表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王さま、働いてください!!  作者: 沢山 綱政
第3章 魔王はつらい
29/51

19話 〜アモネの息抜き?〜

「まったく、お兄ちゃんはどこに行ったの……」


 仕事部屋の机の前に座りながら、ため息をついてしまう。


「これじゃ、私も半分くらい魔王になっちゃうよ」


 戦闘担当がお兄ちゃん、書類担当が私かな? ならできる気もしなくもない。


「最近、セアさんともなんか仲良さそうだし……」


 シンさんとハルさんが城に訪れた次の日だろうか、2人の距離が少し近づいている気がした。


「あの泥棒猫はお兄ちゃんとデートまでするし……」


 泥棒猫というのは言いがかりだと分かっているがあとから来たメイラさんのことが少し嫌いだ。


「セアさんはともかくあの泥棒猫は……」


 セアさんと会った日に昔、バロンが話していた女の子だということは察していた。


「なんか私だけ損してる気分」


 仕事をやった後、お兄ちゃんに褒められるのは素直に嬉しい。だけど、最近はそれだけでは足りない。足りな過ぎる。


「……1日くらいやらない日があってもいいよね」


 お兄ちゃんからお土産代わりに貰った隠蔽魔法の効果のある指輪を()めた。


転移(ワープ)


 モヤモヤとした気持ちを晴らそうとダンジョンへ転移した。

 お兄ちゃんも同じようダンジョンに逃げ込むようだから兄弟揃って考えることは同じだね。


        ◆◇◇◆


「さてと、どうしようかな」


 いつもの4人の中で単純な戦闘力なら1番弱いがSSSランクの冒険者より強いくらいの実力を持っていると自負してる。


「下層からでいいか」


 ダンジョンを最下層から、つまり逆ダンジョン攻略をしよう。


「最下層ってどんなとこだっけ?」


 最下層にお父さんと来たことがあるがだいぶ前の話だ。忘れてしまったのでできるだけ速く最下層へと下った。


「到着!!」


 ボス部屋の前まで来ていた。

 普段、ダンジョンの魔物はFからSSSランクだが、最下層の魔物はこれを超えた不明となっている。

 なぜなら魔王の血族以外立ち入れないからだ。


「ここは初代魔王様が封印を施しているって本に書いてあったからね」


 予め準備しておいた槍をアイテムボックスから取り出し、部屋の扉を軽く突く。すると足元に魔法陣が現れ転移魔法が発動した。反射的に目を閉じちゃったけど。


        ◆◇◇◆


 目を開けると足元には転移の魔法陣が、前を見ると塔の最上階のようなドーム型の部屋だ。


「ここがボス部屋……」


 槍を構え、周囲を警戒する。


『ギャアァァァ!!!』


 前から稲妻が一直線に飛んでくる。軽々とその稲妻を右に避けた。


「まず1体目、雷竜(らいりゅう)


 まだ口を開けている雷竜に向かって魔法を準備する。


暴風水弾(ウォーターカノン)


 最大質力で放たれたその魔法は雷竜の口に直撃する。

 雷竜は抵抗する暇もなく絶命した。


「次!」


 このボス部屋は1匹だけではない、3匹いる。

 雷竜の死体が消滅すると同時に火炎の玉が無数に飛んでくる。


暴風(ハリケーン)!」


 小さな竜巻が発生させ、火炎の玉を全て巻き込ませ2匹目の龍の方へ向かわせる。


「次に2体目、火竜(かりゅう)!」


 炎を纏った竜巻が火竜に当たる前に転移魔法で火竜の近くへ転移で向かう。アイテムボックスから小麦粉を取り出し、火竜に投げる。

 何十袋かを投げ込むと転移魔法で元の場所へ戻る。


「ふぅ、ここからが本番」


 魔法障壁を作る、それを待っていたかのように竜巻が火竜に直撃した。危なかった〜。

 すると、大爆発が起こる。


「これはお兄ちゃんから教えてもらった技、粉塵爆発!」


 少しだけ顔が綻びるが一瞬で真剣な表情に戻す。

 火竜の反対側に槍の矛先を向けた。


闇雷(ダークボルト)!」


 闇魔法が使えないけどそう言い放つと無数の紫色の雷が飛ばしていく。


『ギュラァァァァ!!!』


 そこには最後のボスがいる。ちなみに火竜の死体はもう後ろ側にはないよ。


「3体目、地龍(ちりゅう)。もう一度、闇雷(ダークボルト)!」


 今回は大きい紫色の雷が地龍へ直撃する。しかし、さっきほどの傷は与えられない。


「耐性⁉︎」


 危険を感じたから後ろへ飛び退いた。立っていたところには土で出来た針が作り出されていた。


浮遊(フライ)


 宙へと浮かぶ。


『ギュアァァァ!!』


 稲妻と火炎玉の攻撃が向かってくる。さっきの龍たちの技を使ってくるのは厄介すぎる。


純水(ピュアウォーター)、癒しの雨!」


 癒しの雨を自分の頭上に、純水を自分の前に盾のように設置した。

 火炎玉は全て雨と水により消え、稲妻は純水に当たると霧散した。


「これもお兄ちゃんに教えてもらった技!」


 純粋な水は電気があまり通らないと教えてくれた。お兄ちゃんありがとう!


 でも、このままじゃ、負けちゃう。

 たとえ全ての攻撃をかわすことが出来ても先に魔力が尽きてしまうのは自分だ。


 こういう時こそ新しい魔法を創る!

 お兄ちゃんの教えその3!


 『ファンタジーのテンプレ展開、「主人公はピンチになるとすぐ新しい技使ってくるよね」は切り札になるぞ!』


 そのためには……私は主人公、私は主人公、私は主人公!

 自分が主人公だと自分に言い聞かせる。何とか効果があるとかないとか。


「さあ、行くよ!」


 右手に持っている槍を掲げる。


『ギュラァァァァ!!!』


 地龍はこっちの方へ真っ直ぐ突っ込んでくる。


水の神竜の威厳(私のプライド)


 槍に光と闇が集まり、混ざる。右に水の槍が左に風の槍が現れる。これで槍は合計3本。


「喰らえッ!」


 手に持っている槍を投げると水と風の槍もそこに混ざり合う。いつの間にか神々しい神竜の姿になっていた。まさかこんな形になるとは……。


 地龍に直撃すると爆発する。その空間には私がだだ一人だけ存在していた。


「疲れたぁ〜」


 床に倒れ込み、充実感が湧いてくる。


「やっと新しい攻撃魔法を覚えることが出来た」


 毎日、お兄ちゃんとアニメを見ているおかげなのかな? 


「……そろそろ帰らないとね」


 水魔法で体を綺麗にし、風魔法で体と服を乾かす。また封印を施すと転移魔法で城へと帰った。


        ◆◇◇◆


「〜♬︎♡」


 アモネは嬉しそうに鼻歌を歌っている。


「どうした、いい事でもあったか?」

「お兄ちゃん!? いつの間に帰ってたの!」


 アモネの顔は嬉しそうな顔から一転、顔を真っ赤にして恥ずかしそうにした。


「いや、今だけど?」


 いつものアモネなら気付くはずなのにな。


「まさか鼻歌を歌っている時に帰ってくるとは思ってなかった……」


 アモネが何かを呟いている。


「なあ、アモネ。お前、強くなったか?」

「な、なに、どろぼ……メイラさんみたいなこと言うの?」


 アモネは俺から目を逸らす。

 アモネの頭に手を置く。なら、やることは1つだ。


「やっぱり、強くなってる。ダンジョンにでも言ったか?」


 お風呂に入ったばっかみたいに綺麗だからそれはあり得ないか。


「うん、少しだけ……」


(もちろん、少し――連続で3体のボスを倒してたんだ! 言えるはずもないけど……)


「そうか、だから嬉しそうだったのか」


 なんだ少しか。怪我もしてないみたいだし一安心だな。


「もう、昔みたいにはならないよ」

「ああ、ならいいんだが……何かあったら絶対に言えよ」


 アモネの頭を撫でながら少し軽めの声で言う。本気で言っている。


「もちろん、約束もしたでしょ?」

「ああ、そうだな」


 アモネの頭を2回軽く手のひらで叩くとアモネに背中を見せ、手を振る。


「1つ、用事思い出した。ちょっと行ってくるわ」


 そう言い残し、転移魔法でとある場所へと向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ