24話 〜Happybirthday!! アモネ〜
「いつにも増して賑わってますね」
今日は誕生会の買い出しのためセアと共に城下町へと来ていた。
「ああ、毎年あのジジイが城の前で宣言するもんだから祭りみたいになったんだよな」
ため息をつきそうな声でこめかみを抑える。
「確か、今年からはバロン様が宣言することになったんですね」
「あれ、結構恥ずかしいんだぞ」
12本入りのクラッカーの袋を手に取り、会計を済ました。
「とりあえずこんな感じか」
「はい、メモの物は全て買いました」
アイテムボックスを開き、セアに見せる。
「じゃあ、帰るか」
2人は転移魔法で城へ帰った。
◆◇◇◆
「ただいまっと」
「お兄ちゃん、セアさん、おかえりなさい」
転移先にはアモネが笑顔で立っていた。
「メイラ様はどちらに?」
「なんか用事思い出したって言って帰ったよ?」
そういえばアモネの誕生日を教えたのって昨日だったな。
今からプレゼントでも用意するのだろうかと考えながらアイテムボックスを開く。
「アモネ、ちょっと早めに誕生日プレゼントだ」
アイテムボックスから水色の宝石が付いている腕輪を取り出し、アモネに渡した。
「うわ〜綺麗」
アモネは目を輝かせている。
「プレゼントって言っても元々いつか渡す予定だったんだけどな」
「それは……?」
「昔、水龍と戦った時に手に入れたやつだ」
苦笑いに似た微笑みを見せる。
「むう、そのことは言わないで」
どんぐりを口の中に詰めたリスのように頬を膨らませた。
「わかってるよ」
その日はセアと城の従業員に誕生会の装飾を任せ、アモネと一緒に寝た。
★次の日★
「ほら、アモネ。時間だぞ」
「うん、今起きる」
アモネはあくびをしながら起き上がり、鏡の前に出ると髪を整え始めた。
少し経つとアモネのメイドが部屋に入って来た。
「お兄ちゃん」
「アモネ、似合ってるぞ」
呼ばれて振り向くと銀色の髪と瞳に合う白いドレスを纏っていた。
「ありがと、お兄ちゃんこそ似合ってるよ」
俺は黒いスーツを着た。
「俺のは何回も見てるだろ」
「毎回、若干違うんだよ」
「そうなのか!?」
確かに前に着たスーツよりも着心地がいい気がする? スーツは日々進化するのか……。
アモネの頭に手を起き、ポンポンとした。
「誕生日おめでとう。アモネ」
「ありがとうお兄ちゃん」
アモネの手を取り、城のバルコニーへと向かった。
◆◇◇◆
「やっぱり、緊張ってか恥ずかしいな」
「こんなとこで下がってはダメなのだ!」
バルコニーの扉の前、手の平にカンペを魔法で書き込んでいた。
サインペンでやるとたまに残るからなー。
「頑張るのだ!」
メイラが背中を思いっきり叩くと勢い余って扉を開き、飛び出してしまう。
それと同時に歓声が沸きあがる。
「しょうがない、やるか」
アモネの手を取り、高く上げた。
「今日は我の妹、アモネのために朝早くから集まってくれたことに感謝する!」
大声でそう言うとまた歓声が沸き起こる。
この歓声はアモネ教とかあってもおかしくないぞ?
「今日は年に一度の宴だ! 存分に楽しんでくれ!」
人々は歓声を上げたり、拍手をしてアモネを祝った。
【アモネ様、お誕生日おめでとうございます!】などのパネルなども見受けられた。
「さて、パーティーを始めるか」
「うん!」
そのままホールへと直行した。
◆◇◇◆
「もう一度言うことになるが」
扉を開け、アモネの方へ向く。
「「誕生日おめでとう!」ございます!」
扉を開くと大勢の声が聞こえた。
「えっと、皆さんありがとうございます」
アモネは驚きのあまり固くなってしまう。
「ほら、今日の主役はアモネなんだからそんなに畏まるな。てか、この中では2番目に偉いだろ」
そう言うと「うん」と言い、テーブルへと向かった。
□■□■□
誕生会は夜まで続いた。城下町は賑わり、城の中はお祝いムードだ。
俺とアモネはバルコニーへ出ていた。
「アモネ。こっちがほんとの誕生日プレゼントだ」
長方形の箱を取り出し、アモネに手渡す。
「え? でも昨日……」
「あれはイブのプレゼントだ」
断れそうにないので仕方なく受け取るかのようにし、アモネが開けてみると箱の中には金色のロケットペンダントが入っていた。
「え? これって」
「前に欲しそうに見てただろ?」
「うん! ありがとう」
アモネはロケットペンダントの入っている箱をギュッと胸に抱きしめた。
「どう?」
ロケットペンダントを付け、昨日貰った腕輪と共に見せた。
「ああ、似合ってるぞ」
「ほんとにありがとう」
アモネは俺に聞こえない声で何かを呟いた。
「いま、何か言ったか?」
「ううん、なんでもない」
笑顔で答え、室内へと戻った。
◆◇◇◆
「今日は楽しかったぁ」
ベッドに飛び込み、足をばたつかせる。
ちなみにお兄ちゃんは片付けをしている。
「ふふふーん」
腕につけている腕輪、一旦外したロケットペンダントを見つめ、ニヤついてしまう。
「プレゼントを全部開けたいけど今はこの2つで十分」
送られてきたプレゼントの量は50個くらいだろうか。貰った物を捨てたり、売るのは申し訳ないので使ったり飾ったりしている。
「そういえば、今日はお父さんとお母さんは来なかった」
最後に会った日から音信不通なのだ。
忙しいのだろうと諦めた時だった。横から箱が落ちるような音がした。
「これって……」
その箱を開けてみる。
そこには手紙が入っていた。
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アモネ、誕生日おめでとう
今日は行けなくてすまないねぇ。
今は少し手が離せないんだ。これが終わったらすぐに行くからそれまで待っていてねぇ
それとこれは誕生日プレゼントだよ。
トーグ、ミマより
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字から察するに書いたのはミマだ。
箱を開けてみると中にはマントが入っていた。
「保護のマント?」
纏ってみると分かった。
そのマントはどんな衝撃も受け止めてくれるような感じがした。
「お父さん、お母さん、ありがとう」
家族から貰ったプレゼントを抱えながら幸せを噛み締めていた。




