22話 〜バロンの未来〜
王城での騒動の後、すぐにセア達の元へ向かった。
俺がなかなか帰って来ないということでみんな心配してくれていたようだ。
「なんか、悪かったな」
「いえ、仕方のないことですから」
「で、王城の前の景色覚えてきたの?」
「あ……」
忘れちゃった☆。
「まさか、忘れたの?」
アモネがそう聞いてきたので無言で頷いた。
「私の部屋の前でいいぞ?」
メイラがそう言うと「ありがとな」と言って全員で転移した。
◆◇◇◆
「そういえばメイラの両親はどこにいるんだ?」
ふと思い出し、メイラに尋ねてみた。
「それはすぐにわかるぞ?」
「……?」
疑問に思ったが考えても仕方ないな。メイラが案内について行った。
「2人はなんでそんなに興味が持てるんだ?」
苦笑しながらシンとハルの方を見た。
「自分達の世界になかったんだからしょうがないだろ」
「はっ、まさか写真が撮れるんじゃ……」
「写真は禁止だぞー」
ハルが大きく方を落とし、「くそーっ」と落ち込んでいた。
「てか、この世界にもカメラがあるんだな」
「テレビがあるからそれくらいはな」
そう言いながら上着からカメラを取り出した。
「ただし、それはないけどな」
ハルが持っているスマホに指を向けた。
「作り方を知ってるやつがいるが材料が足りないんだよな」
1人でブツブツと言い始めてしまう。
「それよりバロン、着いたぞ」
メイラが止まったのは少し大きめの扉の前。扉の横には応接室と載っている看板が張り付いていた。
「ここか」
扉を開ける。
するとそこには王と王妃が座っていた。
「よく来たね。バロン君」
王が頭を軽く下げる。
「今日の件は本当にありがとうございました」
王妃もそう言うと頭を軽く下げる。
「いえいえ、頭を上げてください」
「君はいい若者のだね」
王は微笑むと立ち上がった。
「ほら」
王がそう言うと椅子の後ろからトーグとミマがで出てきた。
「なんでここにいるんだよ!」
まじでなんでいるんだよ。
「これがさっき両親がいなかった理由なのだ!」
どこか誇らしげな表情をする。
全然、嬉しくないサプライズだな。
こんな場面を両親に見られて嬉しい子供なんていないだろ。
「確かになぜここにいらっしゃるのですか?」
セアは2人を見て、首を軽く傾げる。
「それはねぇ、昔、一緒に旅した仲だからだよ」
母さんがそう言うが理解が出来ない。
「せっかくだから2人も呼ぼうと思ったんです」
王妃が右目を瞑り、ウインクをした。
「そういえば紹介がまだだったね。僕の名前はカインだ。そして僕の奥さんの……」
「リーアです。よろしくお願いしますね」
2人が自分達の紹介をした。優しそうな印象を持つ。
「じゃあ、俺はバロンです。それでこっちが妹のメイラ、秘書のセアスティア、友達(?)のシンとハルです」
軽く全員の紹介をすると全員、軽く頭を下げた。
「そんなに固くならなくてもいいんじゃぞ?」
「お前には言ってないわ」
トーグを睨むと怖がるフリをした。
「こら、あんたの言うことじゃないでしょうが」
母さんはトーグの頭を軽く叩いた。
「それで今日の要件はなんなの?」
アモネがそう聞くと4人は目を合わせ同時に頷いた。
「実は……」
「世界の危機なのじゃ」
カイン様の言葉を遮り、トーグが言いずらそうに言った。
「はぁ?」
つい間抜けな声を出してしまった。
「いや、正体は分かってないんだけどねぇ」
「なんと言うか、私の予知能力が発動しちゃいまして……」
2人は何故か申し訳なさそうだ。
「その予知能力ってどんなことを予知したんですか?」
シンが恐る恐る聞いてみるとカイン様は頷いた。
「正直に言おう。世界が救われる代わりに……」
全員が固唾を飲んだ。
「バロン君が死んでしまう。という予知だ。」
その場の全員の顔が真っ青になる。初めに声を上げたのはセアだった。
「なぜですか! なぜバロン様が……」
「まだ話の途中よ。まだ助けることはできるわ」
「どうやってお兄ちゃんを助けるの?!」
アモネはリーア様にしがみつきそうな勢いだ。
「そうね。じゃあ、バロン君が鴉のような黒い翼に紫の目、あとは黒い鎧の状態にならなければ死は免れると思うわよ」
リーア様はこめかみに手を当て思い出すように淡々と言う。
「もし、そうなってしまったらバロンは……」
ハルがそう言うと母さんが容赦なく現実を突きつけてきた。
「ああ、ほとんどの可能性で死んでしまうよ」
全員の視線が下へと向く。とても重い雰囲気だ。
「とりあえず、俺が黒い鎧を着たりしなければいいんだろ? それくらいなら簡単だ」
平然を装った笑顔を見せる。
「どうしてバロンはそんなに平然としていられるのだ!」
メイラがそう言い、俺の方を見る。俺の手は微かに揺れてしまっていた。
「すまん、今のは失言だ」
メイラはまた目を伏せてしまった。
「ほんとに安心しろ。絶対に死なないから。な?」
どうにかしてこの空気を和ませようとするが重くなる一方だ。
「はぁ、まじでしないからそんな俺が死ぬみたいな雰囲気にしないでくれ」
ため息をつき、疲れたような声が出てしまう。
「はい。そうですね」
「ちょっと取り乱しちゃっただけ」
「別に決まったわけじゃないのなら大丈夫だな!」
3人は俺に同調した。
「だからこそだよ。この前のこと3人ともよろしく頼むよ」
母さんはセア、アモネ、メイラの方を見た。その目はよろしくと本気で語っていた。
何がよろしく何だ?
「分かってます」
「うん、分かってる」
「分かってるのだ」
3人は同時に頷いた。
「この前のことってなんだ?」
「こら、秘密事に首突っ込むんじゃないよ」
母さんは軽く、優しく叱った。
「儂には教えてくれんかのう?」
「教えるわけないよ」
トーグはケチなどと呟いていたが母さんは無視していた。
「やっぱり、昔と変わらないな。子供もこんなに2人に似るものなんだな」
カイン様はトーグと母さんを見ながら呟いた。
「ええ、ほんとにそうですね」
そう言うとリーア様は微笑んだ。
「それよりもそろそろ帰らないと行けないんじゃないのかい?」
時刻は19時、結構遅めの時間だ。
「それもそうだな。今日の件は今後考えるとして、今日は一旦帰るか」
そう言うと全員頷き、転移魔法で魔界へと帰った。




