」

「ええ、言ったわ」

「じゃあなんでそんなに寂しそうな顔をしてるの?」

「……ッ」

「それに途中から話し方がバラバラって言うのかな? 今までと話し方が違かったし」


 「うっ」と図星を突かれたような声を出した。

 そうだ。いい事思いついた。


「ねえ、私たちの仲間にならない?」

「何を言って……」

「いや、私たちの方に寝返らない?」

「そんなの……」

「ユーは反対じゃないよね?」

「うん、僕は賛成だよ」

「ちょっと……」

「満場一致だね!」


 あえて彼女の意見を聞かない。どうせ私といたらあの人に消されるとか、もし私が裏切ったらどうするのとか言うやつでしょ?

 なら、聞く必要なんてないよね。


「私の話も聞きなさいよ!」

「はいはい、私といたらなんとかなんとかってやつでしょ?」

「うっ」

「そんな建前みたいなのはいらない。本心を聞かせて」

「……」


 数秒間沈黙が続いた。彼女は俯いていた顔を勢いよく上げてこっちを真っ直ぐに見つめて言葉を放った。


「よ、よろしく」


 そう言うとすぐにそっぽを向いた。耳まで真っ赤だ。

 だけど彼女の顔はにやけていた。

 嬉しいからかそれともうまく騙せたという顔なのかは私にはわからないけど。


「そういえば名前は?」

「私の名前はヘルビアよ」


 そのあとは数時間3人で話をした。彼女は見た目通り吸血鬼ということ、羽は隠せることとか色々話した。あとは私とヘルビアが半日眠ってた事とか。

 話を一通りしたあと残りの2つの鍵を取りに行った。ヘルビアが仲間になった今、簡単に倒すことができた。

 まあ、ハイゴーレムとスーパゴーレムっていうゴーレムだったんだけどね。


「疲れた〜」

「お疲れ様」

「明日が本番よ。今のうちに寝てなさい。私が見張っててあげるから」

「いや、僕が……」

「あなたも寝た方がいいわ。相当疲れてるはずだから。それに私は吸血鬼、夜の方が強いわ」


 それじゃあ、ヘルビアに任せて寝るか。明日は魔神を倒すんだからしっかり寝ないと……ね。


        ◆◇◇◆


「ユー、ヘル、準備はできた?」


 2人は頷いた。ヘルには「それって私のあだ名?」って顔を(しか)められちゃった。

 まあ、この呼び方は続けるんだけどね。


「それじゃ、行ってみよー」

「「おー」」


 とまあ、こんなゆるい感じで魔神が潜んでいる場所へ向かったのでした。

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