03話 〜勇者は決意し、メイドは眠る〜
「ああ、じゃあ、反撃だ」
そう言うと同時にメイラを後ろに吹っ飛ばした。
これだけ聞くと酷いやつだな。
メイラが壁に衝突した衝撃で砂煙が舞う。
左手を空に向かって上げ、虹色の球体を作り出す。
「悪魔の領域」
そう呟き、球体を破裂させる。闘技場一帯が闇に覆われた。
「優しい悪夢」
メイラを吹っ飛ばした方へ打ち込んだ。
しかし、砂煙から金色の光が放たれる。
「危険な悪夢」
今度は無数の黒い球体を作り出し、メイラの方へ飛ばすが金色の光が煌めく。
「真の悪夢」
メイラの周りが闇で満たされる。
今度こそはちゃんと当たったはずだ。
全ての魔法が解除するとメイラは眠っていた。
━━━━━━魔法について━━━━━━━
久しぶり? はじめまして? ティクだよ!
今回は、3つの魔法について説明するよ!
1つ目は優しい悪夢についてだよ!
この魔法は名前の通り、悪夢を見せたり、眠らせたりする魔法だよ。
この魔法は悪夢だけではなく、幸せな夢も見れるんだ!
凄い矛盾してるよね。
2つ目は魔法剣についてだよ!
この魔法は、炎、水、風、地、光、闇、特殊属性のどれかの属性を剣に纏わせる魔法だよ!
今回の魔法破壊は光魔法によるものだね!
最後に悪魔の領域についてだよ!
この魔法は闇魔法を相手に確定で当てる魔法なんだ。
かなり強いけど膨大な魔力使うから魔王くらいしか使わないけどね。
今回の魔法についてはこれまで!
他にはバロンの紫色の目があるけど、いつかバロンが話してくれるよ!
じゃあ、またね〜!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「あれ? 私はいつの間に寝ていたのだ?」
メイラが寝ている部屋に入ると戸惑っている姿が見れた。
「おっ、起きたか、おはよう」
部屋に入り、メイラの横に座る。
「おはようなのだ」
「頭が痛いとか、そういうのないか?」
「大丈夫だ! なんともない!」
本当に大丈夫そうだ。安心した。
「私は決めたぞ、私はバロンと結婚したいのだ!」
……ん?
「な、なんだと!?」
おっと、大きな声を出してしまった。さすがに驚きすぎだ……ふぅ……。
急なプロポーズは驚くわ!
「私は自分より、強い男を探して来たのだ! そして、バロンが初めて負けた男なのだ!」
メイラは興奮気味にそう話している。意味は完全に理解出来ないが……。
「…… とりあえずその話は後日にして、今日のところはこれで終わりにしないか?」
外はもうすぐ夕日が沈むところだった。それと少し考えたかった。
「う、うむ。 そうだな」
「ちょっと、腕を掴んでくれないか?」
メイラは顔を少し赤くして腕を掴んだ。ちょっと恥らわないで欲しい。
「それじゃあ、自分の部屋の前をイメージしてくれ」
「じゃあ、行くぞ。 転移」
どこかの部屋の前に転移していた。どうやら成功のようだ。
「な、なんだ今のは!?」
メイラは目を大きく開け、とても驚いていた。そんな驚くことか?
「何って、転移魔法だけど?」
「なんだ、転移魔法なのか……って、転移魔法は失われた魔法の1つではないか!」
「そんなことはないぞ? 父親だってよく使うし、アモネだって……」
あれ? まさか俺の家族だけか?
「いや、そんなことよりも家族に早くただいまって言った方がいいんじゃないか?」
これ以上話し続けたら変なことまで言ってしまいそうなので無理やりに話を逸らす。
「む、むう。 そうだな」
「じゃ、またな」
メイラに微笑みながら挨拶をする。
「うむ! またなのだ!」
メイラが元気に挨拶を返したあと、転移魔法で魔王城へ帰った。
◆◇◇◆
「た、ただいま……」
静かに父親が使っていた仕事部屋の扉を開けるとセアが綺麗な姿勢に立っていた。
「おかえりなさいませ、バロン様」
セアの笑顔を見た瞬間、その場から一刻も早く逃げ出したい気持ちになった。だって笑顔が怖いんだもん!
「バロン様は今までどこへ言っていたのですか」
セアは表情は笑っているがとても殺気立っている。
「メ、メイラを家まで送ってたんだよ」
「私はメイラ様を送り届ける前の話をしているんですよ?」
メイラが目を覚ますまで4時間ほど時間があったが、その間はセアから逃げ回っていた。
「メイラ様が目を覚ますまで時間があったのにその時間になぜ仕事をしなかったのですか」
ついつい後退ってしまう。
「バロン様、早く質問に答えてくださいませんか?」
セアは笑顔でこっち方へ少しずつ近づいてくる。
「あの、セアさん? なんか怖いですよ?」
セアから目線を逸らし、逃走の準備を始める。
「逃がしませんよ?」
城下町をイメージし、転移魔法を使おうとした。
が、それが出来なかった。
「てん……」
「拘束」
転移より先にセアの魔法が発動した。
魔法で出来た縄に縛られてしまった。
「これで逃げられませんよ、バロン様♡」
なんか怖いよ、セアさん?
と、言いたいが口も塞がっているためセアに向かって言うことができない。
「移動」
セアが移動魔法を使うと椅子の上まで移動して行った。
「解除」
セアがそう呟くと縄は消滅した。
しかし、すぐに違う魔法を唱えた。
「固定」
まって、それは……。
「今の魔法ってまさか」
セアに恐る恐る聞いてみる。まあ、分かるんだが……。
「固定魔法ですよ♡」
予想は見事的中した。椅子と俺を固定したのだ。まさに融合!
それにしても、なんか可愛いな
仕方なく書類の方を見るとチョコレートの箱が書類の上に乗っていた。
「なんだこれ? ウィスキーボンボン?」
箱の中身を見ると箱の中には何も入っていなかった。
「セア、1個だけ聞いていいか?」
「なんですか〜?」
「このチョコ全部食べたか?」
「……」
セアの顔をよく思いしてみると少し赤くなっている。
「食べたんだな……」
しかし、セアからの反応は返って来ない。
「セア、聞い……」
セアの方へ向くとセアはソファーで眠っていた。これは簡単に起きないやつだ。
「あの〜、セアさん? 魔法解いてくれないと動けないんですけど?」
セアから返事は当然返ってこない。
……無理やり解除するか
てか、誰がセアに食べさせたんだよ!
それは、今から約4時間前……。
バロンが逃げ回っていた頃、メイラの執事からアモネへ手土産ということで渡されていた。
□■□■□
「これは?」
チョコを渡された。今日はバレンタインじゃないはずだけど?
「これは、魔王様か秘書様に渡しておいてください。 妹様が食べるならこちらをどうぞ」
そう言って執事はミルクチョコレートを渡した。あ、これ、甘いやつだ!
「うん、分かった」
素っ気のない返事でそう答えた。クールビューティっていいよね。
「あっ、それと勇者は多分お兄ちゃんが家まで送っていくから先に帰ってていいよ」
無感情でそう執事に言う。
執事は何も言わずに一礼し、馬車へと戻っていった。
□■□■□
そんなことはともかく、どうやってこの魔法を解こうか……。光の魔力さえあれば……。
光の魔力を持っている知り合いを1人、頭の中で浮かべた。でもなぁ。
……とりあえず頼んでみるか。
「転移」
メイラと転移した場所をイメージし、転移魔法を使った。もちろん、椅子と一緒に……。




