29.5話 〜協力技〜
「はぁ、全くユーのせいで酷い目にあったよ」
「それはアキアのせいでもあるでしょ?」
ユーとの戦いの後、先生たちにこっぴどく怒られた。
その際にユーにタメ口、呼び捨てで話してと頼んだ。
いやー、校舎直すのにかなり魔力ちゃったな。
「そうそう、ユー」
「ん?」
「責任、取ってもらうからね」
おお、吹き出した。飲み物飲んでたら全部出す勢いで。
「責任って……」
「私の噂、知らないの?」
「噂?」
知らなかったの? ちょっと待って、凄い恥ずかしいんだけど。
「あいつがアキアさんに勝ったのか……」
「いいなぁ、アキアさんと付き合えるなんて」
あっ、ユーの顔が赤くなった。本当に世界を救うためだけに私と戦ったのか〜。
「えっと、これはその、なんかごめん」
「いいのいいの、知らなかったんだし。しょうがない」
ユーはバツが悪そうにしている。冗談でも言うんじゃなかったかな。
「そういえば聞き忘れてたけど世界を救うってどういうこと?」
ほんとにすっかり忘れてた。勝ったら世界を救う手伝いをする約束たったよね。
「このまま敵の本拠地に攻め込む」
ん? 説明になってなくない?
「魔王を名乗る悪魔。いや、魔神だったっけ?」
わー。人外と戦うのかー。
「その魔神はどこにいるの?」
「そこ」
ユーが指を指したのは天空に浮かぶ城。確かあそこって秋にならないと行けないんじゃなかったっけ?
「その前にあそこに行くための準備みたいのをしないといけないけど」
そう言うとユーは天空に浮かぶ城よりも北の方へ走り出した。私はそれに仕方なくついて行った。
「ここは?」
ユーが立ち止まったのは禍々しい城の前、いかにも世界を危機に陥れるような人が住んでいそうなところだ。
「ここにあそこに行くための鍵を持ってる魔神の手下がいるんだ」
「へぇー、じゃあ遠慮なく倒しちゃっていいよね」
「そうだけど……」
いいってことだよね。なら手っ取り早く終わらせちゃおう。
「虚無の剣」
今回はユーに使ったように技を剣に纏わせるんじゃなく宙に白い剣を作り出す。
その剣を城に突き刺すように振り落とす。
「大爆発☆」
大きな爆炎が吹き出し、城は木っ端微塵になる。ちなみに私とユーは魔法障壁のおかげで無傷だ。
「……」
ユーは大きく口を開けて城があった場所を見ている。
沈黙が数十秒間続いた後、ユーはようやく言葉を発した。
「えっと、あれ?」
まだ状況を把握しきれていないようだ。
「何してるの?」
「何って敵を城ごと爆破しただけだよ?」
この顔は城の中に人がいないか心配してる顔だね。
「城の中には生命体はいなかったよ」
「え? じゃあ……」
「いたのはゴーレムだけだよ。それもかなり魔力を込めたやつ」
城の瓦礫から何かが動く音がした。まあ、何が動いたのかわかるんだけどね。
「だからそう簡単には壊れてくれない!」
今回、連れてきたのは怠惰ーーアイク、鎌のアイクだ。
「はあぁ‼︎」
右腕を鎌で切り落とすことができた。
「ねえ、ユーも見てるだけじゃなくて少し手伝ってくれない?」
「ああ、ごめん」
ユーは剣を構えて一直線にゴーレムへと飛び込んだ。
「暗黒斬」
ユーの剣はゴーレムの左腕を切り落とした。それでもゴーレムは残った足で暴れ回り、悪あがきをしている。
「ねえ、ユー。さっき言ったやつ覚えてる?」
「覚えてるけど……まさか」
「そ、じゃあいくよー!」
使う魔法は光の魔法、ユーは闇の魔法だ。これはユーと戦った時に思いついた魔法、名付けて希望と絶望の魔法、いやなんか違うな。そうだこの名前でいこう。
「白と黒の剣舞!」
私が技の名前を言うとユーは私を見て少し目を丸くした。しばらくすると微笑み、技に専念し始めた。
「グオオォォ……」
攻撃がゴーレムの核に当たって動かなくなる。
「硬かったぁ〜」
「お疲れ様」
ユーはどこからか出した筆のような道具に魔力を込めて私の肩を掃いた。
「これで砂埃とか落とせたはずだよ」
「本当だ。服が綺麗になった」
その魔道具欲しいな。いつか頼んでみよう。
「それで鍵ってこれ?」
「いつのまに見つけたの⁉︎」
「さっきこっそり取っておいたの」
ふふーん。有能すぎる私に惚れちゃったのかな?
「さて、次に行こー」
「おー! ってえ?」
ん? 今、次に行くとか言わなかった?
「次って?」
「次だけど?」
「でも鍵は手に入ってるよね?」
「ああ〜、鍵は4本あるんだよね」
「聞いてないんだけど!?」
ちょっと待って、3日の物語って言ったけど3日以上かかるんじゃない?
それなら……。
「そんなにいるんだったら……」
「いるんだったら……?」
「一気に爆発させちゃう?」
「いや、ダメだよ⁈」
ちぇー、良い案だと思ったのになー。
「でも、悪くはないかも」
そう独り言を呟くとユーは魔法を構築し始めた。
「遠距離爆破」
その魔法を放つと共に違う魔法を放った。
「逆転移」
ユーが手を向けた先から人影が現れる。
「……」
「……」
出てきたのはコウモリのような羽を持った女性。手にはティーカップを持っている。
目があってから静寂とした空間が数秒間続いた。
「な、なんで……」
その女性はこっちを指を差し、驚いている。動揺からか指先が小刻みに震えていた。
「なんでここに人間がいるのよ!」
大きな声で怒鳴った後、周りを見渡した。
すると見る見る顔が青ざめていった。
「え、なんであたしがこんなところに? ……なるほどあたしをこんなところに呼び出したからにはちゃんと理由があるんでしょうね?」
鋭く細い視線が体に当たる。針で刺されたように痛い。
「呼び出した理由はあそこに行くための鍵が欲しいからだ」
「じゃあ、答えは一つよ」
辺りに黒い霧が立ち込める。その雰囲気は息が詰まってしまいそうなくらい重苦しい。
「死になさい」
女性が手を振り下ろすと紫色の刃が飛んでくる。その刃を避けるとさっきまで立っていた場所に当たった。てか、穴空いてるんですけど?
どうやら戦うしかないみたいね……。
はぁ……。




